感想・記録集

 これは山に行ったときのみなさんからの寄稿文です。山案内とともにこれも参考にして下さい。

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 ぐん様からの記録「障子岳、古祖母山 山行記録」2001/5/5

黒金尾根登山道→天狗岩→障子岳→古祖母山→尾平登山口
【山行日】 平成13年 5月5日(土)
【天候】曇り
【行程】
尾平登山口(6:05)→第二吊り橋(6:20)→天狗の水場(9:09)→天狗岩(9:45)→ 障子岳着・食事(10:25)→障子岳発(10:45)→古祖母山(11:30)→尾平越え分岐(12:48)→尾平トンネル(13:14)→尾平登山口(14:05)

 毎年4月末から5月頭にかけては必ず山に登りたいと考える。ちょうど新緑が美しく、祖母傾山系ではアケボノツツジやツクシシャクナゲが同時に花を咲かす時期だからだ。しかし今まで一度もこの時期に祖母傾山系に登ったことはなかったのだが、今回ゴールデンウィークも終わりに近づいた5月5日にようやく実行に移すことが出来た。

 前日の夜から尾平登山口にマイカーで行く。夜でも登山口の駐車場には多数の車があり、テントを張っている人も多い。車は福岡、北九州、熊本などの県外ナンバーが多い。車中で1泊し翌朝5時40分に起床、朝食にパンをかじって6:05分に登山口出発。天気は曇り、一日持ってくれればいいが。

 駐車場から川上渓谷沿いに黒金尾根の方へ進む。渓谷の美しさに新緑の美しさが加わり吊り橋の上からしばし見とれる。晴れていれば朝の陽光が更に美しさを引き立てるのだろうが。新緑に加えハイノキが白い花をいっぱいに咲かせている。花はひとつ1cm位しかないのだがそれが密集して咲いておりさながら綿毛を乗せたような、もしくは枝に雪が積もっているような光景である。吊り橋を渡った左岸から、木橋を右岸へ渡渉、さらに飛び石を渡って再度左岸へ。ここから黒金尾根のキツイ登りに入る。昨年膝の手術をしてからあまり運動していないせいかすぐに息が上がる。心肺持久力がかなり落ちていることを実感した。登りに入ってから20分ほどすると樹上にちらほらと薄いピンクの花が見え始める。アケボノツツジだ。よく見るとミツバツツジも咲いている。ツクシシャクナゲの木もあるが、この辺は陰になっているせいかまだ花が開いておらずつぼみのままだ。残念!

 花たちに励まされながら、ヒイコラ言いつつも登る。途中で20人くらいの中高年のパーティーに追いついたので、これ幸いとそのパーティーのゆっくりしたペースについていく。話を聞くと広島からのツアーらしい。遠く広島からもアケボノツツジ目当てに祖母山にのぼりに来ているのかと感心する。 途中黒金八景No2の展望台あたりから、松やツガ、広葉樹の入り混じった谷の上にこれから向かう天狗岩などの荒々しい稜線が見える。山頂付近はうっすらとガスがかかっているようだ。

 ところでこの黒金八景、No1は黒金尾根の上り口あたりを登山道とわかれて川上渓谷沿いに少し行ったところに8連の滝、No2が展望台、No3は黒金尾根途中の栂(ツガ)原生林、No4が天狗岩なのだが、No5〜8 は見かけなかった。別の機会にNo5〜8も見てみたいものだ。

 中高年のパーティについてゆっくりゆっくり登る。標高が高くなるにつれ周囲の木々の背が低くなり日が当たる為か、念願のツクシシャクナゲの花も見ることができた。天狗の水場で水を補給してから稜線の縦走路に突き上げる。ここから広島のツアーのパーティは祖母山に登り神原のほうへ下りるそうだ。ここで別れを告げ天狗岩のほうへ一人足を運ぶ。下から見たときはかなり荒々しい稜線だったが縦走路はいたってやさしい道だった。ただ天狗岩手前の最後の所は切り立った岩をよじっていかなければならないのでちょっと怖い。高所恐怖症の人にはちょっと辛いところだろう。岩の間にイワカガミを見つけたが花はまだ咲いていなかった。天狗岩には先客の中年男性が2名、傾山からの縦走らしく、前日は九折小屋泊まりだそうだ。天狗岩からの眺めは晴れていればそれは素晴らしいものなのだろうが、今回は曇ってガスもかかっているため下界は全く見えず。風も強く寒いので早々に立ち去る。

 縦走路に戻り障子岳へ向かう。道の両側は熊笹が生い茂っているが、しかも一昨年にしっかり整備されており、緩やかな稜線の為歩きやすい。時折熊笹の根元にスミレやツクシショウジョウバカマの花が咲いていて心が和む。40分ほどで障子岳に到着。周りはガスの為真っ白で景色は全く見えない。山頂では50代くらいの夫婦とその20才前後の子供が弁当を広げていた。なんでも四季見原の方から親父岳を経由する登山道で登ってきたとか。2時間くらいで登れる比較的やさしいルートらしい。私の持っている地図にはその登山道は載っておらず、親父岳のほうに入り込まないようにとの注意書きまである。その親子にその登山道が乗った地図を見せてもらう。ここで自分も腹が減っていたので食事を取る。ラーメンもあったのだが簡単にパンだけで済ませる。

 食事を済ませて古祖母山の方へ。こちらの縦走路もなだらかで歩きやすく楽なのだが、熊笹に遮られて周囲の景色は見えず、所々にアケボノツツジが花を咲かせているもののいささか退屈だ。今回はガスがかかっているので見晴らしが良くても景色はどうせ見えないが。45分ほどで古祖母山の山頂へ。緩やかなのぼりの後にちょっと開けた場所がある程度で、あまり山頂にきたと言う感じがしない。開けたところから宮崎側の斜面を見ると、大分側の切り立った急斜面とは打って変わりなだらかな熊笹に覆われた斜面が見渡せるのが面白い。

 古祖母山を後にし、切り立った岩の間にかかる梯子を下る。この辺からアケボノツツジが目立ちとても美しい。登りからずっとそうだが鳥の鳴き声もいたるところから聞こえてくる。姿を確認できたのはシジュウカラとヤマガラぐらい。鳴き声で鳥の名前がわかればなお楽しいのだが。この先ずっと下りが続く。長い下りに悪い膝が痛み出す。アケボノツツジ、ミツバツツジ、オオカメノキが咲き乱れているおかげで憂鬱な気分にはならずに済んだがちょっと辛い。古祖母山山頂から1時間20分かかってようやく尾平越えの分岐へ。ここから縦走路を離れて尾平のほうへ下る。更に急な斜面を膝をかばいながらゆっくりと下る。うんざりしだした頃杉の植林が目立ち始め、不意にバタンッという車のドアが閉まる音が聞こえてきた。尾平トンネルが近い!ようやく尾平トンネルに到着し、道路脇に沸いている水で顔を洗い喉を潤す。

 ここから車道を10分ほど下り再度登山道へ。ここで北九州からきた老年の男性と一緒になる。話を聞くと71歳の方でなんと現在前立腺ガンの治療中だそうだ。昨年までは祖母傾縦走も苦もなくこなしたそうだが、だいぶ体力が落ちたとのこと。それでも前日から祖母9合目小屋泊まりの山行をしていると言うからスゴイ!  またまた杉の植林帯の急斜面をゆっくり下り、廃坑の作業道へ。あとは県道へ出て旅行村を通り過ぎ尾平登山口へ帰り着く。到着時刻は14時5分。大体予想通りの下山時刻だった。

 今回の山行では、一番の目的だったアケボノツツジとツクシシャクナゲを存分に楽しめた。しかし心肺持久力の衰えが著しいことを再認識させられた。少し日常から運動して少しでも体力を戻さねば。

===小屋番から======================================
》No5〜8は見かけなかった。
No5は裏谷岩鼻上段、No6は第二裏谷展望台、No7はシャクナゲ園、No8はブロッケン岩で天狗岩から祖母山へ向けての黒金尾根登山道の景勝地です。ブロッケン岩のみ岩登りの技術が必要です。チャレンジして下さい。+4です。
》道の両側は熊笹が生い茂っているが
5月中旬より切り分けます。

  eibo様からの縦走の記録 2000/6/8

九折→二つ坊主→傾山→九折小屋泊→祖母山
九合目小屋泊→宮原→尾平

【日 付】2000年6月6日(火)〜8日(木)
【山 域】祖母傾山地
【山 名】傾山(1602m)、笠松山(1522m)、本谷山(1643m)
     古祖母山(1633m)、障子岳(1703m)、祖母山(1764m)
【参 加】単独
【地 図】1/2.5万地形図 小原、見立、祖母山
【天 候】6日:快晴、7日:快晴、8日:曇時々晴
【行 程】
6/6 上畑(0700)=林道分れ(0735-0800)=登山道出合(0845-0900)= 三ッ尾(1040-1055)=坊主岩分岐(1120-1135)=合流点(1345)=傾山(1420-1520)=杉ヶ越分岐(1535)=九折越(1625)
6/7 九折越(0615)=笠松山(0715-0750)=トクビ(0820-0840)=本谷山 (0920-0935)=ぶな広場(1045-1110)=尾平越(1135-1140)=古祖母山(1330-1345)=土呂久分岐(1435-1445)=障子岳(1505-1510)=烏帽子岩(1540-1545)=天狗岩(1600)=祖母山(1740)=九合目小屋(1755)
6/8 九合目小屋(0745)=六合目(0830-0835)=二合目(0930-0940)= 黒金尾根分岐点(1010)=尾平(1030)
休憩はこの他にも多数


前日(6月5日)、久住山から下山後、滝廉太郎の荒城の月で有名な竹田の岡城 址から祖母傾の山並を眺めてから車で緒方町上畑まで入る。当初は障子岩尾根 を縦走して祖母山からの下山を予定していたので、車はこのことを考えて祖母 山障子岩尾根の登山口から少し登った健男社の参拝者用駐車場に停めたが、下 山ルートを変更したためこれは無駄になってしまった。この駐車場でテントを 張ろうかとも思ったが、翌朝の撤収の手間を考えて車の中で宿泊したが、放射 冷却のためか思いのほかに冷え込んで良く眠れず、長距離ドライブの疲れを残 してしまった。やはりテントを張って休養を十分にとるべきだった。

翌朝(6月6日)は雲ひとつない天気。暑さが厳しくなりそうだ。水をどのくら い持つか迷ったが、荷物の重さとの兼ね合いで3リットルとした。また、今回の 山行は山小屋泊なのだが、ハードなコースなので途中での幕営も体調や天候に よっては可能性が高いのでツェルトではなくあえてテントを持つこととした。 近くの農家のおじさんと朝の挨拶を交わして出発。駐車地点から上畑のバス 停のある県道に下り、そこで直ぐに県道と分れ、九折越方向に伸びる舗装道を 歩いて行く。

三ッ尾に向けて左に入る手前にも林道が左に分岐していて、ここにも登山届 のポストと案内板もあった。この林道を通っても三ッ尾に行くことが出来るよ うなので、折から我慢していたトイレを済ませたかったのでこちらの林道に分 け入った。しかし、この林道、大きく回りこんでいるうえに単調そのもの。観 音滝も見逃してしまったし、時間も少々ロスしたかもしれない。林道ゲートの 先で登山道に出合ってやれやれ。
最初は檜の植林が目立つが、やがてツガの大木が目立つ原生林となって深山 の趣が出てくる。この頃からエゾハルゼミが盛んに鳴きだす。また、ハルゼミ の鳴き声も久しぶりに聞いた。珍しいことだと思って辺りを見回すとハルゼミ の好物のアカマツが所々にある。関東近辺の山行報告でもハルゼミの声を聞い たというのを良く見かけるが、これのほとんどはエゾハルゼミである。それに しても台風の被害か倒木が多いのが痛々しい。
こまめに休憩をとってゆっくり歩いていたのだが、三ッ尾に着いた時にはも う汗だくになっていた。もう少し多くの水を携帯すれば良かったかなと思う。 この先、ブナやカエデの広葉樹も増えてきた。秋の紅葉の時期もさぞや素晴 らしいことだろう。
坊主岩の分岐まで来ると傾山の岩峰群がぐっと迫って見えてくる。この分岐 では左の水場を往復して水の補給をしようかとも思ったが、今回はゆっくり歩 きたかったので時間を節約するため止めにした。

いよいよ坊主岩の岩峰群の通過である。ズズタケが少々煩わしいところもあ るが、ペンキによる目印も多い。また、岩場には所々に固定ロープもあるが、 それに頼りきるのは極めて危険である。今回は比較的大きくて重い幕営装備を 背負っていることもあり、慎重にこの部分を通過したのと登りにとったこと、 それにHPやREPで事前に情報を得ていたので特段の問題は無かったが、下 りには使いたくないコースである。市販のガイドブックでは下りで紹介してい るものが多いが、技術的にも困難さを増すと思われるのでちょっと疑問だ。
坊主岩の通過では休憩をさらにこまめにとったが、岩場の照り返しが厳しい ので木陰になっている適地を探すのに少々苦労した。

 アオスズ谷側の登山道と再び合流する五葉塚まで来ると傾山本峰が圧倒的な 迫力で迫っている。また、祖母山への縦走路を目で追っていくと今宵の宿に予 定している九折小屋も認められた。
五葉塚から傾山頂上は思った以上に時間を消費した。要塞のような巨岩の並 ぶ広い頂上部である。ヒメコマツとの取り合わせは山水画のようでもある。明 日目指す祖母山は西の方角の遥か彼方にあり、少々気が遠くなった。昨日歩い た九重の山も見えている。そして昨日久住山で見たミヤマキリシマであるが、 この傾山頂上部でも数えるほどであるが見ることが出来た。 広い頂上部のあっちこっちを動き回って展望などを楽しんでいるうちに一時 間近く経過していた。日射が厳しいのでかえって疲れてしまい、水も飲み尽く して残りも殆どなくなっていたので去り難い思いをこらえて九折越に向けて下 ることとする。
まずは後傾を越さなければならないが、ここで用意した3リットルの水を飲み きってしまった。後傾から先は山深さを実感する原生林と笹原の中を若干の アップダウンも交えて下って行く。

 九折越は草原の広場となっていて、かなりの数の幕も張れそうである。避難 小屋は少し先のミズナラの林の中に佇んでいた。ホトトギスの鳴声が聞こえた りしていて中々風情がある。また、鹿のキーンキーンという鳴声に小屋の外に 出てみると、まだ若そうな2頭がしばらくこちらを睨んでから走り去った。 小屋の中は20人は楽に泊まれそうな広さであるが、今宵は自分ひとりの貸切 となった。また、水場は九折越から往復で15分程を要した。
東京からはかなり西に来ているので中々日が暮れない。完全に暗くなるのは20時少し前になってからである。日本国内でも「時差」があることを感じた。降 り注ぎそうな星空であったが、疲れていたので星座を楽しむことなく眠りにつ いた。

明けて6月7日。祖母山に向けて縦走する長い一日である。目が覚めると既に4時半を回っている。夜明けの遅い九州でも少し明るくなりかけてきている。 調理、朝食を済ませ、水場を往復する。水は暑さに備えて5リットルを確保し た。小屋の後片付けをしてすがすがしい青空の下を出発した。さすがにザック のずっしりとした重さを感じた。
スズタケの中の登山道を進んで行くと、笠松山の手前に当時学生だった2人の 遭難碑。早春の雪の中で力尽きたのは30年前とのことである。 笠松山は東西に展望台があり、また、大分県側に下った所にあるシャクナゲ の群生地(花期は終わっていたが)に寄ったりしていたら思いのほか時間が経過 してしまった。

笠松山からブナやカエデの広葉樹林やスズタケの茂みを拓いて付けられた道 を進むとトクビを示す道標。展望良しとのことなので立寄る。越してきた傾山 が随分と遠くなっている。しかし、気分の持ちようだろうか、祖母山はあまり 近くなっているような感じがしない。それどころか奥岳川を取り囲むように聳 えている障子岩尾根が迫ってくるのを見ると明日の行程の厳しささえ想像して しまう。

本谷山に向かう頃から暑さが厳しさを増してきた。いきおい休憩時間も長め になる。本谷山に到着するや否や三角点に腰を下ろして水分を補給する。樹林 が茂っているので展望には恵まれないが、今回の縦走の今の所の最高地点で、 山深さが漂っている。それこそツキノワグマでも出てきそうな気配である。 本谷山からはどんどん下ってゆき、林床がスズタケからササに変わって雰囲 気が明るくなってきたと思ったが、今度はブナやカエデの樹林が発達してきて 深山の雰囲気を失うことは無かった。やがてブナの大木の立ち並ぶ平坦地に至 る。その名も「ブナ広場」の道標。ここが祖母傾縦走路中間点なのだそうだ が、未だ半分しか来ていないのかというのが実感。この辺り幕営には絶好の場 所で、さっさと幕を張って昼寝でもしたい気分にもなろうというもの。という ことでここで実質的な昼食休憩となった。宮崎県側に少し下ると水場があり、 人心地をつくことができた。

「ブナ広場」を出発してしばらくすると尾平越の道標。本谷山からこの辺り まで標高にして約500m下ってきたが、この先祖母山まで約600mを登らなければならない。それもきついアップダウンを伴っている。この先、古祖母山にかけての登りが今回の山行で一番きつかった。20分歩いて10分休むと言うような情況である。加えて水の残量も心細くなってきた。ブナ広場近くの水場でもっと補給すべきだったと後悔。しかし、古祖母山の頂上に立つとさすがに祖母山がぐっと近くなっている。これで気分的には随分と楽になった。

古祖母山から障子岳にかけては、七箇所の展望台があり、それぞれ縦走路から 右に分かれているのだが、疲れていたので展望を求めることなく本能的にすべ てパスしてしまった。体は正直なものである。スズタケの中を古祖母山と障子 岳の鞍部付近まで下ると、前方のピークに人影を認める。今回の山行の2日目に して初めて見る登山者である。障子岳の頂上には三角点は無いが、石碑が立っ ている。今回の縦走で初めて標高1700mを超えたこのピークからの展望は素晴らしい。更に大きくなってきた祖母山とその前衛を守るように聳立している烏帽子岩や天狗岩の岩峰群が迫ってきていた。そして行く手の山腹にはミヤマキリ シマの紫色が点在している。

ミヤマキリシマの咲く烏帽子岩で写真を撮って一休み。そして天狗岩手前で 先ほどの登山者と出会う。ヘルメットを被っていたのでクライマーかと最初は 思ったが、程なく登山道を整備中の祖母山九合目小屋の小屋番さんと分かる。 ここから先はこの小屋番さんと同行することになる。案内していただいた岩峰 上の展望台から見る傾山は遥か遠くに霞んでいる。あの山から歩きとおして来 たのだと思うと感慨もひとしおである。 夕方も5時を回るとさすがに風もヒンヤリとしてきてすがすがしい感じだ。 祖母山の頂上直下はちょっとした岩場になっていたが、梯子などで登山道が整 備されているので特段問題となるところはない。しかし、疲れた体にはしんど いので、安全の為にゆっくり登って祖母山頂上に到着。夕方と言うにはまだま だ明るい絶好の展望地から周囲を見渡すと山また山。ついに来たという達成感 がじわじわと湧いてきた。それから、ここではミヤマキリシマのほかにアケボ ノツツジが一株だけまだ花を残していた。もう見ることが出来る季節は終わっ たと思っていたので得をした気分。

山頂から宮原方面に少し下って今宵の宿の九合目小屋に到着。この小屋は建 て替えられてからまだ新しく気持ちが良い。水場が近いのも嬉しい。ここの水 で顔を洗って喉を潤すと東京を出発してから6日間の疲れが一辺に吹き飛んだ感 じがした。この小屋には、風力発電、太陽光発電などの設備が整い、自然環境 への配慮をしていた。 直ぐに夕食と思ったが、小屋番さんと話が弾んで気が付いたら2000過ぎ。食 事を済ませて眠りについたのは2130を回っていたと思う。

翌6月8日、目を覚ますと既に0600を過ぎている。外は昨日までとは違って雲 が多く、怪しげな風も吹いている。山のでのものとしては遅めの朝食を済ませ て出発の準備にかかる。昨晩はぐっすり眠ってコンディションはまあまあで あったが、予定どおり障子岩尾根の長丁場をこなすには降雨が心配なので、宮 原経由尾平に降ることとした。小屋番さんに再訪を約して九合目小屋を後にす る。

スズタケや潅木の中を急激に下って馬の背で一休み。烏帽子岩、天狗岩、祖 母本峰と岩塔が峨々聳えていた。宮原で障子岩尾根を見送って、尾平を目指し て右に入る。障子岩尾根はまたの機会に必ず歩いてみよう。 尾平へのこのコースもツガの大木も見られる原生林で気持ちが良い。宮原か らしばらく下った所で今度は本当に初めての登山者に出会う。中高年の男女3人 で、軽荷のその姿はいかにも深田百名山巡礼者である。頂上までの所要時間を やたらと気にしていたが、次の山の予定がおしているのだろうか。尾平登山口 に停まっていた車のナンバーから首都圏からの登山者であると思われる。
道が分かれる2合目では右に入り新道を歩く。再び両方の道が合流して奥岳川 にかかる吊橋を渡り、黒金尾根からの道と立体交差してから合流するとフィ ナーレは近い。道が林道の様相を呈し、赤茶けた砕石をちりばめたような地点 にさしかかると、要塞のような尾平鉱山の名残の構築物が見える。振り返ると 祖母山の岩峰群。今回の見納めとなるのでしばらく立ち止まる。

尾平登山口のバス停で上畑方面へのバスの時刻を確認するとまだ1時間半もあ る。折から日差しが再び強まってきたので上畑まで歩く気にはならないし、と いってバス停周辺で涼を求める場所もない。ということで、バスの運転手の話 にしたがって県道を少し行った幽谷橋という橋の所から奥岳川に流れ込む枝沢 に下りて涼をとった。裸足になって沢水に浸すと冷たくて気持ちが良い。ここ で軽く昼食を済ませて休んでいると、あのバスがやってきて拾ってもらう。20 分程乗って上畑に到着。障子岩を下る予定だったので車の回収にここから5分程 登らなくてはならないが、これが随分と長く感じた。
緒方町内の道の駅で一休みし、直入町の日帰り温泉で汗を流した後、所用の ある小倉に向かった。九州での休日は実質的にこの日までである。 ***************************************************************
祖母傾の縦走はやはりハードでした。今回は2泊3日でしたが、関東周辺の奥秩父の主脈縦走を3泊4日したような内容がありました。予定どおり障子岩尾根 を踏破していればさらに内容のあるものになったと思います。 遠く遥かな山域ですが、機会を見つけて再訪したいと思います。

===小屋番から======================================

なんど読み返してもいいものはいい、こんなすばらしい文章を掲載いただきありがとうございました。  祖母山九合目小屋 小屋番

 菊池様からの手紙 2000/4/20

北谷→山小屋→祖母山→黒金尾根→尾平
山小屋に泊まっていただいた方からのメールです。菊池様の承諾を得て掲載しました。
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 先日(22日)はお世話になりました。無事に東京へ帰りました。天気もよく、若緑が目にまぶしく、久しぶりにリフレッシュできました。

川上渓谷までの道もよく整備されていて、感謝です。下り道としても歩きやすく感じました。渓谷の終わりで振り返ると、岩尾根が屹立し、なるほど、黒金尾根の道の方がすばらしいことを実感しました。尾平からは高千穂のタクシーを呼び、(尾平〜岩戸タクシー5000円)、岩戸温泉で汗を流して、帰ってきま した。高千穂鉄道とJRの時刻が3月で変わっていたことを知らず、飛行機出発予定の5分前に宮崎空港に着くありさまでした。幸い、出発時刻が遅れていたために乗ることができました。一喜一憂の山旅でしたが、終わりよければすべて良しとします。

 遠いので、いつでもというわけには行きませんが、また、チャンスを見つけて九州の山にも出かけたいと思います。掲示板を拝見するといろいろな登山者がいて大変そうですが、ほっとできる山小屋を維持してください。 ===小屋番から======================================
ゆっくりくつろいでもらう山小屋にしていくつもりです。
また九州に来てください。

祖母山九合目小屋

 ゆっくり祖母山 1999/5/8の記録

尾平→黒金尾根→天狗岩→裏谷展望台→祖母山
山小屋泊→宮原→尾平
 ゆっくり祖母山というのは時間の許す限りたっぷりと、のんびり登るという趣旨での山行です。そのため通常の所要時間は無視してこころゆくまで山を堪能してもらう企画です。
祖母山に登りたいというグループがありましたので引率しました。総勢5名女性3名平均年齢55才

8:40緒方町・尾平登山口発
この日は連休明けのさわやかで新緑がまばゆいばかりあふれていたこれ以上はありえないという快晴の日。登山口近くには緒方町が新しく設置された尾平の森、森林公園があり、もうまもなく完成で最終仕上げの段階にある。あまり登山者には知られてないが少し上には自然林の大きな森があります。川上渓谷の上部のナメ場で最初の休憩で10分取る。ここまでは橋を架けているのでそれほど苦労はない。ここからステックをなおしてもらい、約80mの急登を手足総動員の登り、尾根に出たところの展望台で10分休憩。感想を聞くと予想以上の高度感があり、緑の煙が一斉に立ち上ってくるような風景だと話す。すこしあがってステックokの指示。ここから淡々とした登り。ところが早くも宮原登山道からの30代の男性一人が降りてくる。朝5時半発で東京からだという。おりたらすぐに九重の方へ。さらに女性一人。この方は埼玉で阿蘇へ。「都会の人は、なんとおいそがしいこと!」水平になったところで10分休憩。やく3時間経過。水も豊富で負担がかからないのはありがたいという。天狗の水場で水を補給し、登っていくと曙ツツジの出迎えとなる。あたりは筒鳥、コノハズク、ウグイスなどの野鳥が遠くに近くにこだまする。

12:40天狗の肩の第一展望台で昼食
 天狗分かれの曙ツツジは満開。この花を初めてみたという女性の方は満面の笑みで記念撮にいそしむ。
 ここから天狗岩だが高所が苦手という方もいたが思い切って登るよう催促した。高さ300m の絶壁で祖母・傾一番の絶景であると説明し、船の先端に導く。思い切って下を覗い下さいと言い、どうですかと聞くと「めまいがする」と言う。さらに身を乗り出して立って下さいと言い。手本を示すと「やめて下さい」というが「風もなく何回もしているので大丈夫」と言うと彼女たちはおそるおそる下を覗く。ここはこの高さが売りですからと説明。

14:30次の展望台の裏谷岩鼻は黙ってつれていくことに
 ここも高さ200m はある。曙ツツジがぐるりと取り囲み黒金尾根登山道のもう一つの見せ場。だいぶ慣れてきたみたいで次々に下を覗く。ここはいつ見てもすばらしい景観である。いまは一番だろう。高いところが苦手な人はここで慣らすのもいい。その後ろは西側の展望がよい。すでに15時。

第二裏谷の展望台があるが時間がかかるのでパスした。
十回曲がりのシャクナゲ園も通過したが1999年はつぼみが少ない。そして梯子場。崩壊が進み、最も気を使うところだ。針金を手から離さないよう注意し、無事通過。ところが上からいかにも素人臭い女性だけのグループが降りてくる。16時20分。「本当に下るんですか」と聞くと山頂で聞いたら道がいいとので計画変更して下るという。やめて宮原登山道を下山した方がいいのではと言うと。怒ったような口振りで去っていった。そして祖母山南の展望岩場で休憩。ここは例のブロッケンがよく現れる所。

16:35山頂到着
 山頂では風景の説明を行う。たまたま関東の人がいたので冗談のつもりで大障子岩を剣岳、傾山を穂高岳と説明したら、九州から北アルプスが見えるのですかと真顔で返えしてきた。祖母山九合目小屋にはすでに広島と名古屋方面から登山客が7名ほど。

翌朝は8:40発
 馬の背には曙ツツジが満開状態。今度は宮原登山道から次々と登山客と遭遇するが、山口や大阪、神戸、東京とめっきり少なくなった。二合目 (本当は三合目) から右の尾根伝いの新道へ、ここは宮原登山道で中核となる風景が続くところと説明。荒れがなくスピードが出てしまうので速度を押さえながらの下山。感想を聞くと新緑がプラネタリウムのドームのように包み込む気分で帰りたくないという。ここの下山は宮原登山道に永遠のいのちを与えていると実感されるだろう。12時30分尾平に到着。昼食と風呂を旅行村でくつろいでもらって帰路となった。
このようにのんびり歩くほど充実した登山になることを証明していこうと思う。

●原稿募集
祖母傾の感想や記録の原稿を募集しています。掲載にあたっては事実と異なる場合は本人承諾の上多少手を入れます。

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