「 地流強襲 」
森羅万象。あらゆる存在は皆、陰陽五行に縛られている。陰陽五行の技を操る者は陰陽師と呼ばれたが、それとは異なる技術を会得した存在が別にあった。式神と契約を結び戦いに赴く者達。
名を闘神士という―――
闇夜の草地。息を弾ませて走る青年。その前に立ちはだかる赤い髪の少年が不敵に笑う。追われた青年が必死に手に掴んだ物は。
闘神機―――「芽吹のバンナイ降神!」
それに対抗するように赤い髪の少年も闘神機を手にしようとする。
・・・ドライブを掴もうとした手がワキワキしてます。しかも何故、お尻を突き出すのでしょうか・・・?
大地を割って現れたのは、白虎のランゲツ!・・・環境破壊か?!
圧倒的な存在感。その姿に萎縮するバンナイ。「どうしたバンナイや〜れ〜」
・・・お前、他人事だと思って。
バンナイは頑張ろうとしたが戦いは戦いにもならなかった。一瞬だよ、一瞬。ランゲツを怒らすのは止めた方が長生き出来ると痛感した瞬間。
戦いに勝っても何の感慨もなさそうな赤い髪の少年は草の上に落ちていた青年の白い闘神機を手に持った。違うな、と一言呟いてランゲツに闘神機を破壊させた。「あぁ〜あ、勿体ね〜な。」そう言って男が現れた。
君の発言に強く同感です!!
言葉使いは少年に対して丁寧だが、どこか小馬鹿にしたような含みを感じる。ウジヤマと少年に呼ばれた男は、ヤマセが天流宗家の手がかりを掴んだという情報を残して連絡が取れなくなったと伝えてきた。
・・・そりゃそーだ、リクが倒したんだもん。
宗家の情報を“ミカヅチ様”に報告せずに自分のみにしろと偉そうに命じる少年―――ユーマ。地流と呼ばれる流派にも色々あるようだ。
確実に動き出した運命を思いっきり無視して、しっかりと自分のペースを守るリクが入院した祖父・ソウタロウの容態を心配している。半透明でリクの側に浮いているコゲンタが気力が消耗しただけだと説明するが聞いているのかいないのか。のほほんと明後日の質問をしてみたり・・・天然ですな。
「さっき俺様の名前を呼んで契約しただろう!」
「け、契約って。何の。」
「式神と闘神士の契約だ!!」
「俺様はお前の為に戦う!お前は俺様の為に修行して技の印を探す!!」
「しゅぎょう?いん?」
何の知識もないリクと、人間の常識なんて自分の要求の前には関係ないと言動で示すコゲンタ。
全く噛合っていません。この二人なかなかのボケとツッコミ・・・
祖父・ソウタロウは入院して。式神と呼ばれる存在と訳も分からず契約をして。それでも学校には行って。淡々と日常生活を送るリク。マイペースなんだか、許容量を越えて感覚が固まっているのか判らない子だよ。そんなリクが入院しているソウタロウの元へと着替えを届けに向う途中、喧嘩帰りのリュージと鉢合わせた。
「突然、色んな事が起こってびっくりしてるけど。大丈夫だよ。」
そう言ったリクが酷く寂しそうだった。悪ぶって見せるリュージも何かを感じたのかリクに対する言動が急に優しくなった。
・・・大丈夫なわけないじゃん。二人っきりの家族の片一方が入院して、自分は中学生になったばかりで、頼る相手がいなくて、式神という妙な存在が側でワ〜ワ〜言っているのに。何でそんなに波が立たないのよ。冷静なのとは違うだろうに。リクはどこかがザワザワする。
二人の裏手で宗家の情報を得ようとコソコソと嗅ぎ回るウジヤマと式神ムミョウ。ムミョウがリクの気を探るが駄目出しされる。
「臭いが天流宗家の発する気とは思えん。」
・・・リクって臭いの?
翌日。相変わらず真面目に学校に通うリク。下校の際にリクの後を追うモモとリナに着いて来て結果的にリクを追う形になったウジヤマは、ソウタロウが宮司をいしていた社に着いた途端、人目を気にする必要がなくなったと言って前触れらしい前触れもなくいきなり闘神機を抜く。気力を読む事を得意とするムミョウだがリクの覇気のなさと、契約している式神の力のアンバランスさに慄く。高位の式神と契約しているのは感じられるのに闘神士から覇気というものを一切感じないらしい。一種の詐欺だよなぁ・・・
闘神機を手にしながら現状を見てもまだ戦わないと駄目かなぁと呑気に呟くリクなのだが・・・
「式神降神!!」
闘神機を掲げ神経を研ぎ澄ました瞬間、目つきが顔つきが覇気が一遍する。殻を破って本来の自分を出すような、飲み込まれそうな強い気を纏うリク。これが本来のリク?
※因みに。学ランでの降神シーンはこの回のみとなっておりますのでごゆっくりお楽しみください。
「目に見えるものが全てとは限りませんよ。」
ムミョウの意味深な言葉通り苦戦するコゲンタ。コンビネーションの合わない二人。自分から印を切ろうとしないリク。前に出たがるコゲンタ。全ての攻撃はムミョウにかわされ戸惑うコゲンタ。機械のように同じ印しか切らないリク。どうもこの印しか知らないような気が・・・
違う印を切れ!とコゲンタに怒鳴られ困惑してしまうリクは適当な印(名付けてキンコンカン)を入れて余計に怒らせてしまう。なんてお茶目・・・
だが情勢は後がない程に追い込まれムミョウの放った「借火鳴響音波」に身動き出来ないコゲンタ。
そんな状況を目の前にしたリクは。
戦いに感情移入してないから変に冷静で、外から状況を見ていたせいか、ボーっとしていそうだけど妙に周りを的確に捉える事が出来る目を持っているのか、多分両方だろうが、今までは幻に惑わされていたから攻撃をかわされていた事に気付く。
「コゲンタ!敵はこっちだ。」
契約以来これまでリクはコゲンタの名前を呼んでなかったんだよ。名前を呼ばないから余計に他所他所しくて。だけど呼んだ。はっきりと。そして、
「リク!印だ!!」
コゲンタが初めてリクの名前を呼んだ。
「いけー!コゲンター!!」
リクの中に初めて湧き出た明確な意思。意志が形になった名前。
「孤月拳舞!!」
重なる二つの意志。沸き起こる力。呼応するような力の爆発。消え去るムミョウ。
リク、カッコイイ。何なのよ、あの瞳!意志の強さ。その姿に頬を染めるモモ。ただの幼馴染の違う一面を見てときめいたんだ。
・・・よ〜く、わかる。知らない誰かに出会った感じなんだろうなぁ。
ようやく落ち着きを取り戻した世界に・・・雲がかかる。三人を近くの木の一番上で見下ろす青い式神。
「マサオミ君、見つけましたよ。天流宗家を。」
何かが確かに動き出した。