4月27日  沖磯!


えーっと、何故だかわからないうちに、なんとなくシマノジャパンカップに参加することになってしまった私。
誘って頂いたSさん(以下、師匠)に、責任とって磯でのグレの釣り方教えてくださいと頼み込み、
本日、渡船を使った沖磯初挑戦。

前日の荒れた天気の影響で、普段は穏やかな瀬戸内の海も朝からウネリが残っており、
更には日中西の風が強く吹くとの事で、徳山湾の沖磯の風裏となる東向きの磯はどこも大混雑。
野島周辺に着き、皆さん次々と上礁されていかれる。

師匠が、沖磯初体験の私の事を気使ってくださり、我々は他の皆さんが終わられた後で最後の渡礁。
最後だからと余裕ぶっこいて船尾で椅子に後ろ向きに座ってたら、船の発進と高波が重なり危うく戦闘機の
緊急脱出装置風に、後ろに吹っ飛びそうになる。




    ↓




「あ、あっぶねー・・・」


冷や汗かきながらまず向かった先は、なんだかすごく切り立っていて足場もほとんどない断崖絶壁の
ような磯。

「え、え〜っと、初めての沖磯体験なんですが、いきなりこんな所に上がるんですか?」


ビビりながらとりあえず船首に行き準備をするも、船が激しい波でぽよよんぽよよんと縦に大きく揺れ、
立っているのもままなりません。必死に手すりにすがり、縦に大きく揺れる波に合わせながら膝でバランスを
取る。横からは容赦なく水しぶきが襲い、体中ずぶ濡れ状態。
さすがに船長も危険と判断され別の場所を探すことになり、一旦船尾に戻った私と師匠であるが、なんか早くも
一日分の体力を使い果たした気がするのは私だけですか?

「し、師匠、僕の中ではこんな状況の中で敢えて足場の悪い磯に上がらなくても、あそこに見えてる野島の
 波止で十分なんですが・・・。 デカいアジも来るみたいだし、何よりほら、波止だから足場も良いし・・・。」 

なんてことを心の中で思ってみるが、当然口に出せるはずもなく、船はウロウロと瀬付けの場所を探す。
西側が強風で釣りにならない今日、他の渡船で来られた方も皆東向きの磯に上がっておられ、我々の上がれる
場所が無い・・・。

しばらく釣り座を求めウロウロした後、入り組んだ湾内で広くて平坦な踊り場まである、まさに私にうってつけの
場所へと到着。

師匠曰く、こんなに混雑している磯でこれだけ釣り易い快適な場所が空いていたっていうことは・・・ と
顔を曇らせておられましたが、沖磯デビューの私にはぴったりな場所。ここなら、余裕でクーラーに座って釣りが
出来ますやん!

で、今日は大会に向けて狙いはもちろんグレ。

開始から数時間、何故か全くアタリは無い。 潮もほとんど動かない。
さすがに最後まで空いていた磯だけあって、魚がいる気配が無い。

早々にここにグレは居ないと判断された師匠は、撒き餌と仕掛けをチヌのものに変え、
チヌ釣りを始められる。
集魚剤は常に2種類、チヌとグレのものを用意し、いつでもターゲットを変えられるようにしている師匠。
なるほどなるほど、これからその技使わせていただきます。

で、底を丹念に探っておられた師匠の竿が曲がる。

釣れたのは、何故か手の平強の木っ葉グレ。狙いをグレからチヌに変えた途端に来た獲物。

「ははは、釣りなんてこんなもんだ!」と笑いながらスカリにキープして、さりげなく再び仕掛けをグレに
戻している師匠。

しかしその後は、師匠の竿が曲がることは無かった・・・。


で、私、記念すべき沖磯初の獲物はギンポ。 ドンコとゴンズイを足して2で割ったような奇妙な魚。
折角なので、一応記念撮影。
その後はベラが1匹釣れたのみと、私の沖磯デビューは何とも悲惨な結果に・・・。

でもまぁいいんですわ。
今日は沖磯の雰囲気がどんなものかを体験するのが目的だったわけですし。  と、さりげなく強がりを
言ってみる。


今日の唯一の見せ場は、師匠の磯シューズの靴底ソールが剥がれて、足が剥きだしになったことくらい。





それでも靴に紐巻いて果敢に釣りを続ける師匠の後姿に、トーナメンターの片鱗を見る。
私としては、ほんとはその破れた磯シューズを写真に撮らせてくれと言いたかったのですが、
さすがに言えませんでした。


2001年のシマノジャパンカップ、2位入賞までが決勝大会へと進める中国地区予選において、
2位の方と、わずか30gの差で3位に破れた磯師匠。

師匠は5匹のグレを家に持って帰って食べるために、絞めて血抜きをされた後での検量だったとのこと。

「いやぁ、まさかそんな僅差とは思わないし、血抜きさえしてなければ・・・。」と、笑いながら、
「以降の大会では、血抜きは検量の後からするようにしてるんだが、その後入賞すらできてないわ。」と
話しておられました。

数グラムを争う大会にも関わらず、釣った魚は常に持って帰って食べる事を考えておられる師匠、
私はそんな師匠の考え方が結構好きです。



朝靄の徳山湾

向こうに見える島は、
「出口の無い海」の舞台ともなった、
人間魚雷回天の発射基地があった大津島
野島港

最近まで沖のスナメリに追い立てられた
巨大アジが、サビキでバカスカ釣れたそうな。
私の釣り座。
磯とは思えないほど平べったくて、クーラーの上に
座って釣りができる上に、疲れたら横になって
寝れるくらいの快適さ。
磯のお師匠さん
師匠の釣果の木っ葉グレ君
私の釣果のギンポ君