「降神!白虎のコゲンタ」
時代がかった儀式が執り行なわれている。一つの意志を持って回廊を渡る人達。炎の前で鬼の面をつけて舞う人。その舞を煽るかのように鳴る笙の音。空間に一本のピンと張り詰めた糸が見える。始まろうとしている何か。燃え盛る炎。炎の中にうっすらと見える二つの影。紙垂を厳かに振るい儀式を粛々と執り行う人。そのの祝詞を御簾の向こう側で受ける三人の人物。一人は男、一人は女、そして――。小さな男の子。親子なのか。
粛々と執り行なわれていた儀式がいきなり中断された。神聖な場に叫びながら乱入してくる男。「 地流が!! 」その言葉を残して倒れる。空気が乱れる。繊細な線の上にあった精神が乱される。その場にいた人々の目の前に現われる巨大な怪物の影。いったい何が起こったというのか?驚愕の波動。怪物の咆哮から体全身で子を庇う母親。御簾の中の三人を守るように怪物と戦う人々。怪物の圧倒的な存在感。命の大きさが違い過ぎる。一声で大地を震わす怪物に戦慄く人々。一矢も報われはしない。現実を理解出来ているのだろうか?御簾の中の子供は大きな瞳でただ怪物を恐れも無く不思議そうに見つめているだけで。そんな現状に危険を感じた母親が子供を急かして奥の部屋へと連れて行く。今まで神聖な空気を保っていた場所には恐怖で逃げ惑う人々や倒れて動かない人々。男はその状況に己の内の何かに苦悩しながらも一つの結論に思い至ったのか?さきほどまで握り締めていた丸い物体を捨て去り、更に厳しい顔つきで祭壇前にある、勢いを止めない炎の中に手を入れた。熱による苦痛か、先ほどの葛藤の故か、顔を歪めながら手にはしっかり黒い物体が握り締められていた。
先ほど奥へと姿を消した女と子供は、床に複雑な文字や図形が描かれた部屋に居た。子供は丸い図形が描かれた床の中心で座らされ、女はその子供に向かって一心に手を動かしながら呪文のようなものを唱えている。訳も分からずに黙って母親を見つめる年端もいかない子供。その最中に先ほどの男が部屋に飛び込んで女の行動を止めようとする。男と女の対立に戸惑う子供は言い争う二人に瞳を見開き涙を堪えている。女は子供を守ろうとし、男は子供に叫ぶ。
「 私では駄目なのだ。しかし宗家の血を引くお前なら・・・」
男に炎の中から取り出された黒い物体を握らされ、更に戸惑う子供・ヨウメイ。だが。女は男の隙を見て子供に先ほど行っていた儀式を続け―――その瞬間。
子供は呪が飛び交う青白い光に包まれた。
青い光は子供だけでなく屋敷を着き抜け。その勢いは更に増し天をも貫いた。
そして物語は幕を開ける。
桜が青空に舞ってるよ。良い天気だ。
「 数学 T 」の教科書。中一なんだ。上から見る限りじゃ男の子。靴を履いて。「 行って来ま〜す 」の声に表で掃除をしていたおじいさん「 リク!」と怒ったような、諭すような声をかける。苦笑交じりで少年が振りかえて。
・・・登場早々、苦笑かよ!(突っ込み)じ、自信なさそ〜(汗)大丈夫?(苦笑)
「 太刀花リクです。天神小学校から来ました。趣味は・・・特にありません。よろしくお願いします。」
・・・趣味ないのか?!(突っ込み)と、特徴ね〜よ、リク!!
下校中、学校のグラウンドで行われているサッカーを見ながら部活に入ろうかどうしようか悩むリク。な〜んだ、ちゃんと好きな事あるじゃんv・・・いくら家の手伝いがあっても入りたかったら入ればいいのに変な子。
おじいちゃんに教えられた“おまじない“「震・坎・兌・離」をことあるごとに呟くリク。それを見かけた山瀬という少年に声を掛かけられる。自分が普段しているおまじないの意味も知らない、知ろうとしない、いつも一歩引いて自分を出そうとしない、意志の見えない子って掴みどころがないよ。こっちが一生懸命見ようとしても、ぼかし効果で輪郭をはっきり掴ませてくれない感じ。はっきりしないからある意味どこにいても違和感はなくて、でもそれこそが凄い違和感なんだけど。うん、こいつ、違和感だ。
そんなリクが、多分珍しく夕飯時に自分がいつも言われてしているおまじないの意味を聞く。それが自分の中から出たもんじゃなくて山瀬君に言われたからっていうのが情けないんだけどさ。おじいちゃん一言!「 しきたりじゃ 」すみませんおじいちゃん!回答になってません!人の質問にはきちんと答えましょう〜
しっかしこの家、貧乏!!ビバ貧乏v
〜 本日の夕飯のメニュー 〜
御飯・味噌汁・焼き鮭・沢庵の姿作り(大笑)
以上v ・・・マジですか?(汗) そこに餌を、基、筍の煮物を幼馴染のモモちゃんが差し入れに来る。・・・おじいちゃん(汗)物を貰うと表情から声の調子まで変わるんですね・・・私もお近づきの際には賄賂たっぷりでいけばいいと学ばさせて頂きました(苦笑)
ところで。今年は十年に一度あるという大例祭の年。大柱を建てて火で清め、その柱が倒れた方向でその年の五穀豊穣を占うという。
そのお祭りにリクと山瀬君が来ている。この町自体が不思議だと、好奇心とも詮索ともつかない異様な関心を表して、リクに珍しい神社等に連れて行ってくれとせがむ山瀬君。人が良いのか、馬鹿なのか、友達が欲しいのか、素直に昔おじいちゃんが宮司をしていたという神社に山瀬君を連れて行くリク。
ところが。その小さな神社の鳥居を山瀬君が潜ろうとした瞬間。山瀬君は“天”と浮き出た青い光に阻まれて飛ばされる。慌てるリクとその場に居合わせ緊張するソウタロウさん。我に返った山瀬君はまるで人格が変わったように不敵に笑い出す。「見つけた!天流の結界!」その態度にソウタロウさんは、わけも分からず混乱しているリクに社で隠れていろと頭ごなしに言う。何が起こったの?!二人で何の事を言ってるの?天流・地流?何?社の中で聞こえる二人の会話に戸惑うリク。わからない!そんなリクに追い討ちをかけるように山瀬君が式神という変な生き物を呼び出した。初めて見る存在。驚きで見開かれるリクの瞳。苦悩に歪むソウタロウさん。いったい何?どうしておじいちゃんは驚かないの!?
化け物と戦うソウタロウ。妙に強い(苦笑)っていうか何なんですか?あの忍法トンボ返りの術は!!忍者?それともオリンピックの選手?・・・ああ、良かったvちゃんと息は切れてるようだから平気ではないんだ。っていうか、山瀬君、リク!!あの年のじいさんが飛んで跳ねた事に突っ込みはないのか?!
息を切らしながら状況の不利さを悟ったのか、リクを逃がそうとするソウタロウさん。
「 神操機を持って逃げろ!! 」
言われたように神操機を持とうとしたリクの脳裏にいきなり現われた映像。溢れ出る青い光、乱れ飛ぶ文字。今の光景、今起こっている現実。うろたえて進めないリク。動揺するリク。山瀬君の式神の力で吹き飛ばされた社。自分の手の中にある黒い物体。倒れている祖父。呻きながらも叫ぶソウタロウ。
「 ドライブを振れ〜!!」
穏やかだった日常が壊れていく現実。今、リクの目の前で起こっている異常な光景に呼応するように始まる春の大例祭。
ソウタロウが倒れた瞬間に歯車が壊さたのか?それが鍵だったのか?呼応してありえない方向に倒れる御柱。近年は縁起担ぎの為、鬼門に倒れないように仕掛けがしてあるというのに。見物人の間に広がる不安。
走り出す運命。
解かれる封印。迸る光。リクの目の前に広がる障子の海。本当に何が起きてるというのか。現われる影。不遜な態度。契約って何?分からない・・・ただ。「おじいちゃんを助けて!!」「俺様は人助けなしね〜」だっだた聞くなよ!!
「白虎コゲンタ、契約する!!」
この子、こんな本気の顔もするんだ!!その方がいいよv
その瞬間、視界は少し前の現実だった。ただ違うのは、先ほど障子の向こうで尊大な態度で会話をした相手が居た。人間ではない。何で自分までが?!
分からないのに、叱られて、怖がって、命令されて、ドライブを振ったら。技が出る。分からないけど言われたままにドライブを振る。
「 何なんだ?この強さは!!」
溢れる力。迸る光。光。光。
自分の手の中にある「ドライブ」を慄いて見るつめるリク。静かな空気。分からないけどツクモという変なのはいなくなっていて、おじいちゃんは守れたようで・・・
そして。堂々と立つコゲンタと名乗った目の前の姿。人ではない。でも、助けてくれたんだよね? 「あの」何て言えばいいんだろう。怖いし。分からないし。でも。何か言われると思ったのか生来の不遜さか偉そうに言い返すコゲンタ「何だよ」怖いけど、分からないけど勇気を出して。
「ありがとう」下を向いて照れるリク。まさかお礼を言われるなんて思ってもなかったコゲンタは拍子抜けして照れ隠しに「おう」とだけ言った。
ありがとうくらい自信もってしっかりと言えよリク!!
続く