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インターミッション ♯1
〜Jは嵐のごとく編〜
作:高居空
「いたたたっ、さすがにさっきのは効いたぞ、脇田君」
「まったく、変なこと口にするからっすよ、オーナー」
俺がオーナーを再び吹き飛ばしてから数十分後。這うようにして戻ってきたオーナーを俺は腕組みをしながら出迎えた。
「しかしオーナー、これまで作った中でマトモなメモリってないんっすか?」
「うん? JKのメモリは十分マトモだと思うんじゃが……って、何でまたメモリを右腰のスロットに挿入しようとしとるんじゃ脇田君? しょうがない、ならばこのメモリならどうじゃ?」
そう言いながらオーナーが白衣から取り出したのは、『A』の文字が刻印された赤いメモリだった。
「アクセル……?」
元になった作品に登場するもう一人のヒーローが使用するメモリにそっくりなその形状を見て思わず呟いた俺に対し、オーナーは含み笑いをしながら首を横に振る。
「いいや、違うぞ脇田君。これはワシの作ったメモリの中でも最高傑作! どんな問いに対してでも地球の記憶にリンクして即座に答えを導き出すことのできる究極のメモリ! その名も『アンサー』じゃ!」
「……つまり、原作の右の人の特殊能力に良く似た能力ってことっすね」
「そう身も蓋もない言い方をしないでくれんかのう脇田君……。まあ、実際の所は少しばかり精神的な副作用があったりするんじゃが、何でも答えが分かるというのは本当じゃぞ。ほれ、物は試しじゃ、何でも良いから質問してみい」
そう言ってさっそくアンサーのメモリを起動するオーナー。まあ、そういうことなら……。
「それじゃあ、とりあえずこの変身を解く方法を……」
「ワシに質問するな!」
「……………………」
「……………………」
「……まあ、原作でAのメモリを使う人の口癖を考えればそういうオチもあるかなとは思ってたっすけど、しょうがないっすね……」
「うん? やけに物分かりが良いではないか脇田君。答えが聞きたいんじゃないのかね?」
「いや、良いっすよオーナー。なぜならば……答えは、聞いて、ない!」
「って、それはWじゃなくて電おぅぅぅ!?」
次の瞬間、俺の放った今日3発目のマキシマムドライブはオーナーを再び空の彼方へと吹き飛ばしたのだった。
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