1月1日  鍋パーティー


毎年恒例、大晦日から元旦にかけて行われる鍋パーティー、今年はうちで
開催されることになった。幸い嫁が実家に帰っているので、気にせず騒げる。


毎年、年末に帰省してくる友人達と大晦日に集まって飲むようになって早10余年。
毎年、とある友人宅で鍋囲んでたんだけど、昨年おじちゃんおばちゃんが引越しを
された関係で今年はうちで行うことに。

中学ん時からずーっと入り浸っていた家で、色んな思い出があったとこなんだけど、
もう二度とその家に入ることはできないのかと思うと、なんだか寂しい。

テストが終わったりとか、春、夏、冬の休みに入る前には、必ず10人位で集まって
酒飲んで、無くなったらまたフラフラ状態でチャリ漕いで酒買いに行って、タバコの
煙で真っ白になった部屋の中で、とにかくみんな一気飲み。

永田が酔っ払ってうちの階段から転げ落ちたりとか、挑発された私が酔った勢いで
真冬の川に飛び込んでそのまま向こう岸まで泳いで行ったりとか。

誰かが酔い潰れるまで飲んで、必ず誰かの逆流物がその辺に散乱してて、
誰が救急車で運ばれててもおかしくなかったなと、考えただけでも恐ろしくなるが、
今となっては良い思い出。

今は昔みたいに簡単には酒が買えないだろうし、みんなで集まって酒を飲む場所も
なかなか無いだろうから、今の若い子達はなかなかそういう思い出も作り辛いんだ
ろーなー。

過ぎ去りし過去を思い出しながら、みんなで鍋囲んで、酒飲んで笑って。
毎年変わらないこの鍋パーティーが、何事も無く今年もみんなで開催できる幸せ。
みんなそれぞれ年取って、みんなが何かを背負って色んな事情抱えて。
昔のようにいかなくて考えたり悩んだりして、それでもみんな一年頑張って、こうして
また集まることの出来る喜び。


気がついたら、いつの間にか2009年を迎えていました。
最後は千鳥足のみんなを迎えの車に押し込み、今年も無事に終了。

「ふうっ」とため息をつきながら皆を見送った後、ふと夜空を見上げてみた。
透き通るような冷たい空気の向こうで輝いてる星達が、やけに近くに感じられる。

遠い遠い昔に習った、冬の大三角形を探してみる。
シリウスにプロキオンに、ペテルギウスだっけ?
今も変わらず、夜空の大きなキャンパスに、美しい三角形を描いていた。

「君らは良いねぇ。昔からずっと変わらずに輝き続けられてて。」

無意識に独り言を呟いていた。

何となく、友人達が置き忘れていったタバコに火をつける。
ライターの炎が、やけに明るくて暖かい。 

「あー、何年ぶりだろう、この感覚」

煙を肺に吸い込み、吐き出してみた。

「なんか・・・、まずいや・・・」

口の中に懐かしく、そして何とも言えない苦い後味を残し、煙は闇に紛れていった。

「そういえば初めてタバコを吸った時も、まずいっていうのが第一印象だったっけ?」

あれから、何年もの月日が流れた。

けれどいくつ年を重ねても、思い出は夜空にきらめく星の如く輝き続け、いつまでも
色褪せることはない。

もう一度煙を大きく吸い込み、吐き出す。
冬の冷たく透き通る空気に溶け込んでいく煙の、なんと幻想的なことか。

「はぁっ」 っと、大きくついた溜め息の、吐息までもが今日は真っ白。

「そういえば元旦の今日は山口県、天気予報で雪が降るとか言ってたっけ。
 どーりで寒いわけだ。」 ブルブルと身震いして家へ向かう。

家に入る間際、もう一度振り返って星空を眺めてみる。
星達が、より大きくきらめいているように見えた。


2009年も、みんなが何事も無く平穏無事に過ごせますように。




来年は、キムチ鍋でお願いします!