11月03日  ロッククライミング


最近、釣りの行きすぎでなかなか更新がままならない。
釣りに行けば行くほど釣行日記を書かなくてはいけないジレンマと戦っている今日この頃の私であるが、
多額の借金で返済がままならなくなった、どこぞの某有名音楽プロデューサーよりはマシかと頑張っていきたい。

11月3日(月)、本日はカクちゃんと2人での地磯釣行。
ちょっと怖いけど結構釣れる、凄い地磯があるよって言うカクちゃんの提案で日本海を臨む山陰の地磯へ。
地磯には結構慣れっこな私、お金もかからないし運動不足の解消に持って来いってことで、いざ!


午前5時過ぎ、釣り場近くの駐車場に到着。
釣り場までの1時間、辺りは暗いからのんびり行こうってことで、ヘッドランプを頭に、背負子を背負って
テクテクとハイキング気分で。

「歩こ〜 歩こ〜 私は〜 げんき〜♪」  って感じで1時間位歩けばいいかなと、当初は軽く考えていたん
ですけど・・・。


なんか・・・、  山道を進めば進むほどハイキングというよりは、むしろ危険な冒険チックになってきました。
例えるならば、水曜スペシャルってところです。  気分は川口浩です。

釣り場まで行くのにまずは山越え。 しかもこの山の勾配のきつさといったら・・・

「ひーこら ひーこら ばひんばひん」とか言いながら山頂に着いたまでは良いんですが、恥ずかしいかな私、
暫くはその場から動けませんでした。

欲張って持って来過ぎた重い撒き餌もさることながら、前の日の深酒と睡眠不足もたたり、
今なら全てを放出できそうな気分です。
今ガンダムごっこをやったら、私は間違いなくビグザムが適役です。

心臓は物凄い速さでビートを刻み、息が整わず言葉がしゃべれません。
何故か体温が訳もわからず急激に上昇し、変な汗が出てくるのを感じます。

きっと、140,000kWのジェネレーター出力を確保する為に、4基の超大型熱核反応炉がフル回転している
のでしょう。危険です。逃げてください。間もなく充電が完了し、大型メガ粒子砲が放出されます。
辺り一面焼け野原になっちゃいます。

とにかく防寒着やらウインドブレーカー等の着ている服を脱ぎ、Tシャツ1枚で冷たい地べたに横たわり、
核反応炉を冷却。  何とかメルトダウンは回避することができました。


気を取り直して再出発。

今度は、山頂から海面へと山を下ります。登りほどはきつくはないんですが、今度は獣道がやばいです。

行きは暗くてよく分からなかったのですが、明るくなった帰りにこの道を通ったとき、一番細い所は足場が
10cm程の幅でした。しかも下は90度近い断崖。所々に木々は生えていますが、重たい荷物を背負って
落下してしまったら、間違いなく下の方まで落ちていくことでしょう。ただでは済まないはずです。
それも粘土状の土の上に落ち葉が被り、めっちゃ滑りやすい状態の道、細いロープは張られてましたが
もし誤って滑ってしまったら、そんなロープなど全く意味をなさないでしょう。

で、ようやくそんな危ない山道を脱し、朝靄の中にうっすらと今日の釣り場が見えてきました。  
急な崖の、遥か下の方にですけど。
ここでは潮風に乗って、ほのかな磯の香りだけでなく危険な香りまでもがぷんぷん漂ってきます。

でもまぁ、折角きつい思いをして来たんだから、時間をかけてでもゆっくり下に行こうと決心をします。

なんとか背負子を背負って降りてたのですが、途中で1本のロープに全てを託さないといけない場所が
ありました。

カクちゃん曰く、昔来たときにはハシゴが掛けてあったそうなのですが、今はロープが1本です。
全体重と大切な命を1本のロープに預けて崖を下ります。
そこではさすがに背負子をほどき、1つ1つ荷物を手渡ししました。
慎重に慎重に崖を降り、1時間以上歩いてようやく釣り座に到着。

長い道のりでした。さすがに苦労した甲斐あって、雰囲気はめっちゃ良い感じです。
でも良いのは雰囲気だけでした。

実際に竿を出してみると、そこにクロの姿はありません。
餌はちょくちょく無くなりますが、きっとスズメダイか何かの餌取りでしょう。
時折フグやらスズメダイは釣れますが、クロの気配はありません。

ダラダラと惰性で釣りをしていた私の浮きが、遥か沖で沈んだのは午前9時過ぎ。
合わせると強烈な引きが伝わってきます。本日唯一の見せ場でした。

1,5号の竿はひん曲がり、真っ直ぐに伸びきった道糸は、潮風を受けて「キーン」と鳴いています。
クロなら余裕で40cmを超えてそうです。
磯の際まで出て突っ込みを交わしながら、じわりじわりと寄せていきますが、なかなか魚との距離は
縮まらず、もどかしい時間が過ぎていきます。

そしてまず、浮きが見えてきました。  まもなくご対面です。
ポンピングで、ゆっくりとその魚は浮いてきました。  黄金色の魚体をキラキラさせながら。

私、すっかり忘れていました。
ここ日本海には意味無く強烈な引きを見せる、バリが存在していることを。

自分では全然記憶に無いんですが隣に居たカクちゃん曰く、私はバリの姿を確認した瞬間、
「またお前か〜!」って叫んだそうです。


いや、普段なら別に良いんです。そこそこクロも釣れてる状況で、時折混じる黄色い魚体なら私も笑って
済ませられます。

でも今日のような激が付くほど渋い状況の中でのこの会心の引きに、私は間違いなく大物の予感を
感じていました。  だから余計にがっくりなんです。

いや、でもまぁ一応このバリも、40cmを超える大物に間違いはなかったんですけど・・・。
今までで一番引いたバリでした。そして一番がっくりしたバリでした。

今日は、一緒に行ったカクちゃんも目立った釣果はバリだけでした。上手く内臓取り出せば普通に
美味い魚みたいなんですが、私は毒針が怖いのですぐに海に帰しました。


帰りの崖は、来た時以上に危険でした。
1本のロープに全体重をかけ、左足を岩にかけた瞬間、

「ズルリーン」と、抜群のタイミングで磯ブーツの左足のソールが剥がれました。
先週の蓋井島では右足のソールが剥がれたので、これで両足のソールが剥がれたことになります。
「やっぱりブーツって、同じような時期に同時に壊れるもんだなぁ・・・」などと感心などしてる場合じゃ
ありません。危うく足を滑らせて、某有名音楽プロデューサーのように転落の人生を歩むところでした。
危なかったです。


でも、ほんとに金は人を狂わせるんだなぁって、改めて思います。
預金通帳に100億円の預金なんて・・・。 私には想像もつかない大金です。

でも100億円もあったら、私だったらとりあえず好きなだけ竿とかリールとか、釣り道具を買うと思います。
いや釣り道具どころか自分専用の船とか、海の近くに別荘まで買ってしまうかもしれません。
ハワイやサイパン、ついでにロサンゼルスにも別荘を建て、高級外車やクルーザーなんかも買っちゃって。
そして香港には、更なる巨万の富を求めて会社なんか設立しちゃうかも・・・。
って、結局同じようなことをやってしまうのか。

でもまぁ、溢れる才能や有り余るお金を持っていても、それに溺れてしまって感覚が正常じゃ無くなる位なら
下手に才能や大金なんて持ってなくて良かったと、そのどちらも持ち合わせていない私は負け惜しみを
言ってみます。
毎日嫁の機嫌を伺いながら、セコセコと週末の釣行費用を捻出してる方が私には似合ってるみたいです。

彼にはとりあえず罪を償い、これからは愛しさと切なさと心強さを持って頑張ってもらいたいと思います。
でも、過ちを恐れずに進んで行くのはもうやめた方が良いと思います。
詐欺事件とか、過ちは過ちですので。


話は大分逸れてしまいましたが私、破れた左足の磯ブーツにビニールテープ巻いて山道を戻る途中、
今度は先週破れて修理したばかりの右足のソールまでもがまた剥がれました。
今度は右の磯ブーツにもビニールテープを巻いて・・・。

車に戻った時には身も心も、そして両足の磯ブーツまでもがボロボロでした。
でもまぁ、それなりに楽しかったんですけどね。


さぁ〜て、次はどんな釣り場を求めて旅をするかに〜。










こんな崖を上り下りします。
時にはロープにしがみついて。

この1本のロープに全体重と命を預けます。

ロープが切れたら一巻の終わりです。

行きは薄暗くてよく分からなかったのですが、
帰りに良く見たらロープの岩に当る部分が、
結構擦れてました。

危険です。めっちゃ危険です。

ちょっと下を見たら、こんなことになってます。

2、30mはあろうかという高い崖。
こんなところから落ちてしまったらほぼ間違いなく・・・
ここまで上ればほぼ大丈夫なのですが、

これからの帰りの山道にも、危険な箇所が
たくさんありました。


のんびりとテクテク釣行のはずが、
とんだ大冒険です。
険しい山道を進む、川口隊長です。

はい。天国へと続く階段です。

ようやく出口です。


紹介します。 傷だらけのヒーローです。

ぼろぼろになったブーツが、道中の険しさを
物語ります。
で、本日唯一の獲物です。

めちゃめちゃ引きました。
ほんとに大物だと思いました。

ドキドキしてしまうので、こんなオチは勘弁して
欲しいです。