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PC オーディオ絵日記
2008年
主な機材 : dCS Elgar Plus ESOTERIC P-70 G-03X KRELL KRC2 Accuphase DF-45 RME Hammarfall Digiface
KRELL KSA-50 KSA-100 MarkLevinson 29L AMCRON CROWN Studio Reference I CSE TX-1000 T-200
モリタラボ ウッドホーン 1000タイプ TAD TL-1601a TD-4001 TD-2001 JBL 2405 進工舎
たもそのオーディオに関する絵日記です。下から上に流れるスタック方式で追記されます。一番上が最新の更新になります。

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投稿日付: 2008年12月30日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 23. ルビジウム発振器の初期エージングと Allan Diviation

クリスマス休暇からほどなく、今度は正月休みがやってくる。ここで長期休暇を取る輩も多いが、たもそは二つに分けて休みを取る。その方が、沢山休んだ気がする。

さて、前回 「マスタークロックの評価手法について 22.」 (12月20日投稿) では、依頼を受けて SRS SC10をいろいろと計測してみたのだが、今日は少し基本に戻ってルビジウム発振器の初期エージングについて検証してみよう。というのも、OCXOのエージングが予想以上に長く掛かった印象であったので、比較のためにルビジウム発振器のエージング・テストを実施したというワケである。

ルビジウム発振器

今回計測したルビジウム発振器。計測結果は個体固有のもので
あって一例に過ぎないことをお断りしておく。

今回は EFRATOM社のルビジウム発振器を自作外部リニア電源に接続して、起動から一定時間の平均精度(Mean)及び、短期安定性(Allan Diviation)を連続的に計測してプロットチャートを描かせている。通電からのエージングテストの為、ユニバーサルカウンターは予め暖機させておいた。結果はオシロに表示させたプロットチャートでご覧頂きたい。


ルビジウム発振器の初期エージング
起動から計測した平均誤差(Mean)のプロット。いつも通り1秒ゲートで20回計測が
一試行である。左端がレンジ外から10プロットほどで一気に収束するのがルビジウム
の身上である。表示スケール 500μHz/divというのは、高さ2マスでこの発振器の
定格精度範囲 +/-5x10E-11乗となる。

こちらは短期安定性(AllanJitter)のプロットで、上の誤差と時間軸(X軸)は同じ。
精度が収束すると同時に安定性もσ=200μHzを中心としたレンジで安定する。
僅か数分でここまで安定したクロックを出力するのは原子時計の威力であろう。


ルビジウム発振器の計測では、限界的な精度誤差を計ることになるので、GSPレシーバーの受信状態やカウンターの機嫌次第で計測結果はバラツキが出るし、発振器自体の個体差もあるため同じ結果にはならない。従って、結果が良かったケースを選んでいる事をご了解願いたい。

今回は わりと典型的(Typical)な結果が得られていると思うが、まず精度(Mean)の方を見ると、起動数分で定格範囲に入っていることが分かる。誤差の中心が10MHz(画面では中央のX軸)よりも下で収束しているが、これは、計測器の内部ドリフトがあるので、-0.7mHzで校正を掛けてあるためである。

次に、AllanDiviation(アランジッター)を見てみよう。こちらはスケール σ100μHz/divで表示しているので、およそσ=200μHzと読み取れる。参考までに、計測器の内部ジッターがσ=90μHzほどあるので、かなり限界的に低いと考えて良いだろう。もちろん、その散らばり具合も重要である。

この結果から、ルビジウム発振器の初期エージングの速さは水晶発振器とは全く比べものにならないことが分かる。尤も、大事なのはエージング速度ではなくて、安定した後の安定性であることは言うまでもない。



投稿日付: 2008年12月25日
タイトル: 外部周波数標準比較のために ・・・ ルビジウム発振器 対 GPSDO

そろそろ冬休みも終わりである。休暇の時でないと出来ないのがレイアウト変更である。今日は機材の入れ替えはなかったので、代わりに外部標準クロックの比較がし易いように機材配置を一部変更してみた。

ここで言う外部クロックというのは、マスタークロックジェネレーターのことではない。マスタークロックの外部標準として使用する標準周波数発生器を区別するために、10MHzのマスタークロックを特に外部クロックと呼んでいる。

10MHz外部クロックとして使えるものでは、高精度水晶発振器、ルビジウム発振器、セシウム発振器、GPSDOなどがある。GPSDOは内部にOCXOを搭載していて、これをGPS衛星の電波で補正することでセシウム並の高精度を得られるとする発振器である。セシウム発振器は極めて高い精度が得られるものの、非常に高価な上、心臓部のセシウムビーム管が消耗品であることから、なかなか一般人には使用し難いようだ。

たもそが通常使用しているのは、ルビジウム発振器を内蔵した自作外部クロックであるが、最近は GPSDOも良いのではないかと考えていろいろ試行錯誤している。従来の機材配置は、クロックケーブルを最短で接続することを優先してレイアウトしていたので、外部クロックの切換えが非常に面倒であった。

そこで、今回はクロックケーブル長は若干犠牲にして、外部クロックの切り換えがやり易いように配置を変更してみたのである。


外部クロック比較の為の機器配置

たもそのオーディオラックは造り付けゆえ、あまり融通が利かない。
今回は天板の上に外部クロックを並べて、G-03Xへのケーブルの
差し替えだけで、クロックを変更出来るようにしてみた。

画像はオーディオラックの天板部分である。これまで設置していた高音用アンプの marantz PA-02はラックの中に入ってもらって、天板は外部クロックだけ置くことにした。受け側の ESOTERIC G-03Xへは、フジクラ RG-55Uのクロックケーブルで引き廻す。これで、クロックケーブルの差し替えだけで、外部クロックを切り替え出来るのようになった。

設置されているのは、左側が自作ルビジウムクロックで右側が HP Z3801Aという GPSDOである。向きが横だったり後ろ向きだったりしているのは、クロックケーブルの引き廻しを最小限に留めるためである。Z3801Aはこれまた自作のリニア電源(非安定化)を接続して常時通電である。

このようなレイアウトに変えて、いろいろな比較試聴をしてみようというワケである。



投稿日付: 2008年12月23日
タイトル: RME Hammerfall Digiface 改造してみて

さて、冬休み事業の一つである RME Digiface 基板改造のインプレッションをお伝えしよう。


RME Hammerfall Digiface改

改造を終えて天板取付待ちのDigiface。基板をいじるにはフロントパネルを
取り外す必要があるのだが、LEDの位置決めがそのリード線次第という
いい加減な構造なので気を付けないと復元できなくなる。

今回は基板をけっこうイジったのだが音への影響を考えると、実は外部電源可否実験の方が重要であった。まぁ、その辺はトータルで改善を狙ったということで納得する。外部電源で使えることは確認したのだが、現状では、まだ品位の高いリニア電源は用意できていないので、外部電源としてはNEC製のACアダプターを使っている。専用電源の製作は、もう少し安定動作が確認できてからにする計画だ。

接続状況としては、ACアダプターの電源を DigifaceのAUX/Inに繋いで、これは常時通電とする。次に、PCIカードからのIEEE1394ケーブルを繋ぐ。外部電源のみ接続するとHOST/Errorの赤ランプが点いたままとなるが、PCを起動してログオンすれば消える。なお、マスタークロック G-03Xも常時通電なので、WC/Lockの緑ランプも点灯したままだ。後は、G-03XからWordClockを受けて、改造したSPDIF/Outから Elgarに送る。

参考までに、Digifaceの動作確認について補足すると、

RME Digiface 設定画面

この設定画面の中央最下部の I/O Box Stateの枠内が 「Connected」となれば正常である。クロック同期は右下の AutoSyncRef及び SystemClockで確認できる。外部からクロックを受けているかどうかも、左下の SyncCheckで確認できる。このように動作状況を細かく確認出来るところは RMEの優れた点だと思う。

さて、外部電源の様子を確認するため、1日置いてから試聴してみた。

ほほぅ、イイ感じじゃないか。S/Nの改善と音数が増えた印象で細かいところが聴き取れるようになった。女性ボーカル物のバックがよく聞こえる。音と音の間の沈み込みも深くなった。改造というか外部電源というか、良い方向への変化である。

そこで、同じCDを P-70と聴き比べてみた。が、やはり違う音だった。でも、これは質感の差というよりキャラクターの違いのように感じられる。P-70の方が、濃い目で深め、或いは低域重心の音のようだ。これが、TEACのVDRSの音いうヤツだろうか。

次は、専用リニア電源を与えてみよう。



投稿日付: 2008年12月22日
タイトル: RME Hammerfall Digiface 改造 (その2)

今日は Digifaceの改造の続きである。改造メニューを再掲すると以下の通り、

* SPDIF/Out RCA端子をBNC端子に交換する。
* 電源回路のケミコンを容量アップする。
* 外部電源での動作チェックをする。



SPDIF COAX端子の交換

オリジナルの基板用RCA端子はけっこう強固に取り付けてあって、抜き取り
には苦労したが、代わりのBNC端子はうまく取り付け出来た。(^^)v

まずは、SPDIF端子の交換である。2つある内のSPDIF/Outだけ交換する。内部は予想通り基板直付け端子だったので、交換用にカナレ製の基板用BNC端子を用意した。元のRCA端子がけっこう強固で難儀したがどうにか抜き取りに成功、後は新しいBNC端子を取け付ける。ただ、センターコンタクト側の長さが不足したので、少しだけ1mm線材で接いだのだがまずまずの仕上がりか。

問題はバックパネルの穴で、大きさは削って拡大すれば良いのだが、どうもセンターがズレていたらしく余分に大きな穴となってしまい、納まりはちょっと今一になってしまった。まぁ、この次は失敗しないだろう。・・・って、次があるのか??

実は、ここまでの改造は数ヶ月前に完了していたのだが、ちょっと中途半端な改造だったので報告しなかったのだ。(^^;;


電源部ケミコン交換

こちらはオリジナルの電源部ケミコンで、50V 1000μFの無銘品。どうでも
いいけど無銘の電解コンデンサ使うのは止めて欲しいものだ。左に見える
小さいケミコンは日本ケミコン製。


交換した電解コンデンサ。容量をアップすればサイズが大きくなるのは
致し方ない。ニチコン製 35V 3300μFに0.1μFのフィルムコンをパラで
繋いだ。

次は、基板上の電源部の電解コンデンサの交換である。基板を見たときから、この無銘のコンデンサがキモイと感じていたので交換したかったのだ。交換できるかどうかは抜き取りにかかっているのだが、幸い基板裏でハンダ付けされていたので簡単に抜き取れた。

交換品はニチコン製で容量は3倍、但し、耐圧は実際に掛かるDC電圧を考慮して35V品とした。50V品でも良かったのだが、リードが付いていないので没となった。実装は高さ制限から画像のように屈曲させて取り付けている。ついでにノイズ対策としてフィルムコンデンサをパラで繋いでおいた。まぁ、お守りみたいなものか。


基板の改造は以上で完了である。続いて、一番重要な外部電源での動作について検証した。

これはけっこう危険な実験である。そもそも RME Digifaceの電源仕様は詳しく公開されていない。取り説では、「PCIカードを使う場合は、IEEE1394ケーブルを介して電源供給される、カードバスで使う場合はACアダプターを使う。」 ということになっているだけで、PCIカードで使いながら電源は外部入力することが可能なのかどうか分からない。また、もし可能だとすれば、どういう順番で接続するべきなのか ・・・微妙な話である。この辺りが怪しさ満開のため、なかなか実験には踏切らなかったのだ。

しかし、折角休みも取って、予備機もあるということなので、今回は実験してみた。

純正ACアダプターを持っていないので、DCプラグの仕様、電圧、極性など全て不明である。結局、試行錯誤するしかないが、ある程度は当たりを付けないと余りに危険である。DCプラグの仕様は基板を見ながら幾つか試して見当は付けた。また、基板上のジャック端子の構造から、外部DC入力があると切り離されるスイッチがあることが分かった。恐らくこれが内部電源を切り離すのだろう。

次に電圧だが、純正ACアダプターがDC12V仕様であることが分かった。又、電圧許容範囲が 〜18Vと広いことも分かった。恐らく、基板上のレギュレーターで規定電圧を作る方式なのだろう。DCジャックの極性はテスターでいろいろ当たったのだが、結局、分からなかった。うーん、ちょっとアバウトだなぁ。

このくらい調べたところで、適当なACアダプターを使って接続実験を行なった。動作チェックは起動時に点灯する赤色LEDである。点かなかったら、速攻で中止せねばならない。ちょっと危険な実験だったが、無事一発で赤色LEDが点灯した d(^^)b

接続順序であるが、切り離し構造があるとはいっても瞬断するのはよろしくないので、外部電源を通電してからPCを起動することにした、というか外部電源は常時接続とした。これ以外に安全な方法はなさそうだ。

さて、外部電源で使えそうなことが分かったところで、ちょっとオマケな計測をしたのでご紹介しておこう。
外部電源の実験は、改造後の基板剥き出しのままで行なったので、そのままオシロのプローブを当てて電源の波形を覗いてみたのだ。


PC内部電源と外部SW電源の比較


こちらは、Digiface基板にPCIカードから給電している一般的な状態。プローブは交換した電解コンデンサのリードに当てている。
右画面がその計測結果である。ま、でんでんダメポという感じである。ただし、これくらいのACアダプターは幾らでもあるので、使用不可能
というほどのレベルでもない。



そして、こちらは基板に外部電源だけを繋いだ様子。画像の上端のDCジャックにケーブルが繋がっている。使ったのはNEC製の古い
ACアダプター(13.5V)で、事前にノイズ成分を計測したところ、20mV程度となかなか良かったので今回採用したのだ。その結果は右の
画面の通り、んー、あんまし変わらんのぉー。スケールを揃えなかったのでこちらの方が多少良いようにも見えるが、AC成分は232mV
対 192mVと僅かの改善に留まっている。


最後の計測実験は幾つか考慮すべき点がある。

このような基板に通電すると、リセット後、直ちに内部クロックが発振し始めて待ち受け状態(アイドリング)に入る。この時、かなりのノイズが電源にフィードバックして観測されるのが普通なのだ。つまり、純粋に電源の質を比較したことにはならないのである。従って、上で観測されたノイズは大半が基板から発生したクロック等が原因と考えるべきであろう。


基板改造を終えたDigiface

改造及び実験を終えて再び筐体に帰ってきたDigiface君。さんざんいじり
廻されてさぞかし不快な思いをしたと思う、スマン。

これで、改造は一旦終了である。次は、この機材に相応しい外部電源を製作して、改造の痛みを癒してあげたいと思う。
それから、当然、改造後の試聴結果が大事だと思われるが、それは次の機会でご報告したい。



投稿日付: 2008年12月21日
タイトル: RME Hammerfall Digiface 改造 (その1)

例年クリスマス前後のところで休暇を取る。この師走の頃は、買い物や年賀状作成などやることが多く、土日だけで済ませようとすると、あっという間に大晦日になってバタバタするのだが、この週に休暇を取って雑用を済ませておくと落ち着いて年末を迎えられるのでたいへんよろしい。

さて、今年は後半から強烈に不景気となり、巷では派遣社員が首を切られて憤っているそうな。そもそも限界雇用として採用されているのだから、いつ首になってもおかしくない筈なのに、いざ切られると弱者切捨てだとマスコミが騒いでいるが、企業がステークホルダーに対して正しい道を歩むのであれば雇用調整は避けられないところ。ビッグ3がダメなのは組合が強いからで、企業の姿としては派遣切りが正しい道のはず。もしも、それに憤りを感じるならば派遣なんぞで働かなければ良いだけである。これは完全に囚人のジレンマに陥ったゲームである。

そんなこんだで年は暮れてきた。最近の円高で安く手に入るモノが増えて、円高悪視も如何なものかと思う。

さて、折角休暇を取ったのだから雑用はさっさと済ませて、普段はいじれないところに手を付けよう。


たもそのPCオーディオにおける懸案の一つが RME Digifaceである。クロック関係をいろいろやって改善してくると、どうもCDトランスポート経由の音とPCオーディオの音の差がだんだん大きくなってきたように感じていたのだ。つまり、ESOTERIC P-70経由の音が断然よろしくて、RME Digifaceの方はちょっと今一な感じになってきたのだ。

理由はいろいろ考えられる。P-70はクロック同期した状態で直接CDから読み込んでいるので、途中に介在するものが最小限で dCS Elgar(DAC)に届けられる。一方、PCオーディオの方は、PC内蔵CDドライブで読み取ってHDDに保存、foobar2000で再生して、Digifaceを介して Elgarに送る。もちろん、Digifaceはクロック同期させているので品位が損なわれるハズはないのだが、この経由の階層がどうしても純度を下げるような気がする。

その中で、特に気になるのが、初めの CDリッピング時のクロック精度Digifaceの電源環境である。CDリッピングというのがなかなか難物で、ビットレベルで100%読み取ることは問題ないようなのだが、読み取り時のクロックが専らCDドライブ内蔵のクロックに依存しているというのがどうも気に入らない。ここを外部水晶で置き換えている方がいるが、その解決策の一つであろう。たもそもいずれその辺に着手したい。

そして、もう一方のキモイのがPCオーディオの要と言えるオーディオ・インターフェイスの電源周りである。RME Digifaceは、本体をPCから切り離して動作させることで、いろいろな制約(特に入出力端子のスペース問題)から開放されているのが利点であるが、電源に関してはデフォルトではPCから供給する方式になっている。折角、PCから切り離して動作するのに肝心の電源部をPC本体に依存していては切り離した意味がないではないか。

それは分かっていたのだが、いろいろ障害もあって今まで手を付けずにきたのだが、いよいよCDトラポとの差が開いてきたことから改善に着手することにしたのだ。

RME Hammerfall Digiface
RME Digiface
dCS Elgarの上に乗るRME Digiface。モノは小さいがPCオーディオの要
となるメイン機材である。筐体が小さく軽いため、配線で浮き上がらない
ように鉛板を乗せている。足はゴム足を後付け。


実は、この問題に対処すべく大分前から準備は進めてきたのだ。まず第一に予備機の確保である。というのも、Digifaceにはもう一つ問題点があって、それはインターフェイスである SPDIF COAX端子がRCA端子なのだ。デジタルの同軸はRCA端子が使われることが多いが、できればBNC端子が良い。出し受けともRCAしか無いのであれば仕方が無いが、受け側のDACである ElgarにはデジタルInputにBNC端子を備えているのでBNCケーブルを使いたい。

今までは、オヤイデ FTVS-510ケーブルの片側BNC/片側RCAという変則ケーブルを製作して使っていたのだが、これを何とか改善したい。そうなると、Digifaceの基板に手を付けることになる。しかし、要の機材を改造して壊れてしまったら音が出なくなってしまうので、予め予備機を入手してから改造しようと考えたのだ。

うーん、結構お高いこのオーディオIFを予備で買うのは気が引けるのだが、幸い某所にて格安物件が出ていたのでサクッと手に入れておいた。もちろん、PCIカード付きである。この機材はカードが高いのでセット物を買うのが王道である。


RME Digiface 内部

Digifaceの天板を外したところ。IFボードは二階建てでIF周りが大半を
占める。右寄りにあるのが外部電源端子とSPDIF端子である。


今回改造箇所のアップ画像。基板右上部分になるが、右端が外部電源
端子、金色の基板直付け部品がSPDIF RCA 端子である。やや大きい
ケミコンとレギュレータICらしき素子が見えることから、内部に安定化回路
を持っているようだ。



さて、それでは改造メニューであるが、目論みとしては以下の通りである。

* SPDIF/Out RCA端子をBNC端子に交換する。
* 電源回路のケミコンを容量アップする。
* 外部電源での動作チェックをする。


内部を開けてみたら電源部のケミコンがショボイので、抜き取りが難しくなかったら交換することにした。


つづく



投稿日付: 2008年12月20日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 22. OCXOの電源比較とエージング効果について (その2)

本日は前回12月17日投稿の続編である。依頼により SRS SC10ベースの自作マスタークロックをお預かりしていろいろな計測試験を行なったのであるが、内蔵スイッチング電源での計測結果から SC10の実力は十分発揮されていない感じであったことから、外部リニア電源を接続して再計測を行なったのが前回までのお話である。

電源比較の結果は12月17日投稿をご覧頂くことにして、今日はその続編をご報告したい。

外部リニア電源を接続して1日通電してから平均誤差(Mean)及び短期安定性(Allan Jitter)を計測したところ、SW電源と比べて短期安定性の改善が見られたのを確認後、更にエージングを継続した。そして、2日経過及び3日経過後に同様の計測を行なったのが以下のレポートである。理想的には、同じ計測試験を3回くらい行なって信頼度を高めたいところであるが、今回は一度だけの計測である点を考慮してご覧頂きたい。


SRS SC10 外部リニア電源駆動試験
SRS SC10
シャシ内のSRS SC10の電源供給はピンコネクタになんている為、
今回は外部リニア電源からICクリップで給電している。理想的
にはキチンとした配線で送る方が望ましいことは言うまでもない。


SRS SC10 外部リニア電源駆動 エージングテスト
こちらがエージング1日後の計測結果で12月17日投稿画像の再掲になる。左画面の平均誤差(Mean)では、ほぼ収束して
いるもののよく見ると僅かに右肩上がりのプロットになっており、まだエージングが続いているようだ。

そして、左画面が短期安定性(Allan Jitter)のプロットである。100μHz/div(1マス高で100μHz)で、σ=400μHzを中心に
狭いレンジで納まっている。


さて、こちらがエージング2日後の計測結果である。左画面の平均誤差は更に上に振れて およそ 4.5x10E-9くらいと読み
取れる。1日でこれだけドリフトしていることになる。

一方、右画面のJiiterはどうだろう?上の1日後の画像と比較すると明らかにJitterは低減されているように見える。プロット
の散らばりは1マスほど下に下がり、且つ、散らばり範囲が狭くなっている。これは明らかに短期安定性が向上していると
思われる。σ=350μHzくらいと読み取れる。


それから、更に1日置いてみた。エージング3日後の計測結果である。左画面の平均誤差プロットチャートが一段とフラット
になっているのが分かるだろうか。ドリフト量も低減してほぼ落ち着いたようだ。

一方、右画面のJitterであるが、こちらは流石にもう下がらないようだ。2日目よりも少し乱れがあるように見えるが、
プロット分布は変化しておらず、平均σ=350μHzくらいである。



今回は依頼ということもあって、結構念入りに計測してみたのだが、水晶発振器はやはりエージングに時間が掛かるのは間違いないようだ。1日(24H)ではまだまだ不足で2-3日くらい通電してようやく安定すると考えて良さそうである。もしかしたら、もっと通電し続けると更に改善するのかもしれない。特に、オーディオ品位で影響の大きい短期安定性については2日くらいは置かないと実力は出ないと考察された。

また、今回の計測結果だけを比較した場合、ルビジウム発振器と OCXO(SC10)で精度はルビジウム発振器が圧倒的に高いことが確認された。経験的に正常なルビジウム発振器であれば、どんなにドリフトしても 2x10E-10程度の誤差で納まっているので、OCXOでは太刀打ちできないようだ。但し、短期安定性(Allan Jitter)については、OCXO(SC10)もルビジウム発振器も同等の品位を備えていると考察された。ルビジウム発振器も電源による違いや個体差が認められるが、安定してσ=300μHzを下回るのはなかなか難しいことから、高品位のOCXOとルビジウム発振器の短期安定性は互角と判断している。

今度はルビジウム発振器についても数日のエージング経過計測を行なってみたいと思う。



投稿日付: 2008年12月17日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 21. OCXOの電源比較とエージング効果について (その1)

今回の計測試験及びデータ採取は依頼に基づく試験結果である。従って、本来は依頼主にのみフィードバックされるべきであるが、計測実験結果がなかなか興味深いものであり、且つ、「マスタークロック評価手法」にとって、激しく有意義であると判断されたことから、特に許諾を受けた上で考察を加えて公開させて頂くものである。このような高価な機材を快く計測試験の為に貸して下さった方に特別な謝辞を贈りたい。

さて、手元に届いたのは、SRS社のOCXO SC10を内蔵した 10MHz マスタークロックである。SC10は、仕様やスペックをオーダー出来るOCXOで、オーディオ用途であれば、短期安定性のランクを優先するのが良いようだ。今回は、このマスタークロックの精度及び短期安定性について計測すること、及び、使われているSW電源に換えてリニア電源を用いた場合に計測結果に変化が現れるかどうかを検証するという依頼であった。


SRS SC10 マスタークロック オリジナル
SRS SC10 マスタークロック

届いたSC10ベースのマスタークロックの天板を開けたところ。左端がSC10で、
右端にSW電源、中央に追加した電解コンデンサが見える。SC10のクロック出力
はSMA端子になっているので、直接ケーブルを繋いで引き出すことが出来る。


SRS SC10 マスタークロック 出力波形
内蔵の電源を使って起動させて出力波形を出したのが左側オシロ画面である。キレイな正弦波出力が得られた。一方、
右側は起動から連続して計測した誤差平均(Mean)のプロットである。滑らかなカーブを描きながら10MHzに収束しつつ
あるが分かる。但し、スケールは10mHz/divとかなり粗い。オシロ画面の右端でもまだ 1x10E-9程の精度でしかない。



SRS SC10 マスタークロック オリジナル エージング後
予想通り、OCXOは出力が収束するまでかなり時間が掛かる。こちらは起動から1日置いて計測したところ。左側画像が
平均誤差である。既に収束したようだが、残念ながらプラス側に振れたところで落ち着いている。誤差はおよそ 3.5x10E-9
というところ。

そして、右側画面が短期安定性(Allan Diviation)のプロットである。1秒ゲートで20回を一試行としてアラン分散を計算
してその平方根を取り偏差(Allan Jitter)としている。スケールは、ルビジウム発振器を計測する際と同じスケールである
100μHz/divで表示しているので、ルビジウムのAllan Jitter画像と比較することが出来る。パッと見でもバラツキが大きい
ように感じられる。

そもそも、製作したSC10ベースのマスタークロックが、ルビジウムクロックと比べて期待したほどの音ではなかったというの
が計測試験依頼の理由だったのだが、このプロット画像を見る限りではルビジウムの方が安定しているように感じられた。


SRS SC10ベースのクロックは計測後にたもそのシステムに組み込んで試聴させて頂いたのであるが、その印象はオーナーのそれと同様であった。ルビジウムクロックと比べてエッジが甘くなり響きももう一つというところであった。

そこで、次の実験に掛かった。SC10の駆動電源をリニア電源に換えたらどうなるか?というものである。


SRS SC10 マスタークロック 外部リニア電源駆動
SRS SC10
SRS SC10をリニア電源で駆動する為の接続風景。ちょうど製作した
可変電圧型外部リニア電源を使って実験した。SC10の端子はピン
だったので、ワニ口とプローブを使ったバラック組みでの実験となった。


SRS SC10 マスタークロック 外部リニア電源駆動 エージング後
こちらがSC10を外部リニア電源で駆動した結果である。同じように起動から1日通電してから計測している。

左画面が誤差平均で、前回よりも少し誤差が拡大しているが、まずまず収束している。そして肝心のAllan Jitterはどうだ
ろうか?右画面をオリジナル電源の画像(一つ上の)と比較してみよう。見た感じバラツキが小さくなり狭い範囲で納まって
いるように見える。Allan Jiiterは標準偏差なので絶対値が低いことが望ましいのだが、そのバラツキも音への影響は
大きいと推測される。


ここまでの計測試験結果から、OCXOは電源による短期安定性の変化が認められるようだ。もちろん、本来は同じ計測を条件を揃えて何回も行なって信頼性を確保しなければならないのだが、一度電源を落とすとまる1日計測出来ないので、今回はわずか1回だけの計測しか行なっていない。その点はご理解を頂いた上で参考にされたい。

さて、次回はリニア電源を繋いだまま、数日継続させたところ、更なる変化が起こった件を報告したい。


つづく



投稿日付: 2008年11月29日
タイトル: 電源別レギュレーションノイズ比較

自作安定化電源の製作など電源づいたところで、いろいろな電源のDC出力波形を比較してみたのでご紹介しよう。

オーディオ再生において電源は非常に重要であり、音質への影響は極めて大きい。マスタークロックにおいても同様で、高精度のクロックの電源に選ぶべきは、どのような電源が良いだろうか?一般論では、SW(スイッチング)電源はノイズが大きく、リニア(アナログ)電源はノイズが小さいと言われている。

しかし、SW電源は効率が高く、コンパクトで且つ、低コストで製造出来ることからあらゆる機器で採用されている。ノイズを嫌うような産業用の精密機械でもSW電源が普通に使われている。それでは、SW電源とリニア電源ではどれほど出力ノイズに差があるのであろうか?素朴な疑問を解消するために実験を行なった。以下、画像を中心に紹介しよう。


電源別レギュレーションノイズ波形

こちらはノートPC用の大型のACアダプター型電源である。
古いモデル用なので 65Wと結構な容量を持つ。AC側はIEC
インレット仕様である。


ACアダプター電源のDC出力波形である。かなり大きいノイズ
を伴っているが、ACアダプター型は、これで普通のようだ。
オシロ内蔵計測で142mVpp



こちらは産業用SW電源で 108Wの容量を持つ。コーセル製。
大型平滑コンデンサや太線チョークコイルなど、各パーツは
しっかりしており、ACアダプターとは大分異なる。


産業用SW電源のDC出力波形である。
スイッチングノイズがキレイに現れているが、絶対振幅レベル
はACアダプターに比べれば格段に低ノイズである。
35.5mVpp



こちらはオムロン製産業用SW電源で 75Wの容量を持つ。
フルシャシに納まっているのでシールド性は高そうだ。


オムロンSW電源のDC出力波形である。同様のスイッチング
ノイズが現れているが、こちらの方が格段に低ノイズであった
5.6mVppというのはSW電源としては秀逸である。



こちらはA氏設計によるたもそ製作のリニア電源。容量は
トランス次第だが 100Wくらいは出せる。



リニア電源のDC出力波形である。オシロのスケールに注目!
1mV/divというのはこのオシロの分解能限界である。
0.34mVppと計測されているが、1mVでも計測限界に近く、
プローブケーブルを触っただけでも数mVは動く世界である
から参考値とお考え頂きたい。


今回の実験では4つの電源を計測してみた。ACアダプター型電源、産業用組込みSW電源、シャシ内蔵型SW電源、そして自作リニア電源である。いずれも、AC100Vを供給してDC20〜24Vを出力する。今回は無負荷状態でオシロのプローブを当てて計測した。負荷を掛けるとまた違った結果になると思われる。

結果はそれぞれのオシロ画面で見ての通りである。順番通りになったが、やはりACアダプター型電源はノイズレベルが非常に高い。シールドケースに納めてありフェライトコアも取り付けてあるのだが、流石に 100mVppを越えるノイズは頂けない。ノイズが多い理由は、コンパクトな筐体に納める為に、コンデンサやコイル類の容量をセーブしなければならず、結果的に品位の低い電源しか得られないのであろう。当然、コスト制約も要因になっていると思われる。

2種類の産業用SW電源は大分マシである。今回、コーセル製のSW電源は 35.5mVppと振るわなかったが、このモデルは通常は20mVpp程度に納まっているので個体差だったかもしれない。こういう場合は、電解コンデンサを加えたりすることである程度はノイズレベルを下げることが可能である。一方、オムロン製はなかなか優秀である。SW電源としてはこれ以下のノイズレベルはまず見掛けない。

そして最後にリニア電源であるが結果は一目瞭然であろう。このオシロ画像だけスケールが 1mV/divであることに注意されたい。SW電源と比較しても10倍に拡大しているのである。奇のてらいもなくリファレンスベースの設計で、ブリッジは新電元のノーマル品、電解コンデンサもフツーものばかり使っている。たもそがA氏設計の電源を愛用する所以である。



投稿日付: 2008年11月22日
タイトル: 汎用安定化電源製作

さて、このところGPS関係ネタが続いているが無線家になろうとしているワケではない。これもオーディオに深く関わっていくのだが、パッと見は無線家のHPのようになってきていることは認めざるを得ない。

今日は電源である。当初の目的は、たもその基準周波数生成機(タイムベース)である HP Z3805Aの電源を品位の高い物に置き換えようということであった。HP Z3805AはDC 27Vが定格で、今までスイッチング電源を使っていたのだが、タイムベース用の電源なのだから、もっと奢っても良かろう、ということで新たに製作することにしたのだ。安定化回路は同じものを使っているが、外部電源ということで汎用性も持たせて設計してみた。

汎用安定化電源の製作

安定化回路基板はいつもと同じ設計である。今回は電圧調整するため
大きめの可変抵抗を横向きに取り付けた。また、筐体形状の都合から、
パワトラは底面に固定するため配線で引き出している。


筐体に実装したところ。4Aクラスのトロイダルコアトランスを採用。
画像の通り、トランスも基板もギリギリで納まっている。鮨詰状態である。
可変抵抗はケースサイドに穴を開けて外部から調整可能とした。


こちらはバックパネル(F/Rの区別はないのだが)の様子。小型ながら、
IECインレットを使用。電源スイッチとDC出力端子を備える。


こういうモノの製作では、まず筐体(ケース)選びが肝心である。気に入ったケースを探してレイアウトをあれこれ考えてパーツを決める。ヘンな筐体で作ると満足度が低く愛着も湧かないのだ。今回は以前にも使ったことのある放熱型のケースを採用した。パワトラの発熱の為、ある程度の放熱性が要求されるのとデザイン的に優れているからである。

但し、このケースはバリュエーションが少なくて幅は一種類しか用意されていないので、レイアウトでは苦労した。試行錯誤の上で詰め込んだのが上記画像の通りである。隙間の多いレイアウトを好まないので、たもそ的にはGoodJobである。

汎用性を高めるため、電圧調整のボリュームを外部から操作出来るようにした。但し、頻繁にいじる部分ではないので、ツマミは付けずドライバーで調整する方式である。電圧を調整する為にはテスターが必要である。レイアウト上は、ACケーブル直出しの方が作るのも簡単なのだが、取り廻しの良さを優先してIECインレット仕様とした。この辺りは自作らしい造りとなっている。

DC出力部はいろいろな方法が考えられるが、電源の場合はこの陸軍端子(ヘンな名前である)が気に入っている。配線側には6mmの丸ラグを使用するので脱着の度に止めネジを完全に外さなければならないので不便だが、抜ける心配が殆んどないのと有効接触面が大きいことがメリットである。

製作後にDC出力ノイズレベルを計測したところ、およそ 3mVほどであった。この回路はなかなか優秀でルビジウムクロックに使った際には 1mV以下に納まるほどであるが、今回はトランスが近過ぎることやパワトラを配線で引き出したこと等が不利に作用したと思われる。それでも、スイッチング電源と比べればローノイズ電源と言えるだろう。

当初の目的は、HP Z3805A用に常時稼動させる積りだったのだが、いろいろと便利なのでもう一台作る予定である。



投稿日付: 2008年11月16日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 20. GPSDO研究(その7) HP Z3815AのI/F改造(続)

今日は Z3815A改造記の続編である。というより、ようやく現在の話ができるのである。前編での苦労が分からないと、後編の感激が伝わらないので半年前の話を記させて頂いたのである。

さて、前編での今一な矩形波で投げてしまった Z3815Aであるが、あるところから幾つか追加情報が入ってきた。とっても耳寄りな話である。それによると、HP Z3815Aの本来のRF出力は正弦波出力で、しかも3系統出ているらしい。更に、PCと接続してステータスモニターすることが可能らしい。というものである。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

困難は時間が解決する、そういうものだ。ということで、再度チャレンジしたのである。

HP Z3815A GPSDO
HP Z3815A GPS
フロントパネルのRS-232端子は伊達ではなかったようだ。特殊なケーブル
を接続するとPCとシリアル接続できるという情報から再び実験を開始した。
画像では筐体の一部である底面のシールドパネルが取外されている。

SatStat HP Z3815A
いろいろ実験を繰り返してとうとう到達!Z3815Aのステータスをモニターしたところ。
なんと!SatStat(TM)で受信できるのだ。さすがは HPである、互換性は維持されて
いたのだ。Windowのタイトルバーに「connected to Z3815A」と表示されている。

RF Out HP Z3815A
更に基板に改造を加えて懸案のRF正弦波出力を探し当てた。
これはバラック状態でピンアウトした Z3815AのRF出力をオシロ
で観察したところ。ちゃんとキレイな波形で出ているぢゃないの。

まずは、PCによるステータスモニターである。通常のRS-232ケーブルではダメだったのだが、特殊なケーブルを使用したところ見事に Z3815Aと繋がってモニター出来るようになった。(^^)v

2枚目の画像は、HP SatStatというモニターソフトでリンクしたところである。本来は、HP Z3801A用のソフトウエアであったはずなのだが、チャンと後継機種もサポートしていたのだ。ウィンドウのタイトルバーには connected to Z3815A と表示されているばかりでなく、Tracking : 8 と表示され、8ch同時追尾出来ていることを示している。

唯一、Antennaがアラームになっているのは、正規端子を経由せずにFURUNOのモジュールに直挿ししていることが原因と思われるが、特段問題はなさそうだ。Control&Query のウィンドウからコマンドを実行することも可能でフルコントロールを獲得した。

さて、次は難題のRF出力である。Z3815Aのメイン基板にはシルク印刷で10MHzOutという SMBコネクタが存在するので、これが通常の 10MHz出力端子かと思ったのだが、実はそうではなかった。別に正弦波出力の10MHzが用意されていたのだ。但し、そのアクセスは容易ではない、基板を改造しないと取り出せなかったのだ。

僅かな情報と勘を頼りに希少な Z3815Aに手を付けるのはかなり勇気の要ることであったが、どうせそのままでは、クズな矩形波しか出てこないのだからと思い切って加工してしまった。そして、正弦波を探し当てたのである。3枚目の画像は、HP Z3815Aから出力した 10MHz 正弦波である。

続いて、この10MHz正弦波出力を計測してみた。そもそも、これが目的だったのだが、随分と遠回りになってしまったのだ。

HP Z3815A 正弦波計測
HP Z3815A
タイムベースは HP Z3805Aであるから、GPS同士の比較となり絶対値は
あまり意味を成さないが、相対比較ということでご覧頂きたい。これは、
誤差のサンプルショットで、-5x10E-11とまずまずの精度である。

HP Z3815A
こちらは誤差(Mean)のプロットチャートである。エージングはGPS Lockから
24H程度であるが、まずまず安定しているようだ。

HP Z3815A
そして肝心のAllanDeviationのプロットチャートである。通常通り100μHz/div
のスケールで表示している。平均ジッターで150μHzというのは非常に良好
である。

改造して正弦波出力を確認すると、直ぐに計測に入りたかったが、エージングを掛けないと流石に意味がないので、1日だけ置いて計測した。タイムインターバルカウンターを動かしておけばプロットデータを自動的に保持してくれるので、そのまま放置して後からオシロで観察する。

5枚目画像は精度(Mean)のチャートである。24Hのエージングとしては非常に良好な結果だと思われる。振れも小さい。そして、6枚目画像が Z3815AAllanJitterチャートである。おぉ!イイ感じ、期待させる画だ。

さてさて、又 GPSレシーバーをマスタークロックに繋いで試聴してみたいところである。



投稿日付: 2008年11月14日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 19. GPSDO研究(その7) HP Z3815AのI/F改造

さて、GPSレシーバーのオーディオ用マスタークロックへの応用実験は、まだ、終わりではない。続きをやりたいのだが、その前に、少し溜まった日記を書いておこう。

以前、2008年 3月 1日の投稿 「マスタークロックの評価手法について 13」で紹介した HP Z3815Aであるが、その後、少々放置状態になっていた。実はそれにはワケがあったのだが、その辺を絡めて記しておこうと思う。何しろ、コイツはかなりの難物で、マトモに運用するには色々改造が必要であるにも関わらず、公開されている情報が非常に乏しいため苦労した。

こういう物件は、フツーはある程度いじり廻して難しかった場合は、お蔵入りとなるか、放出してしまうかのどっちかである。通信システムの一部分として取り出されたラック用モジュールである HP Z3815Aは、そのままでは電源も入らないし、入出力(I/F部)も全く不明である。更に、PCと繋いでモニター出来ないらしくて、運用状況、ステータスを確認することも出来ない。そうなると、動いているかどうかはフロントパネルの表示LEDだけが頼りという非常に不安なGPSDOなのだ。

ということで、一旦は放置していたのだが、少し情報が入ってきたので、再チャレンジしてみたのである。まずは、半年ほど前の状況をお伝えしておこう。

HP Z3815A GPSDO

HP Z3815Aのフロントパネル。ラックインストール型なのでスリムな縦型
筐体である。正面にはRS232と表記されたD-Sub端子はあるのだが、PCと
接続出来るという情報は見掛けない。


I/F部を入庫時から更に改造したところ。
画像左上がメイン基板から直接取り出した10MHzクロックをバックパネルに
導く白い同軸ケーブル。中央はDC電源入力端子。左下がGPSアンテナから
L1バンド信号を受信するNJ端子、細線同軸でFURUNOのGPSモジュールに
繋がっている。


こちらは再改造したI/F部が集まるバックパネル。
左端が10MHzクロック出力BNC端子、中央が電源コネクタ、右端がGPS
アンテナと繋ぐNJ端子。GPS衛星から届く電波は1.5GHzと高周波なので、
やはりN型で受けたいところである。


再改造して出力した標準10MHz出力。
触れ込みでは矩形波だとは聞いていたが、なんだかなぁ〜・・・キタナイのだ。
苦労が全く報われない改造だった気がする・・・・。

たもそのところに入庫してきた段階で、一応、GPSDOとして使用可能なように、電源入力とアンテナ入力端子、RF出力端子は取付けてあったのだが、電源はバラ線のままで、アンテナとRF(10MHz)はSMA端子が取付けてあった。電源は何かコネクタを付けないと不便であるし、SMA端子は機器内の接続では高周波特性に優れていて良いのだが、ケーブルを専用に準備しなければならず、又、脱着がけっこう面倒であることから、やはり汎用性に優れるBNC端子が望ましいところである。

そこで、届いた Z3815Aは一旦分解して基板と筐体に分けていろいろチェックした上で、まず、電源はコネクタを取り付けた。次に、RF 10MHz出力は基板上のSMB端子から引き出されていたので、これをバックパネルまで導いてBNCJレセプタクルで受けた。最後は、GPSアンテナからの受けだが、これはGPSモジュールにプッシュ端子があったので、さんざん探して見つけた細線同軸ケーブルを接続して NJ型レセプタクルで受けた。完成したのが、上の2-3枚目画像である。

うーん、ここまででも随分大変だったのだ。 (^^;;;

3枚目画像のように、フツーのGPSレシーバーらしい端子が揃ったところで、電源を投入してGPSロックまで待って計測したのが、最後の4枚目の画像である。

なんじゃ、こりゃ?

ガッカリくる波形である。HP Z3815Aは矩形波出力だとは聞いていたが、なんだが冴えない波形である。これでは、タイムベースにもオーディオ用マスタークロックにも使えそうにない感じだ。というワケで、やる気を無くしてしまい、放置プレイになったのが半年ほど前の出来事であった。

ところが、その後、ちょっとしたことからいろいろ情報が入手されて、どうやらもっとちゃんとしたRF出力が得られそうだということが分かってきたのだ。そして、半年振りに Z3815Aをまたいじったのである。

・・・・ つづく



投稿日付: 2008年11月 7日
タイトル: GPSDOを10MHzマスタークロックとして使ってみたら

さて、ようやくオーディオネタに戻ってきた。GPSレシーバーをいろいろといじりまわした上で、これをオーディオのマスタークロックとして使ったらどうだろうか? というのが今回のテーマである。前回(2008/11/2)の投稿は、このための布石のとして掲載したものである。

既に HP Z3801A等のGPSDOを10MHzマスタークロックとしてオーディオシステムに組み込んでおられる方もいらっしゃるようだが、たもそとしてはGPSは計測用であってオーディオ用に使うのはどうも用途外のように感じていたので、今まであまりやってみようとしたことはなかった。しかし、GPSDOに内蔵されている高精度OCXOが特に低ジッターであるということを知り、それならば是非聴いてみようと考えたのである。

HP Z3801Aは結構古いGPSレシーバーで、内蔵されている OCXOはHP社製のHP-10811というモデルである。この発振器は、ダブルオーブン水晶発振器という構造で二重の恒温槽を持っている。ネットにはその分解画像などもアップされているが非常に複雑な造りで、殆んど手造り品だと思われる。

Z3801Aではベース発振器としてこの HP-10811を採用しており、もともと高精度な水晶クロックを更にGPSで高精度化してやろうというものである。或いは、GPS信号が途切れた場合でも相当の確度を持ったクロックを供給する必要性から選ばれたのかもしれない。今日はその Z3801Aを10MHz外部マスタークロックとして、ESOTERIC G-03Xに接続して音を聴いてみようという実験である。

HP Z3801A GPSDO

たもそのオーディオラックに鎮座した HP Z3801A、出自が計測器なので少々
居心地は悪そうだが、三点支持のスパイクインシュレータで少し格好付けてみた。
左隣に並んでいるのは専用に製作したDC48Vを供給する非安定化電源である。


画像はラックに納めた Z3801AとDC電源である。Z3801Aはタイプにより2種類の電源バージョンが存在するが、殆んどがDC 48Vを必要とするモデルである。スイッチング電源であれば 48V供給の物も入手は簡単だが、48Vのリニア電源となるとレギュレータ回路の事例があまりない。

そこで大型トランスに整流、平滑回路のみ搭載した約46Vを供給する非安定化電源を製作して使っている。GPSDO内部には複数の電源を使用するために大型レギュレータを内蔵しているので、外部供給電源は非安定化回路で良いようだ。また、Z3801Aには足がないので、三点支持のスパイクインシュレータで支えて設置した。

GPSDOは初期エージングが必須であることから、ラック内で再起動させてから2日間放置した。その間は外部マスターなしの素の G-03Xで聴いてみたが、ルビジウムクロックに慣れた耳にはやはり少々物足りない。エッジが丸い印象で低域の押し出し感や残響が弱く感じる。フォーカスが甘いとは感じられないのだが、立ち上がりのピーク感とか音の分離が今一歩の印象であった。

さて、それでは GPSDOベースの外部マスターを繋いでみよう。

どちらも通電状態のままケーブルのみ接続して G-03Xの同期ランプで接続を確認する。落ち着くまで暫らく置いてから音出ししてみた。フンフン、G-03X単独に比べればシャープさが加わるようだ。低域の押し出しも感じられる。しかし、フーン、こんなものかな?という程度である。ルビジウムで出るガツーンとした力強さは無いし、低域の残響に感動が少ない。期待していたほどの改善ではなかった。念の為、そのまま更に1日置いてエージングさせてから再度試聴したが、大きな変化は感じられなかった。

そこで、続いてGPSDOHoldOverモードで試聴するという方法を取ってみた。

作業は簡単で、GPSアンテナを抜くだけである。そして数時間放置してから試聴してみた。ウン、こりゃ全然ダメだった。フォーカスも甘くなるし、コントラストが弱くてS/Nが落ちたような音である。

これはどういう訳だろうか?
そもそもGPSDOの出力する10MHzクロックと下流のマスタークロックの相性が今一なのかもしれない。計測結果から見れば、ルビジウムクロックよりもGPSDOの方がAllan Jitterレベルは低かった。或いは、精度よりも安定性(ジッター)の方が音への影響が大きいという考え方に問題があるのだろうか。今回はGPSDOのエージング時間が短かったというのも条件的には不利だった可能性がある。1週間くらい置いた方がもっと良い結果が出たかもしれない。

この実験は、また機会を改めて行う予定である。



投稿日付: 2008年11月 2日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 18. GPSDO研究(その6) HP Z3801Aの応用

さて、最近は GPSDOをいろいろいじり廻している。今日はその一部をレポートしておこう、これは所謂、布石というヤツだ。
GPSDOの動作の仕組みを簡単に説明すると、まず、中身はGPSレシーバー部ベース発振器及びマイコン部に分かれている。GPSレシーバーはモジュール化されており、Z3801Aではモトローラ社のONCOREという古いモジュールが使われている。最近のGPSDOでは FURUNO(古野電気)のGTシリーズ等が使われていることが多い。ベース発振器は高精度の水晶発振器が搭載されている他、ルビジウム発振器を使っているものも存在するようだ。Z3801Aで採用されているのが HP-10811 OCXOである。

電源が入るとOCXOは10MHzを発振し始める。ベース発振器にはEFCという回路が付いており VCOとして機能する。電圧を変化させることで発振周波数を微調整するのだ。一方、GPSモジュールの方はGPS衛星からの電波を受信して、位置情報、時刻情報を取得するとともに非常に正確なパルス信号を受け取る。この信号は衛星からはセシウム発振器由来の超高精度パルスとして発信されているが、地上に届くまでには距離もあることから当然ズレが生じる。これは複数のGPS衛星からの信号を比較することで誤差を補正して限りなく正確なパルスに復元される。

さて、この正確なパルスとGPSDO内蔵のOCXOの発振を比較して、このパルス信号に近づくようにEFCの電圧を連続的に調整していくことで、OCXOの発振を補正して高精度の10MHz発振器として機能するのだ。EFC回路がマイコン部ということでノウハウが詰まっているという。なぜならば、EFCによる補正はOCXOの発振周波数ドリフト(ズレ)の特性を把握して微妙な調整が必要になるからである。

今日はそのところを計測によって少し確かめてみよう、というのが狙いである。


被測定機材は HP Z3801A
前提条件としては、タイムベースとして HP Z3805A、ユニバーサルカウンターとしてはSRS SR620を使用。
ゲートタイム 1sec、20回計測した平均値を一試行としてプロットしていく。
平均(Mean)及び偏差(Allan Diviation)を計測する。

予めお断りしておくが、得られた結果は誤差にしてもジッターにしても絶対値ではない。タイムベースの誤差が含まれていることに注意されたい。但し、相対比較することは可能である。

初めは、ごく普通に Z3801Aを計測してみた。
暖機時間は24H程度で十分とは言えないが、全然ダメでもないはずというところである。

HP Z3801A GPS Lock

Z3801Aのリアパネル。GPSアンテナからのL1バンド衛星信号は画像左上の
N型端子から入力される。その隣が標準周波数10MHzの出力BNC端子。


計測開始して一旦リセットしてからプロットを描いてみた。画面の1マスが
500μHzでX軸が10MHz。2マス下のプロットは -1mHzのズレで、1x10E-10の
誤差となる。プロット描画には明らかなトレンドが見られる点に注意されたい。


精度と同時に計測されたクロックのAllan Jitterのプロット。精度(mean)と
比べるとなかなか良い感じ。1ブロックが100μHzで、およそσ=150μHzと
読み取れる。スケールはMeanの5倍にしている点に注意されたい。


結果は上記画像の通りである。仮説の入った考察を行なうと・・・・

精度はGPS同士の比較なので、あまり意味が無さそうなのだが、それでも違いが現れるのが不思議なのである。2枚目画像が誤差平均(mean)のプロットである。500μHz/divというのは、1マスの高さを示している。およそ平均で -1mHzくらいの誤差だろうか。もっと時間を掛ければ安定するような気もする。

それよりもプロットの形に注目して頂きたい、明らかにトレンド(方向性)が現れている。あるプロットから次のプロットに向かって方向があることが分かるだろう。ここではこれをEFCフォース効果と仮説してみよう。つまり、OCXOの発振をEFCが誘導する為にこのようなトレンドが現れていると考えられるのである。波形はおよそ -1mHz(2マス下)で収束しようとしているようにも見える。

次に、そのジッター(Allan Deviation)を見てみよう。3枚目画像である。誤差平均(mean)と比べると非常に落ち着いたプロットに見える。JitterスケールはMeanの5倍に拡大していることに注意されたい。非常に振れの少ない安定した発振である。でも、振れは小さくても誤差は大きいのである。



次に、GPSDOからアンテナケーブルを抜いてしまうとどうなるか?

HP製 GPSDOにはSmart Clock(TM)という機構があって、一定時間アンテナの信号が途絶えてもかなり正確なクロックを供給出来る仕組みになっている(らしい)。但し、暖機24H程度ではSmartClockがキチンと働くのかどうかは分からない。一般的には、GPS信号を受信できなくなると、EFC回路は電圧を一定に保って動作するのではないか?

つまり、この状態では校正されたOCXO単体の動作に近いのではないかと推測されるのである。この状態で同じような計測を行なったのがこちらである。


HP Z3801A GPS Holdover

初めの画像との違いはアンテナ入力端子である。つまり、アンテナを抜いて
しまったので、GPSレシーバーはHoldOverモードに移行している。


HoldOverモード状態でクロック精度を計測してみた。誤差の変化はさほど
ではないが、一見してバラついた印象である。上のGPS Lockモード時の
画像と比べて頂きたい。


精度がバラついているのなら、当然、Allan Jitterも悪化していると予想
したのだが、案に相違!Jitterは変化がないというより、少し安定性が
増しているように見えるのだ。


HoldOverモードで計測すると、まず、平均誤差(Mean)のプロットは明らかに異なった描画を見せた。誤差は少し悪化した程度なのだが、プロットにトレンドが全くない。極めてランダムに誤差が生じているように見える。勿論、この方が自然なのだが。

一方、偏差(Allan Jitter)の方はと見てみると、こちらはあまり変化がない。いや、微妙にこちらの方がジッターが少ないようにも見える。この程度の違いは計測誤差の範囲だと思われる。

今回は暖機時間が十分でなかった可能性がある。もっと通電時間を置いてから計測してみたら収束したキレイなプロットが描けたかもしれない。一方、HoldOverモードでの計測結果から、優秀なOCXOは誤差は大きくてもジッターは低いという説には一応説得力がありそうだ。これをオーディオ再生で比較することは可能だろうか?



投稿日付: 2008年10月25日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 17. GPSDO研究(その5) HP Z3805A

さて、更新もしないで放っぽらかしにしていて大変申し訳ない。一部の方にはご心配までお掛けしてしまったようでお詫びしたい。m(_._)m

オーディオ関係は機材の入替えが暫らくなくて少し醒めた感もあるのだが、聴くのを止めたワケではない。アンプに灯を入れない日は皆無である。どちらかというとクロック関連の蒐集の方が主力になっている感じだ。GPSDOルビジウム関連を並行して扱っている。つい最近は物量投入型ルビジウムマスタークロックを1台完成させた。これは素性の良いモジュールを生かすために作ったものでいずれ紹介したいと思う。

今日は暫らく前からたもその計測環境で主力タイムベースの地位(御神体、或いは、守護神と呼ぶべき存在)を守る、GPSDO HP Z3805Aをご紹介しよう。GPSレシーバーでは HP Z3801Aがメジャーであるが、その後継か、又はマイナーチェンジ版が Z3805Aである。但し、その存在は殆んど知られていない。

HP Z3805A GPSDO
HP Z3805A
前面パネルはZ3801Aと近似しているが実は高さが異なる。こちらの方が背が
高いのだ。ハンドルやラックマウントホールなどはこちらの方が常識的な姿
である。スイッチは電源用だがいじることはまずない。

HP Z3805A
リアパネルも似たようなものだが、Z3805Aの方が端子が多い。10MHz、1PPS
出力ともに2ch装備しているのだ。電源端子はキャノン型だが、恐らく汎用化の
為にオリジナルから改造されていると思われる。PCと接続するためのRS232
コネクタも備わる。

HP Z3805A
世にも珍奇な Z3805Aの内部画像である。基本的なコンストラクションは、
Z3801Aと似ている。最も重要なOCXOは、ダブルオーブン内蔵のオリジナル
HP-10811が搭載されている。
Z3801Aとの大きな違いは電源部でレギュレータからDCDCコンバータに変更
されている。黒い2つのモジュールは共にDCDCコンバーターである。

わざわざ探していたのではないが、たまたま出物を見つけたのでサクっとゲットしておいた。HP Z3805Aは滅多に見掛けない逸品である。フツーの人にとっては Z3801Aでも十分なのだが、たもそには 10MHz 2ch出力というファンクションが非常に魅力的であった。つまり、これで2つの周波数カウンターを同時に高精度運用することが出来るし、カウンターの内部誤差を計測したり出来るのだ。

電源はDC 20〜30Vが必要で、現在は工業用スイッチング電源で供給しているが、いずれリニア電源に置き換えようと考えている。但し、内部でDCDCコンバータを使用しているので外部電源の質による精度への影響は限定的と思われる。


HP Z3805Aの別バージョン
HP Z3805A

HP製のGPSDO(GPS依拠型発振器)にはいろいろな亜種が存在するようで、HP Z3805Aにも内蔵OCXOが異なるバージョンがあった。上記画像は ネットで発見した Z3805Aの別バージョンで、恐らく後期型と推定される。内蔵している OCXOが HP-10811ではなく、MTI社製の 5MHzのOCXOに変更されている。多分、10811の製造終了に伴って設計が変更されたのであろう。



投稿日付: 2008年 6月21日
タイトル: Antelope OCX マスタークロックジェネレーター

さて、久し振りで更新である。
いろいろ機材を試してはいるのだが、時間がなくてインプレッションをお伝えできなかった。今日は新しく入手したマスタークロックをご紹介しよう。このメーカーはオーディオメーカーとしては知名度は低いが、クロックにこだわりを持った方ならどなたでもご存知というロングテールな一品である。(^^

Antelope Isochrone OCX という変わった名前である。民生機器ではなくレコーディング機器として販売されているようだが、オーディオ用に使われている方も結構多いようだ。恐らく、この手の機材の中では始めて内蔵発振器に OCXOを搭載したマスタークロック・ジェネレータである。

Antelope Isochrone OCX

使用も僅かな美品中古で届いたOCX、1Uラックマウントケースは随分スリムな印象。


フロントパネル表示部をアップしたところ。大型赤色7セグメントLEDに汎用ツマミという
組合せは、オーディオ機器としてはチープな印象。表示はもっと小さくして青色にすれば、
大分質感が増すと思われるのだが・・・。


こちらは出力クロックを部分的に変更するスイッチ、基本周波数はLED表示側のスイッチで
切り換えるが、ここで倍率を変更すると一部の端子からは違う倍率のワードクロックを出力
出来る。ESOTERICと比べると分かりにくいし、出ている周波数を確認する手段がない。
プロならそんな心配は要らないのだろうか?


こちらは天板を開けたところ、内部画像はあまり公開されていないようだ。右端に電源部
があり、左寄りの奥にOCXOがある。部品点数は少ないが、マスタークロックはこれで
普通だろう。


OCXの電源部、右上にIECインレットがあり基板上で直結されている。ノイズ対策部品は
見られるが、そもそもトランスが・・・随分小さい、平滑コンデンサも1個だけ。


こちらが肝心のOCXO部、表示から原発 20MHzのOCXOが使われているようだ。
外部クロックが10MHzなのだから、それに合わせて10MHzのOCXOを使えば回路的には
少なくて済むような気がするのだが。右下に銘板付きのケースが見えるが、これはOCXO
ではない。



こちらは、出力ワードクロックの波形。流石に波形はキレイである。
G-03Xとの対比では、立上がり立下りで僅かにヒゲが見られるが、
このくらいであれば優秀な矩形波であると言えるだろう。


入手後、さっそく測定など行い、内部基板をチェックしたのだが、何だかちょっと寂しい感じの中身だった。中身を見られることを考えて造らないメーカーはあまり好きにはなれない。

事実上、ほぼ競合製品と言える、ESOTERIC G-03Xと比べてみると電源部が大分違う。G-03Xも中身が詰まった製品とは言い難いが、モデルチェンジで電源部が強化されており確実に進化している。プロ現場ならともかく、他の機材と並べて設置するオーディオ機材としては、外観の質感は外せないところだ。



投稿日付: 2008年 5月 6日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 16. 再びジッター(Root Allan Variance)計測

さて、フツーのオーディオ・ネタが続いたところで、久し振りに 「マスタークロックの評価手法について」を投稿しよう。前回(03月07日)まで GPSDOの評価が続いていたが、今回は基本に戻ってマスタークロックの計測のレポートである。

たもそがいろいろなマスタークロック・ジェネレータを次々と入手しているのは、もちろんオーディオ・システムに組み込んで音を聴いてみたいからということもあるのだが、常識的に考えて同じようなスペックの機材を買い換えて行くのは意味がなさげである。

プリアンプとかDACとなるとメーカーや機種ごとの音質の違いが大きいので、取り替えオーディオ的に買い換えるのは意味があると言えるが、同じ精度のマスタークロックを幾つも購入しても音の改善には繋がりそうにない。しかも、外部ルビジウムクロック同期で使うのであるから、あまり変化はなさそうである。つまり目的は他にもあるのだ。

その目的とは、オーディオ用のマスタークロックの計測結果を集めるという作業である。

従って、手に入れたマスタークロックは単体で、そして、ルビジウムクロック同期でクロック精度、ジッター、クロック波形などを計測して画像に収めている。今まで、G-25U、Verona、G-03X と計測してきたのだ。大変残念なのは、G-25Uの頃は、まだ計測技術が未熟で十分な結果は残っていない。機会があれば再度計測してみたいところである。

今日は収集したデータの一つを紹介しよう。


マスタークロックジェネレータ単体での Root Allan Variance

マスタークロック単体でWordClock 44.1KHzを計測、精度は 1x10E-8と定格
を上回る精度でまずまず。


次に Jitter (Root Allan Variance)を計測してプロットしたのがこちら。
グラフがデジタルな感じになっているのは何故か?左上のスケールに注意
して頂きたい。1μHz/divというのは、このカウンターの分解能の限界である
ことを示している。グラフからJitterは、およそσ=2μHzと読み取れる。


計測結果に少々疑問があったので、マスタークロック側でWordClockを
最高の 192.0KHzに切り換えて再計測を行った。誤差は 1.5x10E-8とほぼ
同じ。


WordClock 192.0KHzで再計測した Jitter (Root Allan Variance)。
クロックは 4.35倍になっているので今度はスケール 5μHz/divで表示した。
グラフからJitterは、およそσ=7.5μHzと読み取れる。44.1KHzの時のグラフ
では、2μHzを中心に 3μよりも 1μの方が出現頻度が多かったことから、
7.5μ÷4.35=1.72μHzくらいだったと推測される。


今まで計測したマスタークロック単体での WordClock 44.1KHzの Jitterは、およそ50μHzから200μHzくらいであった。Jitterで 100μHzというのは、およそ 2x10E-9に相当する。これが 2μHzとなると、5x10E-11に相当する。

初めは何か間違いがあったのではないかと、何度か計測し直したが結果は変わらない。WordClockを最大の192.0KHzに上げて計測したところ、再び同等の安定性を示すプロットが得られた。間違いではないようだ。素晴らしい安定性を持ったクロックであると言えるだろう。

つづく



投稿日付: 2008年 5月 4日
タイトル: Aiden AH-1000 1インチスロート ホーン

いろいろ忙しくてオーディオ絵日記の更新が遅れてしまった。ネタは幾つか溜まっているので順次更新したい。
連休中だからやることはイッパイあって、それをこなしている内にGWはあっという間に過ぎてしまった。
まずは、高域用のホーンの話である。

4月20日の投稿でご紹介した通り、トゥイータに TAD TD-2001を使い始めた。初めはホーンがなかったので、スロートのみで使っていたのだ。これはこれで悪くはないのだが、いかんせんドライバー剥き出しというのは落ち着かないし、やはり音圧が低く感じるので適当なホーンを探していたのだ。しばらく探していると、ヨサゲな小型ラジアルホーンを見つけたのでゲットしてみた。こいうのは出会ったら手に入れておくのが常道である。全く聞いたことがない、Aiden AH-1000 というアルミ製のラジアルホーンである。

1インチスロート用 Aiden AH-1000 アルミホーン

スタイルと素材は JBL 2350風であるが、最大幅 330mmしかないので
結構小さいホーンである。銘板にはセクトラル・ホーンと書いてあるが、
普通にラジアルホーンに見える。


こちらはスロート接合部、一体成形なのでアダプターは不要。JBL1インチ
用に取付け穴が開いているが、後からALTEC用の2穴を追加したようだ。


こちらは TD-2001ドライバーを取付けたところ。1インチドライバーとしては
大きいせいか、ホーンがかなり小さく感じる。かわいいホーンである。


正体不明な Aiden AH-1000であるが、型番から1000Hz辺りが推奨クロスオーバーと推察される。当然、国産であろう。たもそは 3wayの高域用に使うので、クロスは7000Hz〜8000Hzだから全く問題ない。重要なのは中域との繋がりと外観上のバランスである。

高域用のホーンであればもっと小型のトゥイータ用のホーンもあるのだが、外観上のバランスも重視したのでこういうのを選んだのだ。さてさて、これをウッドホーンの上に乗っけるとどんな感じだろうか?


モリタラボ ウッドホーンの上に乗せたAH-1000

中域用ウッドホーンの上に乗っけた AH-1000は、まさに小亀である。
高さと向きのバランスをチェック中なので仮組みの台座に載せている。


前から覗くとこんな感じ。少し強調されているが、ウッドホーンは若干前傾
で設置されている。上の小亀 TD-2001の方は重量バランスの関係でほぼ
水平になっている。


2台のホーンを組立てて、さっそくウッドホーンの上に載せてみた。ドライバー TD-2001が標準よりも大きいため、ホーン AH-1000は台座に載せないとバランスが取れないが、取り敢えずほぼ水平が出たので音出ししてみた。

設定は特に変えず -12dB/octの減衰特性で繋いで鳴らすと、オヤッ!なんてスムーズな繋がりだ!ボーカルの定位も絞まった感じでセンター定位が強まったようだ。最初は音が出ていないのかと思って、思わず他をミュートして高域だけにしたら、ちゃんと鳴っていた。非常に自然な繋がりで好印象である。定常ノイズも目立たない。

Aiden ・・・結構成功であった。



投稿日付: 2008年 4月27日
タイトル: ESOTERIC G-03X マスタークロックジェネレーター

昨日は半年ほど使った マスタークロック dCS Verona を某氏宅まで引渡しに行ってきた。今年初めには、Veronaに加えて ESOTERIC G-03X も手に入れていたのだが、諸事情により紹介が今日まで遅れることになってしまった。

同じ dCS Elgar と組み合わせるとすれば、恐らく Veronaの方が適役なのであろうが、CDトランスポートは ESOTERIC P-70なので、相性的にはどっちもどっちというところだろう。そもそもクロックだけに相性は無関係な気もするが・・・

G-03Xはたもそが初めて手にしたマスタークロック G-25Uの後継機として発売された機種であるが、中身的には上位機の G-0に迫るというか、越えてしまっているモデルである。極めてコストパフォーマンスに優れたモデルと言えるだろう。発売直後から狙ってはいたのだが、流石に新品購入はためらわれたので、手頃な美品中古が出たところで即ゲットした次第である。


ESOTERIC G-03X マスタークロック
ESOTERIC G-03X
入庫後、さっそくテストベンチにかけられる G-03X。0.1ppm OCXO搭載、192KHzまでの
WordClockを3系統 6chで出力する。スペックは前世代上位機 G-0と同等、いや一部に
おいてはそれを越えていると言っても良い。


ESOTERIC G-03X
ラックに納めて稼動中の G-03X。たもそのシステムでは、RME Digiface、P-70、Elgar
3台にWordClockを送るので、3系統全て独立して使っている。受けられるClockがどれも
88.2KHzが上限なので、全て 88.2KHzで同期させている。Veronaに対する優位性はこの点
が大きいか。


2台のマスタークロックの比較に関しては、Veronaにしても G-03Xにしても外部ルビジウムクロックで同期させるため精度的には変わりはない。聴感上も明確な差は感じられなかった。但し、ルビジウムクロックの有無の差で言うと、Veronaの方がルビジウムを加えた効果が分かり易かった。ルビジウム無しのマスタークロック単体同士での比較は、たもそにはあまり意味がないのでキチンとやっていない。スペック的には、G-03X のOCXO 0.1ppmの方が上ということにはなるが、1桁では聴感差は出ないだろう。

入庫時にリアパネルの撮影を忘れてしまったのだが、その代わり WordClockの波形は撮っておいたので掲載しておく。


G-03X 44.1KHz WordClock

オーディオ信号のWordClockは矩形波であるが、これだけキレイに出る
のも珍しいだろう。クロックの立上がり立下りとも余分なヒゲが殆んど
見当たらない。エソが気合を入れて造ったと言われるだけのことはある。


2台のマスタークロックは、「マスタークロックの評価手法について」の記事製作のために必要だったので、どちらも保有する積りでいたのだが、どうしてもデジタルチャンデバ DF-45が欲しかったので、軍資金調達のため手放すことになった。機会があれば今度は dCS 992-2を狙ってみたい。



投稿日付: 2008年 4月20日
タイトル: パイオニア TAD TD-2001 コンプレッションドライバー

今週は後半から風邪気味で仕事を休んでしまい、通院=>点滴を繰り返している。若い時は医者にかかることなど滅多になかったが、歳を取ると年に何度かはお世話になる。体調が悪いとオーディオ意欲も減退してしまうのが不思議だが、嗜好品は健康が前提というのは正しいようだ。

先週は久し振りにドライバーを入手した、TAD TD-2001 である。現在のたもそのスピーカー・システムは、TAD TL-1601a、TD-4001、JBL 2405 の3way構成である。TADはJBL類系のユニットなので、この組合せでも違和感はないが、機会があれば TADだけで 3way構成にしてみたいと考えていた。

TADには ET-703というホーン・トゥイータも存在するのだが、1インチスロート ドライバーを高域に使うと意外に良いらしい、というウワサをよく聞くので、一度試してみようということで TAD TD-2001 を入手してみた。大型アルニコ磁気回路、ベリリウム製ダイアフラムを備えて、出力帯域上限は22KHzまで伸びている。スペックだけなら十分トゥイータに使えそうである。TAD ユニットのスペックはこちら。


コンプレッション ドライバー TAD TD-2001

入庫したところで記念撮影。スロート口径やホーンネジ穴と比べるとかなり
外径が大きい感じだ。ホーンは JBLと ALTECの両方が使えるように取付け
ネジ穴が付いている。後発組は互換性で勝負するのだ。


以前持っていた1インチ・ホーンは全て処分してしまっているので、取り敢えず
ドライバー単体で設置してみた。高域だけならこれでも十分使えるハズ。
後ろには兄貴分のTD-4001が控える。


こちらは右chのアップ。そのままでは転がってしまうので、スパイク受けで
止めているが、何らかの対策が必要だろう。

ホーンが無いので、ドライバーだけ置いて高音域で繋いでみた。クロス 8100Hzならホーンなしでも十分使えるハズだが、どうだろうか?

帯域ゲインを調整するために高域だけ鳴らしてみると、JBL 2405と比べて音に丸みがありソフトな感じである。ホーンがないので音圧が弱いのかもしれないが、ゲインを上げても丸みは失われずなかなか良い感じだ。無音時の定常ノイズも 2405より低いようだ。ただし、これはもしかしてレンジが狭いのが原因なのかもしれない。

しばらくこのまま使いながら、いずれ何か良いホーンを探してきてやろうと思う。



投稿日付: 2008年 4月11日
タイトル: オヤイデ TUNAMI NIGO 電源ケーブル

新規導入のデジタルチャンデバ Accuphase DF-45 の方は順調にエージングが進んで、段々馴染んだ音になってきた。これは、機器のエージングよりも耳の慣れの方が大きい気もするが、トータルでエージングと考えることにしよう。ただ、馴染んではきたものの、以前の音とは変わってしまったような印象は続いている。良い意味で質感が向上しているのは間違いないのだが、何だか音のキャラクターがアキュに支配されているような感じが少々気になる。やはり、システムの終段でアキュの A/D、D/Aコンバーターを介しているのが影響を受け易いのだろうか。

さて、今日もオーディオネタが続く、このところネタが続いて好調である。

たもそはあまりケーブル関係には凝らない。いや、本当は生来のアクセサリー好きなのだが、オーディオに関しては比較的抑制に成功している。ケーブルは凝りはじめると際限なくハマって行くのが分かっているので、そのエネルギーを機材やクロック関連に向けることで抑えているのだ。

ケーブル関連で一番使用しているのは Beldenである。ラインケーブルでは Belden 8422、電源ケーブルでは Belden 19364を主に使用している。マルチアンプ駆動のシステムでは大量にケーブルを使用するので、高額なケーブルを使うのは無理があるので、安くて良いケーブルのみ使うことにしている。

ただ、しばらく前からデジタル・ケーブルにオヤイデFTVS-510を使ってみたら、かなり良かったので、デジタルケーブルとクロックケーブルは FTVS-510に殆んど入れ替わっている。オヤイデのケーブルは、その素材や構造を考えると切売りケーブルとしては高くないので結構お気に入りになってきた。

今回はかねてより狙い目であった、オヤイデ TUNAMI NIGOをアキバのオヤイデにて購入してきた。電源ケーブルにするので、カットは 1mのオーダーをしたのだが、丁度リール終端でハンパ物だったことから、なんと約 1.8mのモノを頂いてしまった。単価に直すとトンでもない割引きであるが、この辺がアキバ店頭買い物の醍醐味ではある。(^^


オヤイデ TUNAMI NIGO

見た目は水道ホース同然の太いケーブル、しかも結構硬い。
スケールは分かりにくいと思うが、オマケで 1.8mになった。


ケーブルの拡大画像でロゴを読み取る。方向性があるので
矢印マークが付いていた。


切り口の拡大図。5.5スケの二芯シールドで画像では分かり
にくいが、シールドにドレンケーブルが巻き込まれている。


製作したケーブルは KRELL KSA-100でエージングを掛ける。
純A級 100W+100Wで常時 4A近い電流が流れるのでエージング
には最適な機材である。

今回は電源ケーブルの製作なので ACプラグとIECプラグが必要だが、これも比較的低価格ながら高品質のWATTGATE 5266i320i IECを使用した。オヤイデのACプラグはメッキされているので通常は使わない。ていうか高いから使えない。

さて、電源ケーブルも新品よりは、ある程度使った方が音が柔らかくなって落ち着くので、一番大喰らいの KRELL KSA-100 に繋いでみた。使い始めの印象は、やはりちょっと粗いというか繊細さがない感じであったが、これがエージングでどの程度変わるか楽しみではある。ある程度エージングが終わったら、プリかチャンデバに使ってみることにしよう。



投稿日付: 2008年 4月 6日
タイトル: デジタル・チャンネルディバイダー Accuphase DF-45 (エージング中)

新品で入庫して5日、通電して4日経過した。この間、ずーっと通電している。エージング効果についてはやや懐疑的ではあるが、まっさらの新品なのでやはり少し使い込んだ方が良いだろう。

エージングの為になるべく沢山聴くようにしていたが、週末になって大分音が落ち着いてきたように感じられる。初めの印象にあった解像度と立体感といった良い面は一段と増してきたし、ネガティブな印象だった音のクドさと低域のブワつきは少し改善した。一方、もう少し聴き込んでみると、中低音域でどこか籠もった音が感じられる。丁度、ウーファーとドライバーのクロス辺り (よく分からないがそんな気がする) が押しが弱いのか籠もっているように聴こえる。

だんだん気になりだしてきたが、エージングで改善するかもしれないので暫らく放置していた。しかし、どのジャンルでも籠もりがあるので少しいじってみることにした。


たもそのラックに収まったDF-45
Accuphase DF-45
ラック内でのポジションは D-2040の時と同じ下から2段目。上に置いたプリ KRC2から
受けて最下段のメインへ送り出す。各chの表示は1行しかないので情報量に乏しいのが
やや難点か。フリーテキストを表示出来るのでこんなお遊びが可能。4way仕様なので右端
のchが遊んでいるがたまには使ってやらないとイカンかも。


チャンデバはイジるところが多い。帯域ゲイン、クロス、フィルター減衰特性、位相に加えて、デジタルの場合はディレイが加わる。当初の設定は、クロス(500Hz、8000Hz)、フィルター(-24dB/oct)、位相(全ch正相)、デジタル・ディレイ(低域と高域に適用)というセッティングであった。「音の籠もり」 という現象にはどのファンクションも影響がありそうだったが、まずは、フィルター減衰特性をイジってみた。

減衰特性を全帯域で -24dB/octから -12dB/octに変更してみた。すると、俄然!音が自然になり籠もりは消えてしまった。イイ感じだ! 期待して試聴ポジションに座っていろいろ流してみると、籠もりはなくなり、更に例のクドさが大分サッパリとして適度な押し出し感になった。いいじゃん DF-45(^^


ファンクションでフィルター特性を表示
Accuphase DF-45
こちらはフィルター特性を表示したところ、今のところ -12dB/octが自然な
繋がりを見せる。


数日の通電によるエージング効果もあったのかもしれない。しばらくこの設定を中心に聴き込んでいくことにしよう。



投稿日付: 2008年 4月 3日
タイトル: デジタル・チャンネルディバイダー Accuphase DF-45 (届いたよ)

注文した Accuphase DF-45は2日で届いた、即納である。
期末明けは結構仕事が忙しいので、昨日は梱包を解いただけで寝てしまったが、今日は少しイジらないと気が済まない。ホビーとはそういうものだ。(^。^)

スグに繋いでみたいのだが、折角新品で購入したのだから、キチンと記念撮影をしておこう。

デジタル・チャンネルディバイダー Accuphase DF-45
Accuphase DF-45
ゴールドのパネルはあまり好きではないが、コイツは中央部が殆んどスモークパネルで
マスクされているので、わりと品のあるデザインである。ステレオ4wayチャンデバとしては
スイッチやツマミが随分少ない感じだ。ch毎に2つのツマミをファンクションとエンコーダー
として使って設定する方式は直感的で分かり易いが、追い込むには少々不便のようだ。

Accuphase DF-45
こちらはリアパネル。保護キャップが標準装備なのがアキュの良心である。入力はデジタル
とアナログの両方可能、出力は全chともバランスとRCAの両方を装備している。
ただ、購入してみてから幾つか不満な点も明らかに・・・。

Accuphase DF-45
リアパネル入力部の拡大図。不満の一つはバランス端子が3番Hotなこと。
大半のメーカーが2番Hotになっているのに何故3番Hotのままなのか?
Luxmanのように入力極性切換え(Hot/Cold)を装備してくれれば何の問題
もないのだが、これではXLRとRCAが混在すると非常に使いにくいのだ。。


記念撮影を終えたら早速、YAMAHA D2040と入れ換えてインストールした。D2040はバランス接続のみだったので、ケーブルはそのまま流用して、中域の KRELL KSA100にはXLR=>RCA変換ケーブルを使用した。全てバランス接続するのであれば、3番Hotでも2番Hotでも関係ないのだ。

3wayの各帯域を慎重に設定した。まずは、500Hzと8000Hzで、スロープは -24dB/octで分割する。ビット落ちを防ぐためにはなるべく高いゲインで入力してやる必要があるのだが、D2040のような入力メーターは付いていないのでアバウトにしか設定出来ない。ウーム、デジチャンはこの辺が重要なのだが・・・。

帯域ごとの出力アッテネッターは基本デジタルで -40dBまで絞れるが、これに加えてアナログ・アッテネッターも内蔵しており、切換えで 0dbと -10dBが選べる。アナログATTを Onにすると自動的に表示が変わり合計減衰量が表示される。この辺の使い勝手はなかなか良いのだが、ハイゲインで入力しているので能率の高い中域は -30db以上絞らねばならず、
アナログATTは -20dBも用意されていると良かったと思われる。

音出ししながら徐々に帯域バランスを詰めて行くのであるが、chごとに1つしかないエンコーダー(ツマミ)で左右の減衰量を調整するので、あちこち操作しなければならず結構使いにくいと感じた。ことに減衰量の表示も chごとに一つしかないので、ちょこちょこ切り換えて確認しないと左右でバラバラになりがちであった。

帯域バランスをチェックする際には、しばしば特定の chをミュートさせたり、また音を出したりと繰り返しながら減衰量を調整するのだが、ミュートとATTはファンクションを切り換えて操作するのでちょっとイライラする。ATTとミュートだけは独立したスイッチ(ダイヤル)を設けた方が手早く追い込んで行けるのだが。

だいたいバランスが取れたところで、試聴ポジションに戻って「宇多田ヒカル」など流してみると、ウーム、随分今までと違う音色であった。解像度が格段に上がったのと、立体感が強まったのは明らかに感じられる。一方、音色は今までと比べて、荒っぽいというかクドイ感じである。濃いというのが正しいかもしれない。それと、低域がボワつくのが気になる。今まで、TAD からこんなブワついた低音は聴いたことがない。

まだ、バランスがキチンと取れていないのが原因かもしれないのだが、このままでは気に入らないかもしれない。尤も、まっさらの新品を1時間ほど慣らしただけなので、これから変わってくる可能性は高いだろう。



投稿日付: 2008年 3月31日
タイトル: デジタル・チャンネルディバイダー Accuphase DF-45 (注文)

さて、期末である。年度末である。
たもその仕事では正月は年の節目には当たらない。やっぱり 3月締めなのだ。
今年もいろいろあったのだが、何とか無事に年度末を迎えることが出来たようだ。

先月頃から研究をしてきたのだが、かねてより課題であったマルチアンプシステムの要であるチャンネルディバイダーを更新することにした。初めてチャンデバを導入したのが Behringer CX3400であった。その後、Accuphase F-25、LUX FL-202、YAMAHA D2040を使ってきたが、D2040デジタル・ディレイによる位相補正を経験してから、更に上位のデジタル・チャンデバを使ってみたいと考えていた。

およそチャンデバというものは機種が少なくて選ぶ余地が乏しい。デジタルなら Behringer DCX2496という安価なモデルがあるが、Behringer社の製品は、たもそ的には造りが粗くて、もう買う気がしない。過去に2台の CX3400を手に入れたが、使っているうちにどこかのチャンネルが音が出なくなったり、ポップノイズが大きかったり、オーディオ的な精密さに欠けるのである。

オーディオ向けのデジタル・チャンデバならやはり Accuphase DF-45が良さそうである。それは初めから分かっているのである。しかし、何しろ高い!ちょっと高杉なのである。しかも、中古品が殆んど出回らない。その中古相場がまた高いのである。中古品の出品など機会がある度に購入を考えたのだが、どう考えても高いと思ったので中古はあきらめて新品で買ってしまうという方向に転換した。

しかし、殆んど新品を買わない「たもその取替えオーディオ流儀」では、新品はご法度なのである。中古品ならその後に処分してもそれほど差額負担がないから気軽に手を出せるのだが、新品を購入して気に入らなかったらショックが大きいのである。新品を買う人は、試聴を重ねて気に入ってから買うのだろう。しかし、購入して1ヶ月くらはじっくり聴かなければ本当のところは分からないのではないだろうか?

今回は、恐らく現行品最上位というステータスと機能的に不満がなさそうというスペックを勘案して新品購入に踏切ることにした。現所有機ではモリタラボのウッドホーンと、かつて所有していた JBL 4312B MK2以来、久し振りの新品購入となる。それで、年度末の区切りまで購入を待ったのである。

3/31の午後、某老舗ショップに電話で価格交渉したのだが、やはり決算年度末だけあって見込み客は逃さない姿勢であった。予め一度見積りを取ってあったので、その時の担当者を指名するなど、こちらの確信度が高いことを明らかにした上で強気で望むと、アラ不思議!結構なお値引きを引出したのであった。ウーム、オークションは下から上がるから、上から下がる交渉は随分久し振りだったなぁ・・・・。

Accuphase DF-45
Accuphase DF-45
先代機 DF-35からの最大の進歩は標準でステレオ 4ch分の機能を持っていること。
そして、デジタルだけでなくアナログ入力も標準装備であること。クロス周波数や減衰特性
などは全く不満はないだろう。あえて機能上の問題を挙げるとすればアナログATTが-10dB
と0dBの固定切換えしか無い点である。ここに -20dBの選択があれば完璧だったと思われる。



投稿日付: 2008年 3月 7日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 15. GPSDO研究(その4) SR620の使い方

うまく行かなかった時は、しばらく忘れて放置しておくと良いアイディアが浮かぶことが多い。

今回も計測誤差に満足いかなかったものの、数日ほったらかしにしていたら・・・・・ 突然気付いた!
そだ!他にも計測方法があったぞ!コレを試してみるべきだ!


ユニバーサルカウンター SRS SR620

リアパネルのアップはSR620のもの。画像中央に外部標準クロック
入力端子がある。たもそは Z3801Aのクロックをここに繋いでいる。
左にあるのは SR625 Rubidium Timebaseの出力端子。


フロントパネルのアップ。中央に A入力とB入力が並んでいる。
ここに2種類のクロックを繋ぐと A/Bというモードで比率が測定
出来るのだ。

画像を見て頂くと分かると思うが、GSPDO同士を比較するのであれば、もう一つ方法があった。A、B 2系統の入力を使って A/B の比率を計測するモードがあるのだ。外部標準クロックとして取り込んだ10MHzと計測対象の10MHzでは、カウンター内部での経路が異なっているだろうから、厳密に比較するのは少々難しかったかもしれない。

一方、A/B比較であれば、同じ経路を使って比較するので、もっとシンプルに比べてくれるような気がする。ということで、再び、Z3801AZ3815A を比べてみることにした。


Z3801A とZ3815A の比較
HP Z3815A
A入力に Z3815A、B入力にZ3801Aを接続して、周波数比較モードA/B
で計測した。そして、いきなりこんな計測結果を得たのである。ウムウム。

結果は上の画像の通り、数回の試行で1桁の乖離となり、その後ほぼ安定した。表示はA/Bの比率として出ているので、周波数表示とは精度が異なるが、分子/分母が同じなので、そのまま桁をシフトさせて 80μHz(およそ1x10E-11)と換算される。うむ、これなら納得できる結果と言えるだろう。

つづく



投稿日付: 2008年 3月 2日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 14. GPSDO研究(その3) HP Z3815A計測

前回紹介した HP Z3815Aを計測してみた。
計測とは言っても、これは GPSDO比べである。信仰上はタブーとされている行為なので天罰に注意されたい。

計測環境を確認しておくと、
ユニバーサル・カウンター SR620に外部Timebaseとして、HP Z3801Aからクロックを供給している。
測定対象は HP 3815Aであるが、GPSアンテナ HP 58532A から届いたL1バンド信号を分配器(Distribution Amplifier) HP 58512Aで分岐して、Z3801AZ3815Aに送っている。従って、2台のGPSDOに届くアンテナ信号は同等である。
ウーン、HP(Hewlett Packard)だらけなのである。

前回の反省から、Z3815Aはおよそ48Hの暖機を行った。Z3801Aは常時稼動である。

HP Z3815A 計測

Z3815Aに搭載されている、HPオリジナル設計のOCXO HP E1938A
オーブンは小型化されたが周辺にマイコンを沢山積んだボードに載って
いる。これがモダンなのだ。


懸案のGPSDOクロック比較・・・ やっぱりズレが結構ある。スケールを
1mH/divに圧縮して表示させた。およそ+1.5mHの誤差は 1.5x10E-10と
換算される。Trimble GPSよりはややマシか・・


こちらはJitterである。結構振れがあるように見える。平均で250μHzくらい
というところ。これはルビジウムのJitterと同程度である。

さて、禁断のGPSDO比べ第2弾であるが、どうも今一である。
勿論、ピッタリ一致するのは無理だとは思うのだが、もうちょっと近い線に行って欲しいのである。

これで、3種類のGPSDOを比較したことになる。2つのケースで同じようにズレが計測された。
この周波数のズレは何か他に原因があるのじゃないかしら??

ウーム、悩んで悩んで、暫らく放置してようやく気付いたのである。
それは次回にご報告させて頂くのである。

つづく



投稿日付: 2008年 3月 1日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 13. GPSDO研究(その2) HP Z3815A

GPSDO比較は止めておけば良かったのである。
微妙なズレは何だったのか?気になり始めると気になる。

他にもやることが沢山あるのに GPSばかり目が逝ってしまい、こんなモノまで手に入れてしまった。
HP最後のオリジナル設計OCXOを搭載する、HP製 GPSDOである。


HP Z3815A GPSDO

単体では製品化されなかったようで、これはシステム組込みモジュール型の
GPSDOである。入庫して動作確認出来た時のショット、無事にStatus/Active、
GPS/Availableのグリーンランプが点灯した。


背面はラックインストール用の特殊なコネクタが装着されており、そのままでは
使用することが出来ない。これは出荷時点で使えるようにI/Fを改造したもの。
Hewlett Packardのロゴと Z3815Aの銘板シールが見える。


ボンネットを取り外して中身を望む。ドーターボードに載った前方後円墳の
ような形状のモノが HP E1938 OCXO である。左下のシールドケースは
GPSモジュールで、なぜか聞き覚えのある日本人の名前が?オマエも偉く
なったんだなぁ・・

今や GPSなど、どこにでも転がっているような機構である、携帯電話にも入っているのだ。しかし、たもそらが求道するGPSはチョッと違う。いや、全然違うのだ。そこで、高精度クロックを取り出すことを目的としたGPSレシーバーは GPSDOと呼ぶことにしたのだろう。差別化だ。

こうして、中古となったクロック関連機材を扱うと、HP(Hewlett Packard)がやたらと出てくる。オシレーター、計測機器、GPSDOと、 あちこちで最上位クラスとして登場するのだ。HPはエライ会社だったのだ。どうしてPC屋になってしまったのだろう。でも、最近出したHP-35sはチョッと良いぞ!

この HP Z3815A の測定結果は次回投稿します。

つづく



投稿日付: 2008年 2月29日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 12. GPSDO研究 (その1) Trimble GPSDO

Reference Rubidium Timebaseが無事に完成したので、クロック研究報告の方に戻ろう。

こっちはこっちで日々いろいろな探索、実験、買い物をやっているのでネタには事欠かないのだが、思い付くままにドンドン手を拡げているので、一体どうやって順序立ててレポートしたら良いのかワケが分からない状態が常に続いている。日記が全然追い付かないが、少しずつ投稿して埋め合わせていくとしよう。一番最近手を出したのは、同軸コネクタ関連で、SMBとヒロセの特殊コネクタに手を焼いている。これを日記に記すのは暫らく先になりそうだ。

さて、今回は GPSDOの研究(蒐集)である。GPSDOとは GPS Disciplined Oscillator のことで、GPSに躾けられた発振器ということらしい。たもそはGPSレシーバー HP Z3801A を周波数計測のTimebaseとして利用している。GPSレシーバーは屋外にアンテナを建てて常時運用しなければならないという手間はあるが、殆んどメンテフリーで高精度の周波数標準を得ることが出来るので便利である。

その精度は、およそ 1x10E-11から1x10E-12程度と言われているが、実際のところはどうなのだろうか? GPSレシーバー同士を比較したら周波数は一致するのだろうか?ウーム、自分で周波数標準と決めている機器を疑って掛かるのは邪道でもあるが、一つ比べてみようじゃないか。ということで、全く別の GPSDOを手に入れて計測してみたのである。
・・・・ 止めておけば良かったと後悔している。


Trimble Thunderbolt GPS

比較的新しい世代の GPSDO Trimble Thunderboltは、
結構小型で発熱も余りなく使い易いように見えるが、電源供給
が結構複雑で、使いこなしはそう簡単ではない。


いつものように幕が開き・・・、いや、いつものようにSR620
使って誤差を見る。衛星にロックするまで十分暖機したので
あるが、どうも誤差が大きい。およそ 2x10E-10というところ。


こちらはJitter(root Allan Variance)、100μHz/divでこの
安定度はかなりのもの、定格10MHzに対して 1.5x10E-11という
ところ。これは測定環境内部Jiiterの範疇だろう。

計測結果は芳しくない。Trimble GPS の方は衛星をロックするまで待って計測したのであるが誤差は大きい。もちろん、原因はいろいろ考えられる。衛星をロックしてから更にクロックが安定するまで24hとか待つ必要があったかもしれない。一方、Jitterの方は優秀で、恐らくルビジウム発振器を若干上回る安定性を示したようだ。

そもそも、GPSレシーバー同士を比較するのはやってはいけないことなのかもしれない。

クロックの研究を進めるうちに、これは宗教なのだと悟った。測定者にとて Timebaseは神(絶対者)であって、これを試すことはまかりならない。たもそのクロック神は天上にあって地上を見下ろしている。クロック神は24人もいて、その内の何名かは常にたもそを見下ろしている。クロック神界にも位階があって、Rubidiumは使徒クラスであろうか?
このクロック神はアメリカ人が創造したのだ。

つづく



投稿日付: 2008年 2月23日
タイトル: Reference Rubidium Timebaseの製作 その4(完結)

週末だったので、どんどん組立てていく。
部品のモディファイがキチンと出来ていると後が楽である。但し、加工精度が低かったりすると修正で汗を流すことも (^^;;;


ルビジウムタイムベース組立てと動作チェック

底板に位置決め通りの穴開けを行ってから部品を取付けて
いく。トランスは少し大き過ぎたカモ。


側面ヒートシンク付きのPRS10を組付けてから配線を仕上げる。
そして、電源チェックの為にプローブを繋いで通電してみた。
安全のためPRS10は回路から退避させている。


プローブの先は ADVANTESTのデジタルマルチメーター。
無事に DC 24V出力を確認した。(^^)v


ルビジウム発振器を接続して動作をチェック。これで完成だ。

組立ては前日に大方完了したので、今日は動作チェックが中心であった。ちょうどこの日は縁あって、Sisyphean Laborfairbrookさんが来訪された。オーディオ・システムの試聴というよりも、計測システムの観賞が中心だったような気もするが、年代が近いということもあり話が弾んで随分長い間お引き留めしてしまったようだ。懲りずにまた遊びに来て下さい。

なお、このマスタークロックの試聴は少々先になる予定です。



投稿日付: 2008年 2月22日
タイトル: Reference Rubidium Timebaseの製作 その3

ルビジウム発振器のモディファイのつづきである。
だんだん形になってくると結構楽しいのである。(^_^)


SRS PRS10 ヒートシンクに固定

冶具を取付けたルビジウム発振器をケースの一部になって
いるヒートシンクと合わせる。位置決めがかなり重要なのだ!


ヒートシンクに下穴を開ける時にかなりのテクニックを要する。
下穴と冶具の位置合わせも同時に行うのだ。無論、底面も
面一でないとダメ。

但し、ある程度のガタは補正出来るようにしておく。こちらは、
底面から覗いたところ。

冶具固定部分のアップ。冶具とシンクの固定はM3のヘクスを
使用する。シンクへはタップを立ててねじ込む。

これで、ルビジウム発振器のモディファイはほぼ完成である。冶具のネジ穴の位置決めなどは、数多の失敗から獲得した技術が生かされている。側面がヒートシンクに接合されたルビジウム発振器は、更にケース底面にも固定される設計である。

つづく



投稿日付: 2008年 2月18日
タイトル: Reference Rubidium Timebaseの製作 その2

部品レイアウトが決まったので、次は組立てに向けたパーツのモディファイに移る。自作の中で最も創造的かつマンドクセープロセスである。これが無かったら単なるキット組立てなので仕方がないが、毎度、知恵比べの連続なので結構疲れる。そしてドリルの使い過ぎで腕も疲れる。

今回はリファレンスなので、結構頑張った。その頑張りをお伝えするために画像を幾つかアップしていこう。画像を見れば何をやろうとしているのかは分かって頂けるだろう。


SRS PRS10 モジュールにアングルを取付け

ルビジウム発振器に何やら耳のような部品が・・・


ひっくり返すとこんな感じ、無論、足ではない。


片側をアップにしてみた。

電源基板は完成しているので、今回はルビジウム発振器のモディファイである。モディファイと言っても中身を改造する訳ではなくて、取付けし易いように加工するのだ。今回はシャシの側面ヒートシンク部に接合させるため、冶具を取付けたのだ。アングル材は高速切断機を借りてカットした上でヤスリ1本で仕上げる。この辺は、知恵比べではなくて根気比べの趣がある。どっこい大作である。

ところで、しばらく前にたもそのHPをリンクして頂いた オーディオ日記 というサイト(トップは オーディオとインテリア)があって、実はたもそも密かに愛読させて頂いているのだが、その中で SRS SC10 というOCXOを使ったマスタークロックの製作記事が連載されていた。非常にいろいろな研究をされていて参考になる。そこで、少々気になったので記しておくと、SRS社の製品は全てインチネジが使われているので、ミリネジを無理に使うと山を舐めてしまうので注意して頂いた方が良いということである。今回掲載している画像のアングル固定ネジも全てインチネジである。

つづく



投稿日付: 2008年 2月17日
タイトル: Reference Rubidium Timebaseの製作 その1

さて、アナログ電源を使えるようになったので、何か象徴的なモノを製作しようと考えた。もちろん、マスタークロックを作るのであるが、搭載するルビジウム発振器としては、とっておきの SRS PRS10がある。機会があればマスタークロックに組立てるつもりでいたのだが、いよいよその時が来たようだ。

電源周り、シャシ周りの設計を考えながら、シャシを用意して部品配置を検討した。自作品の場合、やはりケースが一番重要だと思う。中身は組立ててしまえば見えなくなるから多少のアラは誤魔化せるが、ケースが今一だと、全てが今一な仕上がりになってしまうからだ。

余裕のある大型トランスと大きな基板を組付けようと思うのだが、だからといって大き過ぎるケースを選ぶと緊張感のない内部構成になってしまうので、丁度良い大きさにしなければならない。自作はこの辺の塩梅が一番肝心である。選んだケースが届いたので、配置を考えながら、まずは電源基板を製作した。


Reference Timebase用電源基板

電源回路は基本設計を変更していないが、整流ブリッジをオンボード化、電解コンデンサの容量アップ、コントロール回路を同乗させるため、倍サイズの基板を使用した。この基板は両端に端子用のピッチの穴が開いているので使い易い。画面上で左側端子がトランスからのAC入力、右側端子がDC 24Vの出力となる。電源基板が完成したところで、部品をシャシに仮置きしてみる。内部配線やI/F端子の取付け位置を検討するためだ。


Reference Timebase用シャシ

ケースを仮組みして部品を並べてみる。主要なパーツは、ルビジウム発振器、トランス、電源基板である。実は配置の選択肢は全く無くて、このように並べるしか方法がないのだ。ルビジウム発振器は放熱性を考慮すると側面のヒートシンクに接合させたい、一方、電源基板上のパワートランジスタも放熱が必要なので反対側のヒートシンクを使うのだ。そうなるとトランスは中央に置くしかない。というワケで部品配置はスグに決まってしまった。

さて、ここからが大変なところ。リファレンスにするのだから、こだわりのある造りにしたいものだ。

つづく



投稿日付: 2008年 2月15日
タイトル: アナログ電源をDuplicate(複製)

おかげさまで、たもそのHPのカウンターの伸びは好調である。しかし、これは更新プレッシャーでもある。
やりたい工作が幾つもあって時間が足りない。クロックの研究もやるべきことは沢山あるのだ。
取り敢えず、目処の付いたものから順次投稿するので暫らくお付き合い願いたい。

さて、2008年の初めの挑戦はアナログ電源である。お手本と回路図を手に入れて、部品の収集に走り、回路図の読み方や部品の代替性を確認するなど奔走した。意外と全く同じ部品が手に入らないので、一部は代替品を使用した。

こういう作業は慌ててはいけない、事前準備で殆んど決まるのだ。失敗した時に備えて部品類は余分に買っておくし、基板に部品を並べてはいろいろ検討を重ねてから組立てを行った。丁寧に事を進めると失敗しないもので、無事に複製第一号が完成した。

DC24Vアナログ電源基板
A氏直伝の回路図から自分なりに解釈して組み立てた電源
基板。スペースの都合で整流ダイオードは基板外となった。
トランジスタの放熱板は仮置きで実装時はシャシが代わりを
務める予定。

DC24Vアナログ電源基板
こちらは動作試験中の様子。ブリッジダイオードは外出しに
なってしまったが、ケースの底面にでも固定すれば問題ない
だろう。 Aさんがお手本でブリッジを使わなかったのは恐らく
スペースの都合ではなかっただろうか?

初めは同じものを複製する積りでいたのだが、意外と同じものを造るというのが難しかった。整流ダイオードはやはりブリッジを使った方がシンプルな気がしたので購入してみたら、意外と大きくて基板には乗らないことが分かり外出しすることになった。端子類も気に入ったのを手に入れたら、基板とピッチが合わず穴開け加工が追加になったり、回路図通りにレイアウトすると、なぜか【+】と【−】がお手本と逆になっていた。自分的には回路図通りの方がチェックし易いだろう、ということでそのまま組み立てた。

組み立て完了後、初めて電源を投入する時はやはり緊張する。トランス側にヒューズが入っているので大事には至らないとは考えていたが、電源をONして無事にDC電圧が出力された時は万歳マンセー!v(^。^)v
な気分であった。



投稿日付: 2008年 2月10日
タイトル: 電子工作の師匠と電源

さて、次は忙しい方の話である。

今年の正月休みはクロック関連の研究をいろいろやっていたのだが、同時に素晴らしい出会い、というか再会があったのだ。ネットでいろんなことをやっていると時として出会いがあり、これを人はオフ会と呼ぶ。しかし、オフ会でもないのに同じ人と再会する、なんてこともあるのだ。

その方はAさんである。Aさんはオーディオアンプ修理の達人らしい。会って話をしただけでも、NEC A-10や古いmarants model 500等のメンテをやったことがあるという。しかもそれはプロとしてではなく、趣味でやってるのだ。素晴らしい人に出会った、電子工作の師匠だと勝手に思っている。

是非とも、Aさんにいろいろ教えてもらいたいと考えたのだが、もし、アンプのメンテを頼んだら、恐らく簡単にやってくれるだろう。しかし、それではなかなか技術が吸収できない。そこで、懸案を一つ解決してもらい、そこからいろいろと学ばせて頂こうと考えたのだ。それが電源である。

ルビジウム発振器や水晶発振器を駆動するのは、DC12VとかDC24Vの直流電源である。AC100Vの家庭用電源から直流電源を得るには、スイッチング電源が手軽でコストも安い。PC用の電源やACアダプターのような品質の低いものはスイッチングノイズの残留が激しくて使い物にはならないが、キチンとした産業用のスイッチング電源であれば、まずまずノイズも抑えられており発振器にも十分使える。少なくともオシロで見る限りでは電源ノイズの影響は出力波形には現れない。

しかし、クロックの精度や安定性を突き詰めていくと、やはり電源品位を重視せざるを得ないのだ。つか、ここまで来ると気分的にもアナログ電源を奢りたくなってくるというわけだ。残念ながら、たもそは電子工作に関しては素人である。半田ごては握るし、コネクタくらいならホイホイと加工出来るのだが、何かこしらえるとなると前提知識が無さ杉なのである。

アナログ電源なら簡単なキットは売られているのだが、なんだか部品がショボそうで避けてきた。そこで、Aさんにこちらの要求スペックを満たすようなリファレンス電源を設計製作して頂き、これを譲り受けて、自分なりに研究、消化吸収して技術を会得しようというのが今回の試みである。

幸いにもこのような勝手なお願いをAさんは二つ返事で引き受けて下さり、年末のバタバタしている時期にあっという間に製作して頂いたのである。お願いしたスペックは、DC24V、最大定格2.0A、電圧調整があればベター、更にケースへの組込みを考慮してサイズの制約を課したものであった。


DC24Vアナログ電源基板
A氏直伝の電源基板 DC24 4A程度の容量

恐らく、Aさんにとっては朝飯前の軽作業だったので少々申し訳なかったのだが、年の瀬に完成した電源基板と大型トロイダルコア・トランスを受け取った。Aさん曰く、「ごく基本的な設計で特別な回路ではないが、リップルは十分抑えられており、発信器の電源には十分だろう」、ということであった。

さて、これを組込んで使ってルビジウムクロックを製作するというのでは、あまり芸が無い。これはお手本なのだ。回路図も一緒に頂いたので、部品集めから始めて複製するのが第一の目的である。回路図もよく勉強しなければならない。幸い、現在はインターネットの時代であるから情報を集めるのは簡単だ。

ということで、電源製作というのが最近の拡張オーディオ戦線になっているのである。



投稿日付: 2008年 2月 8日
タイトル: ESOTERIC P-70 修理上がり 〜今度は直ったの?

さて、絵日記の更新がしばらく空いてしまった。ありがたいことに最近幾つかのサイトでご紹介頂いたお陰でカウンターの上がりが非常に早くなっている。折角見にきて頂いたのに、更新されていないとガッカリさせてしまうので何とか頑張って絵日記を書こうと思う。Φ(^_^);;

恐らく関心が高いのは、「マスタークロックの評価手法について」についての記事だと思うのだが、最近少々忙しくてクロック関連の検証を行う時間が取れていない。それと、幾つか発見してしまったことがあるので、「マスタークロックの評価手法について」の続編は少々お待ち頂きたい。m(_ _)m やっぱり正月休みのような時間がないとこういう研究は進まないようだ。

ということで、今日は ESOTERIC P-70 の修理の話の続編である。
自宅出張してもらい、無事に?ノイズ発生の症状をサービスマンに確認してもらったのが前回の話。そして先週、修理完了ということで我が家に戻ってきたのだ。

ESOTERIC P-70
修理から戻ってきたらまずは動作確認するのだが、トランスポートは単体では
動作確認出来ないので、やっぱりラックに入れてシステムに組込んでの検証
となった。Word Clock同期とアップサンプリングを同時にチェックする。

動作チェックといっても、症状が不定期のノイズ発生だったので、直ったかどうかの確認にはしばらく掛かるだろう。当分は一日2枚くらいのペースでCDを聴いてみるつもりである。参考までに今回の修理明細の一部をアップしておいた。


TEAC修理明細票の抜粋
ESOTERIC P-70 修理明細表
これは明細票の一部を切り抜いたものである。

前回の修理では症状が確認出来なかったので、部品交換などは行われなかったが、今回は数点のパーツが交換されている。電話での話では、原因はハッキリとは分かりませんが、可能性の高いと思われる部品を見込みで交換します。ということだった。これがそのパーツだったのかどうかは分からない。

戻ってきてから5日ほど経過しているが、今のところ例のノイズは確認されていない。ウムウム、出張サービスを呼んでまで症状を確認してもらった成果はあったようだ。

なお、今回何度か連絡したり電話を頂いたりしたが、TEACの修理サポートは非常に安心感のある対応であった。高額機器なのでサポートの印象は極めて重要である。困った時に親切にして貰えるとブランドロイヤリティーは確実にアップするものだ。



投稿日付: 2008年 1月19日
タイトル: ESOTERIC P-70 再修理 〜出張症状確認

今日は朝から落ち着かなかった。

というのも、調子の悪い ESOTERIC P-70の点検のためにTEACからサービスマンがやって来るのだ。今週は毎日CDを掛けて周期的なノイズを確認してきた。原因は不明だが、不特定のCDで再生の途中、又は、初めから周期的にスクラッチノイズのような雑音が乗るのだ。

ノイズが出たら、その日はチェックを終了して、一応そのCDを区分しておく。ノイズが出るCDは特定されないので、あまり意味はないが発生頻度を確認するためにやってきた。たもそのチェックでは 10/12枚でノイズが出た。およそ80%の確率である。ウム、これなら当日も大丈夫??だろう。何しろ、出張の本番でこのノイズが出なかったら最悪である。

そうして迎えた今日、予定時刻丁度にサービスマンが来訪した。

まずは、簡単に接続を説明する。対象は最上流機器であるから全部を説明する必要はなく、DACまでで十分である。機器は予め暖機しておいたので、さっそく JAZZのCDを掛ける。

ウーム、運悪くこれは調子が良い(^^;;
ノイズは乗らずに音も良い、困った。
調子が良いとダメなのだ!

幸い、サービスマンは症状発生が不確定であることをよく理解してくれていたので、彼もスグに胡坐組んで落ち着いてくれた。そうそう、寛いでくれないと、こちらも焦ってしまうのだ。そこで、CDを取り替えて再度プレイした。

ウーム、運悪くこれ調子が良い(^^;;;;
ノイズは乗らずに音も良い、困った。
調・子・が・良・い・と・ダ・メなのに!

「スグには出ないこともあるんですよ」 とか言いながら、3枚目のCDに移る。ビル・エバンスのリマスターだ。序奏は静かなのでノイズが乗れば目立つハズだが・・・果たして・・・・どや?

「スチッ!」・・・・・・・

をっ?!

・・・・・・「スチッ!」

おおっ!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
不調発生だ!サービスマンも頷いた。良いぞ!

それからは、やや不定期だが周期的に「スチッ!」が確認された。CDを更に取り替えてもノイズは出た。
サービスマンはホーンに耳を近づけて聞いている。「静電気のようなノイズですが、多分違うと思います。」と言っていた。


-*-
こうして、無事に不具合が確認され、ESOTERIC P-70 は再び修理のために引き取られて行った。この不具合が発生して以来、たもそが最も幸せを感じた日である。ノイズよ、出てくれてありがとう。

アレ?なんかヘンだな?



投稿日付: 2008年 1月16日
タイトル: ESOTERIC P-70 出張修理へ

昨年11月に周期的なノイズの発生で TEACへ修理送りしたけれど、「症状再現せず」で年末に戻ってきてしまった ESOTERIC P-70 だが、やはり周期的なノイズが高い確率で発生するので TEACサポートに相談したところ、症状を確認したいので、ということで出張して診てもらうことになった。

たもその見立てでは、恐らくピックアップの読み取り不良によるデジタルノイズだと判断しているが、メーカーで再現しないのでは修理して貰えないので出張修理してもらうことにした。尤も、症状が再現してもここでは修理調整は出来ないので、持ち帰って修理してもらうことになるだろう。

こうなると、サービスマンに来てもらった時にキチンとノイズが再現されるかどうかが心配だ。(^^;;
症状が再現しなかったら、なんだかクレーマーのようになってしまう。出張時にはノイズが出るように祈るばかりである。



どうも、ドライブ物ではハズレが多いたもそである。


投稿日付: 2008年 1月12日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 11.Wordclock クロック改善度測定編(その4)

年末から正月にかけていろいろ測定を行ったのだが、一つ大事な測定を忘れてしまった。(>_<)

故障でTEACに預けていた ESOTERIC P-70「症状再現せず」で戻ってきていたのだが、スグに動作を確認するためにラックに入れてしまったのでクロックを測定出来なかったのである。P-70はCDトラポなので単体では動作チェック出来ないし、ケーブル配線の都合からラックに納めないと動作チェック出来なかったのだ。一度、ラックに入れてしまうと、たもその今の環境では簡単には取り出せない。仕方がないので、いずれ又の機会に計測することにしよう。

さて、次はマスタークロックの計測である。

マスタークロックの効果の計測が目的なので、出来れば各機材にマスタークロックからワードクロックを送ってやって、それぞれの機器側でクロックを計測したいところだが、まずは、マスタークロック単体での送り出しワードクロックの測定結果を報告しておこう。計測したのは dCS Veronaである。カタログスペックでは2台のTCXOを内蔵し、1ppmのクロック精度を持つ。


dCS Veronaの Wordclock出力

Verona単体ではまだまだ誤差が大きくプロットグラフにはならない。何度も
測定したうちのワンショットを掲載。誤差は +0.018162Hzと出た。

Verona単体でのroot Allan varianceを計測。プロットが下の方に集まって
良さそうに見えるが、更にスケールが1/4の 50μHz/divであることに注意。


マスタークロック dCS Veronaは、ワードクロック出力 44.1KHzのみなので、これを計測した。上の画像は何回も計測したうちのワンショットであるが、表示された +0.018162Hzから誤差率は 4.11x10E-7 即ち 0.4ppmと換算される。定格の 1ppmは満たしているが、ほぼ定格通りというところか。もちろん、これをElgarに送れば十分改善は期待できそうである。

次にJitterを見てみよう。一見して良さそうな結果だが、画面左上のスケールにも注意して頂きたい。ElgarJitterグラフはスケール 200μHz/divであったが、こちらは1/4の 50μHz/divなのである。軸が少しズレているが、プロットの中心値はおよそ 80μHzと読み取れる、これは 1.81x10E-9と換算される。ルビジウム発振器までは行かないが、周波数誤差に比べると非常にフラつきの少ない低ジッタなクロックであると言えるのだろう。

つづく



投稿日付: 2008年 1月11日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 10.Wordclock クロック改善度測定編(その3)

前回に続いて、今度はPCオーディオの要となるオーディオインターフェイス RME Digifaceを単体で計測してみた。たもその試聴した印象では、オーディオIFをクロック同期させた時が一番音の改善効果が大きいと感じている。その辺が計測で明らかになると非常に面白いのだが。

RME Digiface は wordclock In/Out端子を備えている。今回は DigifaceとPCを接続しただけの状態で、ワードクロックを計測してみた。デフォルトでクロック出力されるのは当然 44.1KHzだと思っていたら、ナゼか出力は 88.2KHzであった。Hammerfall DSP Setting(設定画面)で、Clock Out /Single Speedのボックスをチェックしても変わらなかった。特に問題はないので、そのまま 88.2KHzを計測した。


RME Digiface単体で計測

こちも単体では誤差が大きいのでプロット画像の代わりにスナップショット
を掲載。誤差は -0.106739Hzと出たが Elgarよりも精度は高め。

Digiface単体でのroot Allan variance。1secゲート20回で1プロット、
縦軸スケールは前回と同じ200μHz/div。中心値は600μHzくらいだが、
かなりバラツキがある。


Digifaceの計測は 88.2KHzで行っているので、Elgarとはそのまま比較することは出来ない。誤差を公称値で割って率に換算すると、誤差 -0.106739Hzは1.2x10E-6で 1.2ppmの誤差率となる。オッ意外に精度高いじゃない。

次にJiiterであるが、パッと見で Elgarよりバラツキが大きいが、測った周波数が2倍高いので、これは割り引いてやらないといけない。中心値はざっと σ=600μHzと読んで計算すると、6.8x10E-9という値が得られるが、実はこれはそのまま受け入れては問題がある。

グラフの右から3番目のマスはプロットが少し足りないように見えるが、実はグラフの一番上にプロットされており、レンジをオーバーした値が入っているのである。この時、少々必要があって、計測中にパソコンを操作したのであるが、それでクロックが思い切り反応してしまったようなのだ。

PCの操作で容易にクロックが振れてしまうのでは、PCオーディオとしては失格だろう。この問題がマスタークロックで解決するかどうかは非常に重要だと思われる。

つづく



投稿日付: 2008年 1月 7日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 9.Wordclock クロック改善度測定編(その2)

さて、クロック改善度測定編の本編に入ろう。

流れを簡単に説明すると、DAC単体、マスタークロック、ルビジウム同期マスタークロックの三段階で、それぞれワードクロックの周波数精度(Accuracy)と安定性(Stability)を計測して、マスタークロックの効果を見ようというワケだ。クロック精度については既に何度か計測しているが、Jitter(root Allan Variance)と同時に測ることでより定量的な測定が出来るのではないだろうか。

計測ルーチンは、ある程度の暖気後に 1sec/gate 20回計測を一試行として、平均誤差(Mean)安定性(Jitter)をプロットして中心値を求める。ユニバーサルカウンターはGPSレシーバーに同期させているが、その誤差は無いものとして結果を表示している。

まず初めは、dCS Elgar単体で Wordclockを計測する。Elgarは Clock Modeで Masterに設定した場合だけ Clock Out端子から Wordclockを出力するので、Masterにセットして計測した。


dCS Elgar 単体での計測

Elgar単体で Clock/outを計測、公称 44.1KHzに対して -2.302183Hzのズレは、
誤差が大き過ぎてプロットグラフは表示できない。画像は何度も測定したうちの
ワンショット。

Elgar単体で Wordclock/outの root Allan varianceを計測、スケールは
200μHz。パッと見大分バラついている印象だが、中心値はおよそ800μHz
くらいだろうか。

上の画像はオシロに表示するプロットではない。誤差があまり大きいとスケールを調節してもキレイに表示出来ないので代わりにスナップショットを掲載した。Wordclockの公称 44,100Hzに対して -2.302183Hzのズレは、-5.2x10E-5、即ち -52.2ppmの誤差である。誤差を公称値で割ると誤差率が得られる。暖気時間は十分ではないが、さすがにこれは精度が低い気がする。単体でクロック精度をスペックとして表記しないのも頷ける。

同時にJitterを計測してプロットしたのが下の画像である。左上に 200μHz/divとあるのが縦軸のスケールで、一マスの高さが 200μHzである。スケールとズレてしまって少し分かりにくいが、中心値はおよそ 800μHz=0.0008Hzと読み取れる。公称 44,100Hzに対する比率は 1.8xE-8 即ち 0.018ppmとなる。誤差率に比べると大分良い気がするが、プロットは結構バラついているように見える。

ハイエンドクラスでも DAC単体でのクロック精度はこんなものなのだろうか?これだと、ESOTERICのバージョンアップサービス(高精度水晶への交換)というのは結構意味があるように思った。

つづく



投稿日付: 2008年 1月 5日
タイトル: マスタークロックの評価手法について 8.Wordclock クロック改善度測定編(その1)

昨年末に始めた研究発表であるが、正月休みに追加的な計測を行ってみたので続編として投稿させて頂く。

今回のテーマは、「マスタークロックの効果の計測」である。デジタルオーディオ環境にマスタークロック・ジェネレータを加えることで、どのくらいクロック精度(Accuracy)やその安定性(Stability)が改善するのかを計測して定量的に確認するのが目的である。

そもそもなぜマスタークロック・ジェネレータという機材が登場したのかについては若干触れておいた方が良いだろう。クロック・ジェネレータという機材は、デジタルレコーディングやリマスタリングの現場で使うようになったのが起源である。

次に、デジタル接続での約束事を確認しておくと、「一つの接続機器間でクロックに関してマスターとなる機器は1台だけである」。これは、大事な約束事である。結構勘違いし易いのだが、クロックジェネレータを使って機器間のクロックを同期させたとしても、マスター機器はその内の1台だけで、後は全てスレーブで動作する。通常の接続、つまり、機器間をデジタルケーブルだけで接続した場合は、最上流の機器がマスターとなり、他は全てスレーブで動作する。

ところで、デジタル・レコーディング(録音)現場では、複数のソースをミックスして一つのレコーダーで録るように、デジタル機材を並列に使用することがある。この場合は、ミキサーになる機器をマスターにするのが良いが、そうなると上流の機器は自分の持つクロックで勝手に信号を送り出すので、ミキサーから見ると送り出しクロックのズレ(誤差)によって、データのオーバーフロー(過剰)やアンダーフロー(不足)が起こる可能性がある。僅かのエラーは補正されるが音質は確実に劣化するだろう。

そこで、このマスターとなるミキサーから自分のクロックを上流の機器に送ってやって同期を取ることが出来れば、オーバー・アンダーフローは避けられる。これが、クロック同期の本来の目的である。この段階では、マスター機器からクロックを送って同期させていたが、接続機器が増えるとディジーチェーン(数珠繋ぎ)ではケーブル長の問題が発生するので、クロック送り出し専用機材=マスタークロック・ジェネレータが登場してハブ接続(スター型)が可能になったのだ。プロ用マスタークロックに出力端子が沢山あるのはこの為である。

しかし、この段階ではまだ高精度クロックの必要性は起こっていなかった。スタジオ用のクロックジェネレータには精度的にかなり見劣りする機種があるのは、目的がクロック同期にあったためで、クロック精度を上げる必要性はまだなかったからである。

さて、そこで、プレイバック(再生)・オーディオの場合はどうだろうか?

セパレート型でデジタル機器の構成を考えると、ソース上流から、CDT => DAC である。たもそのようにPCトランスポートを使う場合は、CDTがPCTに変わって DAC上流に並列する。ソース切換えはDACで行うので、マスターはそれぞれ、CDTとPCTが基本形である。

ここで、まずマスター機器のクロック精度を上げたい場合は、マスターとなる上流機器(CDTとPCT)にマスタークロック・ジェネレータからWordclockを送ってやって同期させる。DACはスレーブで動作させれば、自然に上流からクロックを受取るので同期しなくても問題はない。

次に、クロックに関して更に品位を上げたい場合、一番音への影響の大きいDAC部へ直接クロックを送るという方法がある。クロックをDACに送ることで、デジタル伝送時のノイズ(ジッター発生)を受けなくて済むという考えだ。ただし、その場合は、上流機器にもクロックを送って同期を取らないとレコーディングの時と同様に、クロック誤差に由来するデータのオーバー・アンダーフローが発生してしまう。

マスタークロック・ジェネレータを導入した当初はこの辺の仕組みが今一分かっていなかったため、WADIA16dCS Elgarの組合せで発生する音飛びに悩まされたりしたものだ。WADIA16にクロックを送らないで(同期不可)、マスター動作のElgarに繋いだために、データのオーバー・アンダーフローが発生してしまったのが原因と思われる。

dCSの製品はこの辺の対応がキチンとしており、Elgarの場合、Clock Menuには、Slave/ Master/ Sync の3つモードを備えている。【Slave】が標準設定であり、【Master】は強制的にDACをマスターで動作させる、【Sync】は外部クロックに同期した上でマスターとして動作する。これに対応して、本体に備わっている Clock/Out端子からは、自分がマスターになった時だけ Wordclockを出力するのだ。

少々能書きが長くなってしまった。ここからが本編なのだが、続きは次回に掲載することにしよう。

つづく



投稿日付: 2008年 1月 4日
タイトル: 正月休みの実験クン

さて、年末から掲載を始めた「マスタークロックの評価手法について」であるが、2007年のクロック研究のまとめとして掲載を始めた時点での研究成果はほぼ出尽くしてしまった。「年度まとめ」であるから、それで終了しても良かったのだが、書いているうちに次々と新しい実験テーマを思い付いてしまった。そこで、正月休みに追加の計測をやって続編として発表していけば内容的にも充実するだろうと考えたのだ。

新しい実験として行った計測はまだ全部終了していないため、少し間が開いてしまうかもしれないので、今後の掲載予定を少し予告させてもらおうと思う。

これまでの、第一章 クロック精度、第二章 クロック安定性、に続くのは、第三章 マスタークロックの効果である。

今までの主な計測対象は、マスタークロック ジェネレータに接続する外部マスタークロックになるルビジウム発振器であった。ひとことで言えば、ルビジウムはどこまで正確で安定しているのか?という問題であった。

次に試すべきテーマとして考えたのは、デジタル オーディオ機器に対する マスタークロック ジェネレータの効果を定量的に計測することである。マスタークロックを接続して WordClock同期を行うと確かに音質は変化する。これを段階的に計測することで定量的な改善効果を見ようというのが狙いである。

2008年に跨ってしまった、「マスタークロックの評価手法について」であるが、もう少しお付き合い頂ければ幸いである。



投稿日付: 2008年 1月 1日
タイトル: 新年あけおめ! SR620 修理出来ず?

あけましておめでとうございます。m(_ _)m

昨年は年末になってから、2007年クロック計測のまとめとして「マスタークロックの評価手法について」を始めたのであるが、段々内容が深くなってきてしまい、書いているうちに新しいアイディアを思いついて幾つか追試も行ったため、2007年のまとめが年内には完成しなくなってしまった。(^^;;

まぁ、更新をサボって年を越したのではないのでご容赦願いたい。また、折角始めたコンテンツでもあるので、もう少し頑張って区切りを付けたいと思っている。但し、正月休みが終わってしまうと、これまでように頻繁な更新は出来ないかもしれない。予めお詫びしておく次第である。

さて、「マスタークロックの評価手法について」は完成するまで続けて掲載する積りでいたのだが、ここまで長くなると他の絵日記的カキコが滞ってしまうので、たまにはフツーの絵日記も挿入させて頂くことにした。

今日は2008年正月なのでオメデタイ話から行こう。

たもそのクロック計測で中心的存在であった SRS社 SR620 Universal Time Interval Counter であるが、実は故障してしまい、11月から販売元(計測器ショップ)に預けていたのだが、年も押し詰まった最終週に「修理出来ず」の宣告を受けてしまったのだ。元々、中古計測器というのは、企業や研究所がリース等で使用していた機材の出戻り品なので、初期不良程度の保証しか付いていないので故障してしまうと大抵アウトなのだ。

何しろ元値が高いので、まともにメーカーに修理を依頼するとまず間違いなく購入価格以上の修理料金が掛かってしまう。従って、故障しても自力で修理出来なかったらジャンクで処分するのが関の山なのだ。今回はショップの方で修理出来るか確認するということで預かってもらったのだが、やっぱりダメということで戻ってきてしまった。

あまり期待はしていなかったのでスグに代替機を入手したのだが、連絡を受けてショップから故障した SR620を引取ってきて、念の為に通電してみたところ、これが!!! 直っていたのである。(^^?


SRS SR620 SR625 Universal Time Interval Counter
こんなヤツは他に居らんだろう的オメデタイ SR620のWショット

どうしてこういうことになったのか?全然分からないのだが、戻ってきた SR620は元気一杯であった。直ったのを確認するためにルビジウム発振器を計測中に撮影したのが上の画像である。下段は2代目を襲名して間もない SR620(まだルビジウムタイムベースがくっついているので SR625)であり、上段は修理不可で戻ってきた初代 SR620である。

クリスマスも過ぎてから訪れた、たもそへのこのプレゼントは2008年のお年玉だったのだろうか?




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