8月2日  単独釣行


私にはお盆休みがない。
代わりに休みはとれるのであるが。
一応8月2日を休みとしたのだが、請求書の発行が、まだ終わっていない。
8月1日、時刻は22時。終わらない仕事。
やばい、帰れない。明日の休みを返上して仕事すればいいんだが、
いかんせん、私の頭は釣りムード一色だ。
意地でがんばって、23時を回った頃には仕事が片付いて帰宅。
よし。釣りいける!

私は、みんなでワイワイ言いながらの釣りも好きだが、
物思いにふけながらぼーっと浮きを見つめる単独釣行も好きだ。
要は釣りが大好きだ。

今日は折角一人の釣行なので、ついでに釣行日記も、ニヒルに本物っぽく、釣りの本
に載っている記事のような感じで、まじめに書いてみたい。

AM5時、釣り場到着。
今回、訳あって釣り場は伏せさせていただきたい。

南西の風、のち西の風やや強く、曇りのち晴れ。
潮流は複雑に混ざり合って、幾重にも潮の層ができている。     ような気がする。 

おもむろに偏光グラスを外し、ため息混じりにつぶやく。

        「今日は難しい釣りになる。」                かもしれない。

何枚潮?
まずは、撒き餌を打ち、層の数を数えてみる。1枚、2枚、3枚、4枚、5枚・・・

まったくもってわからない。      多分1枚だ。うん。

ドカドカと撒き餌を撒いてあたりを待つ。
全くあたらない。

午前8時。
え〜っと・・・、一向にチヌのあたりはないが、さっきからボラの数がすごいん
ですけど・・・

釣り人が私しかいないため、近所のボラがすべて私の元へ集まっているのだろう。

撒き餌をドカドカ撒いたせいか、パッと見で、1000匹位集まっていそうな・・・
50メートルくらい向こうまで、ボラで海面が真っ黒になり、航空写真で見れば
幻の巨大魚のように見えるのではないか。
へりでも飛んできて、写真撮ったら、夕方のニュースに出るんじゃない?
とにかくすごい迫力だ。


撒き餌を手元に1回打つだけで、遙か向こうの海面までが、ざわざわなっている。

気分はモーゼだ。

「海よ開け〜!」    とか言いながら撒き餌を打つ。

バシャバシャバシャーとなる海面。

「やばい。楽しい・・・」

いや、待てよ。これはむしろ、食料に集まる群衆か。
今度はお代官様バージョンで。

「皆の者、近う寄れ〜!」                バシャバシャバシャー

30分くらいこんなことを繰り返したところでふと我に返る。

「釣りしなきゃ。」

とりあえず棚を10センチくらいに合わせ、足元にキャスト!

「パクッ」    さっそく1匹食いついた。

餌を吐き出す前に即合わせ!

もの凄い重量感。   「乗った!」

パッと見、50センチは優に超える巨大なボラ。
15分くらい遊べた。
もはやあんまりやる気はない。

丁度その頃、中野会長より激励の電話が入る。
釣れてるかどうかの確認の電話だ。

会長「釣れた?」
私「うん。チヌは釣れんけど、今、巨大なボラ釣った。おもろいよー!」
会長「ボラはどうでもええけー、チヌ釣らんにゃー」

あきれるような口調で話す会長の言葉で、まじめにやるかと気を取り直す。

仕掛けをチヌの棚に戻し、まじめに釣りをする。
これだけボラが沸いてたら、餌が底まで届かないな。

とりあえず、撒き餌で団子を作り、その中に餌を入れてポイッ。
要は撒き餌でダゴチンしてる感じだ。
するとどうであろうか。先ほどまでピクリとも動かなかった浮きがジワーッと
海中へ!

慌てて合わせる。
乗った!型は30センチくらいだが、チヌが釣れた!

これは!!!    と思い、再度団子を作りポイッ。

ジーワーッ  と再び浮きが海中へ・・・
またまた30センチのチヌ。

味を占め、更に団子をポイッ
またまた海中へと消える浮き。
合わせると今度は結構な手応え。
ゆっくりと両手でポンピング。一回やってみたかったのよね。これ。

ジジッ  ジジッ と小気味よい音をたてながら、糸を出していくドラグ。

糸は、ピュイー ピュイーと鳴いている。

「や、やばいっ   無茶無茶 たのスィー!!!」

「イーッヒッヒッヒ!」と、魔女のような笑い声が、自然と口からこぼれ出る。
完全に怪しい人だ。

なかなかいい感じの41センチを、とりあえずタモですくってガッツポーズ!


掲示板には、秘策とか意味深なことを書いてましたが、要は撒き餌で
ダゴチンしたっていうだけです。なんちゅーことはないです。

とりあえず、まぁ、特許だけでも取っておこうか。
釣り方の名前はえーと・・・  たこ釣法?いやいや、副会釣法
どちらも冴えないのでやめた。

でも、まぁ、こう・・・  試しにやってみたことで結果が出た喜び?
それはほんと、純粋にうれしい。そして楽しい。

結局、これまで会長が持っていた、一日5枚の記録を抜き1日7枚という、
山陽小野田チヌクラブの得点王となった。

そのことを会長に報告すると、
「なんでそんなに釣れたんかねぇ」と言われた。
自分で言うのも何だが、それはきっと、アームがグッドだからだと思う。

途中で、針の結びが甘いかなと感じたけど、まぁいっかとか思ってた仕掛けで、
案の定チモトがクリンクリンの会長結びになってばれたりとか、
ハリス触ったらざらざらしてたけど、まぁいっかと思ってたらそこから
切られたりと、反省すべき点も多々あった。

まぁ、何よりの反省点は、時合にボラと戯れていたことだろうけど。
それが無ければ初の2桁に到達していたと思うが、まぁ、また次回ってことで。



最後になるが、今日は良く釣れて、とても楽しかった。

ただ、一つだけ心残りなことがある。

それは、ここに他のメンバーが居ないことである。

2人がいれば、この楽しい時間を共有でき、もっと楽しかったはずである。

そして何より、ここに2人がいないということは・・・


「どうじゃ、見たか〜!!!」  と、釣果を見せびらかすことができない。

それが何よりも心残りである。


結局私には、釣り雑誌のようなまじめな釣行記は書けないようだ。

                                          かしこ。



途中、とても良く釣れるので、タモ係を
しに来てくださいと会長にメールを打つも
返事は返ってこず。
一人で撮影しながらタモ入れながらと
複数の作業は大変だ。
とりあえず、朝のボラ。
他人のスカリの中のこんな光景を、
羨望のまなざしで見ていたが、ついに自分の
スカリも、こんな感じにすることができた。
41cm 1枚
40cm 1枚
30cm 5枚

かなり満足のいく釣果になりました。