7月19日  そしてやっぱり海にいた



そしてやっぱり海にいた。 

先日、私は医師から脳梗塞との診断を受けた。
発見が早かったから良かったようなものの、下手をすれば命を落としかねない恐ろしい病気。

先週の釣行日記の中で、今度はいつ海に戻ってこれるかわからないとか書いておきながら、
早速1週間も経たないうちに戻ってきた。 いわゆるそっこーと言う奴だ。
私の旅は、まだまだ終わらない。

精密検査では、動脈硬化は始まっているものの主要な血管に梗塞は見られず、なるべくストレスを
無くし、規則正しい生活と充分な運動を心掛ければ大丈夫との事。
手の震えもそのうち収まるとの事で、まずは一安心であるが、 本当は1ケ月位仕事を休んで
病室のベッドの上まるで子供のように、微笑を浮かべながら釣りのDVDやら本やらを見ようと目論んでいた
私にとっては晴天の霹靂。さりげなく医者に問うてみる。


私「先生、脳梗塞ですし、ここはやっぱり仕事を休んで1ケ月位療養した方がいいんじゃないですかね?」

医者「いえ、明日から仕事してもらっても全く問題ありません。」

私「い、いやでも、ここは大事をとって念のため休養したほうが・・・」

医者「大丈夫です。」

私「それなら、間を取ってせめて2週間とかでもダメですかね?」

医者「必要ありません。」

私「そ、そこをなんとか・・・」

医者「はい、今日の診察は終わりです。」


む、むぎゅー


まぁいっか。とりあえず仕事もたまってるだろうし、明日からまたがんばるとしますかね。
それとあと、毎日の晩酌もやめよう。25度の鬼ころしお徳用サイズ5リットル入りを片手に、
毎日がぶがぶやっていたのも原因の一つであろう。何かの会合とか以外、酒もやめよっと。 
釣り行けなくなったら嫌だしな。 あ、そういえば釣りで思い出した。


私「それなら例えば、今のこの時期の炎天下の中で、1日中海で魚釣りなんかやるってのも問題ない
  ですかね?」

医者「水分補給をしっかりして、熱中症に気をつければ大丈夫ですよ。」

そっか。それなら良かった。なんか釣り行っても全然問題なさそう。
そんな訳で、これからもより一層部活に恋愛にと青春を謳歌しつつ、時につまづき、時にちょっぴり寄り道も
しながら、それでも少しずつ確実に大人への階段を上っている会長のことを、そこはかとなく書き綴って
いきたいと思う。



ってことで私は戻ってきた。一週間ぶりに、偉大なるこの海へと。

しかし私も、ただこの場所へ戻ってきたわけではない。  生まれ変わって戻ってきた。

それは、かつて穏やかな心を持つ孫悟空が、強い怒りや悲しみといった極限の心理状態の中において
伝説の戦士と言われるスーパーサイヤ人に変身したように、私も強い仕事のストレスや生活の不摂生に
よる体調不良など、極限の心理状態の中でスーパー副会長へと生まれ変わって。 

これからは中年お父さんの宿敵である悪の親玉の、悪玉コレステロール総裁率いる秘密結社、メタボリック
ショッカー達と、命をかけて戦っていきたい。 

揚げ物などの高カロリー食やアルコールの誘惑を巧みにかわしながら、日夜、世界の平和と体の健康を
取り戻すべく戦いを続けていくのが私の使命。

合言葉は、「NO More 不摂生 ,No More Cry」

そして、そんな正義の味方が繰り出す必殺技は、ウォーキングアタックとドラッグラッシュ。
ウォーキングアタックとは毎日30分から1時間、その辺をうろうろと歩き回り敵を撹乱する
攻撃であり、ドラッグラッシュとはたくさんの種類の薬を時と場合に応じて飲み分ける必殺技である。

ある時は血をサラサラにする薬やビタミン剤に、筋肉の緊張を緩和する薬。
またある時は胃酸を抑える胃薬やそれらの薬の飲みすぎで胃が荒れないようにする別の胃薬など、
自分でも訳がわからなくなる程の薬を飲み分ける。

敵を混乱させる事が目的であるが、同時にそれは自分をも混乱させてしまう諸刃の剣でもある。
それがドラッグラッシュ。


そんな必殺技を携えて、今日は名誉顧問のカクちゃんも一緒に、4人で沖波止釣行。

潮は大潮だし、満潮も9時半位ということで、バッチリの好条件!

会長に至っては先日の永田の、「一文字で紀州釣りをさせたら、タコが1番なんじゃない?」との
言葉が余程気に入らなかったらしく、「タコと俺と、どっちが1番か格の違いを見せつけちゃるわ!」と、
気合充分とのこと。

で、そんな会長。本日もオリジナル団子の材料となる砂を採取する為にスーツ姿で砂浜へ。
砂浜の入り口に車を止めて砂を取っていたら、なんか続々と車がやってきて、ぞろぞろと人が降りてきた
らしい。

なんとなくその人達の話を聞いていたら、どうも自衛隊の方っぽいらしく、
何やら話をされながら敬礼をされてらっしゃるその方々の横を

「ちょっとすいませんよ〜、ちょっとすいませんよ〜」とか言いながら両手に砂の怪しい会長。

どうせなら密入国の疑いで捕まってしまえば、日記的にも面白かったのにと思う。

そんな気合十分の会長、思惑とは裏腹に本日は朝からさっぱりのご様子。
というか、全体的にも渋い。
早い潮が沖に出る釣りにくい流れが終日変わらず、会長、残念ながらズボズボズーボのズズズーボ!
子供が熱出したため早めに撤収した私が、風にたなびくようなメイタ1枚。
一文字沖波止初挑戦のカクちゃんも残念無念な結果となる。

そんな中唯一の健闘を見せたのが、まさかの針結び名人。
数こそ釣れなかったものの、40cmオーバーを2枚。

何故だか理由はわからんのだが、彼は他のみんなが調子悪い時に調子が良い。
3月15日もそうだったしな。
何かこう、海に活性がない時に調子が良いのが永田君。
口では言いあらわせない自然のサイクルと、不思議とシンクロするものがあるのだろう。

で、今日の一番の見せ場は、私が道具を片付け、回収待ちをしていた11時前の、
「よっしゃー」という会長の声。見ると会長の竿が根本からひん曲がっている。

「鱗海スペシャルが火を噴くぜー!」と大声で叫んでるもんだから、一斉に回りの視線が会長に集まる。

上がってきたのは見事なまでの巨大なボラ。 んで、それを見て 「うわっ、ボラじゃー・・・」と落胆する会長。   
あれだけデカイ声で「よっしゃー!」とか叫んでおきがらのこのボラとは、なんか、一緒にいるこっちまで
恥ずかしくなるね。

俺には巨ボラを相手に、「鱗海スペシャルが火を噴くぜー!」なんて言葉、恥ずかしくてとても言えねぇや。
さすがは会長、実力の違いを見せつけてもらったわ。  俺にはできねぇ。 

ってことで、またすぐリベンジ来ます。




おーい、早速帰ってきたぞ〜い!

会長得意のパラソルが立つ。

ニッポンの夏、会長の夏。
「鱗海スペシャルが火を噴くぜ〜!」と
大はしゃぎの会長。

            ↓
で、上がってきたボラ。
私には恥ずかしくて、とてもそんなコメントは言えない。

さすが格上の会長、実力の差を見せつけられた。
「相手がボラでもタモを使ってリリースする、
 心優しい俺を撮ってくれい」 と、会長。

さすがは格上の会長、君が一番腹黒い。
海に活性が感じられないときに何故か調子の
良い永田名人が2枚。
風にたなびく私の小さな小さなチヌは、会長に
プレッシャーを与えるためにキープしてみた。
後でリリース。
死んでしまったら、「鬼ころし」が「人ころし」に
なってしまうな。

酒飲んだら、寝てる最中に呼吸も止まってるみたいだし。
ってことで私、晩酌やめました。