4月29日 超修行
4月29日、本日は超がつくほどの過酷な修行をしてきました。
いやぁ、修行と言っても釣りの修行ではなく、山登りの修行なんですけどね。
ほんとはですねぇ、本日、日本海は青海島に行く予定で渡船にも予約入れてたんですけど、1人なんで
いつものお気に入りの平瀬は無理。
波高終日2mで、9時頃から西風が強く吹く予報ってことは魚影の濃いBコースも無理かと思われる。
しかもAコース、どこに上がるにしろ朝っぱらから5mの強風が吹くんじゃ罰ゲームみたいな釣りになるなと考え、
荒れ気味の日本海はキャンセル。
しかし、最近の週末の時化続きでしばらく釣りに行ってない私は、とりあえずどっかで竿を出したい。
そんな時? 山口県ってええとこなんですよ〜。日本海が時化ても瀬戸内海は何のこっちゃーないですから。
渡船使って磯に行ってもええんですけど、瀬戸内でも今日は結構な風が吹くみたいなんで、心が折れたら
いつでも撤収できるようにと釣り場を模索。
波止でもええんですけど最近の私、どうも波止では物足りなくなってしまい、少々テクテクしてもどっか魚の
釣れる地磯へ行きたい! ってことで、防府市の地磯を選択しました。
ここは昨年の水害で大規模な土砂崩れが起きており、釣り場までの道が通行止めってことは事前情報で
聞いていたんですけど、まぁ、ぼちぼち車で近くまで行って、最後は歩くかってことで久しぶりに背負子が
登場。この時点では超お気楽に物事を考えていたんですが、これが後々大変なことに・・・。
本日は朝マヅメ狙いで夜明けには釣り場に着いていようと考えてたんですけど、前日の深酒がたたって
ついつい寝坊。結局家を出たのは4時半位だっけかな?
んでもって、道中のコンビニで食料やら水やらを買い込んで、釣り場までのボコボコの山道をひた走ります。
久々のこの釣り場、土砂災害の通行止めはどこかいなと車を走らせてると、旧道と新道の分かれ道の所で
立ち入り禁止の看板を発見。 どんな風に道が別れてるかってーと下の図のような感じ。
親父の愛車のフェラーリ4WD(別名、スバルの軽トラとも言う)であれば、ギリで旧道の山道は越えられるそう
ですが、道中は上り下りの角度が半端じゃなく、また道幅も狭い上に所々岩が突き出ているので、軽トラで
あっても何回かは車の底を擦ります。 尖った岩で、下手すりゃパンクします。
また、軽であっても2駆、ましてや普通車なんかではもっての他で、無理して入ろうものなら、間違いなく途中で
動けなくなります。実際図の左、新道と旧道の合流点(ここまでは新道通って車で行けますが今は工事中です)
から、下に降りる道中で、過去に2回ほど身動きの取れなくなった車を見たことがあります。
2台とも、初めてこの釣り場に来た若い兄ちゃんでした。 泣きそうな顔で助けを求められましたが、テクテク釣行
の私が背負子おろしていくら車押したところで、もちろん車は動きませんでしたが・・・。
だもんで、無理して入ろうものなら、鉄板でJAFのお世話になること間違いなしですし、下手すりゃJAFも入って
これません。 それ位過酷な道です。
旧道の方は、昔新道が出来る前に徒歩で山越えして、地獄の様な山道を道中スズメバチに追っかけられたり、
よろけて崖から落ちそうになったり等、苦い思い出があるのでパス。 新道の方はと言いますと、これまた思った
以上に大規模に土砂が崩れた形跡があり、現在復旧作業中ではありますが、本日は休日のため作業の人は
おらず、復旧もほとんど終わってる感じなんでなんとか入れそうかなーってとこです。車両通行止めな上に、
歩行者も立ち入り禁止って書いてあるけど、おいらは歩行者じゃなくて変質者だから大丈夫だなと訳のわからん
MYルールを作成して、とりあえず行くだけ行ってみますか?
それでもその昔、この過酷ロードで臨死体験をしたことがある私は、荷物を準備した後も地磯はやめてどこかの
波止にでも場所を変えようかとも一瞬思いましたが、まぁ、せっかく来たんだしと必要な物だけをまとめて背負子を
担ぎます。
そして、やっぱりやめとけば良かったと思ったのは歩き始めて20分後。行くも地獄、戻るも地獄の状態に陥った
後でした。 同じ地獄なら行っちまえと、重た〜い背負子を担いだまま、再出発。
例によってバッカンとクーラーは、撒き餌でパンパン。背負子は半端ない重さで、肩に食い込んできます。
「毎回毎回、どこのどいつがこんなに重たい撒き餌を大量に持って来るんだよ。 しかも地磯の背負子釣行に・・・
って、俺か・・・。 」
などと、一人でノリ突っ込みをしながら歩を進める私。まだ、釣り場にも着いてないってのに、早くも足は筋肉痛が
始まってます。
そして死にもの狂いで釣り場に着いた頃には、足は産まれたての子馬のようにプルプルとなってました。
とりあえず着ている防寒着を脱いで、Tシャツ1枚で岩場に寝っ転がって暫く休憩。万歩計機能もついてる私の
携帯の歩数をみると、驚愕の4000歩でした。帰りの事を考えると恐ろしくなりますが、考えてたら釣りにならない
ので忘れたフリして釣り開始です。
まずは磯際に立って撒き餌をパラパラ。しかし、ここでいきなり足が言うことを聞かず、突然膝カックンをされた
みたいな感じになって、危うく落水。 こりゃー今日は釣りどころじゃねーかもな・・・。などとも思いつつ、慎重に
釣り開始。
んで、本日の仕掛け
竿
シマノ 鱗海スペシャルアートレータ 06-53
リール シマノ テクニウムMgc2500DXG ファイアブラッドVer
道糸 シマノ ハイパーデュラハイスピードミュー 1,7号
ハリス サンライン トルネード1,2号、1号、0,8号
針 がまかつ 細地チヌ金、銀 1号、2号、3号 赤メッキのチヌ針 2号 早掛かりグレ3号
浮子 釣研 スリムチヌ2号 (改造して浮力はB位)
キザクラ 黒魂R 00、B、3B
終日、といっても半日ですが、こんな感じで釣りました。
チヌ5枚、途中餌の盗られ方から、なんとなく沖にクロがいるんじゃねぇかとのインスピレーションで、針をグレ針の3号に
変え、30cmと28cmをキープ。あとはメバル2匹にカサゴ2匹。
途中、この釣り場には絶対私以外に人は入ってこねーだろうなとタカを括ってた私の背後から、軽トラで山越えをして
きたおじさんに、 「こんにちは!」 といきなり声を掛けられ、心臓が止まりそうになる位ビビる。
カゴでのアジ釣り兼、フカセのチヌ釣りをされていた2人のおじさんから、頻繁に竿を曲げていた私に仕掛けを見て欲しい
と頼まれて仕掛けを見させて頂くと、ハリスは1ヒロ、しかもザラザラ状態だったので交換した方が良いですよと伝えるも、
おじさんはそのまま続行。 まぁ、釣りは人それぞれですからね・・・ それ以上は言いませんでした。
ほんでもって、予定通り昼前には正面からの強風で釣りにならなくなったため納竿。
その後、帰りたいけど山越えはきついな〜ってことで、なかなか腰の上がらない私。しばらくおじさん達の釣りを見学した後、
意を決して山越え。
命からがら画像左の駐車場への最初の分岐点に辿り着いたまでは良かった私ですが、昭和の日で休日の本日、来る時に
通ってきた新道では、何故かユンボが元気に稼働中です。 歩行者すら立ち入り禁止の工事現場、朝は人が居なかった
からな〜・・・
「ちょっとすいませんよ〜」って言いながら、さりげなく工事中の現場横を通ろうかとも思いましたが、小心者の私は、
怒られたら怖いので渋々急斜面の旧道を通ることに・・・。 スズメバチ、出なけりゃいいなぁ・・・。
で、それから後は・・・、それはもう地獄でした。 アップダウンを繰り返す、勾配が急な坂道が私の行く手を阻みます。
道中、折れそうな、ってゆーかどちらかと言えばむしろ完全にポッキリと折れていた私の心の中で、それでも僅かに残って
いた私の小さな闘争心が、「負けんじゃねーよ・・・」と私を挑発してきます。
私はその挑発に対して尾崎豊風に、「俺は・・・、俺は負け犬なんかじゃねー!!!」と、背負子担いだままダッシュで山道を
駆け上がりますが、10メートル走ったところで速攻後悔。 あぁ、変なことするんじゃなかった・・・ 心臓はバクバク。
もう・・・、私は負け犬でもいい。誰でもいいからこんな負け犬の私を、5千円で車停めてる場所まで連れて行ってはもらえない
でしょうか。 通りすがりの人なんて誰も居やしないんですけど・・・。
そしてその極限状態の中、私の頭の中では色んなことが走馬灯のように駆け巡ってました。
それは例えば初恋の人、メーテル。 物心ついた幼少期、多分私と同年代の方の誰もが将来結婚したいと思っていた女性。
間違いなくみんな、哲郎に嫉妬していたはずです。 でも、リアルにメーテルが目の前に現れたら、きっと怖いだろうなぁ・・・
って、そんなことを考えながら、山道を登ったり下ったりしてました。
ようやく頂上に着いて下りに入ったと思ったら、今度は再び上り。そんなフェイントを何度喰らったことでしょう。
道中で3回休んだ休憩のうちの2回は荷物を茂みに隠し、後で親父のフェラーリで取りに来ようかと思いました。
しかし、私はくじけませんでした。 これも修行の一環だと思い、必死で頑張りました。
く〜じ〜け〜ま〜せんよ〜 お〜と〜こ〜の子です〜 って感じです。
そして、ようやく駐車場に到着。 停めていた私のポルシェが見えたとき、私の中で何かが変わっていました。悟りの境地、
俗に言う開眼ってやつです。
「生滅の法は苦であるとされているが、生滅するから苦なのではない。生滅する存在であるにもかかわらず、それを常住な
ものであると観るから苦が生じるのである。」 という、諸行無常の悟りの境地です。
釣りが上手くなったかどうかは別として、私はまたひとつ、人生における苦難を乗り越えることが出来ました。
帰りの道中では正直、「こんな釣り場、二度と来るか!!!」とか思ってました。しかし、人は己を痛めつけ、精神状態を極限
まで追い込み、その苦行を乗り越えた時に、真の境地に辿り着くことが出来るのです。
俗に言う、クライマーズハイ、ランナーズハイってやつです。
この日の筋肉痛は、暫く治りませんでした。しかも、呼吸筋が筋肉痛になったことってあります?
道中のあまりの過酷さに呼吸が激しくなりすぎて、翌日筋肉痛です。
深呼吸したら胸の筋肉が痛いんです。 足の筋肉痛も全然治らず、予定していた5月1日、3日の釣りは、急遽キャンセル。
しかしまぁ、それはそれで良いのです。 新たなる自分を発見することができたのですから。
自分を痛めつけて痛めつけて最後に得られる快楽。 私、どうやら超ドMのようです・・・。
今後の人生を大きく左右する、 運命の分岐点 左は平たんな道だけどこの先大規模土砂 災害で、車両通行止め。 右、歩行者はOKだけど、半端ない登山。 超修行道。 ここでの正解は・・・ 黄色と黒のやつを除けて、右の道を四駆の 軽トラで無理矢理山越えが正解でした。 補足しておくと、四駆の軽トラでも道中不安に なりますよ。 「俺、帰れるのか?」って。 ちなみに、四駆の軽以外の車では、 間違いなく後悔することになります。 120%立ち往生します。JAFも入って これないんじゃないかと思いますんで、 車を谷底に捨てて帰らないといけません。 いやマジで。 |
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写真じゃわかりにくいですけど、 めっちゃ急角度です。 おまけに所々で岩が飛び出てて、 車が擦った跡がたくさんあります。 軽の四駆ですら、パンク覚悟で 来ないといけません。 |
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途中、3回位休憩しました。 そのうち2回位、荷物は後日取りに来る ことにして、このまま帰っちまうかと思い ました。 |
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矢印の辺が今日の釣り座。 これを徒歩で上り下りするんだから、 そりゃー超がつくほどの荒行でしたわ。 |
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釣り? 釣果の方はまぁ、まぁまぁでした。 チヌ5枚 30クロ2枚 メバル2匹 カサゴ2匹 |