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PC オーディオ絵日記
2011年
主な機材 : dCS Verdi Encore, 992-2, 974, Elgar Plus 1394, KRELL KRC2, PASS LABS ALEPH-P MK2, Accuphase DF-45
RME Hammarfall Digiface, KRELL KSA-50 KSA-100 MarkLevinson 23L, 23.5L, 29L AMCRON CROWN Studio Reference I, marantz pro PA-02
CSE TX-1000 T-200 モリタラボ ウッドホーン 1000タイプ TAD TL-1601a TD-4001 TD-2001 Aiden AH-1000 進工舎
たもそのオーディオに関する絵日記です。下から上に流れるスタック方式で追記されます。一番上が最新の更新になります。

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掲示板にカキコする


投稿日付: 2011年 2月28日
タイトル: GPSDO HP-Z3815A 筐体改造版 (続き)

届いた HP-Z3815Aは動作確認が済むと、さっそくシャシを開けてみた。すると、予想通りオリジナルの Z3815Aが現れた。基板はほぼオリジナルのままで、後端部のソケット端子も付いたままである。わずかに前端部の電源スイッチのレバーが取り除かれている程度であった。


筐体入り Z3815Aのボンネットを開けたところ。中身は予想通り、オリジナルのZ3815A基板が
入っていた。基板後端部にはバックプレーン用のソケット端子もそのまま付いている。

筐体パネルの端子への配線は基板からそれぞれ接続している。10MHzと1PPSは基板上の
SMB端子に同軸ケーブルを接続してある。ということは、あの今一な矩形波であろうか。
HP製 E1938 OCXOの載ったドーター基板はオリジナルのままのようだ。
GPSコアは古野電気製で8ch同時受信。上を跨ぐ2本は電源ラインでノンオリジナル。


それ以外は、オリジナルの基板がアルミ筐体に収められ、I/F端子類を接続しただけであった。肝心の10MHz/out及び、1PPS/outについては、基板上のSMBに接続されているだけなので、10MHzクロックは例の波形のキレイではない矩形波のようだ。ということは、やはり正弦波出力を取り出せるように基板を改造してやらなければならないようだ。

この改造を行なうには筐体から基板を取り外さなければならないが、ボンネットを外した後は一体構造のシャシなので、基板の取り出しはかなり難航した。なんだか、せっかくキレイなケースに入れてくれるのなら、正弦波出力改造もやっておいて欲しいものだ。


これはHP純正モニターソフトSatStatで見たZ3815A。画像では6ch捕捉した状態
であるが、8ch対応なので下部にはスペースがある。
基板改造で取り出せるようになった10MHz出力波形である。これなら波形も
キレイだ。
ルビジウムクロックに代わって、オーディオ用クロックとして使ってみた。接続
マスタークロックはdCS 992-2。


基板を改造して、10MHz正弦波を2ch取れるようにした。外部端子は流用したので、もともとの矩形波と1PPSは切り離してしまった。まぁ、あまり1PPSは使うものでもないので問題ないだろう。必要ならBNC端子を追加すればよい。基板改造を完了してから、改めて動作チェックを行なった。HP SatStatでモニターすると動作OK。オシロで10MHzの波形もチェックした。キレイな正弦波で同じものを2系統取れる。

続いて、今回はこの Z3815Aをオーディオの方にインストールしてみた。すなわち、ルビジウムクロックに代わって10MHzマスタークロックとして使うのである。前に Z3801Aで同じように試した際には、もう一つの印象だったが、今回はどうであろうか?

接続、通電して2日くらいは正直あまり変化を感じられなかった。992-2単体での水晶の音と差があまりない印象だった。以前のZ3801Aの時も同様だったので、そのまま数日聴き続けた。4日目くらいから徐々に印象が変わってきた。これも耳が慣れてきたという効果があるので、まだまだ断定はできないが、柔らかく滑らかな中に少し芯がある音に感じられるようになってきたのだ。特に低音の響きは好印象である。

その後、2週間以上 Z3815Aはそのまま通電して聴いているが悪くない。ルビジウムクロックと比べると、やはりシャープさは少し物足りないのだが、聞き取れる音の種類と量が明らかに増えている。解像感が増した感じである。そして、低音の響きが心地良い。丸いながらも精密な音になったようだ。

このまま、更にいろいろなジャンルのソースを聴いていく積りである。この印象が続くかどうか見極めたい。



投稿日付: 2011年 2月26日
タイトル: GPSDO HP-Z3815A 筐体改造版

1年も留守にしていると、世の中いろいろ変わっている。オーディオ機器の世界でもゆっくりとではあるが進化は続いているようだ。

クロック関連では、外部クロック同期の機能でこれまでのワードクロック同期に加えて、10MHzクロックに対応した機器が出てきている。PCオーディオI/Fのフェーズテック HD-7AESOTERICのCDプレーヤー K-01/K-03などがそれである。どちらもDACを内蔵した機器であるので、一つの同期で完結できる構成になるのがポイントだろう。

こうした機器が登場してくると、ルビジウムクロックやGPSDOなどの10MHz 外部クロック機器の用途が拡がるので更に関心が高まるだろう。ただ、そのわりには、オーディオ専用の10MHzクロック機器は Antelopeフェーズテックでルビジウムクロックの製品があるくらいで、まだまだ少ないようだ。オーディオ用GPSDOとか出てくると面白いと思うのだが。

今日は久し振りに手に入れたGPSDO HP Z3815A改をレポートしてみよう。


GPSDO HP Z3815A改
HP Z3815AはHP社最後期のGPSDOである。新しいとは言っても計測器部門をAgilentに
譲渡してしまう前なのでそれなりに年月は経過している。

Z3815Aはラックモジュール型GPSDOで本来は筐体に収まっていないのであるが、
これは、どこかでガワを与えられた改造機のようだ。いかにも後付けっぽいアルミ筐体に
収められている。フロントパネルはオリジナルではないが、ほぼ再現されているようだ。
PCとの通信に使われるRS-232ポートも実装されている。
こちらはリアパネル。オリジナルでは特殊なソケットと複合同軸端子で接続する仕組み
であるため、汎用端子類は自分で実装する必要があったが、こちらのモデルでは必要な
端子類を筐体に取付けてあるのでコンベンショナルな機体となっている。

端子は左からGPSアンテナ/in、10MHz/out、1PPS/out、DC/inとなっている。電源は
DC 24-27Vが定格でオリジナルと同じ。汎用とはいえキャノン端子はやや特殊。
こちらは俯瞰した全体図。外観は新品のように見えるが、RS-232端子が劣化している
ので、恐らく内部基板は中古だと思われる。このGPSDOは結構発熱するので、画像の
サイドスリットだけではちょっと放熱が不足しそうである。


今回入手したのは、過去に手に入れた HP Z3815Aと同じモデルではあるが、外観が少々異なっている。オリジナルの Z3815Aは縦型のラック・モジュール型の構造で、リアパネルはバックプレーン対応のソケット端子となっていたが、こちらはごくフツーの箱型アルミ筐体で、リアパネルには、電源、アンテナ、RF出力などのコンベンショナルな端子が付いている。その筐体は見た目新品のようである。今頃、デッドストックが出回るのも妙な感じだ。

直感的に怪しさを感じたので即座に入手したのであるが、訝しげなこの Z3815Aの内部はどうなっているのであろう。


つづく



投稿日付: 2011年 2月25日
タイトル: PCオーディオ絵日記 徐々に再開

こちらの日記を書くのは久し振りである。およそ1年ほど留守にしていたことになるが、その間何をやっていたかというと、それは蕪山荘日記をご覧の方はご存知通りである。

週末は殆んど山荘で主にレストアをやっていたので、残念ながらオーディオいじりはお休みしていた。蕪山荘レストア活動は今後も続くので、オーディオ絵日記を完全復活させるのは少々ムズカシそうであるが、クロック関連ネタなど少しでも更新していければと考えている。



投稿休止: 2010年 1月から 2011年 1月まで

蕪山荘取得に伴うレストア活動の為、投稿中断



m(_ _)m


投稿日付: 2010年 1月 1日
タイトル: あけおめ!


今年はこのエリアを中心に活動することになるだろう。

昨年もあっという間の1年だった。しかし、こうして日記を振り返って見ると、意外にいろいろなことにチャレンジしていた自分を発見したりする。
今は当たり前のことも、1年前なら大発見!だったりしたわけだ。そうなると、ここは自分にとっても大事な記録になっていることに改めて気付くのだ。これからも頑張って更新していこうと思う。

2009年の前半はクロック研究を続けてきたが、終盤は全く別のプロジェクトが立ち上がってきたことで、オーディオ関連は少々お休みとなってしまった。更に12月には駄目押しで大きく負傷してしまい、当分は機材を入れ換えたりできない状態が続くと見られる。極限において人間は貴重な経験を積むと言われるが、ドクヘリ、救急救命、ストレッチャー、1・2・3・、オペ室などなど、ドラマ通りのリアルを体験できたのは、これからの余生に何らかのプラスになると思っている。

今年もよろしくお願いします。m(_ _)m





投稿日付: 2009年12月26日
タイトル: 外部リファレンスとPLL回路についての学術研究 (その4) dCS 992-2 別機体で計測

年の瀬でいろいろ忙しいところではあるが、この間に行なった実験結果だけは報告しておこう。

2009年10月9日の投稿は非常に重要で、何件かお問合せも頂いている。PLL Bnadwidthのパラメータは、たもその知るところでは、dCS992-2くらいしか装備されていないファンクションであるので、無論、そのユーザーからの問合せが殆んどではあった。その影響が大きいことを感じていたので、ぜひ再検証を行ないたいと考えていたのであるが、ようやく実現した。もう1台 992-2を入手したのである。

非常に残念なことではあるが、dCSの機体には一部に不正改造されている機体があるため、購入には慎重を期すべきである。この点は、ショップでも確認不可能なのでほとんど当てモノと考えた方が良いだろう。今回お譲り頂いた機体は、幸運なことに外部ルビジウムクロックと同期に成功した。

そこで、さっそく10月9日投稿と同じ計測を行なってみた。

別機体のdCS 992-2を使ったAllan Jitter計測
こちらは、992-2単体での出力WordClockの計測である。通電時間は数時間程度で、これから更に収束してくると思われる
が、Allan Jitterで40から50マイクロHzというのは並みの安定度というところ。

そして、こちらは外部ルビジウム発振器を接続した上で、PLL Bnadwidthのパラメータを段階的に上昇させた時のAllan
Jitterのプロットである。スタート時はデフォルトの250mHzで、今回は1段階づつ引き上げている。最高設定値の2Hzでは
およそ10マイクロHzで収束した。



結果は非常にクリアで満足できるものであった。(^^

別機体の992-2でも、たもそ製作の外部ルビジウムクロックに対して PLL Bnadwidthのパラメータに激しく反応したのである。上記画像で確認出来るが、PLL Bnadwidthをデフォルト値から上に変更することで、出力WordClockの Allan Jitterは段階的に低減していき、2Hzの設定で最小のJitterとなった。この状態では、Jitterは極めて安定しており高音質を期待させるものであった。



投稿日付: 2009年12月23日
タイトル: 課外活動報告と Mark Levinson 23.5L修理の件

久し振りの投稿である。しばらくご無沙汰になったことはお詫びしたい。オーディオを止めたのでもないし、ネタが無いのでもない。一言で言えば、もっと デカいプロジェクト? を始めてしまったので更新するエネルギーが失われていただけである。

その新しいプロジェクトは、基本的にはオーディオとは無関係ではあるが、その延長線上には無論、オーディオも関わってくるのだろう。その関連では、取り敢えず JBL S-143MTを導入してみたが、所詮、吊るしでは満足出来ない。まぁ、そちらもおいおい、新しい日記として投稿するかもしれない。

新しいプロジェクトは、たもそに大きな物を与え、そして、大事な器官を失わせてしまった。ウーム、こういうのを因果応報というのか?危うく宗教にでも入りそうになるような出来事もあったが、そんなことくらいではヘコタレないのだ!

-*-

さて、今日は機材入院のご報告である。

数ヶ月前に、メインアンプ Mark Levinson 23.5Lを入手したのだが、当絵日記ではご紹介していなかった。というのも、どうも動作がイマイチでいずれは入院(メンテ)が必要だろうと踏んでいたからである。既に保有していた Mark Levinson 23L のマイナーチェンジ版が 23.5L であり、中古相場も一段高く付いているものだが、お買い得な出物があったので手に入れたのである。

一応、正常動作品ということではあったが、たもそのシステムの中音域のドライバー駆動に 23Lと置き換えてみたところ、どうも定常ノイズが目立つのだ。圧倒的な能率を誇る TD-4001 + ウッドホーンの組合せなので、全くの無音というのは無理な相談だが、23Lと比べると明らかにノイズレベルが高い。試聴位置でも分かる、ウーム、こりゃハズレか?

代理店のハーマン・インターナショナルに相談すると、そもそも 23.5L23Lよりもノイズレベルは高く異常ではないという。しかし、経年から前段の回路が劣化している可能性があるので、おりを見てOHすることを勧められた。国内でメンテの心配がないのは、マークレビンソンの美点の一つである。機種を言えば、その場でこういう情報が得られるというのは技術者がシッカリしている証であろう。

その後、しばらくそのまま聴いていたのであるが、先月頃から左chだけシャットダウン時に盛大なノイズを出すようになってしまった。マルチの直結なので、こういう症状は心臓によろしくない。TD-4001のダイアフラムを飛ばしたら・・・・・恐ろしい。ということで、めでたく?修理に出すことにしたのだ。

古いオーディオ機材の輸送は心配なので、自分で深川のハーマンまで持っていった。前段の課外活動で負った怪我のせいで、車からアンプを降ろすことはままならない故、ハーマンに相談したら、駐車場まで台車で引取りに来てくれた。うーん、泣ける。1980年代のメインアンプの修理でここまでサービスして貰えると感動モノである。JBLもサポートは良いらしいが、流石ハーマン・インターだ!



投稿日付: 2009年10月 9日
タイトル: 外部リファレンスとPLL回路についての学術研究 (その3)

しばらく間が空いてしまったが、前回続き PLL Bnadwidth設定に関する計測実験についてレポートしよう。

計測内容は、dCS 992-2に外部ルビジウムクロックを同期させて、992-2の内部ファンクションである、PLL Bnadwidth のパラメータを変更した際に、出力WordClockの特性にどのような変化が見られるかを確認するものである。本来こうした計測は、同じ環境で何度か再計測を行なって再現性を確認する必要があるのだが、たもそとしては結果を見てスグに試聴したくなってしまったので、この計測は1回しか行なっていない。その点をご留意の上ご覧頂きたい。


dCS 992-2
dCS 992-2
テストベンチの乗せられた dCS992-2は既に外部ルビジウムクロックと同期が
確立している。今回は全て 44.1KHzのワードクロックで計測を行なった。


992-2のPCリモートソフトには、本体側では操作できない特殊なファンクションが幾つか備わっている。つまり、992-2の全機能を使用するにはPCリモートは必須というワケだ。但し、乱用は禁物で設定が自動的に保存されて電源を切っても戻らないので、操作を間違えると使い物にならなくなってしまうので慎重に取り扱う必要がある。

今回はその中の、【Master Clock Sync Option】メニューの【Slave Bandwidth】の項目を操作する。以下、画像及びキャプションでレポートしていく。


dCS 992-2 PLL Bandwidth 設定変更実験
dCS 992-2
dCS 992-2
左画像は、992-2の表示画面部で、赤ボタン【Master/Slave】がSlaveが点灯し、Sample Rateの7セグLEDの左に【b】の
表示が出れば外部リファレンスに同期している状態を示す。

右画像は、PCリモートの該当タブでパラメータは、7.8125mHzから2Hzまでの間で設定できる。デフォルト値は250mHzで
ある。今回は、一番低い設定から2段飛びで設定を変更していった。しかし、一番下の 7.8125mHzでは同期出来ず、
31.25mHz以上でないと使えないことが分かった。従って、そこから 2段ごとに125mHz、500mHz、2Hzと切り換えてみたの
である。計測は動作中にパラメータを操作しながら連続して計測した。

dCS 992-2 dCS 992-2
こちらが、その結果である。こうした実験は本来もっと時間を掛けておこなうべきであるが、傾向が出ればそれで十分
だと考えていたので簡易計測とお考え頂きたい。

左画像は、ワードクロックの平均精度(mean)である。正確ではないが、時間軸で左から順に Bandwidth設定を切り換え
ている。中心が目標周波数なので若干マイナス偏差ではあるが、精度についてはほぼ安定している。パラメータを変更
した直後は若干の乱れを生じるが直ぐに安定するようだ。見た感じでは Bandwidth設定値は、精度に大きな影響は与え
ないようである。

続いて右画像は、ワードクロックの安定性(AllanJitter)である。画像では見難いと思われるが、一番左の数プロットは、
実はBandwidth = 2Hzの状態で、そこから一旦 31.25mHzに下げて、段階的に 2Hzに戻していったのだが、その様子が
Allan Jitterではクッキリ再現されている。設定 31.25mHzに変更するとJitter値が大きく上昇、その後、設定を上げていくと
徐々にJitterが低下して、Bandwidth = 2Hzに設定すると Jitterは 約8マイクロHzまで低減している。



計測実験の成果は予想以上であった。2つの計測プロット画面で分かる通り (フツーはよく分からないと思うが) 、Bandwidth設定値によって、精度に影響は少ない一方、安定性(Allan Jitter)には大きい影響があった。設定を最小値にすると、そもそも外部同期が確立しない。そして、設定可能な最大値 Bandwidth = 2Hzで、Allan Jitterは最小に収まった。当然、この組合せでは、Bandwidth = 2Hzとするのがベストなのであろう。

しかし、それだけでは謎は解決しない。

Bandwidthが大きい方が出力クロックが安定するのであれば、もっと高い設定値も用意されて良いはずである。又、そもそもデフォが 250mHzというのはどうしてなのだろうか?Bandwidthを下げた方が音的に良い場合があるのだろうか?この辺りはまだ未解決である。しかし、この結果を見て、直ちに 992-2をシステムにインストールする決断を下したのは当然である。その結果が、8/31投稿の試聴記事である。



投稿日付: 2009年 9月14日
タイトル: 外部リファレンスとPLL回路についての学術研究 (その2)

今日は前回の続きだが、別の資料から引用しようと思う。
それは、992-2用に開発されたという、Timeload Chronosのマニュアルである。

Chronosはルビジウムクロックであり、純粋にリファレンス 10MHzクロックのみを供給するマスタークロックである。たもそのルビジウムクロックとほぼ同じものである。限定数が生産され既にディスコンである。その取り説には、なかなか興味深い記載があったのだ。


Timeload Chronos 取扱説明書より引用
ルビジウム原子周波数基準発振器
Chronos 取り扱い説明書

はじめに
当機器は992II等のクロックジェネレーターに接続して使用するためのもので、単体では音響用途にご使用になれませんのでご注意ください。
また、992IIの旧バージョンのものには、当機器と接続しても同期が掛からない可能性のあるものもありますので、お手持ちの992IIをご使用になる際には、お手数でも一旦弊社まで992IIを送付いただき調整および同期確認を行った後ご使用下さい。


こちらは、クロノスの取り説の冒頭部である。何やら微妙な表現ではあるが、つまり、Timeloadに送って調整すると、たもそのような現象に遭遇するのではないだろうか?別のカタログのような冊子では、機体によって改造が必要な場合があるという表記もあった。


クロノスは事実上、dCS 992-2専用だったようだ。それで、こんな調整?もまかり通っていたのだろうか。たもその 992-2がどういう経歴なのか読み解くカギになりそうだ。もちろん、無事に外部同期が使えるようになったので、今となってはどうでも良いのだが。


Timeload Chronos 取扱説明書より引用

・・・・・・・・・
なお、992IIのPC用リモートソフトを使用して設定を変更できる場合、外部入力端子に対するPLLのカットオフ周波数は2Hzに設定してください。
ルビジウム原子基準は992II内臓水晶の1000倍以上も高精度なので、PLL応答速度を速めたほうが時間精度が高められます。
通常この設定は弊社で初期調整の際に行います。ルビジウム原子発振器は、青ランプ点灯直後から高精度運転を開始しますが、長時間ランニングすることで、機器内部の温度が安定し、発振精度も安定します。
・・・・・・・・・


こちらは、クロノスの取り説の使用方法の一部である。これまた、ずいぶんと微妙な表現である。だが、重要なことが書いてる、「PLLのカットオフ
を2Hzに設定する」 とある。


PLL回路に関連して重要なのがこちらの記述である。クロノスを接続する際には、992-2のPLLカットオフ周波数を 2Hzに設定すると良いと書いてる。2Hzと言えば、アレじゃないか?

PLLカットオフ周波数 = PLL応答速度 = PLL Bandwidth

そう考えれば、視界が激しくクリアになる!
そして次は実験だ。


つづく



投稿日付: 2009年 9月12日
タイトル: 外部リファレンスとPLL回路についての学術研究 (その1)

G-03X
の計測実験が一旦終了したところで、再びあの難物に取り掛かろう。
うむ、それは dCS 992-2である。

不正改造部の修理が完了した 992-2が手元に戻り、外部ルビジウム・リファレンスクロックとの同期が確認されたところで、実は、ようやくスタート地点に着いたのである。つまり、初めに 992-2を手に入れて、リモートでの操作が確立したところである。既に悠久の時間が過ぎた気がする。

dCS 992-2へのこだわりとは何か?

それは、外部リファレンス同期のPLLパラメータを多段階に操作できるという機能である。他のどのマスタークロックにも装備されていない。この機能こそ、たもその垂涎であったのだ。992-2の【英文マニュアル ver.2.0x】 を手にした時、この機能を知った。これこそ求めていたものではないだろうか?しかし、肝心の 992-2に不具合があり、実証することができなかったのだ。

その重要な部分を簡単に紹介しておこう。


dCS 992-2 英文マニュアルより引用
dCS 992-2 Manual
こちらは、992-2の英文マニュアルにのみ掲載されているリモート操作のセクションから、
Slave Bandwidthの設定に関する部分を抜粋した。説明部分には、General Technical
Informationを参照せよとあるが・・・。


992-2の日本語マニュアル(Timeload版)には、英文マニュアルのごく基本的な部分しか載っていない。これは、プロ機を民生向けに販売したこと、リモート操作が必要なこと、日本語訳が面倒だったことなどが重なってこうなってしまったと推測されるが、やはり不親切であったと思う。日本語マニュアルで割愛されたのは、メモリ設定やリモートでの操作、そして技術解説章である。フツーにWordClockを取り出すだけなら、メーカー設定のままでも使用上差し支えはないが、dCSの技術の真髄を味わうには全く不足であったようだ。

上の引用部は、リモート操作プログラムの使用方法から抜粋した部分で、外部リファレンス使用時のPLL Bandwidthのパラメータ変更のタブである。この周波数が一体何を意味するのかよく分からないのだが、値は7.8125mHzから倍々で変化して最大 2Hzまで設定できるようだ。デフォルトではほぼ中央値の250mHzに設定されている。

説明では、General Technical Informationを読めと書いてあるので、そこに飛んでみよう。


dCS 992-2 英文マニュアルより引用
dCS 992-2 Manual
そして、同じマニュアルのオマケらしき部分に掲載された、General Technical
Information と部位より抜粋した。PLL Bandwidthの設定による、Jitterの値
が表になっている。


General Technical Informationには、PLL Bandwidthという項目があって、いろいろ書いてあるのだが相当難解である。下段の表からは、PLL Bandwidthを変更すると、Timing Jitterが変化することが分かる。この辺がキモのようだ。文中にはGPSとかRubidiumとかキーワードが出てきている。


つづく



投稿日付: 2009年 9月 5日
タイトル: ESOTERIC G-03X マスタークロックジェネレーター (卒論編)

dCS 992-2と入れ替わりに G-03Xがラックから出てきたので、再び幾つかの計測を行なった。

今回の着目点は、外部リファレンス接続による出力WordClockの品位の変化である。ルビジウムクロックが高い精度と安定性を持った10MHzリファレンス・クロックを出力することは既に十分認識されている。しかしながら、実際にはマスタークロック・ジェネレータに接続して WordClockに変換(逓倍分周変換ではない)しなければ、クロック同期機構を備えたオーディオ機器には繋ぐことができない。自作により外部リファレンスから直接WordClockを生成する方法もあるようだが、それだけではまだマスタークロックを代替するには至らない。

かねてより、マスタークロックによる WordClockの品位格差について、計測及び試聴によって比較してきた。マスタークロック単体での品位に加えて、ルビジウムクロックと同期させた場合が重要である。たもそがマスタークロックを何台も購入してきたのは、この点を検証することが最大の目的であったのだ。つまり、最高のマスタークロック・ジェネレータはどれなのか?

今回は、既に何度か計測実験を行ってきた ESOTERIC G-03Xに再登場頂いて、計測結果を検証しようと思う。なお、何度も申し上げていることであるが、計測結果にはタイムベースの誤差が含まれており、同じ被計測機材でも個体差を有することから、絶対的な結果を求めるものではない。しかし、同じ環境で計測した2台の被計測機材を相対的に比較することは可能である、という前提に立ったものである。


G-03X 内蔵OCXOによる 44.1MHz WordClock計測
ESOTERIC G-03X


まずは、G-03X単体での計測を行なう。内蔵OCXOはエージングに数日を要するが。今回は12時間ほど経過したところで
計測を行なった。画像ではルビジウムクロックも写っているが接続していない。計測はWordClock 44.1KHzで行なった。
右手画像は安定性(Allan Jitter)の代表値(typical)で、SD=3マイクロHzというのは 7x10E-11となる。

こちらが計測結果、左手が平均誤差のプロットで、OCXOはエージング中と見られる。それでも、既に定格上回る精度に
入っている。面白いのは、水晶はエージング中にほぼ一定方向に周波数が変動することである。そして、右手は安定性
(Allan Jitter)である。44.1KHzに対してSD=3.5マイクロHzというのは、殆んど計測限界である。しかも、まだエージング中
にも関わらずである。


G-03X単体での精度計測はこれが3回目になるだろうか。毎回素晴らしい結果が出ているので勿論偶然ではないだろう。他のマスタークロックでは決して得られない安定性を持っている。ハッキリ言って、これと比べたら 992-2などゴミである。

ところで、この計測結果をよくよく眺めると、大きな矛盾を感じざるを得ない。どこかで、「クロックの音質への影響は安定性が重要であって、精度は関係ない」 と説かれていた。たもそも基本的は、その通りだと思う。しかし、この素晴らしい安定性を示すクロックを精度の点からもう一度見てみると、一定のペースで周波数が上昇していることが分かる。音楽的に考えれば、ピッチが徐々に上がっていくことになる。それで良い音なのだろうか? ここに標準偏差の盲点がありそうだ。


G-03X ルビジウム外部リファレンス同期による 44.1MHz WordClock計測
ESOTERIC G-03X


今度はルビジウムクロックを同期させて計測してみた。G-03Xの上に載っているのが自作ルビジウムクロック。そして、
右手は安定性(Allan Jitter)である。006というのは、SD=6マイクロHzを示している。

こちらが計測結果、左手が平均誤差のプロットで内蔵OCXOで計測したものよりもスケールが拡大(5マイクロHz/div)
している。ルビジウムクロックを起動した時点から計測しているので、立ち上がりは誤差が大きいがロックしてしばらくする
と、+/- 2マイクロHzという素晴らしい精度に到達する。これでおよそ 4.5x10E-11である。そして、右手は安定性(Allan
Jitter)である。スケールは内蔵OCXOと同じである。見て分かる通り安定性は若干落ちている。 SD=9マイクロHz程度
と読み取れるが、これでは内蔵水晶の時よりも劣化していることになる。もちろん、エージングによって改善する可能性
はあるかもしれない。


こちらは、普段聴いているルビジウムクロック同期による G-03Xの計測結果である。精度は申し分ない。ルビジウムクロックの定格精度が1x10E-11であるから、 WordClockレベルで 4.5x10E-11というのは既に限界だろう。起動からこの精度に到達するのに20分もあれば十分である。ところが、安定性(Allan Jitter)を見ると少々落胆する。精度が圧倒的に良くなっているのに安定性は若干劣化していたのである。

もちろん、これでも十分高い安定性を持つクロックなのだが、内蔵水晶に負けるというのがちょっと悔しいのだ。これは、一体どうしてなのだろうか? これが、たもそを悩ませるマスタークロックの謎なのである。

なお、試聴による比較では、明らかに外部ルビジウムを同期させた方が音に締りが出て、解像度、立体感と全ての面で向上する。これは、何度やっても同じなので ルビジウムクロック無しで聴くということは殆んどない。



投稿日付: 2009年 8月31日
タイトル: プロ用マスタークロックジェネレーター dCS992-2 の謎 (試聴編)

さて、類稀なき経緯を辿ってようやく稼動可能となった dCS 992-2を試聴することにした。なお、ここまでに既に幾つかの計測と実験を行なっており、その結果、非常に期待出来る設定が見付けられたので、これを確認するために直ちにインストールしたものである。この実験や設定ついては、暫らく後に明らかにしていきたい。


dCS 992-2 Elgar 974
dCS 992-2
G-03Xと入替わりでインストールされた dCS 992-2。これで、デジタル系
は殆んどdCSに独占されてしまったことになる。G-0sも早く聴きたい
のだが最上段は高さが足りない。そうなると大幅なレイアウト変更が
必要になるので、当分はこのラインナップで聴くことになるだろう。


マスタークロックの定位置は現在ラックの最上段となっており、ここに 992-2をインストールした。その上の天板部にはルビジウム・クロックが設置されており、やや長めのテフロン同軸で10MHzリファレンスクロックを送っている。992-2からは、SACDトラポの Verdi Encore、DACの Elgar Plus、DDCの 974、そして、PCオーディオデバイスの Digifaceの4系統にWordClockを送り出している。今や同期機器は4台もあるのだ。

クロックマスターは Elgar Plusだけで、他は全てスレーブとして動作している。dCS機ではDSDモードでクロック同期させるには 44.1KHzしか選べないので、今回は全て 44.1KHzのWordClockを送り出している。メインは Digiface = 974 = Elgar Plus の構成である。ここで、Purcell 1394を使わないところが非常に重要だ。もしかしたら、DAコンバーターも民生機の Elgar Plusよりも、954-2955の方が良いのかもしれない。ディスコン機の方がお勧めだったりするのがオーディオの不思議なところである。

ラックに設置した 992-2にはルビジウム・クロックのリファレンスを送る。もちろん一発同期で気分良し。水晶発振器は、通電して3日くらいはエージンしないと本領発揮とはならないが、待つのももどかしく2時間ほどで音出ししてしまおう。

ム、深い、奥行き間が出ている。音の品位は G-03Xと大きく変わらない、というか、もうこれ以上良くはなりそうもない。しかし、比較するとウォーム感と奥行きの深さを感じ取れる。これはクロック精度やジッターレベルの差というよりは、キャラクターの差のようにも思われる。G-03Xの方がもっとシャープで高解像度だったと思う。

フムフム、クロックは奥が深いのぅ。



投稿日付: 2009年 8月28日
タイトル: プロ用マスタークロックジェネレーター dCS992-2 の謎 (因縁編)

えにしとは恐ろしいものである。邂逅編まで記して忘れたはずのアイツが帰ってきたのだ、その名は dCS 992-2である。

帰ってきた! dCS 992-2

画像は初めにテストベンチに乗った頃の物を再掲。

今年初めの頃、たもそが購入したこの 992-2は、外部クロック同期不具合(原因は不正改造による)で返品された。その後、某修理店によって一旦は修理されたものの、販売店からは外部同期については動作未確認で保証できないと宣告されたため、たもそは引取りをあきらめた、といういわく付きの機体である。

その後、この制約条件付きで再度販売されて無事にどなたかの手に渡ったハズだったのだが、どういう訳か又店頭に並んだのである。たもそには馴染みのある機体であるから直ぐに気付いた。そして経緯を尋ねてみると、販売先から使いこなせないということで戻ってきてしまったという。フーム、どうしたものだ。

依然として外部同期は未確認だということで微妙ではあったが、既にこの件でやり取りしている店員さんは、もういわくつき過ぎなので値段はどうにでもするというので、こちらの言い値で買い取らせてもらった。どちらが店だか分からないやり取りであった。ということで、件の dCS 992-2が、又たもその元に戻ってきたのである。(^^
これを因縁と呼ばずにはいられない。

届いたところで、さっそく動作チェックである。通常の動作は中古保証付きだが、もちろん問題はない。相変わらず本体だけでは使い難い機械だ。たもそが手放した時の設定は全てクリアされていた。さて、続いて手元の GPSDO(HP Z3805A)を外部接続してみる。これは返品前でも同期できていたので、これが通れば改悪はなかったことになる。どうだ?

【b 10nn】

キタッ!GPSでの同期は維持されている。良い感じだ。

そして今度は、たもそのルビジウム クロックを予め暖機しておいてから、外部同期BNC端子に繋いでみた。どーよ?

【b 10nn】

ウォッ! キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
一発でルビジウム クロックと同期確立したのだ。

某修理店の腕は確かだったのだ。そして、一旦は返品、販売されたのに ・・・・・ 又、たもその元に戻ってきたのだ。
これをえにしと呼ばずに何と ・・・

しかも、相当お安くなって再ゲットできた。



投稿日付: 2009年 8月24日
タイトル: ESOTERIC G-0s ルビジウム マスタークロック (基板端子直結入力)

前回の計測に比べて、今回は一段と深堀りした実験である。だんだんフツーではなくなるのだ。

既に紹介した通り、G-0sの内部基板上にはたくさんのBNC端子が付いており、いろいろ無駄な信号が出入りしている。電源周りについても同様で不要な回路に電源が供給されているが、ピュアな観点ではこれらはなるべく切り離したい。そこで、ターミナルで接続されている端子をドンドン切り離して、必要な回路だけが動作するようにいじってみた。もちろん、この段階では完全な復元性を維持しており改造ではない。

先年、ダイナミックオーディオの店長もここに手を入れたようだが、全くこの基板を見ていると要らないものが沢山繋がっているので、ついつい取り外したくなるのだ。まず、内部 Xtal関連の信号線と電源、それから、特殊な100KHzクロック線、更にたもその場合は、内部Rbの信号線と電源回路も切り離してしまった。これでは、もはや G-0sではなく、只の G-0である。(^^;;
もちろん、取り外したケーブル類は復元性を維持するためにラベルやマーキングを施しておく。

ここで一番問題となるのは、内部端子に接続するためには、天板を開けておかねばならないことである。今回は実験段階なので、あまり気にせず天板を開けたまま、ないしは半開きの状態で計測を行なった。


G-0s 内部基板端子にGPSDOクロックを直接入力
初めは常時通電されているGPSDOの10MHz信号を入れてみる。天板はオープンのまま、メイン基板のEXT端子に直結
してやった。これで、内部の同軸ケーブルを1段パス出来るのでピュア度UPである。初めから、メイン基板上にEXT端子を
設けてくれれば良さそうなものだが、G-0sは本来、外部マスターを必要とはしない機材なので仕方がない。

前回とほぼ同じ条件で計測した88.2KHz WordClockのプロットチャートである。平均誤差(MEAN)はより少々改善した。
一方、安定性(AllanJiiter)の方は、殆んど変わらないが少なくとも悪化はしていないようだ。ワイヤリングの程度では
あまり影響はないのだろうか。



まずは、GPSDOから。
結果は画像のキャプションの通りである。殆んど変化はないようだ。もちろん、絶対的な水準は精度、安定性とも抜群で、これ以上改善しようがないWordClock信号である。


G-0s 内部基板端子に外部ルビジウムクロックを直接入力
今後は外部ルビジウムの10MHzを繋いでやる。天板を少し開けたポジションで設置してみた。画像では天板が本体手前
に庇のように出ている。天板の隙間は右画像の通り、同様にExt端子に接続した。

結果はこの通り、精度はなぜか外部Rbが一番良い。+/- 1μHzのレンジは殆んど計測限界である。一方、安定性の方は
前回よりも僅かに改善傾向が見られた。平均でσ= 5μHzというのは、内蔵Rbと同等であり、精度も合わせれば外部Rb
が一番ということにはなる。但し、計測限界領域での微少な差は有意な格差と捉えると間違えであり、3つのリファレンス
クロックはほぼ同等と判断して良いだろう。


ある程度、内部基板端子への直結による計測結果の改善に期待していたのだが、残念ながらその差は僅かで、計測の度に変わるような微少な差しかなかった。これ以上、WordClockレベルで改善させることは難しいのだろう。

さて、計測はこの辺で一旦切上げて、肝心の G-0sの音を聴いてみたいのだが、実はまたまた別の機材が入ってきてしまい、試聴は又先送りになりそうな気配である。その内、落着いたら試聴レポートも行う予定なので、お待ち願いたい。



投稿日付: 2009年 8月14日
タイトル: ESOTERIC G-0s ルビジウム マスタークロック (内部Rbと外部入力計測)

今回は、G-0sを普通に計測した結果である。どこが普通なのかはおいおい分かるだろう。(^^

計測対象は、88.2KHz WordCLockで Aチャンネルのみ出力して ユニバーサルカウンター SR620で計測した。3つのタイムベースを使った計測結果をレポートするが、それぞれ、G-0s内蔵Rb外部ルビジウムクロック (たもそ謹製)外部GPSDO(HP Z3805A)である。外部タイムベースは本体リアパネルのExt Inに接続して計測した。G-0sは事前に24時間以上通電しており、ルビジウムクロックは30分ほどの暖機、GPSDOは常時通電である。

計測は接続後、直ぐに計測を始めているので、精度が徐々に上がった結果もあるなど少々マチマチである。プロットチャートは、1secゲート、50回計測を一試行としている。計測結果は、平均誤差(MEAN)も安定性(JITTER)とも最少単位(1μHz)まで表示されているが、分解能の限界まできているので、数値の大小を比較することはあまり意味がないことをお断りしておく。例えば、JITTERでσ=2μHzと 4μHzでは内部誤差程度の差でしかない。1桁違って初めて優位な差と考えるべきである。


G-0s 内蔵Rbモードによる 88.2KHz WordClock計測
こちらは内蔵Rb(PRS10)での計測結果である。平均誤差が50μHzというのは、誤差およそ 6x10E-10となり、残念ながら
定格は満たさない。勿論、これは経年ドリフトなので再校正を掛ければ十分定格精度に復帰させることは可能だろう。
平均誤差(MEAN)のグラフから十分収束していることは確認できる。一方の安定性(AllanJitter)のチャートを見ると、
なかなか良好な結果であった。およそ σ=5μHzというのは、5.7x10E-11となり、素晴らしい安定性を見せる。

一般的には、タイムベース(精度を上げる為の10MHz発振器)に比べて、出力されるWordClockは、精度、安定性ともに
一桁くらい劣化するのが普通なので、G-0sのPLL回路はかなり優秀だと思われる。



G-0s 外部Rbクロックによる 88.2KHz WordClock計測
続いて、こちらは外部接続したルビジウムクロックに同期させたものである。予め精度を追い込んだルビジウムクロックは
起動から10分もあれば圧倒的な精度に到達する。代表値(Typical)の誤差は計測限界以下。平均誤差(MEAN)のチャート
でも概ね +/- 1μHzに収まる。安定性も優秀で、Jitterチャートからおよそσ=6μHzと読み取れる。

内蔵Rbとの違いに触れておくと、モジュールのスペックは同等で、外部ルビジウムの方は電源が完全に独立している。
一方、ケーブル引き廻しはかなり不利である。ルビジウムクロックと G-0sの間と G-0s内の基板までの2つのケーブルが
あるので内蔵Rbの方が有利だろう。



G-0s 外部GPSDOによる 88.2KHz WordClock計測
最後に、外部タイムベースとしてGPSDOを接続したものをご覧頂こう。左上画像が HP Z3805Aである。平均精度がやや
悪く見えるが、これは事前に計測器の内部誤差をキャンセルする為の補正を行なう前なので参考程度に見て頂きたい。
一方、安定性(AllanJitter)の方は、流石に優秀で内蔵Rbと同等であった。




今回は、入庫後の G-0s単体での計測と兼ねて行なったので、計測条件などは厳密に合わせていない、まぁ、軽く測った結果とお考え頂きたい。この結果から言えることは、G-0sは、内部Rbでも外部リファレンス接続でも非常に優れたクロック安定性が確認され、WordClockを生成するPLL回路が非常に優秀なことである。コストの掛け方を考えれば、ある意味当然とも言えるのだが、初代機において既に十分成熟した機器であったと考えて良さそうだ。

であれば、直ぐにその音を聴いてみたいものだが、残念ながらしばらく試聴は先になりそうである。というのも、この筐体は現用の G-03Xと比べて高さがあり、そのまま入れ換えることが出来ないのだ。かなり大規模なレイアウト変更をしないと、G-0sはシステムにインストール出来そうもないので、しばらく試聴はお預けとなりそうだ。

続いて今度は、天板を開けて直接メイン基板に外部クロックを注入して計測したみたい。また、不要な水晶発振器回路や100KHzクロックの配線は切り離して、よりピュアなセッティングで計測してみる積りである。



投稿日付: 2009年 8月 7日
タイトル: ESOTERIC G-0s ルビジウム マスタークロック (導入編)

例の dCS 992-2不正改造事件の後も、マスタークロックを手に入れようと探していた。それは、現用機の G-03Xをいろいろいじるために、交代要員として必要だからである。一度 992-2が出てきたが、これは速攻でさらわれてしまったが、後で聞いたら知人だった。世の中が狭いのだ。一級のマニアと呼べるその方とは、以前からメールでやり取りさせて頂いているが、G-0も結構面白そうだということで G-0も探していたのだが、全然出てこない。

そんな時に、G-0sが出てきた。コイツも既にディスコンだが ESOTERICに頼めば最新の G-0Rbにアップグレード出来るので、あまり出回らないモデルである。値段は意外にお安いことが分かったのでゲットさせて頂いた。思惑外の買い物ではあったが、そもそもこの G-0sの出現こそがルビジウム発振器をオーディオに持ち込んだパイオニアなのである、先祖返りの趣きもあって万感である。

しかし、それだけではなかった。G-0sは初代であるが既に完成されていたようなのである。そして、例によって ESOTERIC社の設計思想が実に深いことにまた気付かされたのであった。とても一回では報告できそうもないので、何回かに分けてレポートしていきたい。


ESOTERIC G-0s
ESOTERIC G-0s
恒例の入庫時の記念撮影。大きめの解像度で保存しておくと意外と後で
役に立つことが多い。G-0sのフロントパネルは既に枯れた感が強いが、
イングレーブされた大きなロゴは押し出しがつおい。
ESOTERIC G-0s
こちらはG-0s リアパネルで、パッと見では素G-0とは見分けがつき難い。
3系統各2出力のワードクロックは他のモデルとも共通の仕様。

ESOTERIC G-0s
リアパネルのアップ画像。全ては10MHzに行き着くのか?
ルビジウム発振器を搭載したG-0sに何故、外部10MHz入力端子が必要
なのか疑問ではある。


今回の機体は個人ユーザーから直に譲られたので、付属品、元箱は完備されており元箱は三重梱包箱であった。外観画像はやや今更感アリだが入庫時記念撮影をアップした。ここでの観察ポイントはリアパネルの外部10MHz入力端子だろうか。初代では外部10MHzの負荷インピーダンスは75オーム仕様だったと思うが、BNC端子も75オームになっている。内部基板の同軸端子も75オーム系で統一されていたが、果たして、内蔵ルビジウム発振器 SRS PRS10は本当に75オーム仕様だったのであろうか?

また、初代機 G-0sは姉妹機の G-0と同時発売となったのだが、リアパネルには外部10MHz入力端子を備えている。(3枚目画像参照)
これがやはり謎である。G-0については、精度も低いし外部タイムベースを接続する可能性はあるかもしれない。しかしそれとて、G-0sへのアップグレード・パスが用意されているのだから、本来必要性は乏しい。

ましてや、G-0sである。こっちは世界初のオーディオ用原子時計内蔵マスタークロックとして登場したのである。発売時点で最高水準の精度を持つと謳われた機器に外部10MHz端子は違和感アリだ。商品説明上では、セシウムクロックなどの上位タイムベースの接続などに使用するとある。しかし、個人でセシウムクロックを運用することは相当難しい。考えられることは、G-0s用にESOTERIC製セシウムクロックの発売が計画されていたのかもしれない。或いは、GPSDOか・・・。しかしその後、それらしい機器は発売されていない。

しかし、この外部入力端子は、たもそには非常に関心をそそるのである。G-0を探していたのは、もちろん同じ理由である。

続いて、G-0sにはたもそのテストベンチに乗って頂いて、いろいろ計測などやってみようと思う。


ESOTERIC G-0s テストベンチまな板
ESOTERIC G-0s
いつものテストベンチ(作業台)に乗せられたG-0sクン。ちょっと迷惑そうな
表情ではある。ワードクロックは全て88.2KHzで計測した。

ESOTERIC G-0s
動作チェックしたら、直ぐに天板オープン。開ければG-0との違いは明確に
なる。電源トランス、電源部とメイン基板、Rb発振器と3つのセクションに
区切られた内部はG-25UやG-03Xに比べて物量投入されている。
肝心のSRS社 PRS10モジュールは右セクションの下に隠れている。これ
では少し放熱性が悪いように見える。

ESOTERIC G-0s
メイン基板のアップ。中央下部に3つ並んだXtalが原発となる、44.1KHz、
48KHz、100KHzの発振器。一番上に並ぶ6つの金色端子はWordClock
出力端子である。上部右寄りの基板に直付けされたBNC端子は内蔵
10MHz水晶、内蔵10MHzルビジウム、外部10MHzの入力端子である。
この3つの端子は外部接続端子から短いBNCケーブルを介して接続する
構造で計測器の世界ではコンベンショナルな設計だが・・・。

まずは、動作チェックのためにテストベンチに乗ってもらった。計測は全てWordClock 88.2KHzで行なった。単体で内蔵ルビジウム・モードで計測したところ問題なし。クロック波形は G-03Xには及ばなかったが、まずまずであった。入庫時の動作チェックはこれで終了である。

続いて、天板を開けて内部をチェックする。上の2枚目画像が G-0sの内部全景で、3つのセクションに区切られており、左が電源トランス、中央手前が電源回路、中央奥がメイン基板、右がルビジウム発振器及び水晶発振器である。G-25UG-03Xと比べると明らかに物量が投入されている。電源トランスはかなりの大きさでオーバースペックだろう。電源基板も大型でゆとりのある構成である。メイン基板には原発となる、44.1KHz、48KHz、100KHz各系列の水晶発振器が搭載されている。これ自体もパッケージは大型で良さそうだ。

メイン基板の終端はクロック出力用のBNC端子が直付けになっており、無駄のないレイアウトである。一方、その周囲には幾つかのBNC端子が上向きで基板に直付けされており、全てBNCケーブルが接続されている。このうちの左寄りの2つは、100KHz出力クロックの引出し線になっている。一方、3つ並んだBNC端子は受けになっており、右側のセクションから内蔵Rb(PRS10)、内蔵水晶、外部入力端子に接続されている。このような配線手法は、まさに計測器のそれであり、オーディオ機器では珍しい。

計測器が内部で同軸コネクタを使って配線されているのは、容易に設計変更できることや、スペックの異なるモデルで部品を共通化するのに便利なためである。G-0sも姉妹機 G-0や後継機 G-0Rbがあるので、それなりに意義はありそうだが・・・ちょっと不思議ではある。

2枚目画像に戻って、右側セクションを覗くと小さい基板が見えるが、これは内蔵10MHz 水晶発振器である。G-0sではフロントパネルのスイッチで、内蔵Rb、内蔵水晶、外部入力を切り換えることが出来る。しかし、この内蔵10MHz水晶はかなりショボイ。大きさからしてメイン基板の原発水晶よりも小さいパッケージで頼りない感じだ。恐らく、世界発のルビジウム発振器の効果を確認するために、わざわざ当て馬として搭載された悲劇の水晶と言えるだろう。余りにも無意味だった為か、G-0Rbでは取り外されたしまったのも頷ける。

観察はこれくらいで良いだろう。続いて、幾つかの計測を行なった。
つまり、G-0s内蔵Rb外部接続された10MHzクロックの計測比較するというのが目的なのである。

更に幾つか調べた結果、この G-0sの類稀な設計思想がもたらす恩恵によって、複数の外部クロックをホットチェンジ(通電したまま)で切換え試聴が可能なことが確認されたのである。これは素晴らしい実験マシンだったのだ。

つづく





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