「新社会大阪」bW4 2009年5月号より
庶民と無縁の自公民はウンザリ、護憲のスクラムを無数に作り上げよう
▼タレントの清水由貴子さんの自殺が報じられました。清水さんは日頃から母親孝行で知られていたといいます。現場には茫然とした表情の母親が残されており、無理心中の可能性もあると伝えています。お母さんはいくつかの病気や障がいを抱えており、介護疲れが原因ではないかと思われます。決して個人の問題ではありません。
▼また、3月に群馬県の高齢者施設「たまゆら」で起きた火災では10人の入所者が死亡する事故が起きています。都内で対応できずに都外の不備な施設に追いやられた結果でした。
▼「老人医療は枯れ木に水をやるようなもの」と故・渡辺美智雄厚生大臣は自民党の本音を語りましたが、その本性は現在も変わりません。安心して老後を迎えられない高齢者、そして家族の負担はいつまで続くのかと嘆かざるを得ません。
▼安心して生活できないのは高齢者だけでなく、出産、育児から雇用まで、多くの国民が不安を持ちながらの生活を強いられています。
▼そんな国民を全く無視するかのような富裕層・大企業への税金バラマキを柱とする麻生政権の景気浮揚対策が補正予算として組まれています。贈与税減税、住宅ローン減税、新車購入、地上デジタルテレビの買い替え、改定「産業再生法」等々です。
▼自公政権と対決すべき民主党は、小沢代表が西松建設献金問題で居座り続けているために、世襲政治家の「お家芸」で政権放りなげかと思われていた麻生政権の支持率が逆に微増に転じる有様です。
▼そんな中で先日投開票の宝塚市長選挙では、護憲勢力の結集で中川智子市長が誕生しました。自公民の反国民性が明らかなとなった今、愚直といわれようが、このような護憲を軸にした結集を無数に作り上げることが生活の不安をなくし、平和につながる道だとわたしたちは確信しています。
「新社会大阪」bW3 2009年3月号より
天下の悪法「労働者派遣法」は廃止を
▼1月30日、新社会党は栗原君子委員長をはじめ中央本部三役と、地区労・ユニオン関係者16名が厚生労働省へ解雇制限法による解雇規制、労働者派遣法の廃止を求め要請交渉を行いました。
▼総務省が昨年7月に発表した「就業構造基本調査」によると、全労働者にしめるパートタイム、契約、派遣など非正規労働者の割合は35.5%で、5年前の前回調査より3.6%上昇。3人に1人以上が該当する計算です。ハローワークなどの試算によると、昨年10月から今年3月までの非正規雇用の失業者は12万人を超えるとしていますが、製造業で働く派遣・請負労働者らの業界団体では約40万人が失業すると予測しています。
▼1986年に業種を限定した労働者派遣法が施行され、96年に26業種にまで拡大し、99年には製造業や建設、医療などを除き原則自由化になりました。一方、派遣期間については1年間だったものが04年に3年まで認められるようになり、07年にはとうとう製造業への派遣も解禁され今日に至っています。
▼新社会党が政府に提出した要望書には、解雇権の濫用を規制することや日雇い派遣、登録型派遣を禁止すること。また、最低賃金違反企業には刑事罰を適用すること。さらに健康保険や年金にも加入できるよう、労働条件の抜本的改善を図ることなどを申し入れています。
▼しかし今、わたしたちが取り組むべき喫緊の課題として、大企業の正規雇用者で組織する労働組合の枠を超えた、弱い立場の非正規労働者でも加入できる地域ユニオン活動の拡大と、その組織化が求められています。
2009年「新社会大阪」の最初の発行にあたって
▼平素より新社会党大阪府本部の機関紙「新社会大阪」をご愛読いただきまして、ありがとうございます。09年の発行にあたり心からお礼を申し上げます。
▼さて、「未曾有の経済危機」とされる今回の米国発の金融危機は、まさに1929年の「大恐慌」を想起させる事態にまで発展し、世界経済を震撼させています。とりわけ、昨年9月の米国大手証券会社の破綻をきっかけとして、世界不況が一気に拡大するスピードは、情報技術の高度化に伴う経済のグローバリゼーションがもたらす、資本主義経済の新たな歪みを露呈しています。
▼そして今、危機を克服するためとして、各国政府は財政出動による自国企業の救済に乗り出しました。これはまさに新自由主義構造改革が否定した、「大きな政府」の代表モデルだったケインズ政策の焼き直しに他なりません。一方で、小泉政権時代の「小さな政府」路線を代表した郵政民営化で叫ばれた「官から民へ」の象徴が、いま世間を騒がしているオリックスへの「かんぽの宿」安値売却問題です。
▼景気対策と称して国民の税金を投入し大企業を救い、公共事業で築いた国民の資産を破格の値段で企業に売り飛ばす、相も変わらぬ「政・官・財」の癒着した構図は、政府が大きかろうと小さかろうとも社会の中で連綿として生き続け、資本家と労働者・庶民の垣根の大枠に変わりがないようです。
▼規制緩和の小さな政府を要求した末に大きな政府を期待する資本家。果たして新自由主義構造改革で変わったのは何だったのか。「国のかたち」を変えた結果が、非正規労働者の急激な増加と雇い止めに加え、多国籍化した大企業の国内外における巨額の内部留保でした。
▼わたしたち新社会党は、戦争放棄を定めた「憲法9条」や最低限の文化的な生活を保障する「25条」など、憲法の正しい実践こそが戦後に生まれ変わった日本の基礎だと考えます。どうか今後とも新社会党へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2009年2月25日
「新社会大阪」編集部一同
「新社会大阪」bW2 2009年1月号より
初春に毎年代わる干支(えと)総理
▼今年は丑年。当たり前のことで干支は毎年代わりますが、4年続けて毎年違う総理で新年を迎えるのは、おそらく日本の憲政史上はじめてのことでしょう。
▼昔は行く年も来る年も、佐藤栄作氏の顔ばかりでうんざりしたこともありましたが、隔世の感があります。それほどまでに自民党政権が末期症状に陥っているということなのでしょう。麻生政権が延ばしに延ばしている総選挙も新年早々にはありそうな気配です。
▼いずれの世論調査でも自民党の惨敗が予想されています。政権交代が実現しても一気に世の中が変わるとは思えませんが、変革の序章が始まったと言えるのではないかと思います。
▼一方で世界的不況は深刻さを増しています。一握りの「勝ち組」をのぞけば、多くの勤労国民にとって好況感は10数年前からありませんでした。今回の世界不況はこの間の格差社会が生み出した歪みの爆発とも言えます。来るべき変革の足場として平和憲法と暮らしを守る、第3極の政治勢力の構築が急がれます。新社会党にとって正念場の年です。
▼大阪府本部の新年は、山下けいき府本部委員長を擁する茨木市議選から始まります。「もう我慢できない」との多くの有権者の声を集めることで過去最高の得票を目指します。そのことが、続く総選挙での原和美(兵庫1区)さんや辻元清美(大阪10区)さん、さらに服部良一(近畿比例区)さんの勝利へ結びつく波を作ることになるからです。一層のご支援をお願い申し上げます。
「新社会大阪」bW1 2008年11月号より
『庶民の暮らしなんか関係ねえ』の麻生内閣に、護憲のスクラムで痛打をあびせよう
▼不人気の福田首相が前任の安倍氏に続いて政権を放りなげ、麻生内閣発足のご祝儀人気の中での解散・総選挙と見られていました。しかし支持率は内閣発足時としては50%の低水準にとどまり、加えて、中山国土交通相の失言や折からの株価大暴落で解散のタイミングは見出せないまま、年明け以降の解散になりそうです。
▼それにしても麻生首相の庶民感覚との違いは、カップめん1個の値段を問われ「400円ぐらい」と答えたことや、連夜の高級ホテルのバー通いなど、歴代内閣でも突出しています。
土地だけで20億円以上と見られる豪邸に住み、軽井沢などの別荘、株、ゴルフ会員権と資産は桁違いです。
▼ただでさえ小泉、安倍、福田、麻生と四代にわたっての世襲内閣に加え、首相を始め4人は首相経験者の子や孫で、閣僚18人のうち11人が世襲議員、ほかにも2人が県議の二世議員。これほどの世襲を見せ付けられては世襲と無縁の庶民が、麻生自民党にしらけてしまうのはきわめて当然のことです。
▼かといって週刊「金曜日」に山口二郎・北海道大学教授が呼びかける「目をつむって今回は民主党へ」でいいのでしょうか。小選挙区制導入論者として「目をつむる」状況をもたらした責任には無自覚のようで「目をつむる」行動が続けば、そのうち「死ぬ覚悟で」自民党内の誰かにしかならないのが分かっていないようです。
▼護憲共同で奮闘している原和美・兵庫一区予定候補が、先日開いた党の大阪府本部大会であいさつの席上、多くの仲間や市民から「希望が語れる政治を実現してほしい」の声に支えられてがんばっていると語っていました。
▼「あなたとは違うんです・・・」の福田さんではありませんが、「自公民とは違うんです・・・」と、平和憲法中心の選択肢があることをもっとアピールしたいものです。
「新社会大阪」bW0 2008年9月号より
反作用としての「蟹工船」がブーム
▼どうなることかと心配していた北京オリンピックも表面的には無事に終わりました。44年前の東京オリンピックをピークにして、回を重ねる毎に熱が冷めてくるのは年のせいでしょうか。国威発揚や露骨な商業ベースが鼻についてきたのが原因と自分では思っているんですが。背景には世の中全体の停滞感があるのかも知れません。
▼東京オリンピックの頃は日本経済は復興から右肩上がりの発展期を突き進み、高速道路、新幹線と一日一日新しいものにふれ、今日より明日が良い日になるとの希望がありました。もちろん公害をはじめ負の要素もたくさんあったのですが、国民の目は明日に向かっていたように思います。時代がすすんで、いろんなものが出回り、高校生が携帯電話を持つなどと当時では想像もできなかった物質成熟社会が到来しましたが、人々の目から希望の色は無くなりました。
▼就職難に子育てや老後の不安などなど、明日を見るとため息がでることばかりです。そんな世相を映し出す凄惨な事件を見てもだんだん驚きから慣れになっている感覚に恐ろしいものを感じます。
▼世の中の動きは物理などと同じで、作用があれば必ずそれに対する反作用があると言うことを学んできましたが、今、いろんなところでそのことを肌で感じます。小林多喜二の蟹工船に自分の職場を重ね見る非正規採用の若者が増えてきました。後期高齢者医療に怒りの声が広がってきました。燃料高騰に運送業界や漁業関係者が声を上げています。
▼反撃のうねりに中で、新社会党への期待を感じます。先頭はおこがましいですが、遅れないようこれからもしっかり歩いていきます。
「新社会大阪」bV9 2008年7月号より
名古屋高裁のイラク派兵違憲判決と「9条世界会議」
▼2007年度の日本国内の自殺者がことしも3万人を超え、過去10年連続の痛ましい記録更新となりました。
▼総務省が5年毎に実施する「就業構造基本調査」をもとに推計すると、生活保護水準に達しない「貧困世帯」は現在約1200万世帯で世帯総数の25%前後を占めています。そのうち、働いていながらこの貧困水準以下の収入しかない「勤労貧困世帯」(ワーキングプア)は約700万世帯で全勤労者の20%ほどに達すると言われています。
▼こうした急激な社会変動は、過去10年の間に生じました。正規雇用は大幅に削減され、派遣・短期雇用・請負などの不安定雇用が急増し、「一生懸命働いてもどん底の生活から逃げられない」といった低賃金の労働構造が確立化されつつあります。
▼6月8日に投開票のあった沖縄県議会選挙(定数48)では与野党が逆転しました。この変化の背景にあるのは、沖縄では教科書から日本軍による県民への集団死強制の歴史事実を抹消しようとする動きに抗議する集会に13万人が集まり、これに続く「後期高齢者医療制度」に対して、沖縄県民の異議が高まりをみせたことが選挙結果に示されたと言えましょう。
▼また山口県岩国市では、政府による補助金削除など財政面での締め付けによって、米軍基地の拡大を否応もなく押し付けた高圧策に抗議する有権者が、先の山口2区衆院補欠選挙で自・公与党の候補者を落選させました。
▼そんな新たな大衆の息吹は4月の名古屋高裁での自衛隊のイラク派兵違憲判決にも現われ、5月に開かれた「9条世界会議」のイベントには東京や大阪、仙台・広島の各地で会場があふれかえるほど参加者が集まりました。
▼平和を希求するわたしたちは今こそ、世界各地での戦争に反対し自衛隊の海外派兵恒久化に反対する声を大きく上げねばなりません。
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