5月13日の昼下がり、釣りを終え、嫁の実家にてのんびりしているところに
永田名人より電話が入る。
永田「もしもし、今どこ?」
私「かみさんの実家でのんびりしてる。
いやぁ今日は、シャレにならない位めっちゃ風が強いねぇ。」
永田「そうやねぇ。さすがに今日みたいに風の強い日はフカセじゃ
釣りにならんやろうねぇ。」
私「うん。ならんかった。」
永田「えっ? 行ったん?」
私「うん。」
時は前日の土曜日へと遡る。
今週の土曜日は私はフルタイムで仕事なのだが、
嫁は昨日金曜日夜の段階で、迎えに来たお義母さんと実家に帰ってしまった。
それ即ち、私の土曜の仕事が終わり次第、ケーキでも持って嫁の実家に迎えに
行かなければならない訳であるが、どうせ防府へ行くなら、ついでに先週6日の
リベンジで、徳山晴海埠頭まで釣りに行こうと思いついた次第だ。
先週ここで釣りをした折には、餌盗りがわんさか沸いてて、
フカセの釣りでは太刀打ちできなかった。
撒き餌ワークでかわす上級者も居るのだろうが、残念ながら私はその技術を
持ち合わせていない。
てっとり早く餌盗りをかわすにはダゴチンしかないと、マイバッカンの中は
オリジナル団子、クーラーの中には練り餌やボイル餌などの、餌盗りに
強い系がスタンバイ済みだ。
車の中に、釣り道具一式と大きな夢を詰め込んで仕事へと向かう。
何気にインターネットで明日日曜日の天気予報を見ると、明日は一日中
風速6メートル以上の強い風。
道具やら団子やら既に万全の体制で家を出たのだが、どうやら明日は釣りに
ならないっぽい。
仕事を終え嫁の実家に向かう途中も考えることは、
「明日の釣りは可能なのか?」ということだけ。
経験では、5メートル以上の風が吹いたら、フカセの釣りは難しい。
明日、釣りには行きたいんだけど自然の力にはかなわないので、
とりあえずこのまま目覚ましをかけずに寝て、寝過ごしたら釣りは中止。
もし万が一早くに目が覚めて、仮に風の様子が大丈夫そうだったら、
その時にまた考えることとする。
運命を天に委ね床に就く。
翌朝5時、当たり前のようにパッチリ目が覚める。
外の様子、ちょっと風は強いけどなんか大丈夫な気がする。
釣り方も団子釣りだし、なんとかなるような気がする。
よし決まり。レッツレッツフィッシング!
とりあえずまぁ、運命を天に委ねるとか言いながらも、きっと朝には目が覚めて、
釣りに行くんだろうなってことは、寝る前からバッチリ予想済み。
少々風が強くても、陸から海への風であれば追い風にもなるしね。
私は、何でも都合よく物事を考えるポジティブシンカー。
「釣りに行ってきます。探さないでください。」と書き置きを残し、
徳山は晴海埠頭へ。
で、午前6時過ぎ、晴海埠頭に到着。
大方の予想通り、風は海から陸への向かい風。
結構強く吹いてて白波どころか三角波が立っている。
まぁ、こんなもんだ。
ちょっとやばいかもって考えが一瞬頭をよぎるが、
ここであきらめて帰る位なら、わざわざ徳山まで遠征はしない。
最近天気予報もよく外れるし、何かの間違いで風も収まるかもしれないしね。
私は、何でも都合よく物事を考えるポジティブシンカー。
早速、バッカンの中の水を調整し、団子の仕上げに入る。
団子釣りの難しいところは、この団子の調整であろう。
水加減一つで割れ具合が変わってくるので、ここは集中して練りこむ。
「よ〜し、やるぞ〜!」と、気合を入れて仕上げるが、ここでプチハプニング。
時刻はただ今6時過ぎ。
満潮の時刻は6時40分なので、現時点でも水位は高い。
波は、強い風の影響で結構な三角並み。
沖に目をやると、巨大な貨物船。
条件は出揃った。
以下、こんな感じだ。
あ、危ねぇ・・・
危うく海のもくずと化すとこやった。
バッカンもバッチリ波をかぶって、
たった今仕上げたばかりの団子は、べちゃべちゃだ。
来たばかりで、いきなりこんなこと言うのもアレだが、
なんか帰りたくなってきた。
まぁ、とりあえずやるかと、折れそうな心を奮い立たせ
車にフローティングベストを取りに行く。
で、そんな辛い心境の中で釣りをしても当然釣れるはずもなく、
団子を投げても強烈な向かい風で空中分解。
風に押し戻され、自分にかかる。
き、汚ぇ・・・・ ペッペ
釣れるのは、フグやらオコゼばかり。
そんなことを繰り返してるうち、会長から電話が入る。
電話口から聞こえる、風のびゅーびゅーいう音で、彼は私が釣りに行っている
事を察したのであろう。
開口一番こうつぶやく。
会長「うわっ、このおっさんアホじゃ。こんな天気で釣りにいっとるが。
バカじゃのー。なんでこんな日に行くかのー?」
私「仕方なかろうが。他に釣りに行く日がないんじゃけー。
わしゃー昨日の土曜も仕事じゃい。
おまけに来週の日曜も仕事じゃい。
あんたみたいに土日が休みな上に、有給取って釣りに行けるほど
恵まれておらんのじゃ。これが格差社会の現実じゃい。」
会長「そ、そうか。可愛そうに・・・
で、何か釣れたん?」
私「フグとかオコゼは結構釣れてる。」
会長「かぁーっ、そんな毒魚ばっかり釣ってどうするんかのー?」
私「もちろんあんたにプレゼントじゃ。」
会長「これだけ風が強いと、波も高いじゃろう?」
私「さっき悪条件が重なって、危うくさらわれそうになった。」
会長「かぁーっ、惜しいのぉ!」
説明しよう。ここで会長が言った惜しいとは、我々の中では、
「大丈夫?」という意味だ。相手を心配しているとき等に使う。
例えば、私がテトラで足を滑らせて海に落ちそうになったとする。
私「あぶねー、足が滑って海に落ちるとこやった。」
会長「ちっ、惜しかったの〜。」
(意味:おいおい、大丈夫かよ?)
私「ほんと惜しかった。危うく新聞載るとこやった。」
(意味:大丈夫。なんとか体勢立て直した。)
ってな具合だ。
会長「まぁ、悪天候の中せいぜいがんばって
巨大な波にでもさらわれてくれ! ぷちっ」
(意味:まぁ、高波にはくれぐれも気をつけて、危なくなったら
無理せず帰れよ!)
ありがたい会長の激励を受けるが、その後ますます風は強くなり、
本当に命の危険を感じたところで撤収。
とりあえずまぁ、アレだ。
風速が5m以上の予報が出ているときには、フカセじゃ釣りにならないんで、
家で大人しくしているほうが懸命だということが再認識できた一日だった。
お、大荒れだ〜! | |
会長、可愛い角のある、 愛くるしい魚が釣れました。 試しに角を触ってみてください。 |
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天気は悪いし、魚も釣れず暇なので 団子で会長の似顔絵を作ってみた。 我ながら、驚くほどよくできた。 |