8月5日  新メンバー加入!


茨城県から旧友が帰省してきた。
その昔、地元の小さなブラックバストーナメントでの最高好敵手だった、クラッチだ。
どうせ帰省してくるなら、折角なんで、行きますか。釣り。

昔を思い出しながら、湖でバスと戯れるのも、一考であるが、
どうせなら向こうではなかなか挑戦することのない、チヌを釣りに行こう。
丁度我々は、山陽小野田チヌクラブというインチキ釣りクラブを立ち上げたばかり
である。

さて当日。

一番船は人が一杯だったため、2番船での船出となる。
船を待つ間、熱心にクラッチに撒き餌の混ぜ方をレクチャーする会長。

一生懸命撒き餌マゼラーで練り練りしているクラッチに、
「それじゃ練りが甘い!」と自ら手を突っ込んで、やってみせる会長。

「さぁ、クラッチもやってごらん」と誘われるが、汚い撒き餌に手を突っ込むことを躊躇
するクラッチ。
顔がとっても迷惑そうだ。

そうこうしているうちに船が来た。2番船で一文字へと向かう。
早速パラソルを立て、中でクラッチに仕掛け作りを教えてあげる会長。

会長「今日は俺は釣れなくてもいいから、クラッチに釣らせてあげたい」

年に1回程度は、そういった優しい面も見せてくれる。

「会長はやっぱり、それでこそ会長だよ。」と少しだけ彼のこと見直した。

そうこうしているうちにさっそく永田名人が竿を曲げる。
ちょっと小さめだが、なんとかクラッチにチヌを見せることができた。

とか思ってたら、また永田名人の竿が曲がっている。
今度は30センチ。
今日は向こうの釣り座かねぇと、会長苦笑い。

するとまた永田の竿が・・・
1時間もたたないうちの速攻の3枚。

いつもなら、ここで焦る私であるが、今日の私には不思議と焦りはない。
べた凪の海のような平常心だ。
なぜなら私には、先日編み出した驚異の集魚釣法、副会釣法があるからだ。
チヌを寄せて釣り上げる。

「寄せて、上げて。」  「寄せて、上げて。」  
 一昔前にちょっとドキドキしたフレーズ。そんな感じか。


そしてその時は、静かに訪れた。ゆっくりと左へ流れていた棒浮きがじわっ〜っと
海中に沈んでいく。

来た!満月のように弓なりのマイロッド!

やっぱり釣りはおもしろい。

私も名人に負けじと、2枚、3枚と枚数を重ねていく。

そしてついに・・・

クラッチ
「来た〜!」

なんとチヌ釣り初挑戦のクラッチまでもがチヌを上げる。
丁寧にタモで掬い、無事に生涯初チヌゲットとなる。
本当にうれしそうに喜んでいるクラッチ。見ているこっちまでもがうれしくなる。

名人「さて、初挑戦のクラッチもチヌ釣ったし、みんなが釣れて良かったね〜♪」

目線の先には鬼の様な形相で必死に釣りをする中野会長。

もはや、「今日は俺は釣れなくてもいいから、クラッチに釣らせてあげたい」と
言っていた優しい彼の姿はどこにもない。

一瞬でも、彼のことを見直してしまった自分が恥ずかしい。

クラッチ
「たいじのおかげでやっと釣れた〜!  ありがとう中野会長!」

日頃からクラッチはこのホームページをチェックしてくれている。

クラッチ「会長へのパスは、こんな感じでよろしいでしょうか?」

私「最高です。最高のスルーパスです!」


大体この手のシチュエーションがあった時に、決まって最後に残るのは
中野会長だ。運命とは不思議なものだ。

なぜか、朝から育てているポイントを捨て、波止の反対側へと釣り座を
変えている会長。

初心者のクラッチまでに先を越され、完全に自分を見失っている。

「棚はきちんと取ってる?」と優しく気を遣い、歩み寄ろうとする私に対して
「あっち行け、ぺっぺ!  海に落とすぞ!」と恩を仇で返す会長。

今の彼は、例えるならばとがったナイフ。
さわる者皆傷つけかねない。
もっと楽しく釣りをすればいいと思う。ボーズでも、誰も何も言わないさ。
                                     クックック


そんな態度に出るなら・・・と、副会釣法でまた1枚追加する私。

私「会長〜、タモ持ってきて〜♪」

会長「   ・・・   」

そして何を思ったか・・・  

「お〜れ〜はジャイア〜ン、が〜きだ〜い〜しょ〜う」

ジャイアンのテーマを口ずさみながら、おもむろに私の釣り座に入ってくる、
中野会長30歳。

私がせっせと育てた畑が、今まさに会長によって、土足で踏みにじられている。
   
まぁいいさ。俺、ほどほどに釣ってるし、大分寄ってると思うから、ここでやってみ。
そして案の定、私の釣り座で上げる会長。

一匹釣ったと思ったら、バッカンごと私の釣り座の3メートル上に移動してきた。
彼にはプライドやモラルはない。

自分自身のみがルール。  その考え方は、まるでジャイアン。
ジャイアン釣法と命名しよう。


会長「やったー!ついに釣れたー!」

私「良かったね。俺がちゃんと寄せてたおかげやね!」

会長「違うわい。ここの場所が良えんじゃい!」

まったくもって素直じゃない。

私「ならば8月9日水曜日の釣りの際に、釣り勝負するか?」

会長「おう。勝負でもなんでも受けてたつわー!」

私「どうせ私の副会釣法にはかないっこないって。」

会長「なにをー、そんなら命賭けるか?」

私「おう、命でも何でも賭けちゃるわい!」

いや、待て。今私は、家族という大きくて大切な荷物を小さな背中に背負っている。

小学校の頃は、けんかになる度に、皆が口癖のように命を賭けていたが、
命はそんなに簡単な物ではないと、自分が父親になって初めて思う。

庭に穴を掘りせっせと働く小さな蟻から、大自然を優雅に闊歩する大きな象まで、
すべての生き物にたった1つだけ、平等に神様から与えられた大切なもの。
命とは、はかなくも尊いものである。

そんな尊い命を、どっちがたくさんチヌを釣るか。
そんなくだらないことに賭けていいはずがない。

私「待った会長、やっぱり命じゃなく、山小屋ラーメ○の、大盛りラーメンを賭けよう。」

命からラーメンとはずいぶん幅に開きがあるが、我々安月給サラリーマンが
賭けるものとしては、丁度良いであろう。

というわけで、8月9日(水)は、中野会長を相手に運命のチヌ釣り対決となった。

余談ではあるが中野会長が、「タコに負けたら山陽小野田チヌクラブの会長の座を
譲るよ」と言っていたが、そんなものは、勝っても負けても別にいりませんと答えておいた。

午前11時、クラッチも大満足で納竿。

クラッチ「チヌっておもしろいね!」

どうやらクラッチも、チヌにはまったようだ。
今我がクラブに、新たなメンバーが加入した。
こちらに帰省してきた際には、是非また一緒に行きましょう!

その後は、昔なじみの居酒屋(ビアガーデン)で、昔行ってたバス釣りのこと、
今現在の茨城での釣りのこと、チヌ釣りの深さ等々、釣り談義を夜遅くまで行うのであった。

余談ではあるが、明けて6日は私は仕事。
重たくて痛い頭を抱えながら、一日仕事をこなすのであった。


熱心に、クラッチに仕掛けを教える会長。
このときはまだ会長の顔にも笑みがあった・・・
初めてのチヌ釣りで、見事にチヌを釣り上げたクラッチ。
やっぱセンス良いです。
飽きて、メンバー皆が適当に釣り出してもなお、一人
丹念に際を攻め続けていたその姿勢、見習わなきゃ
って思います。

ビバ クラッチ!
一人釣れず、動揺する会長。
散々育てたポイントを捨て、反対側へ移動。
朝から大事に育てている私のポイントの
僅か3メートルほど向こうに移動してきた会長。
彼の辞書には、モラルやプライドといった言葉は
ない・・・
今日もなかなか良く釣れた。
      to be continued ・・・