11月26日  最後の聖戦

いやぁ、本当に寒くなった。
一昨日の23日には、女平鹿スキー場がオープンした。

もうそんな時期なんだなぁと、しみじみ思う。
最後に3人で締めようようと考えていた最後の釣りは、天候や休みが
かみ合わず、結局延び延びになってしまった。
今年はもう無理か?と考えていた折、会長から電話が入ってきた。

会長「今週の週末、釣りはどうする?
   永田名人は、風邪でダウンしててパスだって。
   俺、冷凍庫で凍らせてあるオキアミブロックを、早く処分したいんだけど・・・」

実は、先々週の釣りで使おうと思って購入したはいいが、突然の天候悪化の
ために使わなかったオキアミブロックが会長も私も冷凍庫の中にひっそりと
眠らせてある。
今年度中に、このブロックを捨てなきゃな。とは思っていたところではあるが・・・。

私「んー、最近寒くなってきたし、土曜は仕事だし。
 日曜は、とあるデパートの屋上でアンパンマンショーがあるから、
 子供連れて見に行かなきゃならないし・・・。俺もパスかな。
 しかも、チヌさん達は深場へ帰って行かれて、多分釣れんでしょ?

会長「もう、11月も終わるし、俺の中では今週が最後だと思ってる・・・
   男には、負けると分かってても挑まなきゃいけない戦いが・・・
   あるんじゃない?

私「ん、んんっ?」

会長「それに・・・」

私「それに?」

会長「俺にはまだ今年、どうしてもやっておかなきゃならないことが1つだけ
   残ってるんだよ。その最後の聖戦に、どうしてもタコに付き合って欲しい。」
   
お、なんかかっこいいこと言うじゃん。

「俺にはやり残したことがあるから、最後にタコに付き合って欲しい」って
いうフレーズが気に入った!
しょうがねぇ。会長のために、ひと肌脱ぐか!
俺もオキアミブロックを消費しなきゃいけないしな。

正真正銘、いよいよこれが今シーズン最後の釣りになるだろう。


踊ろう。ラストダンスを。

咲かせよう。造花のバラを。

燃え尽きよう。灰になるまで・・・


言ってる意味は全くわからんが、要は気分的になんか乗って来たってことだ。


この道をゆけばどうなるものか。
危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。
踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる。

迷わず行けよ。行けばわかるさ。

行くぞー! チヌ釣りに。



私「よし。中野君。いざ行こうではないか。最後の聖戦へ。」


会長「でも、アンパンマンショーのドタキャンで、奥さんは大丈夫なの?」

私「それはまぁ、亭主関白な俺のこと、ゴネたらガツンと平手打ちの一発や二発・・・」

会長「で、でもそれってドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)なんじゃ・・・」

私「ドメスティックバイオレンスだか、ドラマチックルネッサンスか知らんが、
  要は、一家の主の俺がルールだ。一喝してやるさ。」


我が家には、ドメスティックバイオレンスが存在する・・・

ここに来て遂にカミングアウトしてしまった・・・



念のため聞くが、ちなみに中野君は今年、どんなことをやり残したのかね?

会長「いやぁ、オキアミブロックもさることながら、先週フライングして大量に
   練ってしもーた、バッカンの中のくっさい撒き餌のドカ撒き。
   これを今シーズン中にやっとかなきゃやばいでしょ?」


私「やり残したことって、臭い撒き餌のドカ撒き?
  そんなくだらないことに俺を付き合わせるつもり?
  そんなもん、彼女の家の庭にでも撒いときゃいいじゃん。
  一発でフラれるから。」

まぁ、いいわ。気分も乗ってるし。
で、嫁に確認も取らず、餌やら何やらを勝手に購入して帰る。

帰宅後・・・

嫁「あれっ?その餌どうするん?
  日曜日はアンパンマンショーだけど、いつか釣りにでも行くん?」

私「ふむ。まぁ、あれだ。そこで君に相談なのであるが、中野会長が
  いよいよ明日、最後の聖戦に向かうので、一緒に付いてきて
  共に戦って欲しいということなのであるが・・・」

嫁「何っ? 聖戦?」

私「あの、ま、まぁ要は、聖戦とは今シーズン最後の釣りの事を指すわけで、
  その最後の釣りに一緒に行かないかという会長からのお誘いであり、
  私としても、是非行ってみたい気がしてみたり、してみなかったりする訳で
  あるが、如何なものかと、ご相談たてまつってみたりする候な訳で・・・」


嫁「 アンパンマンショーは?」

私「ですので、アンパンマンの話は無かった事にというか・・・」


嫁「はぁ? 何? しばくよ?」

私「ひ、ひぃ、やめて。しばかないで。
  そ、そんなことしたらドメスティックバイオレンスになるから・・・」


嫁「おい野郎共(2歳になる息子)、このおっさんが、明日のアンパンマンショーは
  土壇場キャンセルで、釣りに行きたいんだってよ。やっちまいな!」


どこからかプラスチックのバットを持って、満面の笑顔で殴りかかってくる
2歳になる息子。


嫁「顔はやめときな!ボディーだよ。ボディー。」


息子「アーンパンチ!、アーンキック!」  

次々にアンパンマンの必殺技を繰り出す2歳の息子。


私「ひ、ひぃ・・・」

これが我が家に存在する、ドメスティックバイオレンスだ・・・


薄れていく意識の中で、息子と会長に語りかける。


「息子よ、わんぱくでもいい。たくましく育って欲しい!

 そして会長よ。最後の聖戦とやらは、来週以降にしてはくれまいか。
 どうも今週は無理っぽい。」