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第六回 「戦え!テンテン道士軍団」

 

プロ野球が開幕して、十数試合がすでに終わりました。今年は意外なチームが頑張って上位にいたりと、なかなか面白い事になっております。そん

な中で私が1つだけ心配しているのが、中日のドアラのバク転の成功率。ここまで9回やってすべて失敗に終わっています。いやしかしドアラの事で

すから、これしきの事で根を上げたりはせず、今後も頑張ってくれるでしょう。さて、来来!キョンシーズのほうは第六回へと入ります。テンテン達も、

今のドアラと同じように苦境続きとなっておりますが、今回は光が見えてくるでしょうか・・・。では、どうぞご覧下さい。



もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。   
 
 

◎今回の登場人物

 テンテン:法術の達人である金おじいさんの孫娘。可愛さ抜群の主人公。

 スイカ頭:テンテンと一緒に暮らしている子供。体はデカいが多少怖がり。

 トンボ:テンテンと一緒に暮らしている子供。カンフーが得意で身が軽い。

 チビクロ:テンテン、スイカ頭の友達。わがままな所はあるが、両親思いの健気な少年。

 金おじいさん:テンテンたちをいつも見守っている道士。法術はもちろん、武術も使える。頼りになる存在。

 浩雲:こちらも法術、武術にたける若き道士。ちょっと自信過剰なところがある。

 
ベビーキョンシー:その名の通り、小さな子供のキョンシー。いつも騒ぎを起こしてみんなを困らせる。

 黄金コンビ:高い懸賞金であっても危ない事はやらない方がいいなとつくづく思うナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、『来来!キョンシーズ』と表れるいつものオープニングシーンから始まり、チビクロが噛まれたあの屋敷を映しながら今回のサブタイトル紹介、

 〜第六回 戦え!テンテン道士軍団〜

今回は総力戦になりそうな予感。そして、500元キョンシーとの戦いにもついに決着がつきそうです。



さて、見事なまでに散らかりまくっている屋敷内。無理もありません。ここで壮絶な戦いが繰り広げられたわけですから・・・。ここに金おじいさんと、カ

エデがやって来ました。「・・・うーむ、ここじゃ。ここに違いないぞ。不穏じゃ・・・」と、早くも戦いの跡、そしてやばい状況になっている事に気づく金お

じいさん。いやぁ〜もう、この場所を見つけただけでも殊勲賞ものなんですが、こうして状況までいち早く気づくなんて本当に大したものです。しかし、

「金おじいさん。本当にここに、子供たちはいたんでしょうか?」と、カエデは今1つ信じられないといった感じです。「うん。そのようじゃ。キョンシーを

捕えるための法術を施した跡がある。」
 「・・・あ! あれは!」 カエデが何かを見つけました。それを手にする金おじいさん。

 「これはテンテンの鈴じゃ! キョンシー封じに失敗しおったな。」

「ええ!? じゃ、子供たちはどこに!? チビクロ! チビクロ! チビクロ!!」 「カエデさん。落ちつくのじゃ。」 じゃあわざわざ不安がらせるよ

うな事を言わなきゃいいのに・・・。「行方は必ず突き止め・・・」と、付け加えて言おうとしたその時、「とりゃあ!」という浩雲の雄叫びが聞こえてきま

した。これは誰かと戦っている時に出る声。その相手は・・・・・・やはり銭高道士でした。あの時確か、この屋敷でキョンシーも交えて戦っていま

したが、逃げていったキョンシーを銭高道士が追い、さらに浩雲も追っていきました。ということは、それから2人はずっと戦いを続けていたという事

でしょうか・・・。相変わらず高度なカンフーを披露してくれてますが、今回は屋根までジャンプしたり、また飛び降りたりと、すごい跳躍力まで見せてく

れております。このままこの2人の戦いを観戦したいところではありますが、金おじいさんが止めました。「これこれやめなさい!」 「金じいさん!」 

「一体何事じゃ。」 
「銭のためだ。こいつが邪魔をした。」と、浩雲を軽く指さす銭高道士。「何と道士ともあろうものが、金のために争いを起こすとは

もっての外じゃ。」
 「へへへ、くそじじい。この世は銭だ。俺は銭しか信用できん。」 こうして決して『金』ではなく、『銭』と言う銭高道士。「このふとど

き者め。神仏を敬い、金銭には無欲であるという教えを忘れたか。」
 おお、そんな教えがキョンシー退治をする道士にはあったんですか。「ああ、す

べて覚えている。フン。だが、教えを守って一生貧乏暮らし、俺はごめんだ。」 「この罰当たりが。欲におぼれて身を持ち崩すのがオチじゃ!」 くそ

じじいと言われたのが実は悔しかったのか、ふとどき者、罰当たりと金おじいさんも結構罵倒するような言葉を連発しております。「何!?」とついに

怒る
銭高道士。やはりこの男は気が荒いです。さあ、この怒りの勢いのまま、金おじいさんに向かっていくのか!? 銭高道士VS金おじいさ

んの対決が見られるのか!?
 自分の方が実力は上と豪語していた銭高道士だけに、その証拠をここで見せてほしいのですが・・・。ところが

戦うことはせず、また屋根の上にジャンプしました。そして、「忘れるな! 俺の邪魔をすると痛い目に遭うぞ! さらば!」と言って去っていきまし

た。屋根の上という高い位置からこういうセリフを残して去っていくとは、なかなかカッコいいものがあります。しかし、金おじいさんは当然そんな気持

ちにはなりません。「極道め。情けないわ。フン。」と呆れかえっています。さあ、銭高道士の事なんて気にしている場合じゃないという心境のカエデ。

「浩雲さん。子供たちは?」と聞きますが、

 「行方は私にも・・・」

と、浩雲もお手上げ状態。「何だか悪い予感がします。チビクロにもしや何かあったのでは・・・。浩雲さん!」 人間、1つ心配をすれば悪い方へ悪

い方へ考えてしまう。このカエデはまさにその典型です。



ただ、そのカエデの心配している通りにもう80パーセントはなっていると言っていいでしょう。スイカ頭のキョンシー変装作戦がバレ、今度は4人いっ

ぺんに牢屋の中に閉じ込められてしまったテンテンたち。色々あって疲れきり、みんな眠っておりますが、キョンシー化のだいぶ進んでしまっている

チビクロが目を覚ましました。目つきがもうヤバいです。でも、やっぱりすぐ素に戻ります。でも、それも束の間。またまた怖い顔になり、寝ているスイ

カ頭の首筋に目をつけました。そして、当然のようにそこを噛もうとするチビクロでしたが、間一髪テンテンが目を覚ましました。しかしこのテンテンと

いうのは、以前もありましたが、こういった非常時ではあまり深く眠ろうとはしないですね。さすがです。スイカ頭も見習ってほしいです。さあ、そのテ

ンテンがチビクロを押さえようとしますが、女の腕力ではちょっと無理。「トンボ早く起きてよ! 早く!」とトンボに声をかけました。起きるトンボ。「チ

ビクロ!」
と言いながら押さえました。これでチビクロは仰向けの状態になりました。すかさずテンテンが

 「動脈を押えるのよ!」

と指示。チビクロのこめかみ、両手首、口を3人がかりで押さえました。その頃、隣室で何も知らずにくつろいでいるデブ隊長の部下の兵隊たち。彼

らに気づかれないようにベビーキョンシーがパッと姿を見せました。さあ、体の各箇所の動脈をテンテンたちに押さえられたチビクロですが、おとなし

く眠りました。「とりあえずおさまったわ・・・。でも早く法術を施さなくちゃ、大変よ。」 「何か僕たちが出来る事はないの?」 「無理だわ・・・」

 「金おじいさんがいてくれたらなぁ・・・」

そうです。今となっては、金おじいさんの忠告を無視して勝手にキョンシー退治に来てしまったことを後悔しないではいられません。「儀荘に帰らな

きゃどうしようもないわね。」
 「それじゃあチビクロは!?」 このまま儀荘に帰れず囚われていたんでは、絶対にキョンシーになってしまうでしょう。

さあここで兵隊たちの元に、パトロールに出ていた1人の兵隊が血相を変えながら戻ってきました。「おーい! またキョンシー騒ぎだ! ここは2人

でいいからお前来い!」と、1人味方に加えて表に出ようとしたその時、2体のキョンシーが現れました! おお、これは長三道士が逃がして

しまったあの2体のキョンシーです。驚く兵隊たち。「キョンシーよ!」とテンテンたちも行こうとしましたが、牢屋の中にいるため、鉄格子よりあちら側

へ行くことができません。さあ、500元キョンシーほどではありませんが、やはりこのキョンシーたちも強いです。兵隊たちが果敢に戦っていますが、

まったく歯が立ちません。終いには、1人の兵隊が無様に服を引きちぎられてしまいました。この時、この兵隊が持っていた牢屋の鍵も、服と一緒に

床に落ちました。
「鍵よ! 取れないかしら!?」  テンテン達にもチャンスがめぐってきました。「ようし!」としゃがんだ状態になり、手を伸ばして取

ろうとするスイカ頭。スイカ頭がこの役を買ったのは正解ですね。チビクロは大変な状態ですし、テンテンやトンボに比べてもスイカ頭は体が大きい

ので、当然腕も一番長いです。「がんばって!」 「もうちょっと!」と応援するテンテンとトンボ。途中、手をキョンシーに踏まれてしまって痛がるスイ

カ頭でしたが、「何してんのよ早く!」とテンテンに急かされて、再度挑みます。それにしても、今のは本当に痛そうでした。何せキョンシーは両足で

ジャンプしますから・・・。さあ、もうあと少しで鍵が取れそうなスイカ頭。「もうちょっと!」と懸命に応援を続けるテンテンの期待についに応え、スイカ

頭は鍵を取ることに成功しました。「やったぁー!」 「やったわスイカ頭! 取れた!」  ところがところが、

 「頭が抜けなくなっちゃったよ!」

何と鉄格子の棒と棒の間に頭が挟まれ、抜けなくなってしまいました。腕が一番長ければ、頭だって一番大きい。その大きな頭だけが、あちら側に

行ってしまっております。「大変!」と、鍵で脱出する事はひとまず置いといて、スイカ頭を助けるテンテンとトンボ。しかしとても無理でした。その間に

も兵隊軍団対キョンシー2体の戦いは続いております。終始形勢不利で戦い続けている兵隊たち。近くにあった椅子を手にし、それで殴りにいきま

したが、これをよけるキョンシー。しかし、キョンシーがよけてくれたおかげで、その椅子がスイカ頭の頭に直撃。これで、頭は抜けました。思わぬ形

で助かったスイカ頭。さあ、こんなとこさっさと脱出して儀荘に帰らなければいけません。「急いでチビクロを!」 スイカ頭がチビクロをおぶりました。

「行くわよ!」 
しかし、そうは上手く事は運びません。やられまくってついに残り1人となった兵隊も倒したキョンシーたちが、テンテン達の前に立ち

はだかりました。さあ、500元キョンシーほど強くはないので、ここはテンテン達の見せどころです。サブタイトル通り、しっかり戦わないといけ

ません。スイカ頭はチビクロをかばう役を、主にテンテンとトンボで2体のキョンシーを相手にしました。素人の兵隊たちとは違い、やはりキョンシーと

の戦い方のコツを知っているテンテンとトンボ。互角に渡り合っております。しかもここで見事な連携プレイも見せます。トンボが近くにあった鎖を手

にし、それで1体のキョンシーの身体を縛ろうとしました。もちろんこれは1人じゃ無理な作業。「テンテン!」と相棒に声掛け、2人で行いました。2人

で鎖を持ち、トンボは時計回りに、テンテンは反時計回りに回ることで、キョンシーを柱付けにして縛ることに成功しました。お札も貼るテンテン。一

方、もう一体のキョンシーですが、もちろん黙ってじっとしているわけがありません。スイカ頭の首を絞めてきました。助けに入るテンテンとトンボ。テ

ンテンが後ろからキョンシーの首をつかみ、そしてその間にトンボが強烈な蹴りを与えました。これを喰らったキョンシーも、その勢いで柱付け

に・・・。すでに縛られているキョンシーと同じ柱に付けられました。このキョンシーにもお札を貼るテンテン。そしてとどめはやはり、

 「昇天!」

でした。これでとうとう燃えあがってしまう2体のキョンシー。もしこれがキョンシーではなく人間だったら・・・と思うとゾッとするものがありますが・・・。と

こかく、これでテンテン達の完全勝利。「助かったよ・・・」 「さあ、行くわよ!」 今度こそ儀荘へ向おうとしましたが、またそうはいきませんでした。

「うおっと!」 デブ隊長が登場。「何だお前たち! 脱獄か!?」とさらに聞いてきました。「違う! 違うわよ!!」と、さっきまで大変だったことを訴

えるように言うテンテン。いやでも、脱獄はしようとしたでしょう。なので、今のテンテン言葉はウソといえばウソになります。「じゃあどうして牢屋の外

にいるんだ!? ああ!?」と怒るデブ隊長は、まだ火が消えていない柱を見て「牢屋を燃やす気だったのか!? ええ!?」とさらに激怒。「今・・・

キョンシーが現れたのよ!」 
「ええ? キョンシー?」 さっきまで怒り心頭だったデブ隊長でしたが、徐々に表情が変わり、今度はいやらしさを含ん

だ笑みを見せました。この男、テンテン達に一体何をする気でしょうか・・・?



さあ、表へ連れていかれたテンテンたち。4人とも十字架に貼り付けにされ、縛られております。まるでキリストです。「どうだ気分は? ええ? 

妖術使いめ。お前らを餌にして、キョンシーをおびき出してやろうじゃないか。こりゃ名案だろ。」 妖術使いって・・・。こんな状況でも強気に反発する

テンテン。「デブ隊長の人でなし!」 こう言われてデブ隊長は次のように言い返しました。

 「はあ!? 俺をニックネームで呼べるのはマダムだけだ!」

さらに、「俺は何だ! 言ってみろ!」と改めて兵隊たちに確認をするデブ隊長。兵隊たちは声をそろえて「大隊長!」と答えました。「分かったか! 

フン!」と、スイカ頭に勝るとも劣らないデカイ顔をテンテンに近づけるデブ隊長。気を取り直し、尋問を開始しました。「さあ、ラッキー様の居所を白

状してもらおうか。そうしないと全員火あぶりだ。ハハハハ・・・」 これにつられて同じく「ハハハハ・・・」と笑う兵隊たちでしたが、「笑うな!」と怒られ

てしまいました。「メチャクチャだよ!」 「あんまりだ!」 確かにこれはあんまりです。しかし、全然そうは思わない非情なデブ隊長。あっさりと「そう

だよ。」と言っています。「キョンシーが来たらお前たちやられちゃうぞ!」 「きっと全滅だよ!」

 「そうよ! あなた達だけじゃ敵いっこないんだから!

しかししかし、矢でも鉄砲でもキョンシーでも持ってこいという感じのデブ隊長。負けずに言い返します。「へん! 生意気なガキどもめ。それ以上偉

そうな口を、この俺様に聞いてみろ。今すぐ火を点けて灰に・・・」 とここで、「デブ隊長。」とニックネーム呼ばわりできる唯一の人物、マダムが登場

しました。「イエスマダーム。」と返事をするデブ隊長。「アハハ、いい眺めだこと。」とテンテン達を見て笑うマダム。確かに愛犬を盗んだ憎っくき相手

かもしれませんが、この人もこの言い方はないと思います。「ラッキーちゃんの行方は分かったかしら?」と、高級そうなハンカチを顔に当てながらデ

ブ隊長に聞くマダム。「・・・あ、それが強情な奴らで、なかなか口を割りません。」

 「焼き殺してしまいなさい。」

と、こんな事を平気で言うマダム。「うわ、かわいい顔してすっごい性格。くそばばあ!」と小声で言うスイカ頭でしたが、あいにくマダムは地獄耳でし

た。「お仕置きを。」とデブ隊長に指示。「はっ、イエースマダム。」と棒を手にして向かうデブ隊長。そして、「今から謝っても遅いぞ。このやろ。」とス

イカ頭を殴り始めました。それを見てすかさずトンボが「弱い者いじめ!」と言って攻撃対象を自分に向けさせたところは、何気に仲間思いな感じも

します。「このやろ!」と今度はトンボを殴ろうとしたデブ隊長でしたが、マダムが止めました。決してかわいそうと思ったからではありません。「飽き

たわ。行きます。」と言って去っていきました。「ははっ。」と見送るデブ隊長。さらに、「後でゆっくりかわいがってやるぞ。フン。」と言ってスイカ頭とト

ンボに最後に1発ずつおみまいをしました。

 

ここでこの話の前半が終了です。ますますと苦しい状況に陥ってしまうテンテン達。デブ隊長たちの手から逃れることは出来るのか!? チビクロ

のキョンシー化もかなり進んで非常にやばい事に・・・。もう助かる見込みはないのか!? 強敵500元キョンシーは倒すことは出来るのか!? 金

おじいさん、浩雲は間に合うのか!? いよいよ次の後半戦、本当にすべての決着がつきます!

後半は、こちらです。


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