5月16日  ジャパンカップ黒鯛(チヌ)徳山予選


5月16日(日)、本日はジャパンカップ黒鯛(チヌ)の徳山予選。
数日前までは降水確率70%で推移していた天気予報も前日には晴れ予報に変わり、ヘタレな我々の、昨年の
様な出場辞退という最悪の事態は免れた。
先週の野島でのプラクティスでは、磯でのチヌ釣りにまずまずの手応えを感じ、万全を期して迎えた本日、
午前2時15分に我が家に集合し、今回は永田迷人と二人での参戦。

で、本日も、受付開始の午前4時前には晴海埠頭臨海公園に到着し、受付を済ませる。
今年から、これまでの鱗海カップからジャパンカップ黒鯛へと名称を変え、竿とリールのタックル制限が
無くなった。
広島予選ではそのため、参加者枠80名に対して120名もの応募があり、駐車場や渡船のキャパの問題で
抽選が行われたようであるが、ここ徳山会場の駐車場はめっちゃ広い。定員120名の枠を超えても、少々の
人数であれば参加できるんじゃねーかなーなんて予想してたら、案の定本日の参加者は157名だそうな。
多少のキャンセルはあったようであるが、当初の決勝大会進出者枠も3名から4名に増えており、
ボルテージは益々ヒートアップ。別に決勝大会に進もうとは、これっぽっちしか思っていないが、せめてリミット
である5枚は揃えたい。本日の目標は、まずはリミットメイク。

そんなわけで、釣り場抽選の結果、私は124番の「第5せと志お」、永田は25番で「カイユウ」の野島と
いうことになった。正直なところ、私も野島に行きてーなーと思っていたのであるが、こればっかりはまぁ、
持ち合わせたくじ運ということで仕方がない。割り当てられた場所で、全力を出し尽くしたいと思う。

ってことで、本日私が上礁した場所は・・・

んー、多分、名前はついてないんじゃなかろうかと思います。
それでも、敢えて私が命名させていただくとするならば、

「源三爺ちゃん家の、農作業小屋の離れ」 とでもしときましょう。磯でのチヌ釣り大会の本日、私が上がった
場所は、少なくとも磯ではありません。加えて言うならば、源三爺ちゃん家( ちなみに源三爺ちゃんとは、
私が、恐らくその家に住んでいるであろう住人像を勝手に想像して命名した名前であり、実在する、人物、
団体とは一切関係ありませんのであらかじめご了承下さい)
から道路を挟んで歩いて15秒程の防波堤ってゆーか、波止ってゆーか・・・。

近所の小学生がチャリンコこいで、青ケビ持って投げ釣りに来ても全然おかしくないような場所です。

「せ、せめて沖波止・・・」

この場所、足場だけで言うならば参加者全員の中でも1、2位を争う超一級ポイントだと思います。
普通にクーラーに座って釣りができますし、それどころか手足を広げ、大の字になって寝ることも十分に可能
です。更に、喉が渇けば道路を歩いて自動販売機に行くことも。

「こりゃー、えらい所に来てしまいましたなぁ・・・」と同礁の広島の方と二人、ポカン状態。

こんな所で大丈夫なんかいな?と、なんとも出鼻をくじかれた感じですが、まぁ、海中は足下から急激に
落ち込んでおり、その駆け上がり付近にチヌがついてるんじゃないかとポジティブにシンキングし、午前6時、
釣り開始です。

仕掛けも磯場でのチヌ釣りならば、ハリスは1,5号以下に落とすつもりはなかったんですが、障害物も何にも
無さそうなこの場所では、1,25号以下でも十分問題はないでしょう。ってことで、本日の仕掛け。

竿    鱗海スペシャルアートレータ06−53
リール テクニウムMgc2500D
道糸  シマノ ハイパーデュラハイスピードミュー 1,7号
ハリス サンライン トルネード0,8号〜1,25号
針    がまかつ 細地チヌ2号、3号  一刀チヌ2号、3号
浮子  釣研スリムチヌ2号(糸鉛にて残浮力B程度に浮力調整) 中村浮子B〜4B 
 
こんな感じで、まずはハリス1,25号からスタート。
足下の駆け上がりから竿二本先までのタナを計り、這わせ気味に仕掛けを作る。
朝のうちは右流れの潮が速く、4Bの浮子にG5のガン玉をハリスに3段打ちし、その早い流れの中で、
仕掛けを止めたりなんだりしながら流していると・・・

開始から30分、浮子がピュイーっと海面から姿を消した。
ただ、浮子の消え方はチヌと言うよりはどちらかと言えばクロとかの消え方で、横向きに一気に消えて行った。

合わせると、想像以上の強烈な引き。
魚は沖へ沖へと走り、ラインはどんどんスプールから引きずり出される。
首を振る仕草はなく、このまっすぐな引きはボラか青物かエイ? ただ、まぁ、この釣り場から言えば、
99.9%の高確率でロングなロングなボラだろうが、にしても走りが止まらんので、おそらくスレ掛かり。

まず、まず間違いなく正体はボラのスレ掛かりであろうが、もしも万が一チヌだった時には、軽〜く50cmは
超えてると思うので、どうしたものかと思案してたらスプールから道糸が100m程引きずり出されたところで
ようやく走りが止まる。

ゆ〜っくり、ゆ〜っくりと寄せに掛かるが、海面に姿を現したその正体は、案の定ボラのスレ掛かり。
針が腹にブッ刺さり、横っ腹が20cm程裂けていた。痛々しいその姿に、申し訳ないとは思いながらも、
こんな私でも、さすがにボラは持って帰らないので、母なる海にお帰り頂く。なんとか泳いで潜っていったので、
まぁ大丈夫でしょう。

その後はほとんどアタリもなく、たまにアタったと思えばフグ。
鰺とかクロが混じれば、そこそこ楽しいんでしょうけど・・・。

「磯だと色々釣れてるんでしょうねぇ・・・」と、同礁の方と二人、叶わなかった磯での釣りに思いを馳せ、
澄み切った青い空を見上げる。
その後も、な〜んにもドラマは起こらないまま、あっという間に時刻は折り返しの午前9時。

さてどうしたものかと真剣に次の一手を考えながら、ふと後ろの道路沿いにずっと伸びている平たい捨て
石に目をやると、なんと源三爺さんの妻のトミ子婆ちゃん(仮名)が、何やら、布か何かをザブザブと洗って
います。

トーナメントの張りつめた緊張感の中で、どうしたらチヌが釣れるかと真剣に試行錯誤している私の横で、
優雅に洗濯をしているトミ子婆ちゃん。真剣な私と、のどかなトミ子婆ちゃんとのあまりのギャップの差に、
思わず笑いが出てしいます。

挙げ句、先程まで右流れで流れていた潮が大量のゴミを運んできて、そのまま満潮の潮止まり。
目の前にはゴミ、後ろにはトミ子婆ちゃん。 まさに八方塞がり。

そして午前10時、遂にその時はやってきました。 裏の民家の大黒柱、源三爺ちゃんの登場です。

源三爺ちゃん「よ〜い、何か釣れたかね?」

私「いや、ボラとフグだけです。」

源三爺ちゃん「今日は何時から釣りをしよるんかね?」

私「6時からです。  あのー、ここってチヌは釣れるんですか?」

源三爺ちゃん「釣れんことはないよ。たまに瀬渡しのもんがここで釣りしよる。竿が見えたら見学に来る
         んじゃが、ぽつぽつ釣って帰りよるよ。6時からおってまだ釣れてないっちゅーことは、
         なしてじゃろーのー?」

私「やっぱり・・・、釣りの腕が下手くそなんですかねぇ・・・」

とか会話をしながら、ここでもチヌが釣れるんだなと一瞬ポジティブな気分になったのも束の間、

源三爺ちゃん「ありゃ、でも今日は漁師が沖に網を入れちょらーや。これじゃー魚は中に入って来れんわ。
         兄ちゃん、あそこにブイが立っちょろーがや。あれが網じゃ。これじゃー釣れんわのー。」


ふむ。なるほど。つまりそれ即ち、ここでいくら撒き餌撒いてチヌを寄せようと思った所で網の中にチヌは
入ってこれず、魚は釣れないってことですな。
午前、10時過ぎの出来事でした。 ただ今、誰よりもここの釣り場に詳しいであろう裏の家の源三
爺ちゃんより、お墨付きの死亡宣告を受けました。

さて、ここでは魚が釣れないことが判明し、残りの時間は寝て過ごすってゆー手もあるが、とりあえずはまぁ、
網が入れられる前からこの辺に居たであろう、数少ないチヌを狙ってやろうと、僅かな希望に望みを託し、
リミットメイクはならずとも、まずは一枚を目指し釣りを続行。潮は下げに入って、いつの間にかゴミもどこかへ
流れて行きました。

そして午前10時45分。今自分にできることを精一杯試して、遂に努力が報われました。
シブシブに設定していた釣研の感度良好スリムチヌが、波の動きとは違う僅かな魚信を捕らえます。
前アタリの後、ジワーっと海中に沈んで行く浮子を確認しながらアワセを入れると、間違いなく本命の引き。
ハリスは0.8号まで落としているためゆっくりゆっくりとやりとりをして、海面に姿を現したのは、決して大きくは
ないけれども、嬉しい嬉しい35cmの本命。

「努力は実る!」 事もある。

もはやリミットメイクは不可能でしょうが、終了時間まで諦めずになんとか数を稼ぎたいところ。
そして終了間際の11時50分、同礁の方の竿が大きく曲がると同時に、私の竿も弧を描きます。
会心のダブルヒットです。

結果、私の釣果は2枚でした。想定外の波止に降りて、源三爺ちゃんに死亡宣告を受け、目の前一帯を
大量のゴミで埋め尽くされながらも、折れそうな心を奮い立たせて釣り上げた2枚は価値ある2枚だったと
思います。そういうことにしておきましょう。 ワカチコワカチコ。


で、私が行きたかった野島に向かった永田は、7位入賞の名手の方と同礁し、7枚のチヌの他、良型のクロや
鰺も釣って大満足の帰港。ただ残念なのは、リミットメイク達成で満足した後はジャパンカップ磯の練習で
ずっとクロを狙ってたそうな。入れ替え目指して頑張ってれば、ひょっとしたら入賞できてたかもしれんのに
もったいない・・・。でもまぁ、釣りのスタイルは人それぞれ。まずは楽しんでなんぼやからね。
で、結果は5枚で4800gだったらしい。  やっぱ野島は好調ですか。

今回優勝されたのは、広島大会でも2位に入賞された藤井さん。
他の幾多の大会でも活躍されており、上手い人は違うなぁとしみじみ。
やっぱりオーラの色が違いますもんなぁ。  ただただ修行あるのみです。

で、帰港後、同礁の方が、昨年広島で行われた黒魂カップで同礁させて頂いた、「大ちゃんの釣りに行こう」の
大ちゃんとも釣り友であられる沼ちゃんさんとお話しをされてたんで、久しぶりにご挨拶をさせて頂きました。
今回同礁させて頂いた方も沼ちゃんさんも、今年も黒魂カップに参加されるそうなので、次は広島で!という
ことで再会を誓ってきました。

更に帰りの駐車場では沼ちゃんさんと一緒におられた、それこそ「大ちゃんの釣りに行こう」や、
「KIZAKURATV」でも頻繁に番組に出演してらっしゃるキザクラのテスターである水口さんから、
「広島ではよろしくお願いします!」と声をかけられ、大変恐縮でした。こちらこそよろしくお願いします。

また、閉会式で少ししかお話できませんでしたが、関門ちぬ倶楽部管理人のゆりちゃん、黒魂カップでは
今度こそ二人でリミットそろえましょう。

ってことで、大会等で広がっていく釣り人の輪ってゆーのも、釣りの魅力のひとつですな。  ワカチコワカチコ



「第5せと志お」にて出港。
さて、今日はどんな場所で釣りをするのだろうか。
と思ってたら、今日の釣り場は民家がすぐ裏にある、
通称「源三爺ちゃん家の、農作業小屋の離れ」
            (勝手に命名)
本日の釣り座
源三爺ちゃんの奥さん、トミ子婆ちゃんが洗濯?していた
平たい捨て石
心が折れそうになる位にたくさん流れて来たゴミ
小学生が登場してきそうな門


以上。