明星薬品の闘いが勝利的和解で終結
天六ユニオン書記長 うめかわまさのぶ
この会社は薬箱を各家庭や会社に置いて訪問点検し使用した分を集金する配置薬業だが、訪問軒数や販売金額などの過酷なノルマを達成できなければ、賃金カットされ、社長から長時間ネチネチと叱責され、時には土下座させられたり上履きで殴られるなどの暴力も振るわれるので、訪問軒数のごまかしや架空売上などノルマを達成したように見せかける「不正」が常態化していた。社長は、社員が辞めたいというと、「不正」を持ち出して、やくざとの付き合いを誇示し、社内に監禁し深夜まで「損害賠償や!示談金や!刑事告訴や!」と脅かし、賠償金や示談金名目に100万円、200万円と金銭を巻き上げていた。
2005年8月に、低賃金と長時間サービス労働やパワハラから逃れたいが、「会社を辞めたくても辞められない」という相談を受けた。その人はフルコミッション(完全委託)社員にされ、5万円台の給与しかない月もあり、これらはMBSニュースの「VOICE」や、週刊「東洋経済」でも取り上げられた。その後、天六ユニオンに加入する社員が増えたが、加入して年次有給休暇を請求し団体交渉を申し入れると解雇したり、退職扱いにしたり、社長が介入してUIゼンセン同盟のもと御用組合を作るなどしてきた。
当初より残業代など未払い賃金を要求し、団体交渉・ビラまき・門前抗議集会・行政申告・不当労働行為救済申し立て・労基法違反告訴・未払残業代請求裁判などありとあらゆる行動を起こした。労働委員会への申し立てでは、社長がUIゼンセン同盟に頼んで御用組合を作ってユニオンショップの網をかけたり暴力団の挨拶状などを回覧して天六ユニオンに敵対したことが不当労働行為として認められ救済命令が出た。この闘いを通じて、最初は組合員1名だったのが14名となった。行動の都度、事前に対策をしながら一緒に考え、行動には参加可能な本人たちが加わった。1名が不当に逮捕されたが、社長は会社を富士薬品に売り退任した。そして2年半の闘いの結果、2007年12月20日に大阪地裁で勝利的全面一括金銭和解となり、2008年2月16日に祝勝会を行った。
ところが、退任した前社長が、「不正」の被害届について「処罰を求めない」と言う和解協議での合意を破って2名への捜査に「処罰を求める」と言ったため、延長戦となり、対応に手間取ったが、和解合意の事実を報告証明し、なんとか事なきを得た。
この闘いは「会社を円満に辞めること」が目的だったので合意退職し、パワハラ・ノルマ蟻地獄の会社から解放され、おのおのが闘いの途中で見つけた新しい職場で働いている。