3月07日  チヌペアマッチ釣り大会



3月7日(日)、本日は賞金10万円を賭けた、磯フィッシングセンター「せと志お」さん主催による、
チヌペアマッチ釣り大会の開催される日である。

前日までは大会日がやや荒れ模様だった天気予報も、日頃の私の行いが良いせいであろうか、
当日の朝には日中曇りで、風も穏やか予報に変わっていた。ちょっとだけ寒いことを除けば、
絶好の10万円日和。

最近の徳山湾、「せと志お」さんのホームページの釣果「写真〜磯釣り」の釣況を見ればかなり調子が良さそう。
こりゃー、常に柄杓から手を離さずに撒き餌をドカ撒きし、チヌを浮かせて数を出し、その中から型を拾おう。などと、
ほんとは磯ではほとんどチヌなんて釣ったことがない私が、取らぬ狸の皮算用的作戦で持ち込んだ撒き餌の
総重量は、占めて20キロ以上。 

「みじかびの、きゃぷりきとればすぎちょびれ、すぎかきすらのはっぱふみふみ」と、35cmバッカンに入れた
撒き餌を
長靴履いて思いっきり踏み込んで空気を抜き、更に入りきれない撒き餌は磯クールバッグへ。  
気合は十分。

そして、本日のペアマッチで私とペアを組むのは、最近奥さんが本格的なノッコミに入り、今年はこれが最初で
最後の大会になるかもしれない中野のおいさん。 
午前2時45分に我が家に集合し、いざ大会受付会場である晴海埠頭臨海公園へと車を走らせる。

受付開始時間の午前4時半に会場に到着し、駐車場から大会本部テント前までの長いみちのりを、いつも通りに
「ひーこらひーこらばひんばひん」とか言いながら、重たい撒き餌他道具一式を運び、受付を済ませる。

その後、磯割り抽選のくじの結果、会長が103番で私が66番となる。

会長に、「俺の番号はロックンロールだぜ。イェイ!」とか、意味の無い自慢をしてたら、開会式が始まった。
前に大会のルール説明を聞かずに痛い目を見た教訓を踏まえ、今回はちゃんとルール説明を聞いていざ乗船。
66番の私は、「シーガル」へと乗り込み、いざ釣り場へと向かう。

しかし・・・・、あれですな。 
このシーガルの船の上、私以外の方々からは、なんか皆さんから何かしらのオーラが出てますな。
しかも、そのほとんどが緑や赤やレインボーといった、普段はなかなか見ることの出来ない期待度大の
カラフルオーラ。

過去2回、秋に行われたグレペアマッチに参加してても思った事なんですけど、このせと志おの大会は非常に
レベルが高い。名手集結って感じです。ダイワにシマノにがまかつにと、色んな大会で優勝や入賞、テレビや
本で名前や顔を拝見したことのある方々がゴロゴロいらっしゃいます。

そんな著名な方々が一同に会するこの大会なんですから、そりゃーもう、レベルの高さが違います。
ほんと、日本でも有数のレベルの高い大会だと思います。

そしてこれだけは胸を張って自信を持って言える事は、今回のこの50数組の参加ペアのうち、まず私と
会長はダントツで釣りが下手クソだろうという事です。  

ケツから数えたら上位、いや、上位どころか間違いなくトップ、他を寄せ付けない圧倒的なレベルで釣りが
下手クソだと思います。  自慢じゃないですが。 


で、本日の番号66番の私が降りた磯は、岩島ってゆー名前の小さな島です。
ぐるり周りは広島の名手の方に囲まれてます。この島に降りた私以外の方々、皆さん広島からではないでしょうか。
釣り開始前から早くも、島全体からすさまじいオーラが立ち登ってる感じです。   私を除いて・・・

しかも、本日私と同礁して頂いたのは広島の名手である浜本幸ニさん。 あの、浜本幸二さんです。

浜本さん、現在ダイワグレマスターズ3連覇中の田中貴さんが、2006年度に最初に優勝された時の決勝戦を
戦われた方です。 
僅か終了10分前の仕掛け交換後の猛追撃は、もはや伝説とも言えるでしょう。
終了1分前のアタリを拾えていれば、今の田中さんの3連覇の偉業は無かったかもしれません。

そんな、普段では絶対に一緒に釣りをすることなどあり得無い、インティキトーナメンターの私から見れば
遙か雲の上の存在の方が、今回私と同礁です。

しかし、私がそんな超ウルトラビッグなトーナメンターの方と一緒に釣りをしていると気付いたのは、大会終了間際。(大汗)
どこかで聞いたことのある名前だし、どこかでお見かけしたことがあるお顔だなぁ・・・、とは思ってはいましたが、
その事に気付いたのは最後の最後でした。(滝汗)

ええっと、ほんとすいません。  私、釣り場で粗相などしていなかったですかね?
20キロ分もの撒き餌を訳も分からずあっちこっちにドカドカ撒いて、ご迷惑をおかけしてませんですかね?

しかも私、いくら最初は気付かなかったとは言え、そんな超ウルトラスペシャルトーナメンターの浜本さんが
釣られた良型の鯵をリリースされてるのを見て、例によって図々しく、

「あのーすいません、釣れた鯵、リリースされるなら頂いてもいいですか?」などと、恒例の鯵キープのお願い
まで炸裂させてる始末。

ビフォーアフター風に言えば、「なんということでしょう。」ってところでしょうか。 大変失礼をば致しました。
でも僕、本当に鰺が好きなんです・・・。 日本海のグレや鯛も美味いから好きなんですけど、僕にはあまり
釣れないんで、こんな僕でも簡単に釣れて来てくれる、鰺君の事が大好きなんです。
だからつい・・・。   でも今回も鰺は大変美味しゅうございました。


ってことで、本題の釣り。
結論から言えばまぁ、いつも通りです。 ワカチコワカチコと言うやつですな。

上礁した時に、浜本さんが、「ここに上がった時点で今日はもうダメじゃー。昼寝でもするか。」と言って
おられたのであまり良い所ではないのかなぁ(時期的な物もあるのでしょうが)とか思いながらも開始時刻の
午前7時、当初のイメージ通り、竿3本先をしっかり棚取って撒き餌をドカ撒きし、チヌを浮かせて釣る
イメージで釣りを開始します。

で、ふと見ると浜本さん、早速竿が大きく曲がっており、まずは挨拶代わりのビール瓶サイズのアイナメ
ゲット! うらやましいなぁと思ってる側からまた竿を曲げられ、今度は大きくないけど本命のチヌ。
見てると、丹念に際を攻められてます。 そして次。 出ました! 50cmオーバー。  で、デカいっす・・・。


釣り座を決めるジャンケンで、勝った方が海を見て右側に入るという今回のルール、ジャンケンに勝たれた
浜本さんの釣り座には、海を見て右側にオーバーハング気味に張り出した大きなシモリがあります。
浜本さんは、その際すれすれを丹念に探られてます。
確かにチヌは着いているかもしれませんが、あそこで掛けても取り込みが・・・。とか思ってる私を尻目に3枚目。


折り返し地点の10時の場所交代時に、「良くあんな際を攻められますねぇ。」とお声をおかけすると、
「まだまだ寒のこの時期のチヌ、魚は磯際の割れ目とかに着いてるんじゃから、浮子を飛ばすことを恐れずに、
ガンガン際を攻めんにゃー魚は釣れんよ」とのアドバイスをいただきます。

「せと志おのホームページ見たら、結構な釣果が出てるんで、今日は浮かせて釣ろうってイメージで来たん
ですけど、チヌはまだ浮かないんですかね?」って尋ねると、

「あれは徳山湾内の釣果よ。この辺(沖)まで来たら、チヌはまだまだ寒チヌよ。チヌが着いていそうなところを
丹念にじっくり攻めんと、魚は釣れんよ。」と、浜本さん。

そして、私。 少し軽めのパサパサに練った、それこそチヌを浮かせてやろうと意気込んで軽目に練ってきた
撒き餌を見ながら思います。 

「ま〜た失敗した・・・」

ほんでもって浜本さんからも、
「君は撒き餌がパサ過ぎ。それじゃー底まで届かん。もっとしっかり水入れて練り込んで、撒き餌が底まで
届くように重くしちゃらんと」とのアドバイスをいただき、慌てて海水を足し、撒き餌を練り込みます。

更には、「ちょっと竿貸してみ!」と、私の竿を手に取られ、仕掛についても色々とアドバイスを受けます。
私の竿を使っての、名手から直々のアドバイスです。 「きょ、恐縮であります!」 
 

そして名手曰く、「まず君はハリスが短かすぎ。今日はハリスは、2ヒロ半から竿1本位取らんと。」 

もし万が一軟竿で魚掛けた時に、獲物を取り込みやすいようにと短めにしていたハリスの長さは1ヒロ半。
その日その場所での状況にもよるんでしょうが、今日は長目にハリスをとらないといけないようです。

更には私のツケ餌を針に刺される際に、

浜本さん「このオキアミはスーパーハード?」 って、聞いてこられます。

私「はい。そうですけど・・・」と答えた私に、

浜本さん「ふむ。で、これに何か混ぜてる?」と聞かれるので、

私「味の素入れて、硬めにしてます。」 と答えたら浜本さん、

浜本さん「例えば君がエビを食べる時に、味の素を振りかけて食べる?」と聞いてこられます。

私「い、いや、食べないですね・・・。」 そう答える私に、

浜本さん「そやろ?しかも、味の素振ったらオキアミの身は、水分取られて硬くなりすぎるんよ。
      例えば君は、カリカリに焦げ過ぎた焼肉を食べたいと思う?」

私「い、いや、思わないです・・・。」

浜本さん「じゃろ?魚の気持ち考える時には、何でも人間と同じように考えんにゃー。
      どうしても味の素に漬けるんやったら、まず味の素を水で溶いて、その中に漬けるような感じが
      ええと思うよ。味の素だけやったら、味の素がオキアミの水分を吸い過ぎるから、オキアミが
      カリカリになるんよ。」


な、なるほど・・・。深良い話です・・・。  勉強になります。  更には、

浜本さん「でさぁ、さっきからずっと見てるんやけど、君はオキアミが毎投残って帰ってくるやろ?
      それは仕掛が入る速度が早過ぎ。底をべったり這わせても、今日のチヌは食いが渋くて食って
      来んのよ。 今日はチヌが餌を食う場所で、撒き餌とツケ餌をしっかり合わせちゃらんにゃー
      魚は釣れんよ。」

私「え?は、はい・・・」   


で、その後は軽い仕掛をなるべく際にゆっくり落とすように心がけるんですが、やっぱり私には釣れません。

本音はずーっと浜本さんに張り付いて、名手の釣りを見学させていただきたかったのですが、一応ペアマッチの本日、
万が一のまぐれでもチヌ釣らないと、ひょっとしたら何枚かチヌ釣ってるかもしれない中野のおいさんに迷惑がかかる
ので自分の釣りも放棄できません。

時折、「ちょっとだけ見学させてもらっても良いですか?」と、ちょくちょく浜本さんの釣り座を訪問。

仕掛けは、竿1本ちょっと位の所になるほど浮き止めを付けて釣っておられます。

浜本さん「今、なるほど(浮き止め)が浮きを抜けたやろ?
      それは、すなわち、海の中で何らかの変化があったってこと。わかる?」

私「え?はい。なんとなく・・・」

で、仕掛を上げてみると案の定針が無い。「これ即ち餌取りのフグが餌にいたずらしてたってことね。アタリは
小さいよ。」

んー、深い・・・。

更には、「今まで右流れの潮を潮受けが受けて、仕掛けが一定の速度で落ちよったのが、その辺
(1mの範囲内位だったかなぁ)では仕掛けが入らなくなったやろ?それは、潮の流れが変わったって事。
あそこだけ潮が沸き出したか何かで仕掛入らなくなったわけ。そういう時には、今度はこっちも何か
新しい手を打っちゃらんにゃー。釣れん仕掛をいくら流したところで、魚は釣れんのじゃけー。」と
おっしゃる名手の仕掛は、見る度に浮子やガン玉の大きさ、位置などに何かしらの変化がある。 
対応がもの凄く早い。


途中、浜本さんが、「こっちは鯵が釣れるけど、そっちの下に鯵は居る?」って聞いてこられます。
私が、「いえ、全然鰺は釣れません。ひょっとしたら、私が釣ってる釣り座の周辺に、チヌが居るかも
しれないってことなんですかね?」とお尋ねすると、 「可能性はあるねぇ」とのお答え。
結局、何をしたら良いのかわからない私を尻目に、最初に決めた境界線ギリギリ、私のすぐ下の足元で
2枚を追加される名手。

「私のすぐ足元にもチヌは居たんですねぇ。私には気配すら感じられなかったですが・・・。」

で、浜本さん、結局たったお一人でリミットメイク達成。  す、すげーっす・・・。  
もちろん私はいつも通り、ワカチコワカチコってな感じでした。

餌取りが消えた一瞬の変化や、僅かな潮の流れの変化を的確に分析し、結果を出される。
ほんまに、実力の違いを見せつけられた瞬間でした。

そして、馬島テトラで誘惑に負けて、手軽で美味しい鯵ばかり釣ってちゃいけねーなーと思った一日でも
ありました。1から出直し、練習です。
たまに参加する大会って、こういった刺激があるから好きなんですよねぇ。


で、気になる相棒の会長さんなんですが、当初決めていたどちらかが3枚釣ったら一度携帯で連絡を取り
相手の釣果状況を確認し、まずはリミットメイク、その後は型狙いでとの作戦を立てていたんですが、当然
と言うかやっぱりと言うか、案の定電話はかかってくる気配がありません。

ようやく電話が掛かってきたと思ったら、「俺は全然釣れんのやけど、そっちはどう?」みたいな確認の電話。
「もちろんこっちも釣れてないよ!」って会話は、いつもの私達。

今日は港から数分の「地のイカダ」って言う磯にあがり、苦戦してる会長。
徳山湾は工業地帯が密集していて、私の釣り場である岩島よりは水温が高く、魚の活性もありそうな湾内なんだから、
少しは釣ってるかなぁとも思ったんですけど、まぁこんなもんですな。  こちらも負けずにワカチコワカチコです。

唯一の会長の見せ場と言えば、同礁者の方に撒き餌をウンコと間違えられた事位。
彼も家であらかじめ撒き餌で団子を作ってたみたいなんですけど、それが粗引きサナギにチヌパワーに爆寄せ
団子という、まさにウンコ色した撒き餌の組み合わせ。しかもそれを団子状にして朝一は投げていたもんだから
それを見た同礁者の方から、

「兄ちゃん、なんかそりゃー、 ウンコか〜? ウンコ投げよるそか〜?」って言われたそうな。  

彼の見せ場はそれ位かな。

終了時間の1時間前になって、パタパタっと2枚釣れたみたいですけど、所詮今の我々ではそれが限界ですな。
浜本さん、浮子を飛ばされる覚悟で際を釣っておられ、ほんとに2つの浮子をとばしておられましたが、
「あれはひとつ380円じゃけー。飛ばされても全然痛くないわ。」との事でした。


で、本当は表彰式の後の抽選会を楽しみにしてたんですけど、5時から用事のある私と、6時から飲み会の会長、
なんとか間に合わないかなと3時位までは待ってたんですけど、とても抽選会に出ていたら5時には間に合わないんで、
大会本部にその旨を伝え、早退。こんな時に限って、良い商品とか当たるんだろなー。

でもまぁいいです。 魚は釣れなかったけど、名手の釣りを見て自分の中で何かしらの収穫はあったから。
確かに食ったら美味いんだけど、楽に釣れる鰺釣りばかりにうつつを抜かしてちゃーなんねーなと。

トーナメントとか大会って、そうやって自分の釣りの未熟さや、愚かさなんかを見つめ直せるから、刺激にも
なって良いんですよねぇ。

浜本さん、この度はどうも色々とありがとうございました。
特に鰺は、最高に美味かったです。

(※注 今回の釣行日記は浜本さんへ、「僕、ホームページやってるんですけど、今日の釣りの事を
釣行日記に書いてもいいですか?と確認を取りまして、ご了承を得た上で書かせて頂いております。)


はい。表彰式待ちの会場です。
残念ながらお楽しみ抽選会は受けられ
ませんでしたが、ほんとに充実した一日でした。
そして、私の釣果の鰺とメバルと、
あのウルトラ名手の浜本さんから頂いた
鰺たちです。
で、今日も刺身と塩焼きを、大根人参唐辛子を
これでもかって位入れた、スーパーもみじおろしで
食しました。
焼酎のビール割りが進む進む。

あ〜、また鰺釣りがしたくなってきた。

いかんいかん、チヌ釣りの練習をせねば・・・