| ⅷ）木村家在住時代【69歳〈1826〉～74歳〈1831〉・最晩年足掛け6年】 |
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69歳老衰に悩まされ体も弱り、和島村島崎の豪農・能登屋木村元右衛門家の別邸に移り住む。ここに来てから良寛の唯一の弟子と言われる美貌の尼「貞心尼」出会う事になる。
貞心尼は、「和歌を作り自分を慰める中で『良寛の書』に出会い、秋嶋崎村の木村家に良寛を訪ねた。」といわれる。時に、貞心尼29歳。良寛69歳。
しかし、当時としては良寛は全く無名の人物である。多少文芸の方で知られていても、元・名主山本家の長男という立場は一生つきまとったはずである。山本家が健在の時は多少なりとも援助はあったはずであるが、このころは全く困窮していたと思われる。
良寛の人生の中での「紅一点」と言えば、この美貌の貞心尼である。
貞心尼とはどんな人物なのであろうか。実際良寛にとってこの貞心尼かいなければ現在の良寛像はないと思われるからである。
貞心尼は、寛政10年(1798年)長岡藩士奥村五兵衛の娘として生まれ〈奥村ます〉、文化11年(1814年)17歳で北魚沼郡小出の医者関長温に嫁ぐが5年で夫に死別。【離縁という説もあり】乳母〈幼い頃母と死別し、乳母に育てられた〉の住んでいた柏崎に移り、22歳のとき閻王寺にて出家。文政10年（1827年）の春、長岡の北5km位のところにある閻魔堂に移り一人で修行後、何らかの関係で良寛に逢うことになる。
良寛に出会うきっかけとして、一般には「良寛の書」に出会いとか、「良寛のうわさを親しく耳にして」とか言われている。しかし、実際は、能登屋木村元右衛門家に用があったのかもしれない。
この貞心尼は、藩士の出の才女【文学少女であったという】であるばかりでなく、長岡きっての美貌の持ち主であったとも言われる。
この貞心尼とは「感応道交」と言われているが、歌の相聞歌などを通して良寛と貞心尼の仲深まり、70歳を過ぎた良寛は、貞心尼の来るのを待ち続ける様な状態になつた。
又、文政11年(1828)の初夏には、福島（長岡市）の閻魔堂に貞心尼を訪ね、その秋には、今度は貞心尼が島崎（和島村）を訪れたといわれている。
尚、出雲崎は天領であったというものの、位置的には越後・高田藩〈越後騒動後の〉のはずれにあり、長岡藩とは隣接に近い。
天保2〈1831〉年1月6日、良寛示寂。良寛74歳。【直腸ガンという】
木村元右衛門44歳？会葬者285人野辺の送り1000余人。
天保4年3月、和島村島崎の隆泉寺に良寛禅師の墓が建つ。
貞心尼は、良寛没後44歳のとき柏崎・洞雲寺住職・泰禅から、得度を受け柏崎の釈迦堂の庵主となった。その釈迦堂に54歳まで、その後火災に遭ったため不求庵へ。
作品として、5年間に良寛と貞心尼が唱和した歌を書き添えた142首を収めた「はちすの露」、その他「辞世の歌」「焼野の一草」「山田静里翁を弔う歌」「柏崎閻魔堂の記」「たむけ草」「関屋大之ぬしの母を弔う歌」「月前時鳥」等がある。
貞心尼は、明 治 5年（1872年）春、柏崎の不求庵（西本町）で75歳で没。 |
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