硯に関しての一考察

硯に関する私見   2002/02/05

文房四宝のうちで硯というものは昔から収集をすると言うことが行われてきました。その硯も中国【China〈支那〉】の清朝の頃になると美術品になってしまっています。
硯としては端渓硯がつとに有名です。普通有名、人気というものはある程度流通していなければ人気というものは生じませんので割合多く流通していたと言うことでしょう。しかし、端渓硯も1500年ぐらい掘り続けられたためとうとう石が尽きてしまいました。それは他の四大名硯も同じようなものです。紅絲硯も四大名硯から滑り落ちて澄泥硯に譲っています。これは産出量が少なくなったと言うことが原因と思われます。
このように、清代後半には硯石の採掘はほぼ終わってしまいます。原因は石が尽きたと言うことと当時に国が混乱したと言うこともあるでしょう。しかし、1960年代と言いますが実際は、文化大革命終了前後から活発に採掘を開始します。いずれも端渓は古端渓と同様なものがそのまま産出している様なことを言っています。しかし、鉱脈は違っています。唐代からの採掘は今で言う民間で只農民が掘っていたと言うものとは違います。坑口には役人が立って厳しく管理をしていたはずです。日本で言えば「佐渡金山」の様なものです。徹底的に掘られました。歙洲硯は国王の命令によって1354年歙硯石を開抗採掘しました。そのため石が尽きてしまいました。
硯などの需要は所謂漢字圏です。日本、中国、台湾、精々入れても韓国程度。最大の需要国は日本です。しかし、日本人と中国人とはものの考え方が…国民性の違いとして基本的に違います。
物を売る、この時
日本人は、「良い物をより安く」売ります。……………誰でも売れます。
西欧人は、「良い物は高く」売ります。…………………当然の売り方。
米国人は「その時々で売り方を変えて」売ります。……相手次第。
そして
中国人は「安い物を高く」売ります。…………やはり根っからの商売人です。
例え原価1万円のものを10万円で買ったとしても、高く買ったのはその人にとって「高い価値」があると思ったから買ったのであってと言うことです。
従って、高い価格が付いているからと言っても「高い価値」があるかは買う本人が決めると言うことです。
前述の通り「改革・開放」経済のために国策として硯石を輸出品として採掘しています。
硯は現在の中国人から見たら実用というより「美術工芸品」です。従って、美術工芸品にならない実用品は安く売られることになります。又、近年書道関係の品は不良品が多くなりました。見た目は区別つきませんが墨、筆、紙皆ここ10-15年程度で粗悪品になっています。当然拓本も偽物【木版】になってきています。硯も偽物・粗悪品はたくさんあります。ほとんど本物に近ければ「本物」とするような感覚なのでしょうか。この辺は偽物文化の中国人と日本人とは大分感覚が違います。





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