9月14日  グレペアマッチ in せと志お



9月14日(日)、賞金10万円をかけた徳山湾での磯釣り大会。
この大会は、2人1組でペアを組み、釣れたグレ10匹の総重量で優勝を競う。
釣りの上手いカクちゃんと組めば、優勝に一歩も二歩も近づけそうな気がするが、
先週一緒にプラクティスに行ったよしみで、仕方無しに会長と組んでやる。
大遠投米糠釣法も試さないといけないし。
ってことで、私と会長ペア、永田とカクちゃんペアでの参加。
あらかじめ会長に言っておきたいが、くれぐれも私の足を引っ張らないで欲しいと思う。

4時からの受付に備え、2時間前の午前2時に出発。
予定通りに集合場所である晴海埠頭臨海公園に到着し、無事に受付を済ませる。

当初は、ペアの2人で同じ磯に上がって釣りをするのかと思っていたのであるが、話を聞けば
2人は別々に湾内と、沖へ出る船へ乗り込み、最終的に戻って来た後で二人分の魚を重い順から選び
検量するシステムのようだ。
ペアと言っても同じ磯で釣りをするのではなく、あくまでも帰港してから二人分の釣果を検量するってことで、
どうやら本日、チームとは関係ない人と同礁し一緒に釣りをするってことになる模様。

このシステムにより、会長の米糠撒き餌を使って行うはずだった、大遠投米糠釣法が
封じられる。まぁ、別に大した釣法でもないので、封じられてもどうって事はないのだが。


参加者受付終了後、開会式。
開会の挨拶をされたのは、トップトーナメンターの方々も多く使用されておられる手作り柄杓、「湯川杓」の
作者である武工房の湯川武司さん。 

心の中で、「私も手作りの、田吾作杓作ってます。」 とか思う。
ただ、色んなメーカーの柄杓をバラしてくっつけただけの、なんちゃって手作り杓ですけど。

で、最初は暗くて分からなかった他の参加者の方々の状況が、周りが明るくなるにつれて色々と見えてくる。
何か、参加者のほとんどの方がフィールドスタッフとかフィールドテスターとかのワッペンをベストに縫い
付けていらっしゃるんですけど・・・。
テレビや雑誌で見たことのある方々や、前のジャパンカップ予選で入賞されておられた方々とか、
参加される皆さん、何だかとっても釣りがお上手そう・・・。
そんなレベルの高そうな大会の雰囲気に圧倒されながら思う。

「ひょっとして我々は・・・、とんでもなく場違いな所へ来てしまったのではなかろうか。
果たして我々は今、こうしてここにおられる方々と、一緒にこの場に立っていても良いのであろうか・・・」と。

この心境、例えるならば、ちょっとお気軽にビーチサンダル履いて市民プールへ泳ぎに行ったつもりが、
気付いたら何故かオリンピックのメインプール、男子100m平泳ぎ決勝のスタート台に立っていた。みたいな。
訳のわからんまま泳ぎ始めたら、何故か横では北島康介が泳いでた。みたいな。

もし仮に優勝したら、「超気持ちいー」とか、「何も言えねー」とか色々言おうと考えていた私であったが、
全く持ってそんな雰囲気ではないような気がする。

今回参加するメンバー4人中、釣りの上手い名誉顧問のカクちゃんは別として、私と会長と永田は、
釣りの腕、この参加者全員の中で、下から数えて1、2、3番を独占しているのではないかと思う。
しかも群を抜いてダントツに、1、2、3番を独占しているのではないかと思う。 多分間違いない。



さて、そんなえらい所に迷い込んでしまった感の漂う中で始まった今回の大会、今回瀬上がり抽選のくじを
引くのは各チーム代表の会長とカクちゃん。それぞれのくじの結果、沖組の私と永田がそれぞれ8番と6番。
2人共一桁台の早い番号となった。

で、釣り場到着後、番号の早い順に瀬上がり。
番号の近い永田が、あっちの磯で釣っているのが見える。

そして、今回私が一緒に磯に上がらせて頂いたのは光市のMさん。
なんか胸には「鬼掛 FEELDSTUFF」のワッペンが光っておられる。
しかし私も負けてはいない。 「うちにも居るんですよ。鬼が・・・」と、心の中で思ってみる。

「なるべくご迷惑をおかけしないようにがんばりますんで、宜しくお願いします!」と挨拶を交わし午前6時、
競技開始。

足元に撒き餌を打ち、仕掛けを入れてみる。まずは手の平サイズの木っ端グロ。
魚は居る。魚は居るが、全部手の平サイズ。近、中、遠と色々狙ってみるも、どこも同じ。

Mさんも状況は同じのようで苦戦されてるご様子。なかなか型の良いグレが釣れない。
でも大丈夫。こんなこともあろうかと、今日は秘密兵器を準備してきた。

大遠投しても浮きの動きが見えるように、視認性に優れたグレ専用棒浮き、1700円もする遠矢グレ、
150の中、0号を準備してきた。

仕掛けを変え、大きく後ろに振りかぶり、「そりゃー!」 と、勢いよく投げたまでは良かったが、
何故か道糸が 「プチン」 と音を立て切れ、買ったばかりの遠矢浮きが、まるで矢のように遠くへ飛んでいった。

「遠矢浮きとはよく言ったもんだな・・・。」

などと、関心している場合じゃない。購入したばかりの、しかも今日初めて使う高価な秘密兵器が、
こともあろうか一投目からいきなり大海へと旅に出てしまった・・・。

「お、おーい・・・」

大会用にと交換したばかりの道糸であったが、状況を分析するに、さっきまでの釣りで道糸の上に被った
撒き餌をふぐが道糸と一緒にかじってしまい、傷が入っていたのではなかろうかと思う。
後半、同礁のMさんも1回それで道糸を切られてたみたいだし。

で、糸が切れた理由は解明できたが、このままでは大損をぶっこいてしまう。
何てったって1700円もした棒浮き。 魚なんて釣ってる場合じゃない。

幸いなことには、投点がベストポジションに入る前に道糸が切れたため、「一個取れれば元取れる」の浮き
取りパラソルを投げれば、なんとか届きそうな距離。慌ててパラソルをセットし回収を試みる。


えっ? 大会中にそんな事して、時間の無駄じゃないかって?
ふむ。確かにそれも一理ある。だが私にとっては、もらえるかどうかわからない10万円よりも、40m先を
泳いでいる1700円の方が遥かに大切だ。

パラソル付けて大遠投。 しかし、浮きまでの距離が遠いため、なかなか上手くいかない。
浮き取りパラソルを経験された事がある方には分かると思うのだが、パラソルの7不思議、ピンポイントの
場所にキャストして、良い具合に竿先を操作してパラソルを引いてきても、何故か浮きの直前数センチの
所でクルッと向きを変えるんですよねぇ・・・。 抜群のタイミングで、クルッと。  何でだろ・・・。
もどかしい動きを見せるパラソルに、「あ〜」とか、「あふっ」とか、「ひぃ〜」とか言いながらキャストを繰り返す。

しかも、たま〜にどんぴしゃで飛んで、引いてくるパラソルに浮きが引っかかり、「よっしゃ!回収に成功!」とか
思っても、結構な重心が下にある自立棒浮きの遠矢浮き、パラソルの目をスルッとすり抜け、なかなか思うように
回収できない・・・。

投げたパラソル操作の為に、磯際をぴょんぴょん飛びながら移動する様は、まるで巨大尾長を掛けた後の
高橋てっちゃんのよう。
磯際を、押し寄せる波に時折膝近くまで浸かりながらの私の軽やかな動きは、目的が浮きの回収でなければ
かなりかっこいいと思う。

「こんな情けない姿、向こうで釣りをしている永田に見られてなければいいが・・・」 そんなことを思いながら
必死で磯の上を、所狭しと駆け回る。

なかなか回収できず苦労している私を尻目にどんどんMさんの方へと流れていく浮きを、なるべくMさんの
釣りの邪魔にならないようにパラソルを投げさせてもらう。

見かねたMさんの、「こっちに来て投げてもいいですよ!」 とのありがたいお言葉に、目頭が熱くなる。

「すんません。ほんとすんません。」とか言いながらパラソルを投げさせてもらった結果、高切れてから
30分以上たって、ようやく無事に回収の運びとなる。 
汗だくになって、何とか本日の任務完了。時計を見ると7時54分であった。

開始から2時間が経過したにも関わらず魚らしい魚は釣れていない上に、今の一連の騒動で今日の体力の
全てを使い切ってしまった私は、ぶっちゃけこのまま大会が終わっても構わないと思うのであるが、まだまだ
終了の13時までには少し時間があるので、仕方無く仕掛けを作り直すことにする。

Mさんに「どうもお騒がせしました!」とお礼を述べるついでに、さりげなく今の状況などを聞いてみる。
釣れる魚は私と大差なく、たまに釣れても25cm程度とのこと。
Mさんと、ここには大きなクロは居ないですねとの結論で意見が一致する。
Mさん曰く、大会の結果の7、8割はくじ引きにより上がる磯に左右されるそうなので、港に帰ったら瀬上がりの
くじを引いた会長のことを、立ち直れない位に罵倒してやろうと思う。


で、ここにデカい魚は居ないと分かれば、それはそれで楽な気分になる。
冷静に辺りを見回し、何気に目にしたMさんの釣りに、私は言葉を失った。

手返しが・・・、めちゃめちゃ早いんですけど・・・

足下に撒き餌をバラケ打ちし、その先に的確に仕掛けを入れていらっしゃる。
直後に魚が釣れたと思ったら、もう次の仕掛けが海の中へ。

私が適当に大遠投し、明後日の方向に撒き餌を入れ、「あー失敗、もう一杯追い打ち!」とかやってる
間に、4,5投はされてらっしゃるんじゃないかと思う。
鬼掛だけに、まさに鬼の手返し・・・。 

私、ひょっとして、もの凄い人と一緒に釣りをしてる?

で、暫くは適当に自分の釣りをしていた私も、今は木っ端グロなんか釣って喜んでる場合じゃないと判断し、
自分の釣りは放棄。 残った時間はMさんの釣りを見学させて頂くことにする。

「会長よ。後は任せた。」


竿を置き、Mさんの釣り座へ。

私「すんませんが、ちょっと釣りを見学させてもらっても良いですかね?」

図々しい私のお願いを、心おきなく承諾してくださるMさん。ほんとありがとうございます。

で、色んなことを話しているうちにMさん、実はトーナメントマニアで色々な大会に顔を出しているとか、
がまかつの大会で全国大会に行ったことがあるとか、色々教えてもらう。

「ど、どーりで・・・」

更に驚いたのは、本日Mさんがペアを組まれておられる方は、有名な自作浮きまで作っておられる
山口県を代表する名手のOさんだそう。
しかも偶然にもOさんと一緒に瀬上がりしてるのは、ウチのカクちゃんだそうでこれまたビックリ。

更に、向こうに見える永田と一緒に上がられてるのは、全国大会で優勝された事もある広島の名手の
方だそうで、  「ど、どれだけレベルの高い大会やねん・・・」 と突っ込みを入れたくなる。

知らなかったとは言え、えらく場違いな所へ来てしまったものだと、改めてこっ恥ずかしくなってくる。
賞金で10万円もらうどころか、逆に罰腑で10万円払わなくちゃいけねーなとか思う。

とは言え、こんなに釣りのお上手な方とご一緒させて頂く機会なんかめったにないので、今後のためにと
色々話しを聞く。もちろん、Mさんが本気モードで釣っておられたら話しかけませんが、
この場所には大きい魚が居ないと判断され、のんびりムードで釣りをされておられるなと見て取れたから
話しかけた訳ですけど。。


私「00の浮きで、浮きごと沈めて釣っておられる理由って何かあるんですか?」

Mさん「浮きを浮かせて釣る理由が無いからです。単純に言えば、浮きは仕掛けを飛ばす道具ですから。」

私「ほ、ほー・・・。(そう言えばカクちゃんも、前に同じようなことを言ってたな・・・) 
  それなら例えばですね、オセン(スズメダイ)が餌を引っ張る小さなアタリとか、
  本命のクロのアタリとかは、どうやって見分けるんですか?
  私なんかは二段仕掛けで、アタリ浮きが入ったあとで親浮きが入ったらクロと判断し合わせを
  入れますが、仕掛けを沈めてる時は、どうすれば良いんですかね?」

Mさん「そんな時は、ラインの走りでアタリを取ります。 ラインは嘘をつきませんから。」

私「ラ、ラインは嘘をつかないですか・・・。  なんか名言ですね。」

Mさん「あとは、見える範囲であれば、からまん棒の入り方でもアタリが取れます。ちょっと見てみます?」

私「は、はい、お願いします。」

ってことで、ラインでのアタリの取り方と、からまん棒の入り方でのアタリの取り方も教えていただく。

私「ついでに、差し支えなければ今使っておられる湯川杓も振らせてもらっていいですかね?」 

おまけに、生まれて初めて湯川杓まで振らせてもらう。
いやぁ、ほんとすんませんです。勉強になります・・・。


利き腕とは逆の手であれだけ正確に撒き餌が撒けて、あの神業のような手返しの早さ・・・。
氏曰く、「練習すれば誰でもできるようになりますよ!」とのことであったが、このレベルに達するには
どれだけの練習をすれば良いのかと、考えただけでも気が遠くなりそうな道のりに、
「別にあそこまでできなくてもいいかも・・・。」と、ちょっぴり弱気になってしまう。
それ位早くて、見ていて綺麗な釣り。

結局、納竿の1時までずっと横で釣りを見学させて頂き、勉強させて頂く。
本当にどうもありがとうございました。


納竿後、回収の船の中で番号の近い私と永田は一緒に座って色々と今日一日を振り返る。
話の中で二人が共通して思ったことは、くじ運ってとっても大事だなという事。
どんなに釣りが上手くても、そこにデカグロが居なければ釣れないんだもんな。

当初は、大きなクロのいない磯に下りて、運が悪かったねとか言ってたけど、
船の上から他の磯の回収を見ていたら、ウルトラA級に危険な、断崖絶壁のような所で釣りをされた方も
いらっしゃった。

回収時、潮が引いて直接船が瀬付けできず、2m以上もありそうな高い所から、僅かな足場を頼りに、
崖にしがみついて荷物を船に積んでおられる。足が滑りでもしたら大変なことになりそう・・・。

最後は、ロッククライミングで船に乗り込まれる参加者の方を、船の上から何人かで
足やお尻を支えながらの必死の回収。我々のような磯初心者には、血の気が引いてしまう驚きの光景。

永田と、あんな危険な所で釣りをするくらいなら、多少魚が釣れなくても足場の良い場所で釣りができて
良かったね。むしろ俺達、くじ運良かったねと胸を撫で下ろす。


帰港後、検量。
何かの間違いで会長が爆釣してないかなと少しは期待してたんだが、まぁ、所詮相手は会長。
期待した私がバカだった。って位の貧果。

数は10匹揃えたものの、優勝されたペアが4320gで、私と会長が2000gちょっとだったので、まさに余裕の
ダブルスコアでした。 はっきり言って目も当てられません。
永田とカクちゃんペアは、カクちゃんが釣りが上手い分だけ私らよりプラスα。

多分予想ですが、私と会長ペアがビリで、永田とカクちゃんペアがブービーってとこかな?
下位の発表がなかったから真相は定かではありませんが、色んな意味でくじ運って大事なんだなと、
今回の大会をくじのせいにしようと思います。


大した見せ場もなく砕け散った今回の大会、そんな中で唯一会長が凄いことを発見した模様。
それは、初めて作ってきた米糠の撒き餌には、餌取りがほとんど寄り付かなかったことだそう。
ニコニコしながらとびっきりの笑顔で報告してきた。

「いやぁ、あれだけ沸いていた餌取りが、米糠撒き餌撒いたら一瞬で居なくなったんで、ほんとに
 嬉しかったわ〜」って。


「ふ〜ん。そっか。それは良かったね・・・」と、心の底から祝福してあげました。


最後、参加者全員に商品が当たるお楽しみ抽選会、名前を呼ばれるのが遅くなるにつれ賞品が
良くなり、最後に名前を呼ばれた人には、高価なフローティングベストが貰えるというシステムの抽選会に
気合を入れなおすも、案の条こんな時に限って速攻で名前を呼ばれる私。

TSS(テレビ新広島)さんの包装が施された、いかにも粗品のタオルが入っていそうな、重量感抜群の
長方形の箱が当たる。何かの間違いで万札がたくさん入ってねーかなとポジティブに考えていた私であったが、
家に帰って開けてみるとやっぱり粗品のバスタオル。
いやいや、ただで貰えるんだから残念そうにしてちゃいけないな。喜ぼう。

「TSSさん、ありがとうございます。このマスコットキャラが可愛いバスタオル、前からずっと欲しかったんです!」

他のメンバーにはサンラインの高価なハリスとかキャップとかが当たっている中で、
ほんとに自分はくじ運が弱いなと、つくづく思う。
瀬上がり抽選のくじ引かなくて、本当に良かった。

私がこの抜群のくじ運を持っている限り、例えこれからどんなに釣りが上手くなり、例えどんな大会に
出たとしても、瀬上がり抽選のくじで外れてしまい、絶対に入賞なんてできないのではと考えてしまう。

でもまぁ、大会の結果やお楽しみ抽選会の結果はとりあえず置いておくとして(現実逃避とも言う)、
今回の大会では、同礁して頂いた光市のMさんに、本当に色々なことを教えて頂き、個人的には充実したもので
ありました。(Mさんにはご迷惑だったでしょうが・・・)
あの鬼のような撒き餌ワークが習得できるかどうかは別として、まずはからまん棒とラインでアタリが
取れるように練習して、来年は頑張ります! (来年も出る気かいっ!)






とりあえず渡船の上から、
意味無くどっかの磯を。
テレビ新広島さんご提供の景品

           ↓
粗品のバスタオル

び、微妙・・・

い、いや、ただでもらっておきながら微妙は
失礼だな。ってことで、

「前から欲しかったTSSの粗品バスタオル、
 見事ゲットだぜい!」