10月18日  手返し



先週13日、蓋井島で不甲斐ない釣果に終わってしまったので、今日は型こそ小っちゃいものの
入れ食い状態を満喫できる瀬戸内の地磯へ。 


ここんとこ、毎週のように何処かしらに出没して魚を釣ってる私であるが、以前会長んとこのおばちゃんに、
「奥さんがよく許してくれるね!」と言われたことがある。

いやぁ、実はそこが一番難しいところではあったりするのであるが、とりあえずおばちゃん、今んところ一応
大丈夫。これでもおいら、無い知恵振り絞って色々と考えてるから。

嫁には、
「お前もいつも忙しいんだから、たまには実家に帰ってお義父さんお義母さんとゆっくりしたら?」と、
毎週のように語りかけ、
「その間俺は適当に釣りでも行ってくるからさ。」と、さも渋々釣りに行くような素振りを見せるわけ。

これがなかなか良い感じにハマり、徳山方面などへ釣りに行ってる時は大概嫁実家からの出撃。
更には嫁の実家へ行く時は、私の通勤用の車ではなく、子供も乗れる嫁の大きい車を使うので、ガソリン代も
嫁持ち。嫁実家から出撃する際には必然的に嫁の車で釣りに行ける訳で、ガソリン代自己負担制度を
導入している我が家でも、私の懐は痛まずとっても経済的。 まさに一石二鳥というわけである。
 
題して私はこれを、 「甘い言葉にゃ裏がある釣法」と呼んでいる。
海が近い所に実家のある嫁をもらっている方には、是非とも試していただきたい必殺技である。


さて置き、自分でも我ながらこんなにも毎週のように釣り行って、よくもまぁ飽きないもんだなと思う。
10代の頃はバス釣りにハマって、バスプロを夢見、
20代の頃はいつかはスロプロと、持て余す時間の全てをパチ屋に注ぎ込んだ。
そして30代の今、フカセ釣りである。

10代の頃のバス釣りにしても20代の頃のパチにしても、当時は一生続けて行くんだろうなとか思ってたけど、
生活環境の変化や何やらで結局は行かなくなってしまった。 
まぁ、人生なんて大概そんなもん。 いつかは飽きる。


そして、30代でハマってしまったフカセ釣りも、いつかは飽きるのかなぁと冷静に自己分析したりするので
あるが、今のところ私の中の釣りに対する秘めたるパッションは、冷めるどころか益々熱を増しているので、
熱の冷めるその日までは走り続けて行きたいと思う。
今の所は、眠たくっても、嫌われても、歳をとっても、やめられないって感じだ。


そんなわけで今日も、干潮時にテクテクと海岸線を歩き満潮を釣り、潮が引いたらまた歩いて帰る、
渡船代のかからないリーズナブルな地磯へ。

本日の干潮は夜明け前なので、まだ夜も明けぬうちからヘッドランプを頼りに、重たい背負子担いでテクテクと
海岸線を歩く。
しかしあれだ。秋も大分深まってきて、朝晩はむしろ寒い位の気候になってきたってのに、月明かりに
照らされながらのんびりと歩いている私の周りを、先ほどから「プーン」と音を立てながら飛び回る大きな蚊達。
磯では季節に関係なく、秋でも冬でも蚊が出没するから厄介だ。

虫除けスプレーも夏だけでなく、一年を通じて携行しておかなくてはならず、シーズンオフで虫除けスプレーが
薬局から姿を消す前に、まとめ買いをしておくのが得策。

昔は効果の程が半信半疑であった虫除けスプレーも、一度使い始めるとやめられない。
お肌にシュシュッとスプレーすれば、プーンと飛んできた蚊達も肌に止まる寸前でクルッとUターンし、
逃げていく。 

血を吸いたいと思ってはいるものの、スプレーのせいで皮膚に止まるに止まれないジレンマに
さいなまれている蚊達を引き連れての夜道の散歩も、なかなか乙なもの。

暗闇の中、さりげなくロッドケースに忍ばせている虫除けスプレーを手探りで取り出し、
息を止め、顔やら首やら手にササッとスプレー。


でも、 再開した呼吸でスプレーの臭いに何となく違和感。

んっ?とか思いながらヘッドランプでスプレー缶を確認すると、それは虫除けスプレーではなく、なんとボナンザ。

遠投するときに道糸に拭きつけるとラインの飛びが良くなる、
「ボナンザスーパーLコート 競技用スプレー」であった。


「うぇっ、 ペッペ  よく見りゃ良かった。」 とか思いながら海水で顔を洗う。

うるさい蚊達のせいで、朝から大変な事になってしまった。
お仕置きに、今度は本物の虫除けスプレーをロッドケースから取り出し、皮膚だけでなく周りを飛んでる
蚊達にも発射。

さぁ諸君、君達も自分の体から発せられる君らの嫌いな臭いにもがき苦しみながら、少しでも私の周りに集まって
きたことを後悔して欲しいと思う。


そして、気を取り直して午前5時過ぎ、目的の釣り座へと到着。
まだまだ真っ暗な中で撒き餌を作ったり仕掛け作ったり。

足元にこれでもかってくらい撒き餌をドカドカ打って、仕掛けに電気浮きをセットし第一投。
更に追加で撒き餌を被せると、電気浮きの赤い光がユラユラ〜っと暗い海中に引き込まれていった。
いつ見ても良いね。この電気浮きの揺らぎ。

上がってきたのは狙い通りの木っ端グロ。 
今日は、足元に沸くこの木っ端グロ達に嫌って言うほど浮きを沈めてもらい、癒してもらおうと考えたわけ。

そして、午前11時の満潮を迎える頃には、なんか本当に嫌になってきた。
入れ食いは入れ食いなんだけど、どれだけ釣れても変わらないサイズと変わらない引きに、さすがに飽きて
帰りたくなってきた。
しかし、現時点では満潮時、来た道は潮に浸かっており、あと3時間は帰るに帰れない。


仕方ないので渋々釣り続行。
人間ってのは、何事においてももう無理だ!って思った所からの頑張りで力が付いていくらしい。
たとえば筋力トレーニングやマラソンなんかの持久力も、「もう限界!」と思った所からどれだけ頑張れるかが
重要だそうな。

私も、延々と釣れてくるサイズの変わらない木っ端グロを相手に、飽きて限界だと感じている今からの
頑張り次第で、釣りが上手くなるかどうかが決まってくるのではないかと思う。

ってことで、惰性タイムの今から3時間は、とにかく手返しよくラインや竿先でアタリを取る練習を
していきたいと思う。潮の流れとかは考えずに(考えてもわからないけど・・・。)とにかく左手で餌をつけ、
左手で撒き餌を撒き、左手でリールを巻く。

じっと竿先に神経を集中し、仕掛けは投入後長くても30秒経ったら回収して次のキャストを行う。
これからはよっぽどのトラブルが無い限り竿は置かずに手に持ったまま、とにかくリズム良く、早く早くを
目指していきたい。


しかし、ただやみくもに繰り返してもリズムが掴めないので、ここは最近マイブームの尾崎豊を
口ずさみながら釣りをしたいと思う。

「15の夜」に 「17歳の地図」、「路上のルール」に 「I love You」や 「シェリー」等々。

満潮時の今、人を完全にシャットアウトした状態のこの磯で、周りの目を気にせず、大きい声を出して
歌うってことはとっても気持ちのいいもんだ。
時折漁船が目の前を通る時には、船の人に聞こえないように声を小さめに。

最後の「卒業」を歌っている時、私は完全に自分の世界へと陥っていた。

「あと何度 自分自身 卒業すれば 本当の自分に辿り着けるだろう oh oh
 仕組まれた自由に 誰も気づかずに あがいた日々も終わる この支配からの卒業 闘いからの卒業」


名曲、「卒業」を歌い終えた午後2時、体力の全てを使い果たし納竿を迎える頃には、
もう大人達なんて誰も信じられなくなっていた。


さぁ〜てと、ぼちぼち帰るか。




朝一の釣り座。

前にこの磯で孤立した教訓を生かし、今日は中潮であるが
早めに避難。

この避難、大正解!
今日の私釣果の一部。

大きい方から4匹のクロと、アジが2匹をお持ち帰り。




のどかな休日に、のんびりと木っ端グロと戯れる動画




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