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A○生成作○
作:高居空


【注意】
  この作○は、A○生成作○です。お○○○○の際は、その点をご了承のうえ、お○○○○ください。



「さて、始めるか」
  タブレットを前に、俺はダウンロードしたアプリを起動する。
  無料で手に入れたそのアプリは、最新の生成AIアプリだった。もちろん、無料なのには意味がある。このアプリが、正式リリース前のモニターによる動作試験用に作られた、いわゆるベータ版だからだ。
  生成AIの登場は、世の中に大きな変化を生み出した。特にイラストや漫画が主である同人業界への影響はことのほか大きく、作者の権利保護を理由に、AI生成作品の販売に制限を設けている同人ダウンロードサイトもあるほどだ。
  生成AIの特徴は、様々な先例を学習し、利用者が簡単なリクエストをするだけでその要望に応じた画像等を作成できるところにある。この“先例を学習する”というのが問題で、AIがネット上に公開された過去の人気イラストを学習することで、そのイラストを作成したイラストレーターの作風に酷似したイラストを生成することが可能になるのだ。著作権や生成AI普及によるイラストレーターの活動縮小など、その是非は今も問われ続けている。
  とはいえ、あまり絵心のない同人制作者にとって、生成AIのもたらす恩恵が大きいのもまた事実。手に技術がなくとも、簡単に見栄えの良いイラストから果ては漫画まで作れるのだ。こんな魔法のアイテムはない。
  かくいう自分も、生成AIを使って同人誌を作成している一人だ。おかげで即売会でも他と見劣りしない本を発行できている。生成AIに嫌悪感を持つ同好の士も多いので、AIを使用していることは秘密なのだが。
  そんな俺が、新しい生成AIに興味を持つのは当然といえるだろう。
  画面には、制作会社のロゴと思しきマークが表示された後に、初回起動時の設定画面らしき入力フォームが現れる。
  さっそく入力必須と書かれた項目に各種情報を入力していく俺だったが、とある項目で指が止まる。
『あなたは同人活動をしていますか?』
  なぜそんなことを聞いてくる?
  一瞬疑問に感じた俺だったが、このアプリが同人制作者をメインターゲットにしているのかもしれないと思い直し、『はい』の欄にチェックする。
  そんな俺の推測を裏付けるように、画面には新たな質問が表示された。
『あなたの活動しているジャンルは何ですか』
  ふむ。ここで答えたジャンルによって、イラストの大まかなタッチが絞り込まれるんだろうか?
  そう考えた俺は、正直に『青年向け』と回答する。
  続く質問は、『あなたの作品の傾向、またはキーワードを入力して下さい』というものだった。
  間違いない。こうして方向性を絞り込むことによって、より利用者のニーズに沿ったイラストを生成するってわけだな。
  その意図をくみ、『ロリ、巨乳』とキーワードを入力する俺。
『条件入力完了。これより生成に入ります』
  次の瞬間、そのようなメッセージが画面に表示されるとともに、アプリはこちらの指示もなしに稼働しはじめたのだった……。





「お買いあげありがとうございま〜す!」
  即売会当日。自分のサークルの売り上げは、過去最高を記録していた。
  これも最新生成AIアプリの効果ってやつかな。
  途絶えることなくやってくるお客さんを前に、思わず頬がにやけそうになる。
  これなら、初の完売も狙えるかも……。
  予想を超える売り上げに、即売会初参加時からの目標達成が現実味を帯びてくる。
  だが、一つだけ自分には不思議な点があった。
  なんで、今日のお客さんの大半は、本の表紙より自分の胸をガン見してくるんだろう?
  自分は、作品の主人公の服装と同じ、胸元の大きく開いたロリータ系のコスプレをしている。でも、それはいつものことで、うちのサークルを知っている人なら見慣れた光景のはずだ。それがどうして今日に限って、お客さんはこっちに目が向くんだろう。
 別に見られるのは不快じゃない……というか、好きでこの衣装を着てるんだし、何ならイケメン限定で即日お持ち帰りな青年向け展開もどんとこいなのだが、不可解なものは不可解だ。
  疑問に思いつつも、それだけ一見さんが多いということなのかなと自分を納得させるわたし。
  ようし、完売目指してもう一頑張り!
「立ち読み、おしゃべり大歓迎で〜す! 見ていってくださ〜い!」
  理由はともかく今日のお客さんの傾向を理解したわたしは、前の通路を行き来する人達に向かって、わざと前かがみになり谷間を見せつけるようなポーズをとって、最後の追い込みにかかるのだった。



【注意】
  この作者は、AI生成作者です。お持ち帰りの際は、その点をご了承のうえ、お持ち帰りください。



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