6月後半になり、なんだか不安定な天気の山口県西部地方。
四国の方の深刻な水不足が、少しでも解消されていることを願うのであるが。

とはいえ、そんな恵みの雨も週末アングラーにはノーサンキューであり、
できればウィークデーにしこたま降って、週末は雨も降らず風も無い
穏やかな天気になってはくれまいかと、身勝手な想いを募らせる。

私は、平日、毎日のように週末の天気予報をチェックしているのであるが、
予報を見る限り、23日は完璧に雨予報であった。

とりあえず会長に連絡。

私「会長? 23日の天気、思いっきり雨の予報が出てるんだけど。」

会長「大丈夫っちゃ。全く問題なし。
   少々の雨なら俺がなんとかするから任せとけ!」

私「任せとけと言われても・・・
  少々の雨程度なら、なんとかなるんですか?」

会長「大丈夫っちゃ。俺に任せとけっちゃ!」

彼がこんなに自信たっぷりに雨は降らないと断言するときは、
大体雨は降らない。
根拠などあろうはずもないのだが、ここまで彼が自信たっぷりのときは
何故か本当に雨は降らない。
恐らく彼には、常人には見えない何かが見えているのだろう。

魂を悪魔に捧げる代わりに超人的な能力を得る、といった類の話は、
ホラー映画で良く聞くが、彼は悪魔との交渉で自らの知能を捧げた見返りとして、
天気を操る能力を授かったのではなかろうか。
バカを受け入れる代わりに授かった特殊な能力。
うん。私は別にいらない。

とはいえ、彼の予想通りに当日にはぐっと下がった降水確率。
曇り空とはいえ、風も無く一日穏やかな天気になりそう。



今回は、諸般の事情により嫁の実家からの参戦かつ、嫁の実家へ帰還せねば
ならないため、別々の車で野波瀬に向かう。

午前5時前、車を降りた直後、突然カメラのフラッシュでも光ったかのような
まぶしい光に、思わず目がくらんでしまう。

何が起こったのだろうと、おそるおそる目を開けるとそこには・・・

まばゆいばかりに光を放つ、奇妙な生命体があった。

テカテカに光る銀色の服を身にまとった人が、何やらごそごそとやっている。

美しいまでに神々しくに光るその服は、まるで宇宙服。

私は、とっさに思った。

この人は耐熱スーツに身を包んで、これから宇宙へと飛び立つ、宇宙飛行士さん
なんだろうなと。
ケネディー宇宙センターに行くつもりが、道を間違えて野波瀬漁港に来てしまった
に違いない。

私は、眩しくてくらんだ目を押さえながら、テカテカの人に話しかける。

私「エクスキューズミー、あのー、すいませんが、ここはNASAではなく、
  野波瀬漁港ですよ。
  ここにはスペースシャトルはありませんよ。」

宇宙服の男「おおー、たこ、おはよう。 今日こそはチヌ釣るぞ!」

私「おっ、おー  な、永田か〜。
  テカテカに光る銀色のカッパなんか着てるもんだから、俺はてっきり、
  これから宇宙にでも旅立つ人かと思った。

永田「相変わらず失礼な人やね。
   雨が降りそうやからカッパ着たんやけど、
   タコがそこまで大袈裟に言うほどテカってないやろ?」

会長に、自分のカッパの光り具合を確認する永田名人。


会長「いや、そのテカり具合は結構まぶしい・・・」

私「ほら!」



適当に永田名人をからかって時間を潰しているうちに、船出の時間がやってきた。
ここ最近調子が良いとのことで東の3番につけてもらう。

とりあえず、最近アジも調子いいみたいだし、
サビキも持って来たし、チヌは釣れなくてもお土産は確保できるでしょ。

でもまぁ、贅沢は言わないが、チヌも釣れたら嬉しいな。
更には、サビキのアジにヒラメやら鱸やらが食いついて来たらもっと嬉しいな。
更に更に、何かの間違いで真鯛でも数枚混じった日には、
胸を張って嫁の実家に帰れるんだけどな。
まぁ、あまり贅沢は言わないでおこう。



期待に胸膨らませ筏に上陸。
団子を練り練りしていると、いつも何かをやってくれそうな
アンビリーバブルな男、会長が、早速今日もやらかしてくれた。

集中している私に、いきなり大きな声で問いかけてくる会長。

会長「タコ、俺の着ているTシャツを、タコのと交換してくれんかの?」

はぁっ?とか言いながら振り向くと、彼の真っ白いTシャツが何故かピンク色に
きたなく汚れている。

私「うわっ、何? その巨大なシミ。 どうしたん?」

会長「オキアミの返り血を浴びた。
   溶けたオキアミブロックを団子に混ぜようと両手で掴んで潰したら、
   大量の汁が飛んできた。
   奴ら、俺に最後の抵抗を見せやがった。
   臭いし汚いし、ちょっとタコのTシャツと代えてくれ!」

歩み寄ってくる会長に練りこんだ団子を投げつけ追い払い、引き続き集中するが
結局3番の筏ではチヌを釣ることは出来なかった。
まぁ、全体でも1、2枚しか釣れてなかったからね。
潮が悪かったと、潮のせいにしよう。


とりあえず、早々に団子釣りに飽きて楽しそうにサビキをシャクシャクしている
永田名人を、 「よっ!このアジ釣り名人!」  などとおだててサビかせたので、
お土産のアジは結構ゲット!

納竿直前に私が30cmのクロを上げたのが今日の唯一の見せ場。。
丸々と太っていた割にはほとんど引かず、やけにすんなりあがってきた。

横で会長が、雨に濡れた子犬のような目で物欲しそうに私のクロを見ていたので、
お土産は大量のアジがいる&クロを捌くのが面倒くさいなと思ってた私は、
快くプレゼント。
また彼に貸しを作ってしまった。

チヌは釣れなかったけど、とりあえずまぁ、楽しい一日でございました。





朝、船の上から。
出港の時の高揚感は
なんとも言えない。
やっぱり地球は青かった!

イェイ
会長「泳がせ釣りの仕掛けが、
    ロープに引っかかって
    しもーた・・・」
今日も撤収間際になってから
やる気を見せる会長。
いつも時間帯がずれている。
「よーっしゃ来た!」

大きな掛け声とともに
豪快に合わせを入れる会長!

相手はもちろん、

「only one earth!」
クロをはじめ、
アジやらカサゴやらメバルやら。
いやぁ、煮付けにしたら
美味かった〜♪





6月23日  そこそこ大漁!