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同人小説読んだら美少女化したので色々やってみた
作:高居空





  この文を読んだ者は美少女化する。





【某日、とある喫茶店にて】
  いやあ、最近はなにかとせわしないよねえ。
  なにって、タイムパフォーマンスだよタイムパフォーマンス。かけた時間に対する満足度を最優先するってやつ? まあ、忙しい中色々切りつめなきゃいけない人がいるっていうのはわかるけどさ。倍速視聴とかファスト映画? ずっこい手段で時間を節約して、それで満足感を得るってどうなのって思う訳よ。監督がコマの隅に仕込んだお遊びとか、それじゃ絶対気付かないでしょ。
  でもまあ、時間を短縮すること自体に快感を覚える人も増えてるみたいだし、時代の流れといえばそうなんだけどね。今じゃ会話で使う単語なんかも原型を留めないくらいに略す人もいるし。あっ、タイムパフォーマンスの略語はなんか商標登録されてるみたいな話もあるから、後に残るような物に使用するのは注意した方がいいぜ?
  で、何が問題かというと、ウチらみたいな同人小説業界も、それを無視する訳にはいかないってことさ。
  なんせ、小説はタイムパフォーマンスとは真逆の性質を持ってるからね。とにかく読むのに時間を消費する。商業作品なんかは、ウィキ先生なんかであらすじ読んで読破した気になるってのが使えるが、同人小説じゃそうはいかない。飛ばし読みすると意味が分からなくなることもあるし、ウェブ小説だと、紙と違って斜め読みも難しいからね。長編小説なんか今の時代ハードル高すぎるだろ。
  まっ、今の小説に求められてるのは、なるべく短く、それでいて満足度は高くってことなんだろうね。タイトルも、昨今のアニメや小説のそれからみても、内容が一目で分かるようなのが好まれるんだろう。
  で、試しにそれに則って一つ作品を書いてみたんだが、どうかな?
  タイトルは、「同人小説読んだら美少女化したので色々やってみた」、だ。どうだい、どストレートだろ?
  で、肝心の中身は至極簡潔。本文はたった一行、「この文を読んだ者は美少女化する。」、これだけさ。
  えっ、こんなんでいいのか、だって? いや、十分ありだろう? ちゃんとした文章を読んだ後にあれこれ想像するよりも、最初の一文だけ読んで後は“実体験”してもらった方が、文を読む時間を短縮できるし、こうしたジャンルが好きな読者の満足度も高いと思わないか? これぞまさに、今の時代のニーズに合致した、タイムパフォーマンスを突き詰めた完璧で究極な小説さ♪



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