敵失を探した自民党                                        岡森利幸   2009/8/5

                                                                    R1-2009/8/11

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2009/7/1 社会面

鳩山代表、個人献金5.9億円、過去10年間、「匿名」が6割だった。

故人や実際には献金していない人、約90人から計2178万円の個人献金を受けたとの虚偽の記載をしていたことを秘書が認めた。

理由について、「私への個人献金が少なかったので、それが分かったら大変だったという思いがあったと推測している」と鳩山代表が釈明。

毎日新聞朝刊2009/7/4 社会面

自民・公明両党のプロジェクトチーム(PT)が鳩山代表に04年以前も虚偽献金疑惑があることを指摘。

金権政治の雄、小沢一郎が常に公言していたのは「政権を取る!」だ。西松建設からの企業献金とそれに関わる「天の声」問題がなかったとすれば、彼は総理大臣という日本で最高の権力者になり、長年の悲願が達成されることになるわけだった。権力指向の彼としては、総理大臣の椅子に座ることで満足し、あとのことはどうでもよかったに違いない。いや、ますます政治資金の調達が楽になり、集金能力を高めると共に、その政治的手腕に磨きがかかり、豪腕政治家としての名声(悪名を含む)が高まったことだろう。それを観ている側の一人として私は、主役交代になったことが少し残念だ(皮肉をこめて)

西松建設からの献金を最も多く受け取り、東北地方の公共工事の入札案件を取り仕切っていたとされる彼の秘書が逮捕され、彼が民主党代表を辞めざるを得なくなったことを、与党の自民党と公明党は、「敵失」としてとらえた。その敵失により、下がりっぱなしだった内閣支持率がやや持ち直したのだから、与党としては、ありがたいことだったろう。

「そのありがたいことをもう一度」と、自民党と公明党がプロジェクトチームを組んで、新代表の鳩山一郎氏の政治資金の「あら探し」を始めたわけだ。政治家の政治資金の管理状況や政調費などの公金の使途に関しては、彼ら自身が経験していることだから、叩けばほこりが出ること、つまり実情をよく知っているのだ。

やはり鳩山一郎氏側にも、政治資金の、おかしな経理処理があった。

メディアは、これを個人献金ならぬ「故人献金」と揶揄したりした。彼にも、献金側の氏名あるいは企業名を伏す必要があったのだろう。鳩山氏がへんな言い訳をしなくても、その理由は想像できる。彼にとってそれは、「個人情報」として公にできるものではないのだ。彼の秘書は、できるだけ匿名扱い(5万以下なら匿名で報告できる)にし、それ以上の高額な献金は、(よくよく調べなければ)ばれないはずだと思いながら、故人から名前を借りたに違いない。彼は責任をとらされて秘書を辞めさせられている。多くのことを語ることなく……。鳩山一郎氏から硬く口止めされていたりして。

与党側で敵失を強調すると、そのうち「自失」が大きく見えてきそうだ。

それにしても、建設会社が政治家に献金すればするほど、公共事業の受注が取れるという仕組みは、どうなっているのだろう。公共事業が止められない理由の一つだろう。

 

 

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