まず、こぼればなし
   
  「フエ」の呼び名 フキエ(吹柄・吹枝)の省略形と思われますが、定説はありません
                  
  「フエ」についての古い記述                                                         
                                      
「日本書紀」 イザナミノミコトの葬儀音楽の中にみられますが、
簡単すぎて明瞭ではありません。
「古事記」 春日皇女(かすがのひめみこ)の歌、
「こもりくの はつせの河ゆ、流れ来る竹のいくみ竹、よ竹、
本辺(もとべ)をばこと(琴)に作り、末辺(すえべ)をば
府曳(ふえ・笛)に作り吹き鳴らす 云々」 とあります。      
「常陸風土記」 行方(なめかた)郡の条に 「天(あめ)の鳥笛」
と記されています。
                       
  フエの源流             
                                                                   
 縦笛 唄口の形や筒の形などバラエティが豊富で、
世界的に同時多発的に発生し、それぞれが
気に入った形に作ったものと思われます。 
 横笛 縦笛と異なり殆ど形が決まっています。
インドかその近辺を起源としているようです。
フルートはアジアの横笛よりはるかに新しく、
おそらくアジアから伝えられたと思われます。
                                 、           
 いろいろな横笛のこと
 
  横笛 どんなものがある?
横笛には、神楽(かぐら)笛・狛笛(高麗笛 こまぶえ)・龍笛(りゅうてき)
能管又は能笛(のうてき)・篠笛(しのぶえ)・明笛(みんてき)等があります。                                                                        
 
  笛に巻いてあるものは何?なぜ?
日本は、四季の気温や乾湿の変化が大きく、その変化から来る管の割れを
防ぐため、桜や樺の木の皮又は籐を巻き(篠笛・明笛には巻いてないものも有)
漆で固めてあります。
これは日本にのみみられるもので、日本で工夫したもののようです。                                        
  横笛それぞれ
                                                                                                                  
(神楽笛) 六孔で、御神楽(みかぐら)の祭祀音楽や雅楽に使用されます。     
(狛笛・高麗笛) 雅楽の右方、高麗楽(こまがく)を奏するのに用いられ、
神楽笛と形状は同じですが、長さは短めです。 
(龍笛・竜笛) 雅楽の、主に唐楽(左方)で使用され、形状は狛笛と似ていますが
指穴は七孔です。
(能管・能笛) 能楽や長唄の囃子に用いられ、形状は龍笛を模しています。
他の横笛との違いは、唄口と第七孔の間に
喉(のど)という管が入っていて、これは世界的にも
大変珍しい構造です。
また、竹を縦に細かく裂き、裏返し、表皮を筒の内側にして
円筒形にし、管尻の筒口を特に細くしてあるのは「ヒシギ」という
鋭く激しい高い音を出すためです。     
(篠笛) 長唄の囃子、芝居の下座音楽、里神楽、獅子舞、祭囃子、落語の
出囃子などに用いられ、主に三味線又は声に合わせて奏します。
使用の目的の違いによって、唄用・古典調・祭笛などがあります。
(用途・種類の項参照)
古典調・唄用共に七孔ですが、祭囃子や獅子舞、
種々の神楽などに用いられるものには六孔のものもあり、
それらの太さ・長さ調子(音高)はさまざまです。     
唄用・古典調は音の高さを 本(ほん)で表し、
基本的に一本から十二本で一音階(オクターブ)を
半音刻みで構成しますが、
必要に応じ四分の一、八分の一音刻みの笛も用いられます。      
龍笛や能管とは異なる柔らかい音色で、
メリ・カリ・指使いの全開・半開・四半開等の手法を用いて、
変化に富んだ音や繊細な旋律を表現することが出来ます。
篠笛は、古くは田楽などで用いられていた笛が、
田舎の踊りなどに使われ、江戸時代中頃には芝居の下座音楽に
用いられるようになったものを長唄囃子に採り入れて、
今日の形になってきたと考えられています。 
(田楽って?)
唄と楽器の伴奏で踊る群舞形式の舞踏を主としたもので、
豊作祈願を目的として田で行われた、儀礼的な歌舞から
起こったものと言われています。