前日のインターネットの天気予報。
明日日曜は、例によってまた風が強いとの予報が出ている。
日曜の風の状況

朝6時 4m
朝9時 4m
正午  6m

とりあえずまぁ、午前中ならなんとかなりそうか。
状況を会長に伝え、床に就く。

明けて日曜、午前4時に起床。再度パソコンを立ち上げ、風の状況を確認する。

朝6時 4m
朝9時 6m
正午  8m

うわっ、予報が変わってる。
9時で6mって、また釣りにならないじゃん・・・

ここ最近、ほんとまともに釣りをさせてもらえてない。
自然が相手の遊びだから、仕方ないとは言え・・・


「ええい、知るか! なるようになれ! ガハハハ 」 と
壊れ気味の、半ばヤケクソで釣行決定。

4時半に会長と待ち合わせ、釣り場へ向かう。
案の定、今日も遅刻をぶちかました会長であるが、まぁいつものことなんで
深くは考えない。
とりあえず、一応理由だけは聞いてみる。


会長「釣りが終わったらデートやから、髪型決めたり着替えを準備したりで
   色々忙しくてね。で、いざ出発しようと車のエンジンをかけたら、
   日焼け止めクリームを塗ってないことを思い出したんで、家に戻って
   塗ってきた。いやぁ、すまんすまん。」


「あぁ、そうですか。以後、気をつけてください。」 と、私。 今日はとても紳士的。

ってゆーか待ち合わせ場所への道中も、ハンドルが取られそうになるくらい風が
強かったんで、会長の遅刻に突っ込む元気もない位、今日の私はテンションが
低い。 


まぁ、来たからには釣りをしますかってことで仕掛けを作ってたら、
なんといきなり会長が竿を曲げている。

会長「タコ、いきなり来た!」

私「まじでっ?いつの間に釣り始めたん?」

会長「いや、まだ釣り始めてない。棚取ってる途中で
    棚取り重りに何かが引っかかった。 しかもでけー。」


道糸の先に目を凝らし海の中を見ると、一瞬だけ見えた座布団のような魚影。

二人「エイじゃ・・・」


それはまさに海の重戦車。
勢い良く走るでもなく潜るでもなく、じわりじわりと沖へ泳いでいく。
全く持って止めることもできず、ただドラグは糸を出していくのみ。

会長「ダメじゃ。止まらん・・・。 やべー、切るわ。」

50m位糸を出したところで、会長がエイの捕獲をあきらめる。


会長、釣りの腕は大したことないのだが、彼の使う仕掛けには
大金がつぎ込まれている。
高価なドングリ浮きから水中浮き、棚ボケ防止の秘密アイテムやら
ゴムクッションやらで、総額4000円相当の仕掛け、道糸から切れたら全部が
パーだ。

道糸から切れたらおもろいなぁと、ニヤニヤしながら見ていたら、
残念、無事にハリスが切れ、仕掛けの回収は成功。

「ちぇっ、惜しいの〜。」


朝っぱらからドキドキさせてもらい、釣りに戻る私であるが、案の定全然ダメ。
予想通りの強い風で、やっぱり今日も釣りにならない。


ただ、今日は強風とはいえ追い風なので、フカセの仕掛けは大遠投で
どこまで飛ぶのかを検証してみたくなる。

1号棒浮きを使った仕掛けを試しに遠投してみたら、追い風に乗って、
予想以上に飛んで行く。
パッと見、100m近く飛んでいる。

「こりゃーおもろい!」と、日本記録目指して何度か繰り返していたら、
出すぎた糸にゴミが絡まり、痛恨のライントラブル。


トラぶった箇所のゴミを一生懸命除けてたら、今度は他の部分が絡まって
道糸がモジャモジャピーマンに。


巻き変えたばかりの「銀狼ライン1.8号」は、もはや収集のつかない状態・・・


会長は横で、「タコのリールがモジャモジャじゃ!」と大笑い。


ええいくそー、大遠投とか変なこと、するんじゃなかった・・・。


「やめじゃやめじゃ! 腹立たしい。 撤収撤収。」


道糸がトラぶって、不覚にもリールから糸が無くなり、
釣りが続行不能になってしまった私は、早くも撤収準備。


片付けのために水を汲んでいたら、後ろで「ピロリーンローン」と、
携帯カメラのシャッター音。
振り返ると会長がニヤニヤしていた。

私「何かっちゃ?」

会長「ケツが出ちょるっちゃ!」

私「なにや? ちょっと見せろ!」

確かに強風で服がめくれ、ベルトをしていないズボンからは、半分おケツが
こんにちは!


  「い、いやん。」

私「ちょっと、勝手に撮るなっちゃ。
  基本的に写真撮影はNGなんじゃけー。
  はい。罰金1万円。あと、拝観料が1万円やから合わせて2万円ね。
  とっとと払って!」


会長「きたね〜の〜、タコの半ケツきたね〜の〜。
   メールで送るから、待ち受け画面にして魔除けにでも使いな!」

そう吐き捨て、私のあられもない写真をしっかりメールしてくる会長。


「う〜ん、我ながら見事な半ケツ。」

ま、待てよ。
今、巷ではハンカチ王子に続き、ハニカミ王子なるものが流行っておるな。

よし。ここは逆境を逆手に取り、私もブームに乗っかってみるか。

その名もずばり、


「半ケツ王子!」

やべー、若い子にキャーキャー言われ、芸能レポーターに取り囲まれたら
どうしよう・・・。

いや、待て待て。
彼らはまだ10代の若者だったな。
30越えた私が王子を名乗るのはちと気が引ける。

さすがの私も、そこまで図々しくはない。
素直におやじを名乗ろう。

ハンカチ王子、ハニカミ王子に続く第3弾は、ずばり、


「半ケツおやじ!」


釣りをしながら半分おケツが出たおやじ。


流行とか言う前に、ただの変態だな。

若い子に別の意味でキャーキャー言われ、周囲をおまわりさんに
取り囲まれそうだ・・・

着眼点は良かったんだが・・・




えっ? 肝心の釣り?

あぁ、もちろん何も釣れてませんよ。

釣れるわけないですやん。

ってゆーか、チヌってどうやったら釣れるんでしたっけ?


今日も風が強くて釣りにならん。
なんだかな〜・・・
野球界からはハンカチ王子、
ゴルフ界からはハニカミ王子、

そして待望の釣り界からは、
彗星のごとく現れた半ケツおやじ!

今夏、ブレイク間違い無しだ!





5月27日  流行に乗って!