第12話 手紙について PART1


ふと思うことなのだが、最近、携帯メールの普及により、自分で書いてポストに
投函する手紙、もしくは放課後の玄関で、思いを寄せている先輩の下駄箱に
こっそり入れるラブレターの数は、激減しているのではないか。

我がクラブ生一同が過ごした青春時代は、まだまだ携帯電話なんか無かった時代。
いや、正確に言うと肩に担ぐタイプの巨大な無線機のような携帯電話はは既に
存在していたのだが、まだまだそれを担いで町を歩いている一般庶民を見かける
ことはなかった。

当時携帯メールがあれば、我々のスクールライフは大きく変わっていたに違いない。
可愛いあの子の横にいる、ガードマン的な存在の子のメアドから先に教えてもらい、
「あの子は彼氏いるの?」 みたいな感じで、徐々に砦を崩していく。
今ってきっと、こんな感じなんだろうな。


でも逆に、全てがメールで事足りる昨今、今時のヤングメン達は、登校して下駄箱を
開ける時のドキドキ感を感じることがないのではないか。

朝、登校して下駄箱を開けると、何やら可愛らしいピンク色の便箋が一通。

誰にも見られないように周囲をキョロキョロしながら中を空けて見ると、大好きだった
あの子からのラブレター。
そんな考えただけでも胸踊る瞬間を、今の中高生は体験することができないん
じゃない?

まぁ、かく言う私は、毎日ドキドキしながらの登校はしていたのだが、
結局下駄箱に便箋が入っていることは一度も無かったんだけど。

いや、正確に言うと一度だけあった。
下駄箱にあったピンクの便箋を、ホクホクしながらトイレの個室で空けてみると、


「俺はヤクザじゃが、放課後に体育館の裏に顔出せや!」

みたいな、お呼び出しの内容。

今冷静に考えてみると、ヤクザが意味も無く、孤独でおバカな一高校生に
ピンクの便箋など送りつけてくるはずは無いのであるが、当時の純粋だった私は、
授業が終わるなり速攻でチャリをブッ飛ばし、逃げるように家に帰ったのを
覚えている。  
       (後に会長の仕業であることが判明。)


更にはその報復のため、今度は会長の下駄箱に、可愛い女の子風の丸文字で

 「放課後、体育館の裏で待ってます!」 

と書いた手紙を投函し、それを真に受けて、のこのことやってきた会長をみんなで
指差し笑い転げるといった甘酸っぱい体験も、今時の若い子はやらない
んじゃないだろうか。


まぁ、携帯メールを特集してるテレビを見てふと思い出した、たわいもない話である。



                                            2006.12.18