2月20日  ボッタクリ釣法


「ボッタクリ」

誰もが大抵、一度や二度は被害に遭った事があるのではないだろうか。

夜の繁華街を千鳥足で歩いていたら、可愛らしいお姉さんに声を掛けられ、「3千円で飲み放題だから!」と
言われ、腕を組まれてデレデレ気分でお店について入り、楽しくビールと水割りを2杯位飲んだまでは良かったが、
いざ帰ろうと会計しようと思ったら、いつの間にか周囲を怖いお兄様方に囲まれてて、逃げる隙を奪われたまま
何万円もの請求書を突きつけられたりとか、

パチ屋の、
「本日は、泣いて止める店長を振り切っての激アツ爆出しデーです!  By 副店長」みたいな感じの文言で、
客を煽るだけ煽っておきながらの激寒デー。 「店長の涙って、店側の儲け過ぎによる嬉し涙ですかい?」って
ツッコミ、あなたは立ち去るパチ屋に向かって、呟いたことは無いですか?

「ボッタクリ」  どんな手段であろうが上手いこと言って、下心いっぱいの客を騙くらかして店側が法外の利益を
むさぼる事。


十数年前、永田と会長は大阪ミナミの繁華街で、この手の被害に遭った模様。
怖いお兄さんに囲まれた2人、まず会長がトイレに行ってくると一人トイレに行くフリをし、トイレの窓から
永田を見捨てて緊急脱出。しかしそれを入り口の見張りに発見され、追っかけられる。
この日が、人生で一番速く走った日だと当時の事を振り返る彼は、見事に追っ手を振り切ることに成功。

また、永田においては店員の注意が会長に向いてる間にダッシュで店の階段を駆け下り、これまた全力疾走にて
難を逃れる。
会長曰く、「俺が階段下入り口の店員の目を引いてたからこそ、永田が逃げることが出来た!」と豪語していたが、
私が思うに中野はんは単純に、「永田の事を見捨てて逃げただけの造反者じゃん!」と私は思う。


そして私、富士の雪解け水の如く透明で純粋無垢、まだまだ世間の汚れを全く知らなかった同じく十数年前、
酔っ払ってフラフラしながら小倉の紺屋町を彷徨ってたら、「お兄さん、可愛い子いるから寄っていかない?」って
プラカート掲げたおじちゃんに言われ、しばしの癒し空間を求めて店に入ったまでは良かったが、
目の前に現れたのはお世辞にも可愛いとは言いがたい、どちらかと言えばむしろ可愛いとかそういう次元の
問題では無い、有名人に例えるならばマツコデラックスと朝青龍を足して2で割った様な感じの子。
しかも、真っ白なフリフリのドレスを着て登場してきたもんだから、暫くは自分の身に何が起こっているのかを
理解できず、しばし呆然。


「イマジン オール ザ ピープル」 

想像してください。フリフリドレスの朝青龍が、隣に「こんばんは♪」とか言いながら座ってくる光景。 
癒されるどころか、酔いも一気に覚めましたわ。

しかも私の席の隣に、かぶりつきで座ってくるもんだから、こちとら心境は横綱とのぶつかり稽古の
順番を待つ、相撲部屋に入門したばかりの新弟子のよう。

「これはチェンジでしょ・・・。」と内心では思いながらも、心優しい私はチェンジで彼女のハートを傷つけたら
いけないと、注がれるままに水割りを飲み、只々テレサテン。    時の流れに身を任す。

もちろん延長も無しで会計済ませ、店の外に出て看板を見上げながら思う。


「ボッタくられた・・・」


とまぁ、前フリが長くなってしまいましたが、ボッタクリにも色んな種類があると言うことですな。
で、本題である本日の釣り。

本日2月20日(土)は、釣友の中村君と馬島テトラにて夜釣り。
最近この釣り場は鯵が絶好調で、釣ろうと思えばカゴ遠投でいくらでも釣れるような状況。

とある常連さんは、毎週のようにここに通って鯵を量産し、その鯵を1匹100円で売ってるそうな。
で、その常連さんと話をした中村君が、

「釣ろうと思えばいくらでも釣れる鯵、1匹100円? それ、ボッタクリやん・・・」と、その常連さんに突っ込みを
入れた所に端を発するのが釣り界のボッタクリ。

「そりゃー、釣れたて新鮮の30cm近い鯵やから、買ったらそれ位するかもしれんけど、別にカゴ振りゃー
なんぼでも釣れる鯵、ただであげたらええやん。」って言うのが中村君の意見だし、私もそう思う。
まぁ、価値観は人それぞれだから別に否定はしないけど。


で、今日は何故に夜釣りなのかと言うと、この馬島テトラには、アラカブやメバルも生息してるらしいから。
煮付けたら最高に美味いそれらの魚を、しこたま釣ってやろうってのが今回の趣旨。

中村君はチヌも狙うみたいだけど、私はフカセで鯵やメバルを適当に。

最近の私、チヌよりも鯵にハマってるんですわー。
釣れたて新鮮な鯵、刺身も塩焼きも大根おろしと唐辛子をたっぷり入れたもみじおろしで食する幸せ。
更に今回はそれにメバルやアラカブの煮付けが混ざる事を考えたらもう・・・

夜のテトラは危険が一杯やけど、まぁ、何とかなるやろってことで、例によって航海丸さんに揺られて
テトラに上がったのが午後5時。

響灘にある馬島横に、ポツンと浮かぶこの馬島テトラ、今は内向き(南側)でチヌ、外向き(北側)で
鯵の調子が良いようです。
本来は外向きでチヌも釣れるんですが、普段は12月一杯で姿を消す鯵が2月も終わろうかっていう
この時期にも元気に泳ぎ回ってるんで、チヌ狙いなら今は内向きが釣り易いようです。

で、夕マヅメはチヌ狙いますと言う中村君は内向きに釣りを開始し、メインが鯵狙いの私は最初から外向き。
暗くなる前に全体のテトラの配置なんかを確認しておこうと、テトラ上を端から端までウロウロしてる途中で
ふと中村君を見ると、なんと早速竿が大きく曲がっておりますがな。そんなに大きくはないんですけど、
35cmの見事な寒チヌ。見るとお腹も膨らんでおり、そろそろノッコミの気配。

「さすがやね〜」と、言ってる側からまた竿を曲げてる彼。
あっさりと2枚目のチヌゲット。

私ものんびりしてる場合じゃない。慌てて自分の釣り座に戻り、釣り開始。
で、見事1投目から本命ゲット! まぁ、私の場合、本命は鯵ですけど・・・

適当に楽しく鯵と戯れながらも、裏の内向きで釣ってる中村氏の釣果を時折確認しに行くと、私が行く度に
ライブウェルの中のチヌの数が増えている。
午後7時半の時点で、型こそそんなに大きくないものの7枚のチヌが釣れていた。

いやいや、さすがさすが。
しかも今日も、撒き餌はもちろん「チヌの舞」やし。

んで、「こっち(内向き)に来ませんか〜? 今ならこの下、チヌがうじゃうじゃ沸いてますよ!」という彼の誘いも
「俺、チヌより鯵のがええけ〜大丈夫。」と、丁重に断り、鯵釣りに専念する。 
それは、来たるべきジャパンカップ鯵の練習のためでもある。
一応今のところそんな大会は無いが、今後、いつか開催されるかもしれないその日のために、ひたすら竿を振る。

で、最初は1本針でチマチマ釣っていた私、そういえばクールバッグの中に青物泳がせ用の鯵を確保するための
サビキ仕掛が入っていたのを思い出す。
そんでもって下の図の様に一番下の針を残す状態でラインを切り、仕掛が先行しやすいように一番下の針だけに
オキアミをつけて仕掛を投げ、撒き餌を一杯だけ被せてやると・・・



  

案の定思惑通り、そっからは一投一尾の鯵の入れ食い。
夜釣りで警戒心の薄れている鯵、オキアミが付いている針以外の針にも平気で食ってくる。

「フッフッフ。バカな奴らめ。2番目の針に餌は付いてないよ〜ん」とか、独り言を言いながら、鯵釣りを楽しむ。

この釣り方、撒き餌で上手いこと鯵を寄せ、餌の付いてない針も鯵に食わせる、ある意味鯵にとってはボッタクリ。
この釣法、「ボッタクリ釣法」と名付けよう。 
なんか、夜のネオン街でボッタクリスナックを経営してる人達の気持ちがわからなくもないな。

途中、様子を見に来た中村君に、「すごい釣法を発明した。その名もボッタクリ釣法。中村君もやる?」と聞くと、
最初は、「いや、いいです。」と、フカセ釣り師のプライドがそれを拒んでいたのだが、隣で私が

「おおっとまたきた、1ボッター! おっと今度は2ボッター!」とか、楽しそうにやってるのを見て、

「あのー、僕もサビキ針、1つ貰っても良いですかね?」と中村君。

どうぞどうぞ。大いに鯵をボッタくっちゃって下さい。


結局、アラカブこそ釣れなかったですが、この仕掛にメバルもガンガンアタってくるので、面白いったりゃありゃしない。

これを、テトラの上で納竿の午前9時まで延々16時間。
で、気になる釣果なんですけど、最終的に鯵が86匹と、メバルが33匹の大ボッター。
口の弱い鯵の口切れが無かったら、軽〜く100匹は超えてましたわ。
だもんで、最後の方はさすがに飽きてましたけど。

しかも、魚のヒレや釣り針が指に刺さったり、また、鯵の尻尾のゼイゴ(ザラザラした部分)で指がヤスリで削られてる
ような状態になり、両手の親指、人差し指、中指がボロボロ状態に・・・
家に帰ると、指が痛くて箸やペンが握れない程の悲惨な状況になってました。   こりゃー、鯵の祟りかもしれん。

更には、真っ暗なテトラ上で、テトラの中にダイワのはさみとシマノのラジオペンチ、スノーピークの針外しを紐でつないだ
物と、キザクラの餌ケース、更には、メバルにテトラに入り込まれての道糸高切れによる釣研の電気浮きの紛失と、
合計で被害総額7000円という、大損害まで被ってしまいました。 
テトラの中に物落としたら一発だもんな〜・・・。 これも鯵の祟りか。


ここは一丁元を取るために、私も鯵を1匹100円で売っちまうか?
鯵を売ってる常連さんの気持ちが、わからないでもなくなってきた。

3月7日には、今年一発目のチヌ釣り大会が開催されるってのに、夏以来チヌ釣りは全くやってない今日この頃ですが、
まぁ、楽しかったし鯵も美味かったんで、まぁいいです。ってことでまた来ま〜っす。




今日は船長に、新鮮なワカメをもらいました。
毎回毎回コーヒーは差し入れて頂けるわ、お土産は頂けるわ、
ほんと、感謝感謝です。

ってことで、今回も宣伝。 私はとっても賄賂に弱い。
職業は、政治家になるべきだったな。
(あ、お土産は、別に私が宣伝してるからじゃないです。
みんなに平等にもらえますよ。ほんと素敵な渡船屋さんです。
※注 貰えない事も時々あるんで、収賄目的で行ったらダメです。)

リニューアルされたホームページと、携帯からの釣果情報掲示板

で、連絡先。  
渡辺康彦船長

TEL 0832-67-2091
携帯 080-2913-5930


鯵の祟りで箸やペンが持てないほど指がボロボロに。
「さ〜む〜い、夜だ〜か〜ら〜」 鍋焼きうどんです。
足場の悪い真っ暗なテトラの上で一晩中過ごさにゃならんので、
飲酒は控えめに。

ってか、本当は飲まない方が良いと思います。
反面教師と言う事で、仕方無しに私が渋々悪い例の見本を
やってるだけです。

案の定、今日もズリズリズリーっとテトラの中に落ちました。
幸い大事には至りませんでしたが、明るいうちにテトラの状況を
確かめておき、仕掛作りや食事は安全な所で行い、極力無駄な
移動は行わないようにしましょう。
馬島テトラの夜明け。

あ〜た〜らし〜い朝がきた。

「ようやく明るくなったよ・・・。」ってのが本音でした。

あ〜、眠たい。
16時間を過ごした馬島テトラ
もちろん翌日は体中が筋肉痛・・・
中村君と7枚のチヌ。
しかも撒き餌は「チヌの舞」

やっぱ釣りは腕か・・・
鯵とメバルとそれから私、
みんな違ってみんな良い。