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第14話 「血ぬられた鍵盤」

 

このインドア派の城を古くから見てくれている人は知っていると思いますが、以前は2つの物語を書き、それを交互に更新しておりました。いや、

でも本当ならそうしたいところなんですが、現時点ではこのスケバン刑事以外に書きたいなと思うものが見つかっておりません。ということで、はこ

れ1本に絞られております。そんなスケバン刑事も、第二部の4話目までやってきました。今回の話ではどんな事が起きてしまうのでしょうか? 

では、どうぞゆっくりとご覧下さい。

 

もう前半の話は知っている。早く後半を見たい人はこちらへどうぞ。

 

◎今回の登場人物

 麻宮サキ:鷹の羽学園2年B組の女子生徒で主人公。その正体は、ヨーヨーで悪を懲らしめるスケバン刑事。

 野分三平:鷹の羽学園2年B組の男子生徒。サキに惚れている。

 沼重三:鷹の羽学園2年B組の担任教師。今回はある事でちょっと赤っ恥をかくことに・・・

 海槌亜悠巳:いつもサキを殺そうとしている恐るべき強敵。今回は決着がつくのか・・・

 海槌久巳:栄光芸術学院の女子生徒で、亜悠巳の妹。全日本ピアノコンクールで優勝するために、ますますと卑劣な手段をとる。

 海槌剛三:海槌財閥の会長で、亜悠巳と久巳の父親。その権力でとてつもない事を企んでいる。

 神恭一郎:サキを見守る暗闇機関のエージェント。いつもクール。

 黄金コンビ:神恭一郎みたいにカッコいい男になりたいなと思っているナレーション

  (注:上と同じ色で登場人物の台詞も分けています。)

 

◎ストーリー

さあ、ストーリーのほうは今回も、前回の第13話を軽く振り返ることになります。また私と違って、番組のほうの上手いナレーションが聞けるわけで

すが、今回は何と2回に分けてやってくれます。では、まずその1つ目を聞いてみましょう。

 交通事故で一度に両親を失った不幸な少女、椎名純子。ピアニストを目指す彼女は、

 新人の登竜門といわれる全日本ピアノコンクールに出場すべく、栄光芸術学院の

 世界的ピアニスト川崎教授を訪ねた。だが、その直後。何者かが純子の命を狙った。

この間に、純子の両親が焼け死ぬシーン、純子の演奏を川崎が聴くシーンが映され、最後に前回大ピンチのまま終わっていた純子が轢かれそうに

なるシーンが出ました。さあ、7400ナンバーの車が迫っております! 本当にこのまま轢かれてしまうのか!? しかしここで、この車のバックガラ

スに石が投げ込まれました! これによりバックガラスは割られ、車は停止しました。そして車は、慌てるようにこの場を去っていきました。さあ石を

投げて純子を助けたのは・・・・・・三平でした。その三平が、

 「純子!」

と走り寄ってきました。逃げていった車を睨むように見つめましたが、すぐに「純子、大丈夫か?」と体を起こしてあげました。しかし、「痛い!」と左

足首あたりを押さえる純子。「くじいたのか?」 命は助かったが、多少の怪我を負ってしまった純子。よく『不幸中の幸い』なんて言葉を耳にします

が、これはその逆で『幸せ中の不幸』かもしれません。さて、ここにやって来たのは三平だけではありませんでした。「純子さんじゃないですか? ど

うしたんですか?」と、あの川崎も現れました。こんな歩行者が通りそうもない道路になぜ川崎が・・・? 純子も「川崎先生・・・」とちょっとキョトンとし

た顔で見ております。さあ、そろそろもう1つのナレーションの方も聞いてみましょう。

 そして、純子の救出に走ったサキの前にも、意外な人物が現れた。

と、この2つ目はやけに短いナレではありましたが、こっちもこっちでそれどころじゃない状況になっております。そうです。執拗なまでの亜悠巳たち

のバイク攻撃に翻弄され、ついに身動きの出来なくなってしまったサキの目の前にも、亜悠巳の加速のついたバイクが迫ってきております! この

ままではサキの即死は免れません! このまま殺されてしまうのか!? しかしここで、誰かが2人の間に割って入ってきました! 入ってきたの

は・・・・・・神でした。しかも、久巳を人質にとっております。急いでバイクを止め、警戒するような顔つきに変わる亜悠巳。逆に「神・・・」とホッとする

サキ。さらに神はナイフを出し、久巳に向けました。この状況に、「お姉さま!」と亜悠巳に助けを求めております。「久巳!」 亜悠巳も助けたいの

はやまやまですが、これではどうしようもありません。それにしても、久巳は亜悠巳のことを「お姉さま」と丁寧に呼んでいるんですね。さすがに大金

持ちの令嬢なだけの事はあります。さあ、ナイフを出した神ですが、もちろん久巳を本気で殺すつもりはありません。刑事がそんな事をしていいわけ

ありませんし、それにこれはサキを助けるための駆け引きです。まずは、サキの左手と手すりとで繋がれていたムチをナイフで切り、サキを自由の

身にする神。そして、

 「車に乗れ。」

と指示をしました。おう、よく見ると愛車の黄色いポルシェが停まっているではありませんか! 用意周到です。走ってポルシェに向かう

サキ。でも、亜悠巳側の方もただ黙って見てはいません。さきほどサキが倒しきれなかったバイク集団が、ポルシェに向かわせてたまるかとやって

来ました。・・・あ、そういえば、サキは1、2台くらいしか倒していませんでしたね。しかしそんなバイク集団に対しても、神は間髪入れず言ってきまし

た。「動くな! 全員バイクから降りろ。バイクを倒して向こうへ行け。」 久巳が捕らわれている今は、とにかく言うなりになるしかない。バイク集団は

全員、神の言われた通りバイクを倒し、サキから離れて亜悠巳のそばへと行きました。これで再びポルシェのほうへ行けることになったサキ。そん

な様子を、亜悠巳はもうキレる寸前の顔で見ております。サキがポルシェに乗り込んだのを見計らった神は、ようやく久巳を開放しました。それを見

てすぐさま久巳の元に駆けつける亜悠巳。すでに運転席に乗っている神は、もうポルシェを発車させていました。怖い思いをした久巳は、「お姉さ

ま!」とすかさず亜悠巳に寄り添いました。私の大事な妹をこんな目に遭わせやがって・・・。握り拳をし、睨むようにして、走り去っていったポルシェ

を見ている亜悠巳を映したところで、いつものオープニングシーン。そして、ここから物語が本格的に始まっていきます。

 

サキと純子の2大ピンチは、神と三平、2人の男性陣の活躍によって防ぐことが出来ました。ちょっと少女活劇のドラマらしくない展開にはなりました

が、たまにはこういうのもいいでしょう。さて、先ほども言いましたように、サキは無傷ですが、純子はケガをしました。ということで、病院で診てもらう

ことに・・・。向かった先は、恵愛病院。変な名前・・・と個人的には思うんですが、この辺の感じ方は人それぞれなので、あまり深く言わないようにし

ましょう。この病院で、左足首に包帯を巻かれることになった純子。あの現場に居合わせていた川崎も付き添っています。その川崎が言いました。

「いや〜、大した事がなくて良かった。ところで、コンクールまであと5日。練習はしてますか?」 「ええ。」と答える純子。

 「この間はあんなこと言いましたが、出場するんなら一度僕んとこいらっしゃい。

  指導してあげましょう。」 

おお、これは一体どういう風の吹き回しなのか・・・。とにかく今の純子にとっては、これ以上の事はありません。「ホントですか!? はい! 必ず行

きます!」と、胸を躍らせました。それを聞いて川崎も、「私はこれで失礼。」と満足そうに帰っていきました。さあ、この病院にはサキと三平も来てい

ました。やはり純子のケガの具合が心配だったようです。そのサキたちと川崎が廊下ですれ違いました。川崎が通り過ぎて行ってしまった後、サキ

が言いました。

 「三平。どうして川崎先生がここにいるの?」

おお、これは私が感じたのと同じ疑問点ですね。この疑問は三平もやはり同じく持っているようで、「それが・・・車に襲われた後、急に現れたんだ。」

と、その時の状況だけを答えることしか出来ませんでした。ちょっと沈黙状態になってしまう2人を映したまま、今回のサブタイトル紹介。

 〜血ぬられた鍵盤〜

うわ、またもやこんなサブタイトルか・・・。今回は一体何が起きてしまうのでしょうか・・・?

 

2日後の放課後になりました。さあ、天才は努力を惜しみません。今日も純子は、鷹の羽学園の音楽室でピアノを弾いております。しかも今日は、

栄光芸術学院に行って川崎にも教えてもらえる。純子は意気揚々としております。そんな純子の演奏を、そばで聴いているサキと三平。特に、サキ

はちょっと感動モードになっています。やはりそれだけのものを純子は持ってるという事でしょうか・・・。その演奏もようやく終わりました。そして、た

ちまち起こる拍手の音。え、ちょっと待って。サキと三平の2人しかいないのに、どうしてこんなに拍手の音がするの!? おお、よく見たら、いつの

間にか沼、美也子、それから他の生徒も十数人ほど来ていました。「いやぁ〜、素晴らしかったぞ椎名。ブラボー! ハハハハ・・・」と褒める沼。そ

れを聞いて、「あら先生。音楽が分かりますの?」とちょっとからかうように言う美也子。「なーにを言ってんだねキミ。こう見えても私はクラシックファ

ンだよ。ハハハ・・・」 へー、そうだったのか。そいつは意外だ。ところが、

 「いや〜しかし、このベートーベンというのは実に素晴らしいなぁ・・・」

と言う沼に対し、

 「いえ、ショパンです。」

と、小声ながらツッコミを入れる純子。「ショパン・・・」 うわ、これは恥ずかしい。一同、大笑いしております。「・・・ショ、ショパン。ハハハ。いや、私が

違えた。ショパンだショパンだ。いや〜素晴らしい。ハハハハハ・・・」と、慌てて言い直す沼。純子、サキ、もうみんなの顔から笑顔がこぼれており

ます。

 

一方、栄光芸術学院でも久巳が同じように演奏練習をしておりました。大勢で賑やかな純子と違い、こちらでは周りには川崎1人しかいません。そ

のためか、賑やかどころか、悲愴感さえ漂ってそうな感じがしています。そんななか演奏をしている久巳ですが、自分のコンクール優勝の邪魔にな

かもしれない純子のことが気がかりで、全然身が入りません。だんだんとイライラ状態になっていく久巳。ついには演奏をやめ、バーン!とピアノを

叩きました。「コンクールまであと3日よ! 落ち着いて練習も出来やしないわ! 何とかしてよ川崎!」 「手は打ってあります。」と、落ち着いた様

子で言う川崎。ホントにこの川崎、いつも冷静でいますね。対する久巳のほうはその真逆で、いつも感情的というか、イライラしております。この2

人、なかなかいいデコボココンビかもしれません。さあ、手を打ってあると言う川崎ですが、どういう事なのか・・・? するとこの栄光芸術学院の教師

でしょうか、ノックしてこの部屋に入り、「先生。お客さんです。椎名純子さんというお嬢さんですが・・・」と川崎に言いました。純子が指導を受けに来

たと聞いて、うすら笑みを見せる川崎。うわ、この男、一体何を企んでいるのでしょうか・・・? さあ、さっそく音楽室に行き、川崎の前で演奏を

披露する純子。これは先ほど鷹の羽学園で弾いていたのと同じ曲、またコンクールで弾く曲でもあります。これで私ももうこの曲を何度も聴いている

わけですが、演奏時間も結構長いんですね。ピアニストというのは、ピアノの上手さだけでなく体力もいるんだなと感じました。さて、今弾いているこ

の純子の曲もそろそろ終盤に差し掛かってきましたが、ここでついに川崎が動きました。パンパンと2回手を叩いて純子に演奏をやめさせ、そして

言いました。「あぁ〜違う違う違う。全然なってない。楽譜をちゃんと見て演奏してるのか? ここのフォルテはもっと強くだ。」 純子は素直に「は

い。」と返事をし、今注意された箇所をもう一度弾きました。今度こそ最後まで弾いてやろうとする純子でしたが、また同じところで川崎の注意が入

り、中断されました。「ん〜、そこはフォルテだって言ったろう。楽譜通りにやんなさい。」 「はい。」とめげずにまた弾く純子でしたが、また同じところ

で川崎に止められました。しかも今度は乱暴に楽譜を叩きつけられて・・・。これにはさすがにおとなしい純子も言いました。「待って下さい。父が教

えてくれたのとは全然違います。」 がしかし、ここから川崎のドSぶりも加速される事になります。「何? ハハハハ・・・。お父さんの言ったことは忘

れたほうがいいな・・・」 「え?」 「恩師だから今まで黙ってたが、この際ハッキリ言っておこう。」 おいおい、こんないたいけな少女に何を言うつもり

なんでしょうか? 聞かないと物語が先に進みませんので聞いてみましょう。

 「お父さんの演奏方法はもう古いんだ。

  いや、古いだけじゃない。本当は芸術的にも価値はなかったんだ。」

「そんな・・・!」と顔を歪める純子。「お父さんの演奏方法に固執していたら、君はいつまで経っても一人前にはなれない。さあ、最初からやり直すつ

もりでもう一度。」と、ムチャな指示を与える川崎。「ひどい! ひどいわ先生!!」 ついに泣き崩れる純子。しかし川崎は容赦しません。「甘ったれ

るんじゃない!」と、純子の右腕を強くつかみました。さらに、「さあ、弾きなさい。」と言ってつかんでいた純子の右手をピアノに強く押し当てる川崎。

悔しさに耐えながら弾こうとする純子でしたが、悔しさのほうが圧倒的に勝ってしまい、手が動いてくれません。「弾きなさい!」と、とどめの一発と言

わんばかりに怒鳴る川崎。「ダメ・・・。弾けない・・・。弾けないわ!」 純子は完全にノックアウト状態になってしまいました・・・。さあ、この様子を別

室で久巳が見ていました。そうです。第13話でも言いましたが、この音楽室にはカメラが設置されていて、別室で見ることが出来ます。あの時は超

不機嫌そうな顔で机を叩いていた久巳でしたが、今日はその逆。ニヤニヤと笑っております。そして言いました。

 「そうよ。もっといじめて。自信がなくなればコンクールに出る気もなくなるわ。

  もっとよ! アッハッハッハッハ・・・」

うわっ、この笑い方は姉の亜悠巳譲りですね。さすが姉妹です。

 

その頃、サキは神と一緒にポルシェの中にいました。神が色々と調べてくれたんでしょうか、今まで分かったことをサキに教えました。「栄光芸術学

院は元々伝統ある学校だったが、海槌家が金の力で乗っ取り、意に染まない指導陣を次々に追い出した。そんな中で椎名幸一は、最後まで学院

に残り、海槌家に抵抗していたらしい。」 「じゃあ、純子のお父さんを死に追いやったのも、海槌家の陰謀・・・?」 

 「分からん。だが、椎名幸一が死んで一番得をしたのは、

 愛弟子の川崎敏弘だ。

さっきまで正面を見ていたサキでしたが、今の一言で一瞬にして左隣の神の方を向きました。「椎名の跡を継いで学部長に就任。海槌家の・・・特に

海槌久巳の絶対的信頼を取りつけ、行く行くは学院長におさまることが内定しているらしい。」 「らしい」という言葉が2度出てきたとはいえ、これで

少し事件の裏が見えてきました。サキの目も、キラリと光りました。さあ、さっきから病院や学校ばかりが舞台となっていますので、この辺で少しアッ

トホームになります。ということで、場面はサキのマンション。サキが帰宅すると、合鍵を渡していたのでしょうか、純子が先に帰っていました。川崎

のひどい指導でさんざんな目に遭った純子。電気も点けずに、俯き状態で座っていました。まずはとりあえず電気を点けるサキ。そして言いました。

「純子。どうしたの? 今日に限って1人で先に帰ってしまうなんて・・・」

 「・・・私、もうピアノが弾けない・・・。弾けないわ!」

と泣いております。無理もありません。「一体どうしたの純子!?」 サキが心配するも、純子は一向に泣きやむことはありませんでした。

 

さあ、今度はサキと敵対する海槌の豪邸に場面を移しましょう。テレビ初登場となりますね。そして初登場といえば、この男もそう。海槌家の主で亜

悠巳たちの父親、第12話でもちょっくら話の出た海槌剛三が姿を見せました。どうやら仕事から帰ってきたようで、車の後部座席からというそ

の初登場シーンも堂々たるものが感じられます。そんな剛三を、亜悠巳と久巳、それから川崎が玄関で迎え入れました。声をそろえて「お帰りなさい

お父様。」と言う亜悠巳と久巳。そのセリフの色は、代表して亜悠巳のものにしました。それを聞いて「うむ。」と言って入っていく剛三。その姿もまた

堂々としております。さあ、剛三が帰ってきたところで全員で夕食。いや、こういう金持ちの家の場合はディナーと言うべきでしょうか・・・。それにふさ

わしい高級な料理を召し上がってくれちゃっています。1つ気になるのは、川崎も一緒に食べていること。どうやら、相当この海槌家に内通している

ようです。ということで、4人で食事をしている中、まずは剛三が口を開きました。「・・・久巳。コンクールも間近だな。どうなんだ見込みは?」 「もち

ろん優勝してみせますわ、お父様。私より優れた相手なんていませんもの。」 「それは結構。」 まあ普通なら姉である亜悠巳の話題からしたいとこ

ろなんですが、さすがに大事なピアノコンクールが迫っているという事で、どうしても久巳のほうの話題が優先されてしまうようです。

 「我が海槌財閥は、やがては日本を支配する。それ故その頂点に立つ

  海槌家の人間は、必ず帝王学をおさめなくてはいかん。歯向かう者がいたら徹底的に

  排除しろ。支配する者とされる者が違うことをハッキリ認識させなくちゃいかん。」

普通の人がこれを聞いたら、何恐ろしいことを言ってんだこの親父はと思うところでしょう。しかし、亜悠巳と久巳は平然とした顔で黙々と食事を続け

ております。まったく・・・。こんな父親だと娘達もろくな人間にはなりませんね。さあ、ここで電話が鳴りました。剛三でも亜悠巳でも久巳でも川崎で

もなく、ずっとこの場に突っ立っていた使用人のような男がその電話を取りました。川崎宛てのようです。男は川崎に受話器を渡しました。「はい、私

だ。・・・・・・何? 椎名純子が?」 実は川崎は、純子がこのまま本当に根を上げてくれるかどうか、念のため見張りをつけて調べさせていました。

今の受け答えを聞く限りでは何かがあったのか・・・。さっきまでニコニコしていた久巳でしたが、警戒するような顔つきへと変わりました。

 

ということで再びサキの家。さあそして純子は・・・・・再びピアノに向かっていました。が、やはりまだまだショックからは立ち直れていないようで

す。「弾くのよ純子。」と、そばで勇気づけているサキ。それを聞いて弾いてみるものの、わずか数秒ほどで手が止まってしまいました。あぁ〜、こん

な事ではあの長い曲を全部弾くなんて、とても出来はしません。「川崎に言われたくらいで負けちゃダメ!」 「・・・でも、どう弾いていいか分からな

い・・・。自信がないの・・・」 サキは純子の両肩に手をやり、

 「しっかりするのよ純子!」

と、両肩を揺するようにして言いました。

 

行ったり来たりで申し訳ないんですが、もう一度海槌家に戻りましょう。ショックを受けながらもまだピアノに向かっていると知った久巳。川崎に言い

ました。「あの女、出場をあきらめたんじゃなかったの? ・・・分かったわ。純子に付いてるあの女がまた邪魔したのね。」 いま久巳が言った2つの

「あの女」ですが、もちろんこれは別の人間。物語を見てくれている人は当然分かるでしょう。「どうしたんだ一体?」と、不思議そうに聞く剛三。

 「私達がやろうとしている事に、いつも邪魔する女がいるの。名前は、麻宮サキ。」

「麻宮サキ・・・・」と言ったところで、なぜかハッ!とする剛三。それを見て「お父様ご存知なの!?」と声高々に久巳が聞きました。ところが剛

三は、「いや・・・知らん。」とまだ食事が途中にも関わらず、席を離れていきました。とここで、急に立ち上がる久巳。

 「もう我慢できないわ! 殺して川崎! 椎名純子も! 麻宮サキも!

  私の邪魔をする人間はみんな殺して!」

と、もっと声高々に言いました。うわぁ〜、あんた達こんな雰囲気の中で食事をしてて楽しいか? ヒステリックな久巳。事が思うように運ばず、面持

ちもスッキリしない川崎と亜悠巳。その3人の顔が、ドアップ画面で順に映し出されました。

 

ここでこの話の前半が終了です。ついに超本格的に純子抹殺を目論む久巳。サキは久巳から純子を守ることが出来るのか!? そしてその純子

も、立ち直ってコンクールに出場することが出来るのか!? 椎名幸一の事件も、ついにその全貌が明らかに・・・! そして何と、この第14話の最

後では、視聴者がビックリするようなある重大事実が判明することになります! それは一体何か!?

後半は、こちらです


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