12月02日 クォーターマスター折れる
え〜っと、買ってからまだ僅かしか使っていないにも関らず、クォーターマスターが折れました。
いやね、シマノのCMとか広告とかでやってるじゃないですか。タフテック穂先の巻き込み強度が
どれだけ強いかって。 で、私も家で試しにやってみたんですわ。そしたら以外にあっさり・・・
ってのは嘘なんですけどね、 今日はその惨劇が起こるまでの、悲劇の物語です。
12月02日(水)、本日は中野のおいさんと平日釣行。
前回釣りに行ったのが11月7日だから、かれこれ1ケ月振りの釣り。
11月は仕事で休みが少なかった上に、たまの休みも天気が上手く噛み合わず、結局1回ポッキリの釣行。
その分今回はやる気十分。
前日21時に私の家に集合し、ひたすら釣り場へ車を走らせる。
しかも今回は場所取りした後に、寒空の下現地で仮眠も取れるように、寝袋と焚き火のできる薪も準備。
ちょっと季節外れではあるが、キャンプだホイ、キャンプだホイ、キャンプだホイホイホーイ。ってな感じだ。
最近、ただの釣りがどんどんエスカレートしてきて、崖を上ったり降りたり、更には真冬にも関らず寝袋まで
準備しての野宿の釣り。 嫁も呆れ顔である。
しかし嫁よ、お前にはわかるまい。 これが男のマロンという奴だ。
普段は都会っ子で、とかくクールに見られがちな私であるが、実はこんなワイルドな一面も持ち合わせて
いたりするのである。 んー、まずい。また女性ファンが増えてしまう。
ってことで、途中のコンビニで色々食料を買い込み、車をブイブイ走らせて釣り場に到着。
早速焚き火を起こし、コンビニに売ってある缶の底のボタンを押せば勝手に熱燗が出来上がる日本酒で体を
温める。 寒空の下、焚き火を囲んで酒を飲む。 至福の時。
「だ〜れもいない海。 わ〜たしは今、生〜きているぅ〜ぅ〜」
なんか青春っぽい、素敵な詩が出来た。 タイトルは、「34歳」と名づける事にしようと思う。
更に今日は満月。 まん丸なお月様の光が私達を照らしてくれる。
中野のおっさん「綺麗な月じゃのー。 すげーロマンチックじゃ。」
私「ほんとじゃ。月は綺麗やけど、側におるのがあんたってのが切ないのー。
これが隣におるのが、たくみお姉さんならもっと素敵なんやが・・・。」
(ちなみにたくみお姉さんを知らない人は、「お母さんと一緒」を要チェキだ!)
そんな美しい満月と、満天の星空を見ながら就寝。
明日は久々に良い釣り日和になりそうだ。
しかし仮眠の途中、何故か冷たい雨が降り出し、目が覚める。
「さすがに雨男のタコがおると違うのー」とは、隣で寝てた中野のおいさんの言葉であるが、
幸いにも雨はすぐに上がり、事無きを得る。
しかし、今日の悲劇の前触れは、この辺りから始まっていたのかもしれない。
そして、夜明けと共に釣り開始。
今日の天気予報は南から東にかけての弱い風で、波の高さも1.5m後1mと穏やかのはずであったのだが、
何故か風は北よりで、海も若干時化気味。
潮通しの良い先端の釣り座は、早くも波をバシャバシャと被っている。しかも本日の満潮は11時過ぎの為、
これから潮位は上がってくる。更に今日は大潮なので、このままだと先端の釣り座はかなり危険が危ない
気がするので、しばらく近くの高台で波の様子を見ることに。
「先端に行きたいなぁ」とか思いながらも竿を振り、開始から僅か3投目、思惑とは裏腹に早くも本命の35cmの
クロゲット! ん?今日はここで爆釣か?とか思いながら釣りを続けるも、それ以降はぱったりとアタリが止まる。
中野のおいさんも全く状況は同じで、たまに竿を曲げるのはちっちゃいウマヅラばかり。
しかも沖にはほとんど撒き餌を入れてないにも関らず、毎投の様にツケ餌が無くなる。
そんなこんなで時刻は11時。そろそろ満潮の時間。
波も風も大分落ち着き、潮も下げに入るので、そんなに危ない波も来ないだろうと判断した私と会長は、
思い切って先端の釣り座へと移動を行う。
「時折足元は洗われるが、そこまでではなさそうな気がするな・・・」と思った矢先、ウネリを伴ったちょっと
大きい波が来て、私のバッカンがさらわれそうになる。会長に至っては膝の上まで波が来て、
足元を掬われそうになった模様。
これから潮は下げに入り、これ以降は大丈夫な気がするのであるが、すっかりビビってしまった会長は、
再び元の釣り座に戻ることに。
「絶対危ない。さらわれる。俺は戻る。 あんたも下手すりゃさらわれるっちゃ。ウネリがあったもん。ウネリが。」
と、尋常ではないビビリ様。今にも家に帰りたそうなその表情に、ここでまず会長の心がポキリと折れたのを確認。
私的には大丈夫な気がするも、一応会長がそう言うので、私も元の釣り座に戻ることにする。
しかし案の定クロのアタリは無く、餌取りはかなり沖の方にまで出て戻ってこない。
時刻は午後1時。
やっぱりもう、絶対大丈夫な気がすると業を煮やした私は、一人ビビってちっちゃくなっている会長を残し、
一人で再び先端へ。 潮はガンガンに走っていて、かなりいい感じ。
時折足元まで波が来るが、それ以上には至らない。「潮もこれから下げに向かっていくし、もう大丈夫やろ。」
こんな素敵な雰囲気の中、「今日はこれから何かが起こる?」 その時私は直感的にそう、何かを感じていました。
そしてまず、1匹目の獲物はヤズ。バチバチーッっとスプールを押さえる中指がはじかれる気持ちの良いアタリと
豪快な引きで、私を楽しませてくれました。
そして再び訪れるラインのバチバチ! 獲物はさっきよりも鋭く中指をはじきます。
合わせと共に豪快に曲がるクォーターマスター。竿で溜めて、走りを止めようとしたその瞬間、
「バキッ」と、1番の穂先が真ん中から・・・ ってな感じであればそれなりに納得もいくんでしょうけど、
この獲物も普通にヤズでした。さっきよりも少しサイズアップです。
クォーターマスターなら全然問題なく取り込めます。
悲劇は、この後起こりました。
難なくヤズをタモ入れし、針を外した私。
「さぁて今度はクロ釣るで〜」とか思いながら、左手で竿を持ったまま釣り座に戻ろうと足を踏み出したその時です。
ツルツルの岩で足元がツルりと滑り、私はハットリ君並に後ろに「ズコッ」とずっこけました。
思わず空いていた右手を地面についたため、前に痛めていた右手小指の古傷が再び・・・
しかも今回はそれだけに終わりませんでした。
左手で持っていた竿とリールは、一応地面にぶつけることはなかったんですが、竿の先っぽを見た私は
我が目を疑いました。 なんか、竿の先っぽでプラプラしてるものがあります。
「ヤエン?」 一瞬私はそう思いましたが、今日はイカを釣りに来た訳ではありません。
しかもその前に、私はヤエンなんか持ってません。
そう。それは紛れも無く折れた穂先でした。左手は地面についていないものの、竿の先っぽが鞭のようにしなり、
岩を叩いてしまったようです。
「か、買ったばかりのクォーターマスターが・・・、クォーターマスターが・・・ 折れてーますたー。」
「た、体感ショーック!」
それはもう、過去に体験したことの無い位の体感ショックでした。
ヒラマサ釣った時も結構な体感ショックでしたが、今回はそれを遥かに凌駕する体感ショックでした。
釣り座を移動した際の何かが起こるとの私の直感は、どうやらこの事を指していたようです。
呆然としながら穂先を見つめる私。
予備でダイブマスターは持って来てますが、やる気は一気になくなり、思わず一遍の詩を口ずさんでました。
「汚れちまった悲しみに・・・、竿が2つに折れました。 汚れちまった悲しみに・・・、ついでに心も折れました。」
詩のタイトルは、 「折れてしまった悲しみに」 と名付けようと思います。
粘ればまだまだ色々と釣れそうですが、もう釣りどころではありません。
同じく、波にさらわれそうになって心が折れ、向こうの釣り座で惰性の釣りをしている中野さんに、
「もう帰ろうや」と伝え、半ベソ状態で釣り場を後にするのでした。
「汚れちまった悲しみに・・・、 なすところもなく日は暮れる」 種田山頭火
この頃はまだ、この後待ち構えてる悲劇のことなど 頭の片隅にもなく、 キャンプだホイ、キャンプだホイ、キャンプだホイホイホ〜イとか のん気に歌ってました。 |
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燗番娘ってゆー、底のボタンを押したら どこでも熱燗が出来上がる素敵なお酒です。 ちょっと高いけど。 |
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月が綺麗な夜でした。 こんな夜は、何かが起こりそうだなと思うくらい、 月が綺麗な夜でした。 |
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35cmのクロと、40ちょいのヤズが2匹です。 でも今日は、獲物なんかどうでもいい心境です。 |
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汚れちまった悲しみに・・・ |