【新社会大阪84号2009年5月掲載分より】


09年総選挙:原和美候補の勝利に向けて

新社会党大阪府本部:総務部



解散時期に揺れる総選挙への取組と情勢

国会は09年度予算の成立を受け、早々と過去最大規模の15兆4千億円に及ぶ補正予算を巡る攻防に移った。6月3日の会期末を控え、政府は今国会での成立を目指す「海賊対処法」など、会期延長の展開も予想される。また、民主党の小沢代表の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕され、自身が絡むダミー献金問題の処理を巡って党内議論でも混迷を深めており、永田町界隈では5月末か6月初めの総選挙説まで浮上するなど、衆院解散の時期は予断を許さない情勢が続いている。

新社会党兵庫県本部では、福田前総理の突然の辞任、麻生内閣の発足とともに急きょ選挙準備に入り、昨年9月20日の記者会見で原和美・中央本部副委員長が護憲の共同候補として立候補を表明した。それから6ヶ月以上の間、解散時期に何度も揺れながらも党の支持者のみなさんや全国の仲間の支援を受け、原和美予定候補を先頭に闘っている。一方、民主党優勢が不透明となった中で原和美選対では、支援をお願いしている労組や団体の方々と選挙区(東灘区・灘区・中央区)内での総行動も企画中で、党の支持者のみなさんや全国の仲間からの支援要請を検討しているとのこと。

<原和美選対のこれまでの主な活動は以下の通り>


 9月20日
 

 原和美副委員長の立候補表明

    27日
 

 統一行動と党員決起集会

 10月1日
 

 原和美を国会に送る会の集い

    13日
 

 近畿レベルで社民党との選挙協定調印

    18日
    19日
  

 街頭宣伝:栗原君子党委員長、山内徳信・社民党参院議
 員、照屋寛徳・社民党衆院議員、服部良一・社民比例区予
 定候補
 

 11月9日
 

 原和美を国会に送る会:第1回時局講演会
 本山美彦さん記念講演:「金融危機について」
 連帯挨拶:辻元清美・社民党衆院議員、服部良一・社民比
 例区予定候補
 

   30日
 

 原和美予定候補が「たかじんのそこまで言って委員会」
 にテレビ出演
 

 1月31日
 

 原和美を囲む新春の集い、山口哲夫顧問の党公開講座

  3月7日
 

 原和美を国会に送る会の全体会議、第2回時局講演会
 安部誠・全国ユニオン事務局長「年越し派遣村」からの提起
 

  3月8日
 

 社民党比例区と合同街頭演説(又市征治・社民党副党首)


選挙の準備期間の長期化を大いに活用する

                          
原和美を国会へ送る会の第2回時局講演会2009/03/07「年越し派遣村」を語る安部誠・全国ユニオン事務局長
麻生政権は発足以来、各種世論調査でも支持率の低迷がはっきりしており、解散したくても実際にはできず、解散は総理大臣の専権事項のために準備期間の長期化を招いている。こうした中でわたしたちにとって、大衆運動の盛り上がりも少ない現状をいかに打開するかが選挙対策上の喫緊の課題となっている。原和美選対は「長期化は、ある意味でチャンスであり、勝つ選挙をめざし、労働者・市民と怒りを共有する闘いをやろう」と呼びかけている。また安倍政権のときに「国民投票法」が成立したことを受け、2010年には同法が実施されることも懸念され、来年の参院選も控えた中でその準備を今からする意味もある。このため兵庫1区の地元総支部では、朝夕の駅頭・街頭の宣伝活動やスポット演説、ミニ集会など精力的に取り組んでいる。これらに加え、新たに結成される「原和美後援会」の会長には、「金融権力」(岩波新書)の著者である本山美彦・京大名誉教授の就任が決まるなど、準備期間が長期化したことを利用し支持層の開拓に努めている。

民主の小沢党首問題は政党政治への不信に

4月半ばに大阪で開かれた会合に参加した原和美予定候補は、日常活動の延長で支持者宅を訪問した際に「企業献金問題で小沢・民主党代表の秘書が逮捕されて以来、民主党への風当たりは予想以上に強い」と感想を述べ、「だからと言って、今までの反自公の流れが反民主となって回帰するか、わたしたちへの支持拡大になっているかと思えば実際はそうでなく、これまで友好的だった方からも『もう政治が信用できなくなった』と嘆かれ、返す言葉を失ってしまうこともある」と語った。

こうした一般有権者の意識は、政治や政党への批判が「怒り」となって集中することなく、「政治不信」の高まりとなって吹き出した、大衆迎合の「小泉劇場」を想起させる事態である。その片棒を担ぐマスコミは二大政党のことしか報道せず、視聴率を上げるための「お茶の間の話題性」のことしか念頭にない。とは言え新社会党は、小政党ゆえに自分たちの力量不足で新たな流れを作り出すことができておらず、その点は残念ながら認めざるを得ない。

護憲のために政治勢力を結集させる努力を

これまで新社会党近畿は07年の参院選挙においても、護憲のための統一候補実現のため「いのちと平和の近畿ネット」の結成など、近畿レベルでの第3極結集に向け努力を続けてきた。今回も党近畿ブロックは、関係労組や市民運動に携わる方々とともに、保守二大政党制に対抗するための政治勢力として、「第3極結集」に向けて努力を続けている。その延長として社民党近畿との選挙協定を結び、その結果、社民党国会議員の方々や又市副党首の共同行動が実現した。

しかしその一方で、新聞報道などによると社民党の中央は、民主党との選挙協力に期待する地方組織もあって対応に苦慮しているのが現状ではないだろうか。比例区選挙の近畿において、社民党との共同行動について話し合う準備が急がれよう。なお、社民党近畿での予定候補は、現職で大阪10区の辻元清美氏を筆頭に比例区単独の服部良一氏、京都2区の藤田たかかげ氏と兵庫8区の市来ばん子氏の計4人となっている。

広い視野で将来の政治地図を考えるときだ

そして解散総選挙の前に、話題の中心が民主党・小沢代表の辞任問題と麻生政権による超大型の補正予算案に加え、憲法9条改悪のなし崩しにつながりかねない「海賊対処法案」への対応である。民主党はこの法案に口火を切ったこともあって、参院でも早期に通過する可能性が高い。

一方、米国発の世界同時不況の嵐ははじまったばかりであり、これまでのように米国への輸出依存で経済の立ち直りを期待することもできず、世界経済がいつ回復するのかも見通せない。世界恐慌はこれからが本番である。そしていま、危機対応を名目に日本の政治が政界再編を含め、保守二大政党制へ進むことが最も危険である。こうした政治体制の確立が、再び新自由主義を蘇らせると同時に憲法9条改悪への道を開かせることにつながるからだ。だからこそ、これを阻止するための政治勢力として「護憲のための第3極」の結集を急がなくてはならない。



5・3護憲集会の成功を!

憲法を生かす会・大阪 むらかみたかゆき



5月3日の憲法記念日に恒例となった平和憲法を祝う集会が催される。これまで開かれた護憲集会では、主に「憲法9条」について法制面から取り上げた企画だったが、今年のテーマは経済面から平和憲法について考える内容が特徴。米国発の金融危機から世界同時不況に陥る勢いの今日的テーマとなった。主催は「九条の会・おおさか」。同志社大学経済学部の浜矩子教授と株主オンブズマン代表で関西大学教授の森岡孝二氏の講演と、両氏によるディスカッションも予定している。

「グローバル恐慌−金融暴走時代の果てに」
(岩波新書 2009年)                          (「九条の会・おおさか」HPより)

同書の著者でテレビ出演など一躍有名となった浜矩子氏は、09年2月17日から朝日新聞で10回に渡り、今回の米国発の金融危機に関するコメントが連載された。その中で浜氏は、今回のグローバル恐慌の原点として「1971年の金とドルの交換を停止したニクソン・ショックだ」としたうえで、米国が保有する金よりはるかに巨額のドルが世界中に出回ってしまった点に触れ、ドルが金の信用を背景とした「基軸通貨」でなくなったことをその理由に挙げている。

また、同じころにコンピューターが大型化したことも、経済学が変化した今回の危機の要因として指摘し、「経済ほど人間らしい営みはないのに、数字で証明できない経済事象は議論しない風潮が広がった」としている。その典型として「金融工学」を取り上げ、「金融とは人が人を信用する営みだが、それがエンジニアリングになってしまった。金融と工学は水と油の関係で言葉自体にゆがみを感じる」などと苦言を呈し、デリバティブ(金融派生商品)の価格算定式を完成させ、97年にノーベル経済学賞を受けた2人の学者の「リスクを克服した」とする発言に対し、「金融工学のなせる業」と皮肉っている。

さて、今回の世界恐慌への対処として、麻生内閣ですら小泉構造改革からの決別を掲げ、当面は新自由主義政策からの転換を図ろうとしている。新社会党は結党以来、護憲運動の一環として多国籍企業による経済のグローバル化に警鐘を鳴らし、米国は71年の金とドルの交換停止を契機に資本主義の生き残りを賭け、それまでのケインズ政策から新自由主義に転換を図ったとして、「弱肉強食」「自己責任」を当然視する論理を厳しく糾弾してきた。浜氏によれば今日に至る30数年前からの米国の金融政策は、「強者」でなく「狂者の論理」らしい。当日の講演に期待したい。

なお、会場は京阪・地下鉄の天満橋駅近くにある「エル・おおさか」大ホールで午後1時開場。参加費は一般が1000円、学生500円、介助者は無料で手話通訳もある。問い合わせは「九条の会・おおさか」事務所06−6365−9005まで

 

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