第14話  手紙について PART3




「10年後の俺は、深夜のミッドナイトハイウェイを、愛車のポルシェぶっとばして、
 君を迎えに行くぜ!」


ハイスクールスチューデントだった10数年ほど前に、私が書いたラブレターの
中の一文。


深夜と1度書いているのだから、わざわざミッドナイトと改めて書く必要はないと
思うのだが、あえてわざわざ重複させた上に、こんな文章を恥ずかしげもなく書いて、
気になるあの子に送れるあたり、青春時代の無鉄砲さを見て取れる。


若さ故の過ちか。


電子メールの普及により、自分で書いてポストに投函する手紙、もしくは放課後の
玄関で、思いを寄せている先輩の下駄箱にこっそり入れるラブレターの数は、
激減しているのではないか。


手紙で一言、「好きです。」と書くにはなかなか勇気がいるが、
メールで、

 「好きだよ〜(^o^)♪」

って書くにはあまり勇気は必要ないと思う。

どこかの誰かのように、通学途中の自販機で、わざわざ朝っぱらからワンカップ大関を
かっ喰らって気付けをしなくても、気軽にメールで告白できるのではないだろうか。


更にメールであれば例えフラれたとしても、
「あれは冗談だよ〜!」って、さりげなくごまかせると思う。

なんとお手軽な時代か。


いや、しかし、そんなお手軽に告白をされてしまったら、メールを受け取った女子の方も、
このメールの 「好き」 の部分が、一体どの辺りまでの好きなんだろうと考えなくては
ならないかも。


とりあえず無難に様子を探る意味で、

「私もだよ〜(*^▽^*)」  と返信してみる。


そうすると今度はそれを受け取った男の方でまた色々と考えて・・・
的な心理戦が繰り広げられたりするのかも。

そう考えたら今の若い子も大変か。



で、まぁ、話を戻して、あれから十年後、28歳の時の私であるが、


早朝のファームロード(田んぼの横の舗装されていないあぜ道)を、
愛車の軽トラ(スバルサンバー4WD)をぶっ飛ばして、野池にブラックバス釣りに
出かけたら、薄暗くてよく見えなかった大きな水溜りにハンドルを取られ、
ジャンプ一番田んぼにダイビング!
(イメージ的には、西部警察のオープニングで、爆発と共にパトカーがジャンプして来る
あの感じ)


そんな風になってしまった。


おまけに田植え前でぬかるんだ田んぼに頭から突っ込んでしまった軽トラは、
無常にも斜め45度の角度で田んぼに突き刺さっている。


命からがら窓から脱出した私であるが、そのあり得ないほど美しい角度で田んぼに
突き刺さってる軽トラを見て、思わず吹き出してしまったことを鮮明に覚えている。


「ププッ、漫画みたいなことになってるじゃん。
ダチョウ倶楽部でもこんな綺麗な角度は出せねぇな・・・」  てな感じで。

 
が、しかし、すぐに我に返り、笑ってる場合じゃねぇと慌ててJAFに電話して
軽トラを引き上げてもらい、田んぼの所有者の方に菓子折り持って誤りに行くのであった。


10年前の未来予想図では、自分がまさかポルシェとは大きくかけ離れた軽トラに乗って、
頭から田んぼに突き刺さってるなんて、夢にも思わなかったな。


まぁ、とりあえず現実なんてこんなもんだ。



                                              2007.02.25