意地でも今週は振休取ってやると望んだ、週前半の6月5日、
インターネットの天気予報を見ながら色々と考える。

明日の水曜日は風も出ず、穏やか予報。
週末は仕事で釣りに行けないから、行くなら明日だな・・・

イヤミを言われることを覚悟で、何週間か前の休日出勤の振替休日を
申請してみる。

私「あのー、明日振休を使いたいんですけど、良いですかね?」

上司「明日休むんか?」

私「ええ、まぁ。 この前の振休を、さりげなく使おうかなと・・・」

上司「ダメとは言わんが、お前はええのー。 休みが取れて。
   俺なんか忙しくて、取りたくてもなかなか取れないってのに。
   仕事の方は大丈夫なんか?」

私「えっ?取ってもいいんすか? ヒャッホーイ!
  仕事? そっちの方は任せといてください!  俺、出来る男なんで!」


上司が繰り出す、嫌味という名のジャブパンチを、
軽いフットワークでヒョイっと交わし、タイムカードを打つ。


上司「何かあってもいい様に、携帯は繋がるようにしとけよー!」

私「電源は入れときますが、山篭りして座禅組んで修行するんで、
  繋がらなかったらすいま千円♪」


サッと背広を肩にかけ、釣具屋へと車を走らせる。


とりあえず休みが取れて、釣りに行けるようになったことを会長に報告する。


私「明日休みが取れたんで、釣りに行って来るわ。」

会長「まじで? それなら俺も休み取ろうっと。 俺も行くわ。」

私「そんなに簡単に休み取れるの?」

会長「うん。俺も振休たまってるから。」



ってことで、急遽会長も参戦となり、二人で小野田一文字へ。

5時前に上陸して、いざ釣り開始!


最近の状況、釣れる!って程でもないが、釣れてないこともないみたい。
まぁ、釣果は腕次第というところか。


釣り開始から1時間、なんか会長の様子がおかしい。

「あー、いけん。 こりゃいけん。 こりゃやばい・・・」と、
何だかいかにも私に話しかけて欲しそう。

私「どした? うんこでもしたくなった?」

会長「あー、やばい。昨日の夜ずっとメールしてて、少ししか寝てないから、
   寝不足でフラフラする。  こりゃいけん。  死ぬかもしれん。」

私「とりあえずまぁ、寝不足で死ぬことはないだろうけど、
  もし死んだら、釣道具全部ちょうだいね。 俺、一番に予約ね! うししし。」

会長「ええのー、タコはお気楽で。
   こっちはメールやら何やらで、毎日死ぬほど忙しいってのに。」

私「いや、俺にはあんたの方がよっぽど気楽に見えるんだが・・・」

会長「まぁ、ええわ。寝るわ。」

私「寝、寝るんかい? 朝まづめのチャンスタイムを放棄して?」

会長「どうせ何にも釣れんっちゃ。 それではご機嫌よう!」

私「えっ? あぁ、はい。 ご機嫌よう!」


釣り開始からわずか1時間の午前6時過ぎ、早くも釣りを放棄して寝に入る会長。


とりあえず無視して釣りをするが、10分位過ぎた頃、何かゴソゴソやっている。


会長「タコ?  毛布持ってない?」

私「はぁっ? 持っちょるわけなかろーがや。」

会長「コンクリートが冷たくて、寒くて寝れんのじゃーや。
   何とかしてくれーや。」

私「何とかしてくれと言われても、俺は汚い手拭タオル位しか持ってないん
  だけど、それで良ければ顔にでもかけとく?」

会長「かぁーっ、使えん奴じゃのー。 仕方ない、起きるか。
   寒いんで、ちょっと運動してくるわ。」

そう言い放つと共に、広い一文字の上でおもむろにジョギングを始める会長。
ほんと、このオッサンの思考回路はよくわからん。


一通り運動を終え、体もあったまったのだろう。
再び二人で釣りをする。

しかし、あれだ。
なんか今日も釣れる気がしない。
午前10時を過ぎても、全くチヌの気配がない。
付け餌は、形を変えずにそのまま戻ってくる。
こんな時にボラでも沸いてくれてたら、さりげなく釣って退屈しのぎでも
やるんだけど、今日はボラすら沸いてない。
やっぱ、近くにボラ釣り名人が居ないとダメだネェ。

それでもなんとか会長がメイタを1枚釣り上げた後、
突然、海を見ながら叫ぶ!

会長「あっ、スナメリじゃ!」

会長の指差す方向を見ると、まことそこにはヌボーン ヌボーンと、
優雅に水面を泳いでいるスナメリの姿が。

スナメリとはイルカの一種であり、ここ山口県では日本海でも瀬戸内海でも
見ることが出来る。

彼女とデートで海を眺めている所に出てきたら感動もひとしおなので
あろうが、こいつが出てくると辺りの魚が逃げてしまうので、釣り人には
あまり歓迎されない。

厄介なものが現れたなぁと、ふと自分の浮きに視線を戻すと、
なんと私の浮きの数メートル先の海面がいきなり隆起し、
スナメリ君がこんにちは!

うぉー、焦ったー!2匹もおったか。 しかもこんな近くに。

今まで、何回か遠巻きに見たことはあったが、水族館以外でこんな近くに
見るのは初めて!
スナメリの全体像を見れたばかりでなく、目まで合った!(気がする。)

思わず感動してしまったが、こいつがこんなに近くにいると言うことは、
この周辺の魚は皆、警戒して逃げてしまっただろう。
会長も同じ事を察したのであろう。
相変わらずの睡魔来襲もあってか、早々と11時には撤収してしまった。

当の私、12時を過ぎて潮が変わった後、小さいながらもなんとか2枚ゲットし、
撒き餌が無くなった所で終了。
色々合ったけど、スナメリも見れたし、良しとしますか。


開始から1時間後の午前6時、
早々と寝に入る会長。

ほんとに君は、先の読めない
トリッキーな動きをするね!
12時からの時合で、
パタパタっと釣れた!



さて本日は、ウィークデーの水曜日。
巷では、大半の人が仕事をしているわけで、うちの嫁も他聞に漏れず
今日は仕事。

せっかくチヌも2枚釣れたことだし、今日は私が晩御飯でも作りますか。
めったにやらない、こういった小さなサプライズを時々見せることで
休日の釣りの伺いが出しやすくなる。

最近は暑い日が続いてるし、今日はスタミナ料理でも作りますか。
仕事が出来る男は、料理も出来る。
レシピはとっても簡単なので、是非皆さんにもお試し頂きたい!

用意するもの
青ねぎ1束  ニラ1束  もやし2袋
豆腐1丁 麻婆豆腐の素



まずは、青葱とニラを小さく刻む。
もやしは、食感を殺さない程度に小さくし、
ボールに移す。
フライパンに水と麻婆豆腐の素を入れ、
沸騰させる。
煮立ってきたら、角切りした豆腐を混ぜる。
次に、小さく刻んでおいた、
青ねぎと、ニラと、もやしを混ぜる。
なんか、お好み焼きっぽくなってきた。
程よく火が通った辺りから、
これは、失敗したかもと思い始める。
箸でひとつかみしたら、
すごい量の野菜が掴めた。
水溶き片栗粉を全体にサッとかけて
仕上げる頃には、完全に失敗した事に
と気づく。
ごはんと一緒に丼に盛り付ければ、
副会長特製、スタミナ麻婆丼の完成だ。

うまいのかって?

それは風にでも聞いてくれ。

ただ、帰ってきた嫁が、引きつった顔で
サプライズしていたから、企画自体は
成功だったのではないかと思う。

えっ? 2枚のチヌ?
あぁ、チヌは実家にあげました。




6月6日  初心者チヌ師の創作手料理!