3月1日  卒業



3月1日土曜日、仕事中に営業車でスクールゾーンを通りかかった時の事。
何やら花束を持った高校生や、ビシッと決めたご父兄の方々が晴れやかな顔で道を歩いておられる。

あぁ、そういや今日は、巷の高校では卒業式か・・・

あれから十数年・・・・  か。   早いもんだな・・・。


校舎の影 芝生の上 吸い込まれる空
幻とリアルな気持ち感じていた・・・

「青春時代、 楽しかったよなぁ・・・」と、目を細めながら懐古の情に浸っていると・・・


何やら右前方に、ウネウネと動くとってもカラフルな物体を発見。

「何だ?」 とか思って、細めた目を更に細めて正体を確認すると・・・

そこには、眩しい位に黄色いベレー帽をかぶり、ピンクと黄緑のシマシマ模様がとってもキュートな服を
身にまとった、推定年齢50歳強のおばちゃんが、車を走らせる私に向かって全力で手を振っている。 
それもめちゃめちゃ笑顔で・・・。

「な、何?何?」と状況を把握できない私であったが、とりあえずおばちゃんの元へ辿り着くまでのわずかな
時間の間に、全力でその顔を過去の記憶から探し出そうとするが、残念ながらこんな派手なおばちゃんと
接点を持った記憶が無い・・・。
一応知り合いだったらいけないので、 「ど、どうもどうも・・・」 みたいな感じで手を振り返す。

すれ違った時のおばちゃんの笑顔が、有り得ない位に満面だったのがとても印象的でした。

ミラー越しにおばちゃんを確認すると、すれ違った後もずっと私に手を振ってくれている。
一体何だったんだろう・・・

でもまぁ、考えてみればあれだけ離れていた距離から車の中の私を確認できるはずも無いと思うわけで、
想像するにあのおばちゃんは、道を走っている車を見かけると手を振らずにはいられない程の車好きなのでは
ないだろうか。そういうことにしておこう。



あっ、でも手を振ってて一つ思い出した・・・


通っていた高校の、長い茶髪が印象的な大人びた美人の先輩。
ある時廊下の向こうで、眩しいほどの笑顔でこちらに向かって手を振ってくれている。

「お、俺に?」 とか思ってドキッとかしながらも、さりげなく手を振り返してみたら、
実は私の後ろを歩いていた友達に向かって振っていたいう衝撃の事実が判明し、
一人時が止まってしまった私は、やり場の無くなってしまった右手をそっとポケットにしまい込み、
「フッ、俺って、とんだピエロだぜ・・・」と、呟いたことを思い出した。

たくさんの高校生が新たな旅立ちを迎えたこの良き日、おばちゃんのせいで嫌なことを思い出してしまった。


まぁいいや。焼酎飲んで寝るべ。