松井須磨子没後100年記念祭
ロシア文化フェスティバル 2019 IN JAPAN


2019年5月9日(木)
浜離宮朝日ホール 小ホール
トーク
「松井須磨子とロシア」

 
講師:相沢直樹
5月9日(木)15:30〜16:00
松井須磨子は当時のわが国で喧伝されていた「新しい女」を体現する「女優」として,明治から大正の変わり目に彗星のごとく登場し,島村抱月が旗揚げした芸術座の看板女優となって人気を集めましたが,スペイン風邪で急逝した抱月の後を追うように,大正8年(1919)に33年に満たないその生涯を自ら閉じました。映画などの影響もあって,須磨子には「恋に生き,恋に死んだ女優」というイメージも生まれています。
芸術座はロシア文学に基づく芝居を積極的に上演し,『カチューシャの唄』,『ゴンドラの唄』,『さすらいの唄』などの劇中歌を流行らせました。ただ,芸術座の人びとは多くの場合,英訳を通してロシア文学に接し,ロシアの文化や習慣に直接触れる機会に恵まれていた訳ではありません。
松井須磨子と芸術座がわが国におけるロシア文化受容にどのように貢献したのかを考えながら,須磨子の生涯と芸術座の活動を追ってみたいと思います。
コンサート
「須磨子とトルストイとロシアの曲」

 
ピアノ演奏,ピアノソロ編曲:
川西宏明
5月9日(木)16:00〜16:30
コンサートでは,島村抱月が日本で初めて演劇の舞台に歌を導入し,松井須磨子が舞台上で歌い一世を風靡した劇中歌「カチューシャの唄」(トルストイ原作<復活>),「ゴンドラの唄」(ツルゲーネフ原作<その前夜>),「さすらいの唄」(トルストイ原作<生ける屍>)の哀愁漂うメロディーや,それらの芝居の原作者でロシア文学を代表する文豪トルストイの作曲した「ワルツ」,そして「赤いサラファン」「通りは吹雪が吹いている」といった,ロシアで今でも有名な曲を,大正ロマンの時代感,19世紀のロシアの香り,また寒さ厳しいロシアの情景などが思い起こされるような,心に染み入るピアノの響きとアレンジでお届けしたいと思います。
幻の映画
『女優』

 
山田五十鈴主演
衣笠貞之助監督
『女優』(1947年東宝)

5月9日(木)16:45〜
明治末年から大正初年にかけて日本の新劇が黎明期にあった頃,坪内逍遙と島村抱月が主宰する文藝協会付属の演劇研究所に応募してきた女があった。自己を解放するために女優として生き抜こうとする小林正子,のちの松井須磨子である。
映画は須磨子と抱月の関係を軸に,「女優」松井須磨子の誕生から絶頂,孤独な最期までを丹念に追っていく。松井須磨子を山田五十鈴,島村抱月を土方与志が熱演した。
 
実はこの映画と同時期に,田中絹代主演の『女優 須磨子の恋』(溝口健二監督,松竹)も公開されている。ライバル関係にあった東宝と松竹が,互いに看板女優と巨匠をかつぎ出して,須磨子の映画の出来を競ったのだ。
田中絹代/溝口健二の『女優 須磨子の恋』の方はDVDもあり,今でも比較的容易に視聴できるが,今回上映される山田五十鈴/衣笠貞之助の『女優』は,映画通から高く評価されながら事実上お蔵入りになっていて,めったにお目にかかれない幻の映画である。この機会をお見逃しなく。
2019年5月11日(土)
かめありリリオホール
ひとり芝居
『松井須磨子』

 
出演:栗原小巻
ピアノ演奏:城所潔
5月9日(木)15:00開演
近代演劇史上に一瞬の花を咲かせ,はかなく散った日本新劇最初の女優,松井須磨子。
トルストイの『復活』のカチューシャで一世を風靡した松井須磨子は,島村抱月とともに日本の歴史に新しい時代の息吹をもたらした。
 
女優松井須磨子へのオマージュ。
没後100年を記念して渾身のひとり芝居。
 

 

主催・問合せ:
ロシア文化フェスティバル日本組織委員会ロシアン・アーツ
03-5919-1051