家電品に使われているリモコンのテスター作成

来店で持ち込まれるリモコン不調のほとんどは電池の消耗です。電池を入れ替え携帯電話のカメラ
でLEDの点滅を見せて動作確認をしていますが、これを認識できないご高齢者もいらっしゃいます。
そこで、リモコンテスターを作ることにしました。

IR受光器   リモコン操作ができる家電品本体に左画像のような受光
  ユニットが付いているのでこれを使います。3本足は各々
  電源/グランド/出力 です。基板から外す前にパターンを
  追って判断しました。電源のパスコンから追うとみつけや
  すいと思います。電源に数100Ω、出力には数KΩ抵抗
  が直列に入っていることもあります。

  リモコンテスター配線図   リモコンテスター配線図
受光ユニットは廃棄CSチューナーから、トランジスタは手元にあった物、電子ブザーはこれも廃棄
炊飯器基板に付いていた発信機内蔵品です。OUTPUT端子は後述する"いたずら"に使います。
リモコンを向けると、小鳥のさえずりのように「ピッピッ」とブザーが鳴りLEDが点滅するのでtwitter
のロゴに似せた絵を描いてケースに収めました。小鳥の目が受光部で赤色LEDを木の実に見立て
ました。 −これで、リモコンテスターとしては完了−

リモコンのソフトウェア−はどのようになっているのだろう?

HUTABA HOMEさんのページを参考にしました、 内容の充実した、しかも進化を続けている素晴ら
しいページです。
 私も家電品リモコンで実現したいことがあるので上記を教科書にして自分なりに調べてみました。
お手本をなぞってみることで知識や技術が身につくことを今までの経験で実感しています。
 手始めに、出力波形を観たくとも手持ちの旧型のオシロスコープでは同期がとれず観ることがで
きませんが、Windowsパソコンはそれに適したソフトウェア−と組み合わせで測定器として便利に
使うことができます。波形を観るためにフリーソフトウェア−の audacity を使いました。テスターの
OUTPUTをパソコンのMic端子に繋ぎ、受信データを「audacity」でオーディオ信号として記録します。

リモコン波形広範囲   
  下画像は、右画像最初の青い帯の箇所を拡大したところ、
  帯に続くとげとげが「ピッピッ」音になります。

リモコン波形拡大

HUTABAさんのページによるとリモコン通信フォーマットは、リーダー信号 → データ信号 →
ストップ信号の順で送信され、リーダー部は9m秒の点灯4.5m秒の消灯。上画像左端の濃灰色
帯のリーダー部点灯時間は9msecで時間も合っています。次にデーター部を読むと 0000 1010
16進だと0A、次の 1111 0101 は前の8ビットの逆、ここまでがメーカーを決めるカスタムコード。
続く 1110 1000 は16進だとE8、最後の8ビット 0001 0111 は先ほど同様の逆数、ここがデータ部
つまり、メーカーコードは"0A"「日立」、送信データは"E8"「電源」と読めます。その後ずっと続く
ひげの部分はストップ信号です。日立のテレビ用リモコンの電源ボタンを押してのテストでしたか
ら各コードは当然の値ですが、やはり解読できるとうれしいものです。       2013/03

リモコンのハードウェア−はどのようになっているのだろう?

リモコンは照明などから出ている赤外線で誤動作を防ぐために、38KHzで変調しています。
リモコン回路の試作   左画像の回路をブレッドボードに組んで確認してみまし
  た。リモコン テスターで出力を確認するために
  LED点滅が必要なので、左のTimer555でおよそ3.2KHz
  の矩形波を作り、右の555の38KHz発振を断続させます。
  配線図のCRだとおよそ36KHzでしたが、データの受信は
  できました。

リモコン波形   オシロスコープで観た赤外線LEDに掛かる波形です。
  実際のリモコンデータと異なり一定周期なのでオシロの
  同期がかかり波形をみることが出来ます。
  周波数は周波数シンセサイザー出力をオシロの2chに
  入れてゼロビート法で測定しました。

  RA:10kΩ RB:11kΩ C:0.001μF ≒ 38kHz
  

リモコン信号を電波で飛ばしてみた。

  赤外線リモコン送受信   赤外線リモコン送信機
微弱無線モジュールを使ってリモコンのデータを電波で 飛ばして受信したデータを赤外線で再び
送信する試みです。仕組みは単純、上記リモコンテスターの出力を送信モジュールに入力、受
信モジュールの出力をこれも上記、38KHz変調動作確認をしたTimer555のReset端子とつなぎ
赤外線LEDをドライブします。右画像は電波を受信して赤外線を出力する送受信機、2本の角の
(グニャグニャ曲がるストローを利用)先に赤外線LEDを付け、信号が来るとストローの内部で
オレンジLEDが淡く点滅と、ちょっと「オサレ」に作ってみたけれど…

リモコンデータ波形  上:
 リモコンデータ直接

 下:
 通信モジュール経由

 モジュール経由では
 ノイズが混入して
 ビット部分が膨らみ
 波形の切れが悪く
 なっています。

 所謂「エッジが立
 っていない」状態 

リーダー信号が9msecのテレビ(日立)等なら使えますが、リモコンのリーダー信号が4msecで音
の上下のような操作時に同じデータを繰り返し送信する場合(シャープテレビ)や、送信データが多
い(照明器具リモコン)は、混入ノイズのため動作が不安定であったり不感になりました。
下画像はシャープのテレビリモコン 青ボタンを押したときのモジュール経由の波形で、ビット間
にノイズが入り、繋がってしまっている箇所もあります。

シャープテレビ リモコン波形

受信モジュールが315MHzなので一部自動車メーカーのキーレスエントリー波形も…   2013/04/15