4月8日  お忍び釣行


4月8日は、選挙の投票日である。
今日は選挙に行く&家族サービスでお花見の予定であるため、
釣りには行かないはずだった・・・  

のだが、実は先週、中野会長や永田名人には内緒で、こっそり購入した
ダイワの磯竿、クレッサ1.5−5.3を急遽試したくなったので、さりげなく嫁に
許可を取り、朝9時までの釣行という約束で刈屋漁港へと向かった。

山口市に、とある釣具屋が移転オープンして、4割引きセールを
やっていたので、思わず衝動買いしてしまった。

別に新しい竿を買ったことを、他の2人に隠すつもりは少ししかなかったわけで、
今度3人で釣りに行った時に、さりげなく自慢してやろうと思っていたのだが、
その前にまぁ、使い心地なんぞを調べておこうと思い、短時間釣行決行となった。

早朝5時に釣り場に到着すると、先客は2名。
軽く挨拶を交わし、釣行スタートである。

5時半に、小野田一文字へと向かういつもの渡船を、今日はテトラの上から
横目で見送り、竿の調子を確かめながらひたすらキャストを繰り返す。

チヌこそ釣れないが、メバルやら何やらが適度に浮きを沈めてくれるので、
退屈感はなく、それなりにドキドキできる。

そうこうしていた7時半、渡船の船長が一旦漁港に帰ってこられた。
数ヶ月ぶりに船長の顔が見たくて、釣りの手を止め竿を置き、船着場まで
挨拶に行く。

この時はまだ、その後に待ち受けている身の毛もよだつ恐ろしい運命のことなど、
知る由もない私であった。

最近の情報などを色々と仕入れ、気合を入れ直して釣り座へ戻ろうとすると・・・


マンガにでも出てきそうな、まさかのハプニングがここでも発生。

何やら黒い物体が、私の荷物の側でごそごそと動いている。
目を凝らしてよく見ると、一羽のカラスが周囲の状況を伺いながら、
何かをつついている。


クーラーから外に出し解凍中の、私のオリジナル練り餌、

サランラップにくるんだ 「チヌの涙」 だった。


私「お、おいおい、こらこら。」

両手を挙げ、慌てた表情でかけよる私に気付いたのか、カラスはヒョイと
チヌの涙をラップごと口にくわえ、今にも飛び立ちそう。

ダッシュで駆け寄るも、タッチの差で私が戻るよりも先に、ヨロヨロと飛んでいった
カラスなのであった。

先々週の犬に続き、今度はカラスである。

「タイミング良く、またも動物に練り餌を盗られて、有り得ないだろ!」って
ツッコミこ入れられそうであるが、残念ながらノンフィクションである。

嘘だと思うなら、20m向こうで一部始終を見ていた、色褪せたがまかつの
帽子を被ったおじいさんに聞いてみて欲しい。

歩み寄ってきて、
 「兄ちゃん、何か盗られたか?」  って聞かれたんだから。


とりあえず、 
 「私が作った、手作りの練り餌を盗られたみたいです。」 と答えておいた。


しかもご丁寧に、犬走りに立てかけてあった私のニューロッド、
ダイワ大島磯、クレッサ1.5-5.3まで、その黒い翼でなぎ倒して飛び立っていった。

「ええい、くそー、新しい竿が折れたらどうするんじゃい!」と、
カラスを罵倒しながら、竿全体を見渡す。

とりあえずセーフ。折れてはいない模様。

気を取り直して釣りに戻る。



と、ここまでだったら、

「私の作った練り餌は、チヌだけでなく、犬やカラスにも効果的だ。俺って天才!」

ってな感じのハッピーエンドで終われるんだが、実はこの話には
まだまだ続きがあるわけで・・・




さて、いざオキアミを針につけて、さぁキャスト!

「えいっ!」

ってあれっ?   なんか違和感・・・

「目の錯覚かしら。なんか、今、穂先が2つあったよう見えたわ。
私、疲れてるのかしら・・・。」


恐る恐る、穂先を指でなぞり、チェックしてみる・・・

そこには錯覚でも幻でもない、確かに2つの穂先があった。、

       ↓






私「 えっ、えっ、エイドリアーン!」 



あのー、買ってからまだ1週間しかたってないんですが。
今日初めて使う上に、使い始めてからまだ2時間しかたってないんですが。

いきなりですか・・・


もはや釣りどころではない。
茫然自失の抜け殻状態で道具を片付け、近くの釣具屋が開店するのを待って、
半べそかきながら竿を持ち込む。


あー、カラスのせいで無駄な出費・・・


多分これは、新しい竿を買ったことを中野会長や永田名人に秘密にしていた
バチが当たったのだろう。

言い替えるならば、会長の崇りか。

ということで、今回竿が折れたのは会長の責任という結論が出たので、
とりあえず穂先の修理代を払って欲しい。

あ、別に永田が払ってくれても良いんだけど。


二人の良い返事を期待しておる!



早朝、小野田一文字へと船が出る。
「おーい、私はここにいるぞー!」

休日の刈屋漁港。
なんと釣り人の多いことか。