第五話「 竜虎激闘 」

 

 

 

 

 

 

 

 

森羅万象。あらゆる存在は皆、陰陽五行に縛られている。陰陽五行の技を操る者は陰陽師と呼ばれたが、それとは異なる技術を会得した存在が別にあった。式神と契約を結び戦いに赴く者達。

名を闘神士という―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼かと間違えるほどの光に照らされるオフィスビル群を、海を挟んだ対岸の岸壁からソーマはビットに座って見ていた。兄との会話を反芻する。「 オヤジは仕事でヘマをした。その失敗を命で償っただけだ 」思い返しては「 前はあんなじゃなかったのに 」と、ミカヅチのせいで兄が変わってしまったとソーマは涙ぐむのだった。

 

 

 

対照的にリクは呑気に近所のスーパーで買い物をしていた。レトルトカレーを手にしたリクの背に声がかけられた。リクの食生活、いや、野菜不足を心配しすぎて熱く語るリュージだった。リュージの野菜への熱い思いに流石のリクもたじろいでしまう。
リュージに無理やり押し付けられた野菜を両手に提げてアパートに帰宅したリクの視界に先日、出会った妙な兄ちゃん・マサオミが差し入れの牛丼を持って待っていたのだった。
・・・リク、何気に人に貢がせるタイプなのね・・・?
一日50食限定のスペシャル牛丼を食べ上機嫌のマサオミにリクがいきなり話を振る。
「 式神って何なんですか? 」
コゲンタを呼び出してからずっとその存在の意味を考えていたというリク。
・・・ボーっとしているように見えますがちゃんと考えている主人公ですv
「 本当に何も覚えていないのかい? 」
マサオミの呟きはリクには届かない。
・・・あ~や~し~い~
「 そもそも陰陽師というのは今から千年以上も昔、陰陽五行説に基づいて加持・祈祷や占いを司っていた人々の事で、その陰陽師が悪霊や妖怪達を払う為に使っていた精霊とか鬼の事を式神っていうんだ 」
とリクに、わかりやすいように闘神士や式神の説明をするマサオミにリクは更に己の内から出てくる疑問を口にする。
「 じゃあどうして、その式神を天流と地流が戦わせているんですか 」
・・・なるほど。尤な意見だ。戦う理由に疑問を持てる感覚は素晴らしいv
マサオミの説明によると。
“ 妖怪が棲むと言われている異空間への入り口・伏魔殿への鬼門が開かれる事のないように呪術を用いて守り続けたのが天流。伏魔殿より洩れ出でた妖怪を討伐してきたのが地流の闘神士なのだが、最近になって伏魔殿の中に存在していると言われる世界を滅ぼして余りある程の力を狙って地流が鬼門を開こうとしている。だから天流は地流の野望を阻止する為に戦っているんだ ”らしい。
マサオミはそこで考え込もうとするリクに印を探すのに役立つだろうからと闘神文字の解読法を書いた紙を渡す。リクは素直にお礼を言うのだが。
・・・出来すぎではないでしょうか?
戦いに負けると闘神士としての記憶を失う。その為には勝てるように修行した方がいいとマサオミはリクに説く。そして別れ際に、
「 忘れられるという事は時に死よりも辛い事がある 」
と、呟くのだった。
・・・なんて悲しくて深い言葉。今までのマサオミの言葉の中で一番信じれる言葉だ。
マサオミを見送るリクに大人しく沈黙を守ってきたコゲンタが現れて感想を漏らす。
「 どーも、いけすかねー奴だな 」
そんなコゲンタにリクは確信を持って言う。
「 マサオミさんは良い人だよ? 」
・・・待ってました(大喝采)決め台詞vvvこのセリフを書きたいが為に更新したんだよ!!

 

 

 

 ヤマセとウジヤマが消えた原因に天流宗家が関わっているかもしれないと天神駅にユーマが姿を現すが、そんな事は露ほども察知していないリクは吞気に外の掃き掃除をしていた。ついでに屋根の修理を頼む為、コゲンタを呼び出し怒鳴られ呆れられるのだった。
「 ったく。戦いでもねーのに呼び出されたのは久しぶりだよ 」
・・・ごめんなさい。大変このセリフに様々な脳内処理が!!
呆れながらも修行しろと言うコゲンタに掃除も修行の内!とマイペースなリク。
「 あ~そうかい、そうかい。慣れてやるよ、そんなお前に 」
・・・このセリフに心が揺さぶられましたv慣れて頂きましょう!コゲンタさん(笑)っていうか、ここまで怒る気力を自然に削いでしまうリク、君は大物だよ!

 

 

 

 

 

「 ここが天流の鬼門か。なるほど地理的条件は揃っているわけか 」
と、アパートの掃除が終わって社に到着したリクの背中にいきなりユーマが声をかけた。
 前回の顔合わせの際にリクを助けた相手は誰か、宗家は誰だと詰め寄るが何も知らないリクはオタオタするばかりで動けない。そんなリクに痺れを切らせて神繰機を抜こうとする。
・・・ユーマ、せめて人の話聞いてからにしろよ!
戦いになるかと思われた瞬間、木陰に隠れていたソーマが成り行きからリクを庇う形で間に入る。ユーマとソーマ兄弟の溝は埋まらず、とばっちりを受けそうになったリクに矛先が向かうかに思われた途端マサオミが姿を現した。
「 君が話をしたいのは、この僕なんじゃないかい 」
・・・見てたなストーカー。タイミングを計っていたな?
マサオミの誘いに乗る形になったユーマは去り際にソーマへ地流からの破門を言い渡した。成すすべもなく兄弟の諍いを見守っていたリクは泣き崩れるソーマに慰めの気持ちから声をかける。
「 あの~行く所なかったら、うちに来るといいよ。えっと空き部屋もあるし家賃の事だったら気にしなくていいよ。出世払いとか・・・ 」
・・・いや、多分意味違うから!
そんな二人の耳にミカヅチからユーマを見張るように指示されていた闘神士ウスダが声を浴びせ、いきなり繁茂のマスラオを降神したのだった。
その相手にリクは、
「 どうして君達と戦わなくちゃいけないんだ!鬼門を開いたら妖怪が出てきちゃうんでしょ?僕らが戦って式神がいなくなって、妖怪が出てきたら誰がやっつけるの!その時の為に協力していかないと! 」
・・・戦う事に流されるのではなく、自分の中で意味を持たそうとするそんな感じ方・考え方が大好きだ!
リクの必至の叫びも相手に聞く気がなければ届かない。仕方なくコゲンタを降神したリクは、コゲンタに噛みつくように怒鳴れる。
「 今度こそ戦いなんだろうな 」
・・・コゲンタさんお怒りです。でも出来れば目の前の的に集中してください。
マスラオが繰り出す「大回転針地獄」の技にリクは思わず「 逃げなきゃ! 」と言ってしまう。「 逃げるな!!攻撃だ~!! 」と体を張った教育指導に徹するコゲンタ。
・・・やたら滅多ら吼えるのもどうかと思うけど、やたら逃げようとするのもどうよ?足して弐で割れ!
孤月拳舞で応酬するが相打ちになり闘争心に火をつけたマスラオの「 一石二鳥巻 」の技にコゲンタは捕らわれ、ぐるぐる巻きの芋虫状態に陥り身動き出来なくなってしまう。そんな状況に慌てふためきオロオロしてしまうリクにどこまでも強気のコゲンタはリクを叱り飛ばし印を切らせ何とか窮地を脱出する。喜ぶリク。一息つく間も与えず攻撃に移ろうとするコゲンタ、果敢に立ち向かうマサラオ。しかし本気を出したコゲンタの力の前にマサラオは敗れたのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、場所を移動したマサオミとユーマ。
ランゲツの攻撃をスマートにかわし続けるキバチヨを逃げるだけと小馬鹿にするユーマにマサオミは軽く本気を出して「 福福招来加神 」をお見舞いする。その攻撃に負け知らずのユーマが驚愕する。動揺しながらもユーマは「 爆砕牙点穴 」で切り返す。ランゲツの目にも留まらぬ攻撃!・・・しかし繰り出された攻撃は一撃もキバチヨの体を傷つけてはいなかった。笑みさえ浮かべるマサオミに熱くなるユーマは力でねじ伏せようと大技「 烈紙大逆剣 」の印を切った。
「 地獄へ落ちるがいい!! 」
・・・そのセリフ回し、時代的にありえないから!
天空が割れ現れる剣。剣は真っ直ぐにキバチヨを目指して!!
・・・逃げて~!!キバチョ!!ランゲツ~強いのは分かったから、環境破壊と弱いもの虐めは止めましょう~
静まり返る空間。立っているのはユーマとランゲツの二人だけ。勝利を確信するユーマ。自分達が負けるはずはなかったのだ、と安心しかけたユーマに余裕気な声がかかる。
「 流石は最強と謳われる式神、白虎のランゲツ。どの技でも一撃でキバチヨの体を粉々にする程の破壊力を持っている。しかし。当たればの話ね 」
見下した笑みでユーマを見るマサオミ。驚愕で体を震わすユーマ。
・・・ああ!なんて意地の悪い話し方・表情!!好みだ~!!(大主張)マサオミお前が何者でもいい!!(ドキュ~ン)
屈辱から震える手で再び神操機を掲げるユーマに「 今のお前では勝てぬ 」と戦線から降りる事を勧めるランゲツ。言葉を無くすユーマはマサオミとキバチヨを黙って見逃す事しか出来なかった。
しかし場を移動したキバチヨは力尽きたように膝をついて蹲る。ユーマ達の前では軽口を利いてたようだが実はいっぱいいっぱいに虚勢を張っていたらしい。
・・・ああ!こーゆー瘦せ我慢も好みですv

 

 

 

 

 

リクが、成り行きで一緒に暮らすことになったソーマを連れて帰宅するとアパートの前に見慣れた人影があった。リクの食生活、主に野菜不足を心配してやって来たリュージであった。・・・夜這いですか?ソーマがいるから未遂に終わりそうですv
野菜を食え!!とイライラというリュージに曖昧な笑顔で受け流すリク。そんなリュージに反発するソーマ。
・・・怒りっぽいなぁ二人とも。野菜を食べる前に牛乳飲めよ。