7月6日  紀州釣り


「潮の流れが早い・・・」


何やら真夜中に上を向いて寝ていた私が、いきなり左手で撒き餌を撒く仕草をしたかと思えば、
おもむろに寝言でそう呟いたらしい。

偶然夜中に起きた嫁が,、そんな私の一連の動作を目撃していたようでどうやら私、夢の中でまで
磯に立ち潮の流れを読んでいた模様。

嫁曰く、撒き餌を撒くべく振り下ろした手が、あと少しで隣で寝ていた息子に当たるとこだったようで、
危ないのでこれからは夢の中でまで釣りをしないで欲しいとの事であったが、残念ながら私には夢を
コントロールする力は備わっていない。
いやそれ以前に、もしも私にそんな力があるならばわざわざ磯で釣りをする夢なんか見てないで、
毎日エビちゃんとビッグマックでも食べる夢を見ているはずなので、どうか安心していただきたい。


と言うことで、本日は久しぶりの小野田一文字でのチヌ釣り。
最近めっきり磯のクロ釣りにはまってしまった私であるが、本日は他のメンバーの都合がつかなかったのと、
昼過ぎには帰宅しなければならなかったので近場でと。

それに私には今、どうしてもチヌ釣りに行かなければならない大切な理由がある。

それは、今年一年チヌを釣りまくる為にと2月に買いだめしたチヌ用集魚材が、大量に倉庫に眠っているから。
当初の思惑とは大きくかけ離れ、不覚にも磯のクロ釣りにはまってしまった私、残り段ボール6箱分の
紀州釣り用撒き餌を、早く使い切らないと嫁がうるさいのである。
加えて、折角買ったアートレータと言う名の高価な竿、たまには使っておかないとカビが生えてしまいそうだから。

そんなわけで午前4時30分、一番船にておよそ2ヶ月振りとなる小野田一文字へ。
水温も上がり、チヌの活性も上がっているであろう今、インティキちぬ師の私でも魚が釣れるのではと目論んで
みたわけだ。
北側で釣るか南側で釣るか迷うが、 「副会釣法2007 〜桜の花の咲く頃に〜」釣法を編み出してしまった
私にとっては、釣り座なんか別にどっちでも変わらないような気がするので、とりあえず人の少ない南側へ。

副会釣法を知らない人の為に説明すると、簡単に言えば挿し餌を団子の中にくるんでチヌを釣る紀州釣りで
ある。いや、簡単に言わずとも、完全に紀州釣りである。
春には苦渋を飲まされたこの釣り方も、チヌの活性も上がってきた今の時期には、まさに打って付けの
釣り方ではないかと思うわけであるし、未だに私は撒き餌と挿し餌を同調させる、フカセ釣りがよくわからない訳であるし。


あらかじめ家で練ってきた撒き餌用の団子を投入しながら釣りの準備にかかる。
辺りが薄暗い中仕掛けを作り、開始から僅か3投目、いきなり浮きが海中に消し込んだ。
上がってきたのは35cm、めっちゃ横に走ったために思わずボラと勘違いするくらいの元気な、真っ黒な
居付きのチヌだった。

このペースなら今日は二桁間違いないなと思う私であったが、その後は予想に反して全く釣れない。
チヌの気配すら感じられない。

団子を割る時間を調整したり、投入点を変えてみたりと色々釣り方を変えてみるのであるが全く反応無し。

お天道様も、大分上の方まで昇ってきた。  考えてみればもう7月。
ジリジリと肌を焦がすような、強烈な日差しが懐かしい。
汗をだらだらかきながら、クーラーに冷やしてあるキンキンのお茶を一気飲みする快感。
大好きな夏がまたやってきた。

暑い夏は、石焼きビビンバの上に乗っかっている具の如き気分が味わえる磯釣りはしばしお休みし、
波止の上で会長の立てたパラソルの下でのんびりとチヌを釣る。
今年の夏はいっぱいチヌ釣るぞ〜!とか思ってみたりする訳だが、今年はいっぱいの前に、まずは
今のこの渋い状況を打破しなければ。

ハリスを1号に落とし、団子を打ち返す。

時刻が午前10時を回った頃、割れる時間を30秒で調整していた団子をようやくチヌが突き出す。
俗に言う団子アタリ。

まだ団子の割れていない中での浮きの動きとかで、チヌが寄って気配は感じる。
チヌの気配は感じるが、食い込まない。

仕掛けが上がってくる位置とかで、なんとなく仕掛けに違和感を感じる。

紀州釣りをする時には、ほとんどハリスにガン玉を打たない私であるが、とりあえず今日は適当に口鉛を
打ってみた。結果的にはこれが正解。

気配は感じていたが食い込まなかったチヌが一発で食ってくる。

これまではハリスにはガン玉を打たない方が釣れると思っていた紀州釣りであるが、海の状態とかを見て、
臨機応変に釣り方を変えるべきだなとまた学習してしまった。

しかし、紀州釣りの勇である永易名人は、ハリスにはガン玉を打っていない。
むしろ、ガン玉を打つと釣果が落ちとまで言われている。私はまだその域までには遠く及んでいない。
しかし、釣り方なんて人それぞれ。自分が釣れるであろうと思う釣り方をとことん追求していくのも
楽しみのひとつであると思う。

とりあえずはこの釣り方、昨年編み出した、「副会長法2007 〜桜の花の咲く頃に〜」釣法を更に
進化させたってことで、「再・副会長法2008 〜君の瞳に恋してる〜 」釣法と命名したいと思う。
例によってサブタイトルには全く意味は無いので、深い所は考えないで頂きたい。

結局午前10時を過ぎてから、納竿の11時30分までの間で、7枚、朝一のチヌを合わせると合計8枚の
チヌが釣れ、アートレータもこれでもかって位に曲げることができた。

で、この釣果を永田名人に報告したところ、
「すげーじゃん、一文字で紀州釣りをさせたら、タコが1番なんじゃない?」と、嬉しいことを言ってくれる。

「ただ、一文字で紀州釣りをしてるのはタコとたいじ位しかいないから、2人中の1番やけど。」との落ちも
忘れない。

しかしまぁ、どんな釣り方にしても基本的に挿し餌と撒き餌が同調してたら魚は釣れるんだろうけど、
私は下手くそなんで、フカセ釣りでは上手くチヌを釣ることができない。

「不器用な男ですけん、こんな釣り方しかできんとです。」

そんな感じの1日であった。





43cmを筆頭に8枚釣れる。
最近クロばっかりだったけど、
やっぱりチヌも楽しいな。