第三話「 白虎激突 」
森羅万象。あらゆる存在は皆、陰陽五行に縛られている。陰陽五行の技を操る者は陰陽師と呼ばれたが、それとは異なる技術を会得した存在が別にあった。式神と契約を結び戦いに赴く者達。
名を闘神士という―――
ネオン輝く高層ビル群。それらビルの中でも際立った高さのビルの最上階で翁の面をした人物が舞を舞っていた。面を外し窓の外を眺める男・ミカヅチの背中越しに“ヤマセとウジヤマの消息が途絶えた”“天流宗家が動き出した可能性がある”と報告するユーマ。先日ウジヤマに見せた不遜な態度は全く見受けられない。天流宗家―――地流と呼ばれる流派、そして青い式神が探す存在。
ビルから出て来たユーマに「兄さん!!」と声を荒げて走り寄る子供。ソーマと呼ばれた子供は言う。自分達兄弟の父の命を奪い、母まで犠牲にしてしまったミカヅチに従うなんておかしい、と。兄は言う。自分達の父親は仕事の失敗を命で償っただけ、仕事とはそんな甘いものじゃない。自分達に母など初めからいない。地流宗家・ミカヅチがいなければ今頃自分達兄弟は野垂れ死んでいた、感謝こそすれ何故憎まなければいけない?!
・・・すれ違う兄弟。
「なに〜ぃ?!印を一つしか知らね〜だとぉ!!」
闘神士としての知識の無さにリクを責め立てるコゲンタの発言を聞き流し、さり気無くソウタロウが残したメモの示す“印”探しに話題を変えるリク。
・・・大物というか、ノー天気というか。
印を探す姿勢のリクを褒めるコゲンタだが、
「まぁ明日、学校休みなんだ。部活も入ってないから結構暇なんだ。」
「てめぇ、ただの暇つぶしのつもりか〜!そこに座れ〜!!」
「座ってるけど。」
「おまえなぁそもそも闘神士っていうのはなぁ!!」
・・・暖簾に腕押し・馬の耳に念仏・糠に釘、聞いてないから。
そんな二人のやり取りをよそに大例祭で御柱を眺めていたお兄さんが“隠”の文字の浮かぶ闘神符を掲げリクの住まいに何かをした?
・・・お〜ま〜え〜は何者だ〜。
早速、現地に向かうリク、モモ、リナ。探す印の意味も場所もよく分からないリク。
・・・マイペースなんじゃなくて馬鹿なんじゃ?!
何とか道祖神が示す光る道を辿り目的地に着いたリク達だったが印は見つけられずにいた。そんなリクにこの地で天流の闘神士を待ち構えていたと語る地流の闘神士の声がかかる。
「甘露のコマキ、見参!」
・・・相変わらずいきなり始められる戦闘。
「こんなところにまで来て戦わないといけないなんて。」
・・・どうしても戦いを避けたいリク。
「式神降神!!」
叫ぶリクの気が濃く色を付ける。周りの空気が張り詰める。いくつもの障子が交差する中、走るコゲンタの影。赤い鳥居をいくつも走り抜けた先で開かれるいくつもの障子。球体を突き破って現れたのは、
「白虎のコゲンタ、見参!!」
・・・ふん、かっこいいよ馬鹿ぁ。
「今日の相手はお子様か。」
新しい印が手に入ったと勘違いのコゲンタは余裕綽々で嬉々としてリクに呼びかける。
「さぁ来い、リク。」
・・・普通に普通に聞き取りましょう〜
新しい印の手がかりを見つけてないリクは相変わらず一つしか知らない印を切るのだが、そんなリクに
「ったく。歯がゆいやろうだぜ。勿体ぶりやがって。新しい技は後に取ってこうってか。」
・・・普通に普通に聞き取りましょ〜
しかしコマキの速さに苦戦するコゲンタ。
・・・小さくても式神。相手をなめると碌なことにはならない。
コマキの「氷球旋風」に倒れてしまうコゲンタ。泣きそうなリク。そんな二人を無視して相変わらずお互いの主張を譲らず口喧嘩を始める地流。
・・・今チャンスじゃないの?
その会話を背中で聞いていたコゲンタが重い体に力を入れて立ち上がろうとする。
「クソ、あんな奴らに負けるわけにはいかねーんだよ。オレはなぁ、テメーで呼び出した式神を信頼しねー闘神士も許せねーが、闘神士を信頼しねー式神はもっと許せねーんだ!」
・・・想いが一つリクの中に落ちた。
そして、その瞬間、さきほどの光る道自体が印の形なんだと気付いたリクはコゲンタに新しい印をぶつける。印は見事に命中した。
・・・どれだけ凄い技かと思いきや、ただのビンタだった・・・必殺ビンタ落とし!!
コマキが倒れた隙に一機に畳み掛けるリクとコゲンタ。
「必殺!弧月挙舞」
迸る光はコマキを引き裂いた。
女闘神士が意識を手放す前に呟いた言葉。
「そんな!こんな初心者が使う技に破れるなんて・・・」
・・・何故、勝てなかったのか、いつか分かる時が来ればいいのにね?
戦いには勝ったのに、ショボイ印を出したと言ってコゲンタにやっぱり叱られるリク。相変わらずの二人の頭上に強い響きを含んだ声がかかる。
「貴様が天流宗家か。」
リクを宗家と頭から決め付け一人で語るだけ語って攻撃しようと闘神機を抜くユーマ。
・・・すみません、リクの話もう少し聞いてやってもらえませんか?
場の空気が一変する。ランゲツ見参!!
・・相変わらず続く環境破壊。
ランゲツの登場にコゲンタの纏う空気が激変する。沸き起こる感情を抑えるのに必死のコゲンタに、
「知り合いなの?」
・・・リク、空気読めよ。
「知り合いなんて温い関係じゃねー。あんにゃろーとは何百年、いや、千年の因縁だ。」
コゲンタは本気の気を体中に巡らせているのだがリクとユーマでは闘神士の格が違い過ぎる。ユーマとランゲツ。圧倒的な存在感、強烈な意志の強さ。
「裂紙大逆剣!!」
振り投げられる剣が天空を貫いて更に力を得て獲物を捕らえようと落ちてくる。
・・・これは勝てない!!
成り行きを影で見ていた怪しいお兄さんが闘神符を数枚投げる!張られる見えない壁。逃げるリク達。
大技を発動した後には力の強さを見せ付けるような大きなクレーターが出来ていた。取り逃がしたと悔しがるユーマ。
・・・おい、埋めろよ。
陽気なお兄さんは天流のマサオミといい、側にいる式神は青龍のキバチヨだと紹介してくれる。
・・・お兄さんカッコイイけど、この式神、この前リク達を見てた奴じゃん。あ〜や〜し〜
つづく