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第五回 「チビクロ・キョンシーか?」

 

食事というのはバランスが大事だなとつくづく思います。魚と肉だったら魚のほうが体にいい、とよく言われています。確かにそうかもしれませんが、

肉を全然食べないで魚ばかり食べるというのも、決してよくはありません。肉を食べるというのも、人間にとっては当然必要なことであって、肉も魚

も、また他の色んな食べ物も適度に食べる、そうしたバランスというのが大事ではないかと思っております。さあ、今回は来来!キョンシーズの第五

回ですが、この前半戦では肉が登場します。どういった状況で登場するのか、誰が食べようとするのか、それはもう見てもらうしかないでしょう。で

は、どうぞご覧下さい。



もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 テンテン:法術の達人である金おじいさんの孫娘。可愛さ抜群の主人公。

 スイカ頭:テンテンと一緒に暮らしている子供。体はデカいが多少怖がり。

 トンボ:テンテンと一緒に暮らしている子供。カンフーが得意で身が軽い。

 チビクロ:テンテン、スイカ頭の友達。わがままな所はあるが、両親思いの健気な少年。

 金おじいさん:テンテンたちをいつも見守っている道士。法術はもちろん、武術も使える。頼りになる存在。

 浩雲:こちらも法術、武術にたける若き道士。ちょっと自信過剰なところがある。

 
ベビーキョンシー:その名の通り、小さな子供のキョンシー。いつも騒ぎを起こしてみんなを困らせる。

 黄金コンビ:「キョンシーやめますか? それとも人間やめますか?」と聞かれて思わず「人間」と言いそうになった事のあるナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、いきなり『来来!キョンシーズ』と表れるいつものオープニングシーンから始まりましたが、大変な事になっております! テンテンの仲間、チビ

クロがキョンシーに噛まれてしまいました! 天罰が効かずに吹っ飛ばされるテンテンに、首筋を噛まれるチビクロ、という前回の終わりに起きたシ

ーンがちょっとだけ映し出された後、すぐにサブタイトル紹介となりました。

 〜第五回 チビクロ・キョンシーか?〜

いやぁ〜、今回のサブタイトルはこれに限るでしょう。噛まれたチビクロはキョンシー化してしまうのかどうか、まさに瀬戸際の回です。



さて、チビクロが噛まれてもまだ戦いは終わっていません。やや逆上気味になり、キョンシーに向かっていくスイカ頭とトンボ。特にスイカ頭は、どで

かい壺をかかえ上げて凄まじい形相になっています。その壺でキョンシーの頭を思いっきり叩きつけました。これが効き、一時的とはいえキョンシー

は倒れました。その隙にチビクロを確保する2人。「チビクロ!」 「チビクロ!」 「大丈夫か!?」 「噛まれちゃったよ!」 さらにテンテンも、

 「みんな! 早くこっちに来て! ここなら安全よ!」

と言って、用意してあったあの大きなカゴの中に来るよう、スイカ頭たちを招きました。おお、このカゴはキョンシーを捕えるためのものだと思ってい

ましたが、そうではなく、こうしていざという時に自分たちの身を守るためのものだったんですね。そのカゴに入ろうとするテンテンたち4人。スイカ頭

が大柄とはいえ、やはり子供。全員、カゴの中にスッポリと入りました。さあ、その間にキョンシーはすでに起き上がり、もうテンテンたちに近づいて

きています。不安な眼差しで近づくキョンシーを見るテンテン。うわ、ここなら安全よと言っていた本人がこんな調子では、他の3人も不安がるんじゃ

ないでしょうか・・・。私も見ていて、マジでヤバそうだなと思えてきました。しかし、危なくなると必ず救いが来るのが、この来来キョンシー

ズ!。ここで浩雲が現れました。ロープのようなものでキョンシーの首を捕え、倒す浩雲。

 「逃げるんだ!」

そう言われて「さあ早く!」とみんなを連れていくテンテン。歩くこともままならないくらい弱りきっているチビクロは、スイカ頭とトンボに支えられながら

連れていかれています。また起き上がってくるキョンシーと戦う浩雲。このキョンシーはかなり強いのですが、それでも浩雲の敵ではないのか、早くも

押さえ込み、黄色いお札を出しております。「とどめだ!」 ところがここで、その大事なお札が何者かによって切られました。「お?」 現れたのは黄

色い服の男。そう、銭高道士でした。「銭高参上!」と、浩雲のお株を奪う登場の仕方をし、浩雲に対してもうすでに剣を振り回している銭高道士。

さあ、チビクロに「変な顔」と言われた銭高道士と、カエデに同じく「変な顔」と言われたことのある浩雲。変な顔同士の対決が再び始まりまし

た。
やはりこの銭高道士はただ者ではありませんね。浩雲と互角に戦っています。「何ゆえ邪魔をする?」と言われて「銭のため。」とテンポよく答え

る銭高道士。こうして2人は戦いながら会話もちゃんとこなしています。ただ、戦っているのは2人だけではありません。キョンシーも参加して3人に

なっております。しかしキョンシーの方は、この場は逃げたほうがいいと判断したのか、浩雲と銭高道士が争っている隙に外に飛び出して行ってしま

いました。「しまった!」と言う浩雲。500元目当ての銭高道士は当然浩雲との戦いをやめ、キョンシーの後を追いました。「待て!」と浩雲も続きま

した。



さあ、チビクロが噛まれただけではなく、キョンシーが街に放たれるという非常事態になりました。そのキョンシーが今、ある兵隊2人に迫ろうとして

います。暗くてよく見えないのですが、どうも大きな建物の前で見張りをしている2人。ということは、ここに誰か偉い人でも住んでいるのかもしれませ

ん。寒がりながら、「おい、酒持ってないか?」 「酒? 持ってないですよそんなの。」 「何だよ、持ってくるって言ってたろ。」と話している2人。おい

おい、勤務中に酒なんか飲んではいけません。せめてお茶とかコーヒーにしないと・・・。そんなことを思っているうちに、キョンシーはもう目の前まで

来ていました! 驚く2人。そして、

 兵隊2人はキョンシーにあっという間に噛み殺されてしまいました!

その惨劇シーンを影を使って敢えて見せなかったところ、逆に噛んだ後のキョンシーの歯に付着した血を見せたところ、こうした演出が恐ろしさ、不

気味さをより一層生み出しております。



次の日になりました。まだ逃げ続けていたテンテンたち。おそらく昨夜は一睡もしていないでしょう。その疲れからか、チビクロをおぶっていたスイカ

頭が転んでしまいました。これを放っておいてテンテンとトンボがそのまま行ってしまえば面白かったんですが、もちろんそんな事はしません。足を止

め、「あ、スイカ頭気をつけろよ。」 「大丈夫? しっかりして。」と寄っていきました。スイカ頭をすぐに起こし、「急ごうぜ。早く!」と先を急ぐ一行。し

かしまた、スイカ頭が転んでしまいました。そして、今度は吹っ飛んでしまうチビクロ。「チビクロ!」 「チビクロ!」 「ごめんよ!」 「しっかりして!」 

「チビクロ大丈夫か!?」と、もうみんな心配しまくっています。が、当のチビクロは次のように言いました。

 「みんな、もうダメだよ・・・」

これを聞いて静まり返ってしまうテンテンたち。すぐにスイカ頭が「そんなこと言うなよ! 大丈夫だよ!」と𠮟咤しましたが、「ダメだよ、俺・・・」とやは

り諦めています。「どうしてそんな弱気なこと言うんだよ!」 スイカ頭に続いてトンボも必死に元気づけますが、「うっ!!」とチビクロは痛みを感じて

しまいます。「チビクロ!」 「チビクロ!」 「大丈夫か!?」 これは命の危険の表れか、それともキョンシー化が進んでいるのか・・・。どちら

にしても、このままでは取り返しのつかない事になってしまいます。とここで、テンテンが思い出したように言いました。

 「そうだわ! 黒い犬の血があれば何とかなるわ!」

おお、これが今や唯一の望みになりそうですが、トンボがすぐに反論しました。「こんなとこじゃいないよ。」 「そうだよ。黒い犬なんて街まで出てって

探さないと、見つからないよ。」
 「・・・仕方ないわ。街まで行きましょ。」 「街まで行っていなかったら!?」 「ダメよ! どんな事があっても探して、

チビクロに血を飲ませなきゃ!」
 「ようし、じゃあ急ごうぜ。」 「ああ。」 うわぁ〜、犬の血をどうするのかと思いましたが、飲ませるんですか。これ

は想像するとちょっと・・・。しかし、チビクロを助けるためにはそんな事は言ってられません。スイカ頭のセリフ通り、急いで街まで向かいました。



街に着きました。きっと長い時間かかってテンテンたちはやって来たと思われますが、私のビデオテープではわずか1秒ほどで着いております。

「・・・あ、検問やってる。」
と、少し慌ただしい様子に気づくトンボ。テンテンも、通りがかりの青年に尋ねてみました。「・・・あ、おじさんすいません。ど

うして検問なんかやってるんですか?」
 「ああ。昨夜ね、兵隊が2人、誰かに殺されたんだってさ。」 シートに包まれたその2人の遺体の方に目を

やるテンテン。これは間違いなく、キョンシーに殺されたあの2人でしょう。「殺人事件で検問なんて珍しいわね。」 

 「殺されたのはね、司令官第3夫人の身内の兵隊なんだよ。」

と教えてくれる青年ですが、「こら、橋の上で立ち止まるんじゃない。」と検問している兵隊の1人に注意され、さっさと行ってしまいました。「あ、どう

も。」
と青年に礼を言うテンテン。橋の上から人をどかせたのには何か訳があるのか・・・。実はその通りで、「整列!」という大きな掛け声と共に兵隊

たちが続々出てきて並びました。そして、リーダー格である小太りの・・・いや、かなり太っている隊長が登場しました。「小隊長、到着!」と言

う兵隊の1人。これを聞いて、隊長の顔が不快そうに歪みました。「もう1回言ってみろ。」と、今言った兵隊を睨みつける隊長。なぜ睨まれているか

分からないこの兵隊は、またも「小隊長、到着!」と言いました。これで隊長はますます怒ることに・・・。この兵隊を睨みつけたまま、ジワジワと川の

方に追い込みました。追い込まれた兵隊は、もう川の中に落ちようかという所まで来ていました。そして、隊長に胸ぐらを捕まれました。隊長が手を

離せば、ホントに川に落ちてしまいます。「俺のことを小隊長と呼んだな! 俺は何だ!?」と、他の兵隊たちに答えさせる隊長。すると兵隊たちは、

声をそろえて「大隊長です!」と正解を言ってくれました。「分かったか!」 「はい、大隊長!」 「ようし。」と言って許してやるのかと思ったら、その

逆。隊長は手を離し、この兵隊を川に落としました。うわ、昨夜の寒がっていた2人のことを考えれば、今のこの時期はきっと寒い気候のはず。川に

落とされたこの兵隊、きっと風邪を引くに違いありません。さあ、この隊長ですが、テンテン達のところに歩み寄ってきました。「お前ら何だ? 見か

けない顔だな。ん?」 

 「友達が急病でお医者さまを探しに来たの。」 

もちろんこれはウソです。キョンシーに噛まれたなんて言えるわけないので、こう言ってテンテンは誤魔化しました。「急病? どこが悪いん

だ?」と、スイカ頭に背負われてるチビクロを見ながら言う隊長。スイカ頭はもう、チビクロを背負う役を任されてますね。隊長に聞かれて「キョン

シ・・・」
と言いそうになるスイカ頭。とっさにトンボが、肉まんでスイカ頭の口を押えました。「風邪を引いたみたいなの。」と、また誤魔化さなくてはい

けなくなるテンテン。まったく、スイカ頭の軽率な口には困ったものです。「風邪? こりゃ食あたりだ。」と、チビクロの青白い顔を見て勝手にそう判

断する隊長。とここで、

 「デブ隊長。」

という女の人の声が聞こえてきました。「イエスマダム! ハイハイハイハイ、ハイ!」と、さっきまでのゆったりしていた口調や動きがまるでウソのよ

うに、素早い口調と動きでその女の人のところまで行きました。高級そうな馬車から降りたこの謎の女性。テンテン達は、この女性が手に抱えてい

る物体に注目しました。「テンテン、黒い犬だよ。」 そうです。何と幸運にも、テンテンたちが喉から手が出るほど欲しい黒い犬を持っていました。

「デブ隊長、犯人はまだ見つかりません?」と言うこの女性。おお、ということはこの人が司令官第3夫人ですね。そう聞かれて「イエースマダム。我

が隊が探していますから時間の問題ですよ、ハハハハ。いやぁ〜いつ見てもかわいいラッキーちゃんだこと・・・」と、犬をなでながら答える隊長。もう

完全にペコペコしております。「デブ隊長、ラッキー様とお呼びなさい。」と自分の犬にまで様を付けるよう命令する第3夫人。うわ・・・。何なんで

しょうか、この超上から女は・・・。
しかし隊長は、「イエースマダム。ラッキー様。ハハハハ。では。」とすっかり言いなりです。「ごきげんよう。」

と言い残して、この場を去っていく第3夫人。これからは私も、この隊長のことを「デブ隊長」、第3夫人のことを「マダム」と呼んで続きのストーリーを

書いていく事にします。



さあ、さんざん歩き回ったので、そろそろ休む場を見つけたいと考えたテンテンたち。特に、チビクロはもうこれ以上動いたりしない方がいいでしょ

う。見つけたのは、埃だらけの何とも古びた屋敷でした。何だかこういう場所の方がキョンシーに狙われそうな気がしないでもないですが・・・。トンボ

なんて「気味の悪いとこだなぁもう・・・」と言いながら入ろうとしています。中に入り、さっそくチビクロを仰向けに寝かせるテンテンたち。「しっかりして

チビクロ。」
 「チビクロ。」 「大丈夫か?」 もう今回は、ウザいと言ってもいいくらいみんなから心配をされまくりのチビクロ。「このまんまじゃキョン

シーになっちゃう・・・。やばいぜ・・・」
 「うん、早く黒い犬を探してこないとな・・・。急がなくちゃ・・・」

 「ごめんよ・・・。俺のためにみんなに迷惑かけて・・・。許してくれよ・・・」

と、やはりすっかり元気がなくなっているチビクロ。たださっきのような 死を覚悟するような、そんな気持ちだけは無くなっているようです。「弱気に

なっちゃダメよ。」
 「そうだよ。お前を救うためだったら俺、何だってやるよ。」 「がんばれよ。俺たちが帰ってくるまで待ってろよ。」 「うん・・・」 「さ

あ、早く行って。」
と、スイカ頭とトンボに言うテンテン。2人はすぐに犬探しに行きました。「ありがとう、みんな・・・。俺のために・・・」 「もうしばらくの

辛抱よ。」
と、テンテンはこのままチビクロを看護する役に回りました。やはり女の子です。



さて、金おじいさんの方は今どうしているでしょうか・・・? おお、何やら法術でテンテンたちの行方、安否を占っているみたいです。そばにはカエデ

もいます。この法術をやっている時に4つのワラ人形が画面に出ておりますが、きっとこの4体はテンテンたち4人のことを指しているのだと思われ

ます。さあ、その法術が終わり、最後に白い煙が沸き起こりました。その煙が消えたあと、ワラ人形4体が現れますが、何とそのうち1体が真っ

黒焦げに・・・!
 「ありゃあ・・・」と声を上げる金おじいさん。「どうかなさいました?」と心配そうに聞くカエデ。

 「4人のうちの1人に災難あり。」 

「チビクロだわ!」と決めつけてしまうカエデ。まあ当たってますが・・・。しかし、凄い法術でした。これはそこら辺の当たらない占いよりも、よっぽど

当てになります。「分からん・・・。早く行方を探さねば。」 「私も探しに行きます。」 「ん? よし!」 ついに動き始めた金おじいさん。チビクロが手

遅れの状態になるまでに会うことが出来ればいいんですが・・・。



さあ、黒い犬を探しに出たスイカ頭とトンボ。こういう時は、たとえ2人でも手分けして探した方がいい。よく分かっています。でも、スイカ頭のほうは

「あーあ、いないな・・・。お腹空いたし・・・」と、座り込んでおります。チビクロなんて食事どころじゃないというのに・・・。とここで、紙の上に肉が落ちて

いるのを発見したスイカ頭。うわ、もう目が肉にしか向いていません。ゆっくりと肉に近づき、手で掴み取ろうとしましたが、その瞬間、肉が動

きました。「おかしいな・・・」 もう一度試みるも、やはり失敗。また肉は移動しました。これはもう、絶対に誰かが肉を動かしています。よく見ると紙に

糸がついております。しかし、それに全く気づかないスイカ頭。三度目の正直と言わんばかりに、飛びついて取ろうとするスイカ頭。今度は見事肉を

ゲットしましたが、それと同時に、肉を動かしていた人間に棒で頭をどつかれてしまいました。間抜けな感じでコテンと倒れてしまうスイカ頭。実は肉

を動かしていたのは、トンボでした。「ああ! スイカ頭お前かよ!」とすぐに寄ってスイカ頭を起こすトンボ。「痛ってーな・・・」 「犬と間違えちゃっ

て・・・。まったく、拾い食いなんてすんなよな。」
 「うるせーな・・・。見つかんないのか?」 「見つかんないね。」 「いねーな・・・」 「いないね・・・」 

うやらスイカ頭だけでなく、トンボも四苦八苦しているようですが、ここで偶然にも、あのマダムの愛犬ラッキーが家から飛び出してスイカ頭たちの所

にやって来ました。 「あ! いたよ!」 「捕まえようぜ!」 「うん!」 動物慣れしているのか、あっさりと捕まえることが出来たトンボ。「ラッキー

様! ラッキー様!」と、ラッキーを探していたマダムの家政婦である女の子も、この場にやって来ました。うわ、マダムは家政婦にもラッキーに様

付けをするよう言っているようであります。ラッキーを捕えているスイカ頭とトンボを見て、「あ! ちょっとあんた達! 返しなさい!」と大声を出す家

政婦。「逃げよう!」と言って、2人はラッキーを抱えたまま走り去っていきました。ただちに、この事はマダムに伝えられます。「奥様! 大変で

す!」 「どうしたの、いきなり入ってきて・・・」と返事するマダム。デブ隊長もこの場にいます。

 「ラッキー様が・・・・・誘拐されました!」

おいおい、誘拐というのはオーバーでしょ。スイカ頭たちはそんなつもりはないわけなので・・・。でも、勝手に犬を持ち去ったのだから、そう思われ

ても仕方ないかもしれません。いずれにせよ、この報告を聞いたマダムが平静でいるはずがありません。「デブ隊長! 早く探しに行きなさい!」と

命令し、デブ隊長も「イエスマダム!」と言って慌てるように探しに向かいました。




ラッキーを捕まえたスイカ頭とトンボは、もちろん大急ぎでテンテン、チビクロのいる屋敷に戻ってきました。「テンテン、見つかったぜ!」 「わあ! 

良かったぁ!」
 「やったね。」 「これで安心だよ。」 「じゃあ早く血を・・・」 これを聞いて、今まで喜んでいたのがウソのように急に固まってしまう2

人。そして、「お前、やっていいよ。」と抱えていたラッキーをスイカ頭に渡すトンボ。「俺には出来ないよ。トンボやれよ。」と逆にラッキーを返すスイカ

頭。「そんな・・・。そんな事言わないでほら、遠慮しないで・・・」とまた渡すトンボ。「そんなこと言わないで、トンボやってね。」とまたまた返すスイカ

頭。「いや、ほらスイカ頭、ほらやってって!」 「いや、やってよ! なんで俺にやらせんだよ!」 お互いにやりたくない2人。そりゃそうでしょう。私

だって嫌です。でも、これじゃいつまで経ってもキリがありません。たまりかねたテンテンが怒るように言いました。

 「私がやるわ!!」

この一言で静かになるスイカ頭とトンボ。テンテンがナイフを手にして言いました。「ケンカしている間に、チビクロがキョンシーになっちゃったらどうす

んのよ。貸して!」
 そして、ラッキーを抱え取るテンテン。さらに、「いくじなし!」と2人に言いました。スイカ頭とトンボはお互いに顔を見合わせ、「さ

すが・・・」と呟くしかありませんでした。腰かけて「ほら、おとなしくして。」とラッキーに言うテンテン。「そうだ。チビクロ。」とスイカ頭は眠っているチビ

クロを起こそうとしましたが、「スイカ頭、起こさなくていいよ。」とトンボが止めました。「許してね。チビクロを救うためには、お前に犠牲になってもらう

しかないのよ・・・。本当は殺したくないけど・・・」
 おお、こうしてよく見ると、なかなかかわいい犬じゃないですか。でも、チビクロのためには心を鬼に

しなくてはいけないテンテン。覚悟を決めたのか、テンテンは目をつむってナイフを振りかざしました!

 

ここでこの話の前半が終了です。これで一応は、チビクロに犬の血を飲ませて助けられる、という展開にはなってきました。しかし、果たしてそう上

手く事は運ぶのか!? それが上手くいかなかった場合は、やはり金おじいさんが頼みの綱。テンテンたちと無事再会することが出来るのか!?

また今回から登場となったデブ隊長とマダム。この2人は今後どんな風にテンテンたちと絡んでくるのか!? 苦難はまだまだ続きそうです。

後半は、こちらです。


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