7月29日日曜日、本来は永田名人の家族と共に、下関市のキャンプ場で
バーベキューの予定であった。

しかしながら、うちの家庭にちょっとしたアクシデントがあり、急遽我が家は
不参加。永っつぁん、ごめんなちゃい。

んでもって、嫁の実家へ嫁を迎えに行くついでに、久しぶりに晴海埠頭に
行ってみようと思い立った。


最近の私、実はダゴチンにはまっている。
挿し餌を団子にくるみ、餌取りから守りつつチヌに食わせる釣法。

撒き餌を撒いてのフカセ釣りでは餌取りをかわしきれないので
仕方無しにダゴチンで無理矢理かわしているという噂もあるが、それはドンマイ
気にするな!

で、その団子にどんな集魚材を混ぜて、どんな風に仕上げるのかが、
面白くって仕方ない。

集魚材のブレンドから、水の入れ具合によって団子の割れ具合が変わり、
釣果が変わってくる。餌取りの状況やら潮の流れによって変える団子の配合の
その微妙な加減が、絶妙なのである。

今まで色んな集魚材を使ってきて、ようやく辿り着いた究極の団子レシピ。
そのオリジナル団子を、本日初めて試すのである。



早朝5時、晴海埠頭到着。
先客は1名。

仕掛けをセットし釣りを始め、6時位には釣り人も4人に増えた。

がしかし、時計が7時を回ったあたりからミステリアスな現象が。

たった今来られたばかりの常連さんが、続々と帰って行かれるのだ。
8時には、ついに最初におられた方も自転車漕いで帰ろうとされている。

とりあえず話しかけ、早すぎる納竿の理由を問うてみる。
聞けば最近ここら一帯、あまり調子が良くないらしく、加えて今日は赤潮が
入ってきているとのこと。先ほどまでは暗くてよく分からなかったが、大分周囲
も明るくなった今、確かに海水が茶色く濁っている。

どうしたものかとしばし考えるが、私はあまり釣り座を変えるのが好きではない。
それまでチヌを寄せるために撒いた撒き餌が全て無駄になるからであり、
広げた道具類を片付けるのが面倒くさいからでもある。
ほんとの理由は後者である。

とりあえず広い海、赤潮など気にせず食ってきてくれるチヌもいるんじゃない?と
ポジティブに続行。

で、まぁ、予想通りであるが、2時間経っても当然私にチヌのアタリは無く、
時折浮きを沈めてくれるのは、山口県を代表する魚のちっちゃい奴とか、
七色の体を持つとってもカラフルなちっちゃい奴とか。

今日もまたボーズかぁ、と惰性で団子を投げてると、会長から電話がかかって
くる。



会長「あ、もしもし? そちら、山陽小野田恋愛相談室ですか?」

私「えっ? 」

一瞬会長が何を言っているのか理解できなかったが、そこは彼との長い
付き合い、すぐに彼女と何かあったなと察する。

暇なので付き合ってやる。

私「あぁ、 はいはい。 こちら、山陽小野田恋愛相談室室長のマドモアゼル
  おタコですが、どうかされましたか?」

会長「いやぁ、あの、僕の彼女が僕に禁煙して欲しいって言うので、
   禁煙してるフリして嘘をついてたんですが、先日嘘がバレちゃって大喧嘩に
   なってしまったんですが、どうしたらいいですか?」

私「フムフム。なるほどなるほど。
  タバコを巡る彼女とのトラブルですね。わかりますわかります。
  私も、遠い昔にありました。」

会長「そんな時はどうすれば良いのですか?」

私「はい、そんな時はですねぇ、1箱20本入りのタバコを全部口にくわえて
  まとめて火を点けてですね、

  モクモク怪獣、たばこゴンだぞー、ガオー!」 

  って、やれば良いと思いますよ!」



会長「アホか、そんなことしたら一発で終了確認じゃが。」


私「ってか、あんた、根本的にダメ。
  自分の愛する女が、タバコをやめて欲しいって言うんじゃろ?
  スパッとやめりゃーええがや。そんなもん。
  中途半端に嘘なんかついてるから喧嘩になるの。
  一度嘘をついてしまったら、その嘘を隠すためにまた嘘を重ねることに
  なるんだから。
  訳有りのアンタの事を、それでも受け入れてくれてる寛大な彼女が、
  アンタの体が心配やからと、禁煙して欲しいって言ってるんやろ?
  男なら、もっとしっかりせーや。」


会長「・・・   そ、それもそうじゃのー・・・ 
   
   真面目に俺・・・    禁煙しようかな・・・。」

私「そうよ。それでええんよ。」



会長「ちなみにタコも、彼女とタバコのトラブルがあったって言ってたけど、
    その後どうなったん?」

私「んっ?別れたよ。」

会長「タバコが原因?」

私「いや、タバコは別れるまで隠し通した。ファブリーズとか使って。
  芸が細かいやろ?
  これは俺の持論やが、バレるような嘘なら最初からつくなって事ね。
  一回ついたらつき通せ!ってな感じよ。 どうじゃ、かっこええじゃろー?」

会長「いや、そんなに威張って言う程かっこよくないと思う。
   で、肝心の別れた理由は?」

私「当時、その時デートで行ってた巌流島で、彼女がこっそり冷蔵庫に
  隠していたプリンを、俺が見つけて食べてしまったことをカミングアウトして
  しまったことにより勃発した、巌流島の戦い。
  この戦いに敗北したことが原因じゃ。」


会長「あんたもダメじゃん・・・」

私「まぁ、あれよ。結局本気でタバコをやめようとする意思が大事って事。
  本気でタバコをやめようと思うなら、今すぐタバコに関する物を全部捨てろ。
  ライターから灰皿から、今の余ってるタバコまで。
  最後に一本とか言ってたら、絶対にやめられん。
  シケモクも、ゴミ箱に捨てた灰も全部捨てろ。それぐらいの意思がないと
  ダメじゃ。」

会長「シケモクとか、ゴミ箱は大袈裟じゃろ。」

私「大袈裟じゃないっちゃ。絶対ゴミ箱あさるようになるんじゃけー。」

会長「あさったん?」

私「うん・・・

  で、ゴミ箱にもシケモクが無くなったら、3日ぐらいは我慢できるんやが、
  最後に1箱だけ!と、買ってしまうんだわー。
  けど、3本位吸った辺りから、折角3日もやめてたのにと、罪悪感に
  さいなまれる。
  で、これじゃいけんと、17本残っているタバコを勿体無いけど丸ごと捨てる。  
  そして今度は2週間経った頃に、また同じ事をやって3本吸って捨てるわけ。
  更には1ケ月後に・・・

  ってな感じで最終的に俺はやめたね。

  ニコチンパッチとか、禁煙パイポとか、俺に言わせたら全然意味無いと思う。

  考えてみーや。1日1箱300円のタバコを1ケ月吸うとして9000円。
  1年に換算すると、10万円超えますぜ?
  普通に鱗海スペシャルとテクニウムが買えますがな。
  1箱300円のタバコを小銭で買う分には全然違和感ないけど、
  いざ釣具屋に行って鱗スペとテクニウムを下さいって言うのは勇気が
  いるでしょ?  どっちも同じ10万円なんですぜ!
  同じだけの金額を、あんたは知らないうちに1年間で使ってるんですぜ? 

  高い英語の教材をさぁ、「コーヒーに直したら1日1杯分ですよ。安いでしょ?」
  って騙されて買うのとおんなじ。
  数字のトリックですわ。あー恐ろしい。」

会長「そうじゃのー。危うく俺はJTに騙されるところじゃったのー。」

私「いや、もう既に10年以上も騙されてるじゃん。ってか、別にJTは悪くない
  わけで、悪いのは全てあんたな訳で。
  10年以上の歳月をかけて数字のトリックに騙されて、100万円以上の大金を
  コツコツと失ってきたあんたが、なんだかとっても可愛そうで、
  ナムナムチーンだね。」

会長「あーあ、タイムマシーンがあれば、若気の至りで興味本位にタバコを
   吸おうとしている俺の所に行って、タバコなんか吸うな!って怒鳴って
   やるのに。ってゆーか、良く考えたら、俺を薬物依存症(ニコチン中毒)に
   した張本人は、おっさんじゃが!
   タコがタバコを吸ってみろって言わなけりゃ、俺はこんな汚れた体になって
   なかったのに。   俺の綺麗な体を返しやがれ!」

私「知らんっちゃ。じゃから俺はこのままじゃダメだと、ちゃんと薬物依存を
  克服し、更生したじゃろうがい。」

会長「俺の体を汚した張本人が、俺の事置いてとっとと禁煙しやがって。
   ちっくしょー、こうなったら俺も禁煙しちゃる。」

私「いや、でもほんと、そうした方がええと思うよ。
  きれいな体を取り戻してさ、

  タバコよりも何よりも、世界で一番あなたの事が、大ちゅきでーす!
 
  ってプロポーズすりゃ良いじゃん。
  こりゃーもう決まった。ゼクシィやね。よっ、この、おかちめんこ!
  ヒューヒューだね!」

ここにめでたく、会長も禁煙を決意してくれた。
無理だとは思うが、せいぜいがんばって欲しい。

まずは最初の2週間。ここが一番辛い。
吸いたくなったら深呼吸したり水をがぶ飲みしたりして、悪あがきをして欲しいと
思う。

んでさぁ、2週間我慢した後のタバコが、これまた最高に美味いんだわ。
もう禁煙なんて、どうでもよくなるくらいに美味いんだわ。  
1年間で10万円? 知ったことか!って、逆切れしちゃうくらいに美味いんだわ。
だからせいぜいがんばってくれ!



で、肝心の釣り。
電話で熱く会長を激励した後も、惰性で適当に釣る。
もう釣れないから帰ろうと思ってた11時過ぎ、長い前アタリの後に待望の1枚。
型は30cmと小さいが、お土産はできた。

んで、スカリを出すのが面倒臭かったので、仕掛けを投入しつつ魚を絞めて
たんだけど、いつの間にか浮きが見えなくなっていてたので半信半疑で
合わせたらまさかの2枚目。

こんな状況の中で2枚も釣れるとは、私が一番驚いた。

しかしながらこれで、私の団子のレシピでもチヌが釣れることが判明した。
安く仕上がって良く釣れる私のオリジナル団子が、今ここに誕生した。
後はフィールドテストを繰り返し、微妙な調整を加えていきたい。
いやぁ、また上達してしまった。

なかなかウダツの上がらない他のメンバーを尻目に、私一人だけ爆釣街道
まっしぐらだ!



よっ!久しぶり!

七色の体をもつ魚。
こいつも私の友達だ。
なんか、めっちゃ小さく見えるが
遠近法によるものだ。
一応お刺身サイズだ。



7月29日  会長禁煙!?