9月22日  大ちゃん、釣りに行こう!



9月22日(日)、義理の弟1号と2号が岡山からやって来た。
1号はこれまでも何度か釣行記に登場しているが、2号は今回が初登場。 
どうして岡山の義理の弟に1号と2号がいるのかと言うと、要は2人の妹が、揃いも揃って岡山に
嫁いで行ったためだ。

1号の方はすっかり釣りにハマってしまい、グレを釣りにわざわざ岡山から、四国の日振や中泊、
武者泊、宇和島なんかにも遠征に出かけ、私がまだ経験したことの無い40cmオーバーの尾長とのやり取りを
何度も経験しているようで、 「私を、昔の私と思わんでくださいよ!」 と言い放つ彼の表情は自信に
満ち溢れている。更に、2009年秋発売のシマノの新しいテクニウム、ファイアブラッド限定バージョンまで予約している
そうで、私としては、「ちくしょー、金に物を言わせやがって・・・」と内心穏やかではないが、所詮は貧乏人の負け
惜しみだ。

「釣りは道具じゃねぇやい。腕じゃい。腕。」 とも一瞬思ったが、釣りの上手な人と何度も遠征を重ね、
その技術を余すことなく吸収しているであろう義弟1号。 残念ながら、恐らく釣りの腕も追い越されてるはず。

道具も腕もすっかり私を上回ってしまった弟に、敢えて私から一言言わせてもらうならば、
「すまんが弟よ、今度私にも、でっかいグレの釣り方を教えてくれ。」


で、そんな義弟第1号と一緒に同じ車で遥々岡山から山口までやって来た義理の弟2号は、齢、今年で29歳に
なる大樹君。 通称「大ちゃん」

釣りは、投げ釣りをちょこっとかじった事がある程度で、ほとんど初心者。
で、そんな初心者の大ちゃんに、魚釣りの面白さを教えてあげようと弟1号と企てた計画がずばり、

「大ちゃん、釣りに行こう!」 である。


しかし、テレビ番組の 「大ちゃんの釣りに行こう!」の中にもよく登場する、「まこと渡船」の渡船基地の、
すぐ近所に住んでいながら、すぐ目の前の海での釣り経験がほとんどないとは、男の子としていかがなものかと
思う。今日はこの素敵なお義兄さんが、釣りの魅力をたっぷりと、余すことなく教えてあげるから覚えてらっしゃい。

ってことで本日は、遥々岡山からやってきた義理の弟二人を引き連れて、小野田一文字でのチヌ釣りである。
1号の方はもう放っといても自分で釣りが出来るまでに成長、いや、むしろどちらかと言うと私よりも遥かに上の
レベルで釣りをしているので、腹立たしいので放っておく。

問題は2号。 まずはチヌという魚を釣らせてあげて、釣りの魅力を存分に味わってもらいたいと思うので、
私の得意の紀州釣りでチヌを釣らせてあげることに。
でもまぁ、教えるといっても、仕掛け作りから団子作りまで、ほとんど私がやってあげるんだけどね。
仕掛け作りや団子作りに時間がかかり、時合いを逃しては本末転倒だから。

手返しよく効率的にチヌ釣りを楽しんでもらうには、私が側でサポートするのが一番。
仕掛けの作り方とか撒き餌の打ち方なんかは、自分が魚を釣って面白いと思って、

「これからも魚釣りを続けてみたい!」 と感じたならば、それから覚えんさい。

なので今日は、自分の釣りは完全に放棄して、まずは彼に感動の1尾を。 目的は、ただそれひとつ。
それに尽きる。


う〜む、優しい。優し過ぎる。 私という男、相変わらずなんと優しい男であろうか。
自分で言うのもあれだが、書いてて涙が出てくる位に優しい男だと思う。


これだけ幾度にも渡り私の優しさをアピールしても、相変わらずプリチーなヤングレディーからファンレターが
来ないのはどうしてだろうと不思議に思うのだが、よくよく考えてみたら、あんまり釣り場でチヌ竿や磯竿振ってる
プリチーなヤングレディーって見かけないもんなぁ。当然釣りのホームページなんかにも興味を持たないわけで、
私の優しさが伝わっていないのではなかろうか。

それではどうすれば私の優しさがプリチーなヤングレディーに伝わるか。
今のヤングの間では一体、どんなものが流行っているのだろう・・・、とか色々考えてみたら、あれか?

「ブザービート 〜崖っぷちのヒーロー〜」 とかか? 
「ブザービート」っぽい話の、日記とかを書いてみたらいいのか?

自慢ではないが私、ヒーローかどうかは定かではないが、人生はいつも崖っぷちだ。


まずは手始めに、とりあえず真夜中のときわ公園でバスケットでもやってみる?
そしたら、北川景子みたいな感じの可愛らしいお嬢さんがバイオリン持って現れてって・・・


絶対有り得んと思うんだが。 そんなシチュエーション。
せいぜい現れて、警備のおっちゃん位のもんじゃね?
「はよー帰らんにゃ、警察呼ぶよ〜!」って警備のおっちゃんに怒られて、渋々帰る。
現実って大体こんなもんじゃね?

と、流行のドラマに完全に否定的なツッコミを入れる時点で、もうダメなんやろな。 

私の中でのドラマは、「101回目のプロポーズ」で止まってます。 今のドラマの事はわかりません。
トラックの前に急に飛び出して、「僕は死にましぇん!」 の名台詞。  あれは良かったよ。うん。名シーンだ。  
でも、今になってよくよく考えると、あれもまた現実には有り得んドラマだったよなぁ・・・。

まぁいいです。プリチーなヤングレディーからファンレターが来ない理由がわかった所で、本日の釣りの話に
戻ります。


今日の釣りは、波止の南側。 撒き餌フカセの弟1号とは30m位距離を取り、釣り開始。
で、最初に竿を曲げたのは弟1号。0号の軽い浮きを巧みに操り、軽やかな撒き餌ワークで餌取りをかわし、
15人程度あがっている本日の一文字で、第一号のチヌを釣り上げました。

もうそこに、2年前のあどけない初心者の面影はなく、彼は一端の釣り師へと変貌を遂げていました。
弟よ。立派に成長したな。義兄として本当に嬉しく思う。
そしてすまんが、今度フカセでのチヌ釣りも私に教えてくれ!


で、続いてこちらは弟2号。私が挿餌をつけ団子にくるみ海に投下、回収の頃合の指示を出し、彼が
リールを巻く。 その動作を繰り返すこと1時間。遂に浮子がチヌの前アタリらしき動きを捉える。

「今のモゾモゾ状態の浮きが、海中に沈み込んだら合わせを入れるんだぞ!」と指示を出し、その時を待つ。
そして次の瞬間、僅かにシモっていた浮子が一気に海中に引きずり込まれる。

「今じゃ!」と、合わせのタイミングを指示すると同時に、大きな弧を描く、私が昔愛したチヌ竿、「きんろう」

ちなみに、「きんろう」をご存じない方のために説明をしておきますが、私がチヌ釣りを始めた当初、
本当はダイワの「銀狼」が欲しかったんですが、「たかが竿に何万も金かけるなんてなぁ・・・」と思ってた
当時の私、某釣具屋のセールで、メーカー不詳の定価19800円の竿が、90%オフの1980円で
売っているのを発見しました。90%オフなら絶対買いでしょ!と即座に購入。
折れたらいけないのでと保険で2本買い、早速1本は穂先を折りました。

で、その竿に本物の「銀狼」に対抗し、自分で勝手に手書きでロゴマークの 「きんろう」 の文字を書いて
使っていた、幻のチヌ竿。  ダイワグレマスターズで優勝しても手に入らないであろう貴重な竿です。


その後、すぐに本物の「銀狼」を買い、日の目を見ることのなくなった「きんろう」。 1本目の折れた方の
「きんろう」は前に会長の後輩にあげました。

そしてその後は全く使わなかったもう一本の「きんろう」、弟2号は竿を持ってなかったので、この度安く売って
あげることにしました。定価は19800円だし、一回も使ってない新品だけど、半額の10000円で良いからね!

しかし、久々に持ったけど、「きんろう」重たっ。1号竿にてこの重さ。
定価19800円は絶対嘘じゃ・・・。とツッコミを入れたくなる位重たい竿です。
ちっくしょー、某釣具店め。 初心者だった頃の純粋無垢な、ウブな私の純粋なハートをもてあそびやがって。
とも思いましたがまぁいいです。遠い昔の思い出です。


で、弟2号の元で、大きく弧を描く「きんろう」
ケーソンの中に入られないよう、私も手を添えて弟2号のサポートをした結果、上がってきたのは本命の銀鱗。
33cmと決してサイズは大きくないけど、彼にとっては記念すべき初チヌ。
弟1号もやって来て、記念の写メール。きっと誰もが覚えているであろう、最初の一尾を釣り上げた日の感動。
彼にとっては今日が、忘れられない日となるであろう。本当におめでとう!

しかし、それで満足をしていてはダメだ。 貪欲に次を。貪欲に大物を目指すんだ。

そして再び弟2号の浮子が海中に沈む。合わせを入れた瞬間から強烈に走り出す獲物。
1,5号のハリスに耐えられるように調整していたドラグがジージーと悲鳴を上げながらラインを送り出していく。
竿先は叩いてないし、まぁ、多分大体魚の正体は見当がつくんだが、それでも姿が見えるまでは慎重にと促す。

で、姿を見せた魚は案の定、ロングなロングな長い奴。暫くそのボラで、魚とのやり取りの練習をさせる。
まずは海の中を走らせ、徐々に弱らせる。で、海面に出てきたら空気を吸わせて弱らせてフィニッシュだ。
と、口では説明しているが、ボラの強烈な走りに頭の中は一杯一杯で、恐らく耳には入ってないだろう。
数分後、大ちゃん、これまた人生初となる大ボラをゲット!

「めちゃめちゃ引きましたわ〜」と大興奮の彼だが、今日の本命は、あくまでもチヌだからね!

それからも同じように私が団子を握り、チヌを2枚追加したところで私も一緒に竿を出すことに。
私が団子握ってる間は大ちゃんが仕掛けを流し、大ちゃんが団子握っている間は私が仕掛を流して、
ぐるぐると同じ釣り座を回る、観音釣り。

大ちゃん、その後1枚とボラを1匹追加して、チヌは計4枚のボラ2匹。
私も適当に大ちゃんの様子を見ながら、計5枚。
義理の弟1号も、フカセでチヌ5枚の全員安打でフィニッシュとなった。

大ちゃんに、「今日の釣りはどうだった?」と感想を聞くと、「いやぁ、最高でした。ボラってよく引きますねぇ」と
本日の釣りの趣旨を少し履き違えている感がしないでもないが、まぁいい。
相手がフナであれハゼであれアジであれボラであれ、そうやって魚釣りが面白いと感じること。
今日は、それが分かればそれでいい。

今、幾多の大会で活躍されているトーナメンターの方々も、また、大物狙いで色んな所に遠征している人達も、
誰もが原点はそこからだったのではないかと思う。

後日、大ちゃんから「この前は釣り、ありがとうございました。楽しかったです。また行きたいです。
でも、折角の釣り時間の大半をお世話してもらい、申し訳なかったです。」といった内容のメールが来る。

いやいや大ちゃん、こっちはいつだって釣りに行けるんだから全然気にしなくてもいい。
でもね、もし仮にこれから先、大ちゃんが釣りにハマって上手になったとして、同じように釣りを始めようか
迷っている初心者の人と一緒に釣りに行くような機会があったならば、その時は今回の私と同じような事をして
魚を釣らせてあげんさい。そしてその人も、「釣りは楽しい、また行きたい!」と感じたならば、その日の
大ちゃんの任務はそれで完了。  
「釣れてよかったね。また行こうね!」ってな感じに、きっと思えてくるはずだからさ。
釣りの楽しさを教える側の、そういった気持ちもまた、魚釣りの魅力のひとつだと思うんだよね。

大ちゃん、釣りに行きたくなったら、好きな時にいつでも山口に遊びに来んさい。その時にはまた、
私が知っている、出来る限り釣りの楽しさを教えてあげるからさ。



追伸、愛竿「きんろう」の代金の1万円は、今度こっちに来た時でいいからネ♪





私が愛してやまなかった愛竿「きんろう」2本共が、
遂に私の手元から離れていった。

ちなみに1万円は嘘です。
ちゃんとただであげました。
大ちゃんの人生初となるチヌ!
こちらは、大ちゃんの人生初となるボラ!

「めちゃめちゃ引きました〜♪」と
大喜びでした。
そのボラと格闘中の、大ちゃん。
山口に来たらまた行こうね〜♪