take-m©2006 Shinji Murakami

収穫後の手入れ


葡萄の根元部分の様子・・・
左端と右上に僅かに見える葉はイタリアンパセリ
葡萄が殆どの栄養を吸収するためか
雑草があまり生えなくなった。パセリも元気が今ひとつ・・・
©2006 Shinji Murakami

4〜5日おきに様子を見て
2次伸長する枝の先端を摘心する
©2006 Shinji Murakami

2006年8月2日食害の犯人を発見し、逮捕。
©2006 Shinji Murakam

参考にしている資料
NHK 趣味の園芸 よくわかる栽培12か月
                 ブドウ 芦川孝三郎 著
ブドウの作業便利帳 高橋国昭 著 農文協
家庭で作れるやさしいブドウ品種 植原葡萄研究所

一年目の葡萄栽培


take-m©2006 Shinji Murakami

マスカットベーリーA (Muscat Bailey A)庭植え栽培の実際

2005年 2006年
1 今年こそ葡萄を始めると決意! 今年の秋は我家の葡萄を食すと決意!
2
上旬に(大した量ではないが)粗皮はぎを行う。
下旬に弱剪定を行う。
主枝は東、亜主枝は西の、一文字仕立てを一
応の方針とするが、主枝からの側枝の出方に
よっては、小さな棚仕立て(変則的は自然形仕
立て)になるかもしれない。つまり何でもありの
成り行きまかせということ。しかし、狭い庭なの
でコンパクトに仕立てなければならない。
3 植原葡萄研究所(山梨県甲府市善光寺)で、選
抜マスカットベーリーA(M.T.C組織培養苗 上等)
を一本購入。
(苗の予約無しでいきなり伺ったが、
本当は前年秋に予約した方が確実に欲しい品種
が入手出来る)
下旬に庭植え(植原葡萄研究所でいただいた説
明書に従う)
環境は日当たり良好で、ルッコラやイタリアンパ
セリ、ノコンギクが増殖していた所を整理して葡
萄を植える。腐葉土と油粕、苦土石灰を使用し、
土壌消毒は無し。

地上1.5mの支柱を立てる。
とりあえず、本年は棒仕立てと方針を決める。
上旬、石灰硫黄合剤(×20)+ベンレート(×
500)+ダインを、刷毛塗り。

中旬〜 芽がふくらみ始める。
下旬に発芽。
4 上旬に芽がふくらみ始める。大きい3芽を残して
芽かき
し、しばらく様子を見ることにする。
下旬の雨で葉に病害の兆候(黒痘病と見られる
小さな点が数箇所)があり、ベンレート(×1000)
散布。

 芽かき前の状態
上旬に、参考書の記述よりも弱い芽かきを行
う。
葡萄の新芽は強烈に美しく、見とれる。
新梢の伸び具合を見ながら(展葉5〜10枚)主
幹を除いて順次摘心する方針。
下旬に花穂が大きくなってくる。
昨年と違って今のところ薬剤散布無し。このま
ま無農薬で栽培したいところだが、まず無理だ
と思われる。いかにタイミングを選んで回数を減
らすかということだ。
5 新梢は良好に生育。
4月の芽かきで残した3芽のうちの一番弱い(とい
っても結構伸びは強い)ものを摘心し、2芽に成長
を集中させる方針。
下旬の雨後、病害の兆候(黒痘病)が見られたの
で、再度ベンレート(×1000)+ダイン(展着剤)散
布。

 上から見下ろした先端部
上旬、花穂の整理。2年目の収穫を見送って、
木本体の生育を促す方針もあるようなので、3つ
の花穂を残す。
新梢は良好かつ美しく生育。
雨が多く、病害の発生が懸念されるが、昨年よ
りも木がしっかりとしたためか、問題なく経過す
る。
スペースの制約から、1本の主枝と亜主枝2本
以外の枝は、展葉10枚の時点で摘心して様子
を見ることにする。
中旬になると、さすがに病害の兆候が見られた
ので、ベンレート(×1000)+ダイン(展着剤)散
布。

支柱を簡便な棚仕立てに変更。
雨が多い。
花穂の切込みで、副穂と二次花穂を除去する。
(5/19)
枝の誘引作業を5日おき程のペースで行う。
散布したベンレートの効果は絶大!(5月28日)
脇芽が伸び始める。
5月19日撮影
6 梅雨入りと同時に梢の成長がほとんど止まり、見
るからに葡萄は環境変化にあえいでいるか、困
惑している。
ビスダイセン(×1000)+ダイン散布。
中旬に、突風で主幹と考えていた先端成長部分
を失う事故発生。HB-101土壌散布で乗り切りを
願う。
2芽部分の梢は60cm程で非常にゆっくりと伸びて
いる。
風除けにトレリスを設置。
6月1日までに狭い庭の事情から、結果的に全
ての先端部を摘心することとなった。
前日まで2〜3日、晴れて暑かった。6月1日夕
方、開花を確認する。(午前中はまだ開花して
いなかった)
このところ雨が降らずに順調な生育。開花は穂
の先端部に向かって進む。6月4日開花直前の
房先を切詰めることにする。
10日から、病気発生の兆候がある葉を、見つけ
次第数枚ずつ切り取る。
花はほぼ終る。
副芽が伸び始めている。来年の仕立て方を考
慮して、伸ばす枝と摘心する枝とを分け始め
る。
18日から摘粒を始める。まずこの時点で軽く触
っても落ちる粒は全て落とし、明らかに密生して
いる所を間引く。
19日虫による葉の食害発生。手作業で虫を駆
除する。
20日虫の糞がまだ落ちているので探すが発見
出来ず、薬剤使用を考えるが、この虫の発生は
一時と見て、殺虫剤は使用しないで様子を見る
ことにした。
昨年の状況と違い、雨が降っても曇りが続いて
も、枝は確実に毎日伸び続けている。植え付け
2年目で、木に体力があるようだ。
22日虫を5匹発見し、手作業で駆除。粒が急速
に大きくなってくる。追加で摘粒し、袋がけのタ
イミングを考え始める。
雨が多く、湿度が高いので、一枚の葉にうどん
こ病の兆候?を発見し、その葉を切除する。街
中のハナミズキは軒並みうどんこ病にやられ、
アジサイでさえ、怪しい病気の兆候がみられる
株があるくらいなので、いよいよ葡萄の枝の伸
びが止まった。
24日久しぶりの天気で空気もさわやかとなり、
急に枝が伸びる。
ヒヨドリが小豆大の大きさになった実に関心を
示しているので、30日夕方、袋がけをする。袋
をかける前に最後の摘粒を行って写真用のブ
ロワーで軽く吹いておいた。
7 上旬、失った先端部から発芽し、急激に成長を
始めるが、太い梢と大きな葉で強すぎる。摘心は
せず、追肥もしない。
カメムシ被害のため、止む無くアディオン(×
2000)散布。

地上2m強の支柱に変更。
6日に誘引、摘心を行いながら、病害の兆候と
思われる枝1本を先端部から4段目まで剪定す
る。巻きヒゲは全てカットしている。虫による食
害はほぼ止まった。
毎週末に摘心を行うが、かなり樹勢が強いと思
われる。
20日ウドンコ病の兆候と思われる葉を3枚切り、
長大になりつつある西側に伸びる枝1本を先端
部から5段目まで剪定する。これ以上伸ばしても
風当たりの強い場所になる上、樹冠が大きくな
りすぎて庭に収まらなくなるため。脇芽から伸び
始めた枝の幾つかを摘心する。袋を外して果房
を点検し、日焼け果を2粒見つけたので切り取
る。「袋をかけると日光が当たって袋内の温度
が急上昇することがあり・・・果房上部の果粒が
煮えたぎったような状態になることがある・・・」と
本にあったので、日焼け果は懸念していて、袋
がけをもう少し遅らせたかった。しかし、ヒヨドリ
が毎朝果房を観察している様子を見ていたの
で、突かれると困るので、早目に袋を掛けた。
新梢を果房上部に誘引して、日陰になるように
しつつあるのだが、今回は間に合わなかった。
22日、葉の一部に黒痘病と思われる本当に僅
かな兆候が見られたので、3枚を切り取り、その
葉の周辺部のみ、ベンレート(×1000)+ダイン
(展着剤)散布。
梅雨がなかなか明けないので
病気の発生に神経質になってくる。
26日果房上部が高温になることを避けるため
に、日除けを付ける。
28日ウドンコ病が発生。本には「トリフミン水和
剤×2000を散布」とある。散布すれば効果は明
らかだが、ヨモギ酢×500で葉面を洗い流すよう
に散布し、重症化しそうな葉5枚を切り捨てる。
ウドンコ病に対してのヨモギ酢の効用は表示さ
れていないので、数日観察して、場合によって
はトリフミン散布はやむを得ないかもしれない。
木酢を使わないのは臭いが好きではないから
だ。
8 事故を起した梢は衰えを知らずに伸び続ける。2
芽部分の梢は中旬に伸び止まる。
1日庭木に食害が見られ、食いちぎられた葡萄
の葉が一枚、芝の上に落ちていた。犯人は発
見出来ず。
2日食害の犯人を発見。
先月28日以降、一日おきに夕方ヨモギ酢を葉
面散布
している。3回散布後の結果、病気を発
症した内の7割程の葉が、治癒した。残りの葉
は改善しているが、4日現在完治はしていない。
散布というよりは、葉の表面を洗い流すような
やり方で、2回目からは×300で行っている。
2〜3日おきにヨモギ酢を散布。葉の表面と裏側
の両面に散布している。16日、一進一退の葉5
枚を切り捨てる。
週1度程度、袋を外して房の状態をチェックして
いるが、問題ない。色づき始めている。
25日ヨモギ酢散布効果がはっきりしないウドン
コ病の葉の切り捨てを続けた結果、枝一本が
葉無しになり、また、枝が込み入ったこともあ
り、この枝を剪定する。
27日あと一歩のところまで実は熟してきている
ことを確認する。
30日一房収穫する。朝食でいただき感動!
9 事故の梢、中旬に伸びが完全に止まる。 4日残りの2房も収穫。8/30収穫時よりも糖度が
上がっていた。ほぼ食べごろだった。
13日に2本先端を摘心し、以降伸びは完全に止
まった。木の若さと今期の伸長具合からお礼肥
は与えないこととし、HB-101の土壌散布を1回
行った。痛んだ葉を数枚切り取った。
10 2006年にもう一本苗を購入するかどうかを検討。
ソービニョンブランの鉢植えを、と考えたがベーリ
ーAの収穫を見てから再度検討することにして、
苗の予約を見送る。
中旬頃から少しずつ落葉が始まる。黄〜茶に
変化する葉と、まだ緑の美しい葉が混在する状
態で、その違いの原因は何処にあるのかと、観
察して分かることが一つある。ウドンコ病に冒さ
れて、完治せずにヨモギ酢散布で騙し続けた葉
は、その病変部分が枯れた状態になり、まだら
模様の葉となって落葉する。完治したように見
えた葉も、黄色〜茶へ変色が早い。健康だった
葉は、美しく緑を保っているということ。これは、
枝の元に付いている葉でも先端部の葉でも同様
の状態であること。
こんなところにダメージの影響が出るものなの
だと、落葉を片付けながら見ている。
11 下旬に落葉が始まり、落葉をまめに片付ける。 6日植原葡萄研究所に、ソービニョンブランの苗
木を予約する。たった1本のために研究所に出
かけた。電話でも良いのだろうが、とにかく出来
れば現地主義というローテク感性。善光寺の近
くなので、参拝も済ませた。帰路にルバイヤート
(丸藤葡萄酒工業)に立ち寄る。勝沼の葡萄畑
は紅葉の真っ最中。
12 支柱の強化。
栽培一年目は、とにかく樹幹を成長維持させるこ
としかないので、薬剤もしっかり利用した。葡萄の
おかげで農薬関係の知識も少し得られた。
11日ほぼ落葉するが、3枚程の葉が淡く黄色に
色づきつつも、結構しっかりと枝に付いている状
態。
18日植原葡萄研究所に、苗を受け取りに行く。
勝沼の葡萄畑は紅葉も終わり、剪定作業の終
った所、作業中の所など、様々に冬季作業が進
行中の風景。
19日我家のマスカットベーリーAも、冬季剪定を
行う。

マスカットベーリーAの栽培記録

 ワインのテロワールを楽しもうとすると、すぐに行き当たる問題があります。カベルネソービニョンを生食してみたい。その味や香りが発酵を経てどのようになっていくのか?ということです。
 しかし、日本国内でワイン用葡萄(欧州種)を育てることは容易ではありません。「マンズ・レインカット」などの栽培法を調べてみれば、いかに欧州種が雨に弱いかが分かります。マスカットベーリーA(欧米雑種)という、いくらか雨に耐えられる国内栽培に適した品種でも、梅雨時はハラハラします。
 まずは甲州葡萄をつまみに、甲州ワイン(私はルバイヤート)を飲んでみましょう。それだけでも葡萄品種とワインとの関係に「なるほど!」と感ずるものがありますが、葡萄そのものを享受するためには栽培するしかありません。全てはワインを興味深く楽しむための第一歩ということで葡萄栽培記録を公開していきます。御覧になる方の酒の楽しみにお役に立てればと思います。

栽培地が神奈川県西部で、暖地の点をご承知おきください。


葡萄栽培のいきさつ

 以前から葡萄を栽培してみようと思っていました。ワインの楽しみを深める目的もありますが、子供時代から特別な果物だったという思いの反映でしょう。
 人生はじめて山梨県の御坂に葡萄狩りへ行ったのは、近所の電気店のお得意様御一行の日帰りツアーでした。モノクロのテレビを買い換えたことによるツアーだったのですから昭和43年以前だと思います。現在では大型テレビや冷蔵庫を購入しても、こんなツアーに誘われることはまず無いでしょうから、今とは違った意味で楽しい時代だったのだなぁ・・・
 話が脱線しましたので戻します。その葡萄狩りへは母親と参加したので、近所の叔父さんに肩車をしてもらい、2〜3房を幼稚園児の私も収穫しました。間違いなくそれは「甲州種」でした。棚に下がった房は不思議な食べ物に思われ、以後、果物屋や八百屋の店先で葡萄を見るたびに、棚にたくさん下がった葡萄の図、を思い出して不思議な果物を食べるという感覚でした。今になってその頃の感覚を分析してみれば、みかんや梨のような身近な果物とは生り方が違いますし、外皮が硬い訳でもない葡萄が、不思議なものと映ったのでしょう。
 つまり、私にとって葡萄はちょっと特別な果物だったのです。

 いつか葡萄をこの手で育ててみるという夢は、いつの間にか忙殺されました。そして酒を飲むようになり、体力で飲む時代が過ぎ、量より質を求め、テースティングよりも「楽しみ」を求め始めた時に、「あっ!葡萄栽培の夢」と思い出した訳です。

 2003年秋、品種の選定に迷っているうちに気付けば年がかわり、春になっていました。「(私にとって)不思議な果物・・・甲州種」を育てるということも考えました。しかし、現在の環境に適した品種ではないように考えられました。(葡萄の系統について 参照)

 2004年夏、展覧会のセッティングと旅行を兼ねてドイツのアール・ワインの畑を見たときに決心を強くし、ワイン用品種の栽培も考えました。(本頁「Altenahrの葡萄畑」参照)しかし、私の果樹の栽培経験が柚子とユスラウメでは、明らかに経験不足です。妻の蔵書の果樹栽培の総合本のブドウを読んでいるだけで自信を失っていきました。地元の園芸センターやホームセンターの葡萄苗は巨峰やデラウエアが多く、しかも苗の品質に納得がいきません。こんな状況で栽培品種も定まらないうちに新年を向かえ、いよいよ切羽詰まってきたところで、意を決して甲府の植原葡萄研究所へ出掛け、苗を購入しました。
 植原葡萄研究所は、勿論私のような初心者の、しかも趣味の園芸で苗1本購入のような利の薄い客にも親切でした。それに、出荷待ちの様々な品種の苗についている札が興味深いのです。「カベルネ・ソービニョン」「メルロー」「シャルドネ」なんて書かれているのを見れば、ワイン好きならばもうたまらない気持ちになるはずです。芽吹く前の苗ですから、一見枯枝の束のようにも見えるものなんですが・・・

 そうして2006年、栽培2年目に入り、順調に経過すれば今秋は試験的に実らせる2〜3房を試食することが出来るかもしれません。
 疑問に思ったり、興味を持った物事については、違法でなく、他人様に多大な迷惑をかけることでなければ、そしてたくさんお金のかかることでなければ、とりあえず始めてみることを旨とする私です。

 始めてみれば様々なことが得られますし、始める以前と以後の私自身の「立つ場」というポジションの違いが興味深いものです。これは私の作品制作の大テーマでもあり、葡萄栽培と作品制作が相互に影響しあっているのです。それに「観察」は表現の問題でも基本となるものです。

房@ 8月30日収穫

右写真で粒の抜けた箇所は、青生り状態から
時々試食してきた跡だ。この房の状態を基準に
観察を続けてきた。山梨の葡萄園の情報や、参
考書の記述では、ベーリーAの収穫は9月中旬か
らというのが世間相場のようだが、当村上葡萄園
では8月末、早くも収穫期を迎え始めた。糖度はま
だ上がりそうだが、近所でのハクビシン被害もあ
ることから、まずは一房いただくことにした。
テースティング結果は、この木の新芽から、花
蕾、ツル等、あらゆる場面で試食してきた要素が
全て果粒に見出せるものであり、感慨深いものだ
った。
この2年間の、まさしく「成果」がこれである。
房A 9月4日収穫

8月30日収穫よりもぐっと糖度が増した。ほぼ売り
物に近い糖度に達しつつある状態。やや早目の
収穫なのだが、こちらの仕事の都合なども含めて
収穫となった。理想的にはあと3〜5日収穫を待て
ば、完璧と言える仕上がりになったのではないか
と予想できる状態。
房作りの密度も、だいたい問題がなかった様子。
来年への期待が高まる。
房B 9月4日収穫

房Aと同じタイミングでの収穫であり、開花以降
の状態では房Aの方が美形な展開を示していた
と思ったのだが、糖度はこの房Bが最も高く、こ
れは収穫適期であった。相当に甘い。
実家の父母にプレゼントする。一応元気だが高齢
なので、問題なく食せるうちに・・・ということで。
若い頃は園芸好きだった父は、
「葡萄は育てた経験が無いが、若ければやってみ
たいが、もう体力的にも気力的にも出来ない・・・」
と言っていた。

苗木から収穫まで、まずは一通りの結果を得るま
での経験が出来た。葡萄を作ってみたいという衝
動に始まり、勢いで始めてみたものの、かなりテク
ニカルな世界であることが見えてきて、またマニア
ックな世界に足を踏み入れてしまったかもしれな
い・・・とも思ったこともあった。ベーリーAは、比較
的栽培容易な品種で、初心者にも適していると聞
くが、ただ植えて水をやっていれば出来るという訳
ではないので、いくらか勉強が必要だった。それ
が作物をよく観察するきっかけにもなったと思う。
洋の東西に関わらず、葡萄は神話にも出てくる植
物であり、その姿からして特徴的な魅力を持って
いる。美術史にも関わる植物だからという訳では
ないが、宗教美術のある種の表現の鑑賞に対し
て、以前とは違った見方をしている自分に気付い
たとき、また一つ、実際の経験が「異化作用」を起
していると感じた。これが私流の表現スタンスの
一例であり、根の部分で作品制作と葡萄栽培は
交歓・交感関係にあるのだ。
©2006 Shinji Murakami
©2006 Shinji Murakami
©2006 Shinji Murakami
 ウドンコ病になった葉を、切り取っているうちに、枝1本が坊主になった。
 春、芽かきし忘れためところから伸びた枝を、試みに放任した結果、風邪通しが悪くなり、最もウドンコ病が発生した枝となった。ヨモギ酢の効果も最も薄い状態となった。台風時期を前に、この坊主になった枝を剪定して他の枝に干渉しないようにした。断面にトップジンMペーストを塗布したところが右の写真。 
 断面から定植後の成長状態が判断出来るはずだが、ものの本からの情報で判断すると、だいたいOKなのではないかと見ている。
 
 来年の葡萄の出来は収穫後の管理に影響されるらしく、まだ枝に残っている葉の光合成で、どれだけ養分を生産して貯蔵出来るかが重要だということだ。もっともな話だと思う。そこで、ボルドー液を散布せよという記載が参考書にある。私は、写真の現像液の調合の要領で、ボルドー液を調合しようかと考えたが、少々身体がバテ気味でやる気が起きない(毎年この時期は何等かの不調になるので・・・)そこで、JAに行ってサンボルドー(住化タケダ園芸)を購入した。パッケージを開けて中の解説文を読むと、「かんきつ及びぶどうに使用する場合は薬害の発生を防止するために炭酸カルシウム水和剤を加用・・・)と書かれている。
「なんだよそれ!」
である。ボルドー液自体が葡萄栽培のために歴史を重ねてきた最も古い農薬なのに、このパッケージ商品を溶解しただけでは使えないのだろうか?ならば、パッケージの外側にも明記しておいて欲しいものだ。もう一度JAに行くのが面倒ではないか。(ナニ、これはサンボルドーでボルドーではないって???)
 ということで、ボルドー散布を行わないで様子を見ている。蛾や蝶の産卵があったので、数匹の幼虫を捕まえたが、今秋の我家は、葡萄よりも柚子とブルーベリーに被害が集中した。
©2006 Shinji Murakami

つまみ食いの跡は、私の舌による糖度計測のためです。

2006年8月30日と9月4日に収穫した状態について

©2006 Shinji Murakami

根元の状態 台木との接木部分


葡萄の味

 2006年は、葡萄の新芽から摘粒まで、要所で味のチェックを行っている。葡萄独特の香味の由来を探り、しいてはワインになった時の香味の由来の手がかりを得たいという目的もこの葡萄栽培にはある。
 山梨県の勝沼にでも住んでいたのなら、葡萄園に出入りさせてもらって、たまに仕事など手伝わせてもらいながら探ることも出来たと思うが、私の地元には適当な葡萄園がない。伊勢原や二宮にも葡萄園はあることはあるのだが・・・庭で毎日観察することにした。
 芽かきした葡萄の新芽を、そのまま口に入れてみた。伸び始めて10p位の無用な新枝の先端部分を生食してみた。切ったツルを刻んでオリーブ油にゆっくりと香味を移し、パスタに仕上げた。5p程度の大きさの葉を一枚、ムシャムシャと食した。花芽も食べた。そして摘粒した実も勿論味見している。
 当たり前だが、全てが葡萄であり、何処を食べても葡萄の味がするのだ。熟した実から得られる香味の糖度以外は、特に芽には全て揃っていると感じた。
何?あたりまえだってぇ・・・
実際にやってみればものすごく感動するから!机上の論理じゃ分からない、この感動。案外こうした経験の積み重ねで、私が並のソムリエを超える日も近いかもしれない。まあ、別に張り合おうって気は無いけれど。

花穂©2006 Shinji Murakami

病害虫だけの問題ではなかった事件発生!

 ご近所で巨峰を栽培されている方が異常な食害にあってしまった。収穫の近づいた巨峰の実を、何者かが食べてしまったのだ。まるで人が食べたように、皮と種を出して、色づいた実だけが食べられた。鳥にしては食べ方が違い、猿が出たという情報もなく、まして人間が食べるならば房ごと持って行ってしまうだろう・・・ということで、犯人が推測できなかったが、ある方がハクビシンを目撃したという情報をくれた。
 後日、夜の10時頃帰宅途中に、私はその被害にあった巨峰の枝に、ハクビシンの姿を発見した。猫ほどの大きさのそいつは、私が威嚇してもなかなかその場を離れようとはしなかったが、10メートル程先の畑まで追いやった後、家に帰った。
翌日、巨峰を丹念に育てておられたご主人が腕組みして葡萄の木を見ておられたが、なんと、ほとんど全滅だということ。
その翌日、我家でも夜12時頃、外でガサッという音が聞こえ、不審に思って懐中電灯片手に外に出ると、ハクビシンの目が闇に光った。そいつは、外に仕掛けておいたゴキブリホイホイにかかったゴキブリを狙っていた。時間差で2回追い返して就寝は1時をまわった。
 その後、毎日10〜12時頃に警戒を示す意味でも懐中電灯の光を示しながら外回りをパトロールという状態。以後見かけないとはいえ、余計な仕事が増えてしまった。
 思えば、我家でも今春はユスラウメが随分と食べられたし、ブルーベリーもかなり食べられた。てっきり鳥だとばかり思っていたが、これもハクビシン被害だったのかもしれない。

巨峰食い逃げ犯


マスカットベーリーAの収穫

take-m©2006 Shinji Murakami

マスカット・ベーリーAの冬姿 左:剪定前 右:剪定後

剪定枝の断面

苗の入手先
(株)植原葡萄研究所
〒400-0806 山梨県甲府市善光寺1丁目12番2号
TEL 055−233−6009
FAX 055−233−6011

2006年 開花前後の詳細写真

2006年5月30日 ©2006 Shinji Murakami

2006年6月2日開花状態  ©2006 Shinji Murakami

2006年6月19日 ©2006 Shinji Murakami

2006年6月22日 虫による食害の一番ヒドイ葉の状態と、
発見した虫(イラガ類)
©2006 Shinji Murakami

2006年6月下旬からの虫による食害について考える

 19、22、25日に幼虫を発見して手で取り除いた。体長3〜5oで、種名は未同定(イラガ類と推定)。計12匹を駆除した後は28日時点で発見されない。

 多くの葡萄栽培の参考書には、殺虫剤や殺菌剤の使用タイミングがこと細かく記述されており、他のWEB.上の栽培記録を読んでも、大体似た方法によっていることがわかる。昨年は植え付け一年目で、木の体力不足のために、とにかく無事に成長させることを至上としたので、カメムシ被害にアディオンを散布した。今年も、この食害を見れば、さっさと何らかの薬剤を散布しておく方が安全なことはわかるのだが・・・それでは様々な他の栽培参考例と同様の結果になることが予想され、面白くない。
 二年目であり、結実させた房も試験的な目的なので、最悪収穫をフイにしたとしても、三年目以降の勉強のために、殺虫剤の散布を行わないことにした。
 庭の他の植物の病害にも気をつけるようにし、フェンスに絡んでいるエビヅルに僅かなウドンコ病を発見したので、その部分を全て剪定して捨てた。
 果たしてどういった結果になるか?こんな冒険が出来るのも、趣味の葡萄栽培だからだ。生活がかかっていたとしたら・・・やっぱ薬を散布するという判断を下すのだろう。
2006年 梅雨時の管理
2006年6月22日 摘粒の追加分
©2006 Shinji Murakam


一番ひどいウドンコ病の状態©2006 Shinji Murakami
梅雨が明けない・・・ウドンコ病対策

農作物の栽培者は困っているだろう。私もウド
ンコ病の発生に、あと数日の辛抱だろうと薬の
散布に踏みとどまっていたのだが、また難しい
選択をしなければならないかもしれない。選択
肢は二つ。

@薬を使わずそのままの方針で続けて、最悪
実りが得られない。ただし、薬の使用について
ある明確な指針が得られる可能性がある。

A薬を使って実りを楽しむ。
2006年7月29日

@の基本方針で対処している。ヨモギ酢の散布
は、即効性はないが、じわじわと効きはじめて
いる。アイリスオーヤマのヨモギ酢ボトルには、
虫除けと病気予防、活性化がうたわれているだ
けで、ウドンコ病への効果は記載されていな
い。ヨモギ酢が殺菌効果を示しているのか、葡
萄の免疫力が高まっているのか、単にウドンコ
病菌が洗い流されているのか、はたまた梅雨
が明けたのが改善理由なのか、特定は出来な
いが、私は全ての理由によって改善されている
ものと考えている。

2006年8月4日

袋がけした状態
©2006 Shinji Murakami




2006年7月26日日除けを付ける(上)
袋内の高温によって焼けた被害は2粒(下)
©2006 Shinji Murakam

2006年8月の房の状態

2006年8月19日の房の状態
左上に見える白いものは日除けで
写真撮影用の使用済み背景紙を流用したが
丈夫で雨でも平気
©2006 Shinji Murakami

2006年8月26日の房の状態
防虫防鳥目的で袋がけしてあるので
2〜3日ごとに外して房の状態を確認する
©2006 Shinji Murakami