6月18日  あぶなかった〜・・・ 

先日の17日、永田名人が47cmのチヌを上げた。
それを聞いた私は、いてもたってもいられない。
幸か不幸か、今日はかみさんが、子供を連れて実家に帰ってしまった。
家庭内で内乱が勃発したためである。

明日は、かみさんを実家に迎えに行くついでに、向こうで釣りに行こう。
心躍らせ、エンタを見終わった、23時半、就寝。
明日は、し烈な釣り座争いのため、3時には起きて現地へ赴く必要が
ある。寝れる時間は、正味、3時間半といったところであろうか。

心地よい眠りについているはずの、午前1時、「くそー」とか言いながら
暗闇の中で、ぶんぶん手を回している私がいる。
先ほどから私の耳元で、10分おきに、「ぷーん」とかゆー、不快な音を
出して、求愛してくる奴がいる。
彼の名はモスキート。ジャパニーズネームで言うところの蚊である。

「ぷーーーーん、ぷっ。」私の顔のどっかに止まった。
「ぱちん」
自分で自分に張り手をかます。
捕らえたか?祈るような気持ちで電気をつけ、手の平でつぶれている
はずの彼を探すも、彼の姿はなし。部屋中を探しても彼は見つからない。
また電気を消し、ようやくふわふわしたレム睡眠に入ろうかって所で、
「ぷーーーーーん、ぷっ」  で、また自分に張り手。
そんなやり取りを、かれこれ一時間程続けている。

「もうわかった。血は好きなだけ吸わせてやるから、その音だけは
やめてくれ。」何度も何度も彼にそう語りかけ電気を消す。
祈りは届かず、またもぷーん・・・

そこで私は、冷静になり考えた。どうすれば彼を倒せるか。
ひとつの考えがひらめく。そして・・・

電気をつけたまま、寝たフリをして待ち構えていた、午前1時15分、
おとり捜査の網の中に、そうとは知らずのこのこ現れた彼を現行犯
逮捕し、事態は収束した。        
                       ラブアンドピース!  戦争は終わった!

そして、けたたましく目覚ましが鳴り響いた、午前3時、起床。
めっちゃ眠い。でも釣りに行かねば。でも眠い。
団子は昨日練ってしまったので、行くしかないと自分を奮い立たせ、
しぶしぶ釣りへ。子供にと買っておいたスポロンを、腰に手をあて、
ぐいっと一気飲みし、レッツフィッシング。

釣り場には、4時過ぎに1番乗り。
で、8時頃、気づいたらめっちゃ釣りのうまい、それこそ、永田名人の
ようなエセ名人ではない、本物の名人に両サイドを挟まれている私。
さっきから、両サイドで、びしゅんびしゅんと竿をしゃくる音が聞こえて
るんですが。
そのたびに竿が弓なりなんですが。
しかも、その二人はここの常連で顔見知りで、間に入っている私を
スルーして会話してるんですが・・・
「今日は入れ食いじゃのー」と。
ええ。私もさっきから入れ食いです。ふぐやらベラやらヒトデやら。
その二人は、浮きが少しでも入ったら合わせてて、見事にチヌを
乗せている。
で、私も真似して微妙なところで合わせてみる。
お、重い、乗った。かなりのずっしり重量感。間違いない。
この手ごたえは間違いなく奴。5角形のにくい奴。

この界隈では誰もが使っている団子と、誰もが使っている生
ミック。餌も団子も同じ。何が違うんだろう。
まぁ、きっと腕なんだろうけど。

両サイドで名人に挟まれて、気分はまさにオセロ状態。
間に挟まれ、俺も名人に変わってしまえと半ば投げやり。
そんな状態が昼過ぎまで続くが、急に当たりが遠のく。
そんな状態に早くも見切りをつけ、撤収を始める両名人。
帰りながら、私に、「兄ちゃん、この左から右への潮の流れじゃ、
もうチヌは釣れんよ。」
どんな潮の流れかは良く分からないんですが、大丈夫です。

「最初からチヌなんて、釣れてませんから!残念!」

ヒトデとかなら結構釣れてますが。

この波止では、誰もが知っている、名人のOさん。

彼のもとには、たくさんのヒトが集まる。
                   「もっと釣りを教えてください」と。

私のもとには、たくさんのヒトデが集まる。
                   「もっと餌をめぐんでください」と。

波止の人もだいぶまばらになってきた。
さすがは本物の名人、Oさんのお言葉、先ほどまで釣れていた、
ヒトデやふぐですら食わなくなる。

堤防にあがって、横になりながらぼんやりと浮きを見つめる。
一向に沈む気配はない。
なんだか眠い。
そういえば昨日は、モスキートと遅くまで格闘してて、2時間しか
寝てないんだっけ・・・

・・・・・・

ごろん、  「うわっ」

あまりに眠いので目をつぶってたら、一瞬寝てた。
しかも、寝返りをうってしまったために、下半身が堤防から乗り
出し、海に落ちそうになっている。
両手で必死に堤防にしがみつく私。

「ファイトーーーーー、イッパーツ!」
                   のフレーズが頭をよぎる。

いや、今はそれどころではない。
必死で堤防をよじのぼり、なんとか事なきを得る。
「あっぶね〜、落ちてたらやばかった。」
別の意味で、波止のヒーローになるとこやったよ。
念のため、今の出来事を周囲に悟られていないかと、おそる
おそる見渡してみる。
セーフ、誰も気づいていない。
そそくさと、逃げるように撤収。

今までは、フローティングベストなんて、必要ないと思ってた。
海に落ちることなんて、あり得ないと思ってた。
買おう。数万円で命が助かるなら。
それに・・・・

フローティングベスト着てたら、プロっぽく見えるしね。
「お、やつはできるな!」みたいな感じね。
ってことで買っちゃいました。その足で釣具屋に行き、
どうせ買うならと、ネクサスの良いやつ買っちゃいました。
えへっ

みんな、あの磯で会おう!!


帰りの車の中で、海に落ちてたら、このポッケの携帯が
また駄目になるところやったなぁと思いながら、かみさんの
実家に向かうのでした。