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インターミッション ♯3
〜GOD SONG LOVE編〜
作:高居空


「あいたたたっ、さすがに今回のはキツかったぞ脇田君。あやうく魂が銀河に雪崩れるところじゃったわい」
「いやあ、よく戻ってこれたっすねオーナー。てっきり永遠に星間飛行するもんだと思ってたんすが」
  あれから数時間後。空から隕石のごとく落ちてきたほとんど無傷のオーナーを前にして、俺は一つ大きな溜息をついていた。まあ、絶対無事だとは思ってたけど、ホントこの人の体はどうなっているんだろう。まさか正体はイカの姿をした改造人間なんじゃないだろうな?
  そんな俺の内心になどおそらく気付かずにフンと大きく鼻を鳴らすオーナー。
「まったく、バカなことを言っちゃいかんぞ脇田君。今回の実験はまだ終わっとらんというのに、ワシがキューンキューンと空を飛んでいるわけにはいかんじゃろうて」
「終わってない……? オーナー、分かってるとは思うっすけど、“キャストオフ”なら絶対にしないっすからね?」
  そう念を押す俺に対し、分かった分かったというような素振りを見せながら白衣のポケットから何かを取り出すオーナー。
「キャストオフならもう良いわい。脇田君に次に試して貰いたいのは……これじゃ!」
「…………こいつは…………」
  オーナーが手にしていた物、それは蜂のゼクターと同じくらいの大きさをした緑色のバッタを模したメカだった。見覚えのあるその形。それはやはり“カブト”に登場するヒーローの一人、“キックホッパー”に変身する為に使用するゼクターだった。ちなみに原作でキックホッパーに変身するのは、元々蜂のゼクターを使用していて失脚、ヤサぐれてしまったキャラクターのうちの一人である。まさか、それ繋がりでってことはないだろうが……。
「一応聞くっすけど、なんで今度はキックホッパーのゼクターなんっすか?」
  そんな俺の問いかけに対し、よくぞ聞いてくれたとばかりに大きく頷くオーナー。
「うむ。実は蜂のゼクターを作った後で気が付いた事なんじゃがの、“リトルクイーン”が登場する劇場版の完結編、あれのポスターなんかでのリトルクイーンの衣装のイメージカラーって、テレビ版の黄色系じゃなくて緑系だったんじゃよ。ほれ、“カブト”の中で緑系のヒーローといったらキックホッパーしかおらんじゃろ?」
「……って、まだ何とかシンデレラネタだったんかい!!」
  次の瞬間、俺がツッコミと共に放った渾身のアッパーによって、オーナーは再び星の海へと旅立っていったのだった。


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